【完結】わたしの好きな人。〜次は愛してくれますか?

たろ

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ろく。

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「オリヴィア!」

「カレン!」

 学校へ着くと馬車を降りて周りをキョロキョロと見回す。あ!やっぱりオリヴィアが待ってくれていた。

「転校生がカレンだと聞いて門で待ってたの」

「ごめんなさい、連絡しなくて」

「ううん、カレンはこの王都では自由に出来ないもの。仕方がないわ。わたしも学校へ行きだしてカレンに会いに行けなかったし、手紙のやり取りだけしか出来なくてごめんなさい」

「わたしもまさか王都の学校に転校することになるなんて思わなかったの。社交界デビューさえすれば、さっさと領地に帰れると思っていたんだけど、あの人たちからの命令で仕方なく通うことになったの」

「仕方なく?わたしがいるのよ!わたしは嬉しいわ、カレンと一緒に学校生活を送れるなんて!」

「わたしもオリヴィアがいるからなんとか頑張れそうな気がするわ」

「ねっ?ところでその三つ編みと眼鏡はどうしたの?」

「ふふっ、似合ってる?」

「もちろん似合ってるわ。だけど目が悪かったかしら?」

「ううん、偽物よ。だってこの王都でわたしの目の色が気持ち悪いと言われたのよ。言った男の子達はこの学園に通っているはずだもの、だから、もう言われないようにしてみたの」

「カレンったら。それって、可愛い女の子や気になる女の子に男の子達が意地悪を言って気を引こうとしたからだと思うわ」

「ううん、そんなんじゃないわ。会うたびに意地悪を言ってきたもの。わたしのこと嫌いなんだと思う、それか本当に気持ちが悪かったのかもしれないわ」

「カレンは人からあまりにも酷いことを言われ過ぎて素直に気持ちを受け入れられなくなったのよね?」

「違うわ、素直に受け取ったから、こうしてみんなにわからないように地味にしているんじゃない。周りに気持ち悪いと思われないように」
 わたしはそう言い返して口を尖らせた。

「カレンの可愛さや美しさはわたしが知っていればいいから、まっ、いいわ。学校を案内するわね」

 そう言ってわたしの手を引いて校舎を案内してくれた。

 オリヴィアはプラチナブランドの長いふわふわの髪の毛で、目が大きくとても愛らしい顔をしている。

 一緒にいるだけで周りからチラチラと見られてしまう。だけどなんだか嬉しい。こんな素敵なオリヴィアと友人でいられることが誇らしくて思わずニヤニヤしてしまった。

 わたしがニヤニヤしているからか覗き込むオリヴィア。

「何?わたしの顔に何かついているのかしら?」
 可愛く聞いてくる彼女にニコッと微笑み返した。

「えっ?ううん、オリヴィアってやっぱりわたしが思った通り、ううんそれ以上にみんなに注目されているのね。なんだか嬉しくって」

「カレン、それってわたしにではなく貴女にだと思うわ。隠してるつもりでもしっかり貴女の美しさが出ているもの」

「へっ?わたしが?」

「無自覚なところがカレンなのよね」

「ねぇ、そんなことより、ここの食堂が美味しいって噂を聞いたの。おすすめって何かしら?」

 オリヴィアに聞いたつもりなのに、

「ここのおすすめは日替わりランチだよ。今日はチキンのソテーだった気がするよ」
 と答えてきた男の子。

「う、ううん?」
 思わず顔を見ると

「あっ!あの時の!アリシアちゃんのお兄様のルロワール様⁈」

 すっごく驚いた。でもよく考えたらわたしと変わらない歳だからこの学校に通ってるのは当たり前だわ。

「この前は妹を助けてもらったのにお礼を言えず申し訳なかったし謝ることも出来なかった。それに目の前で倒れて心配していたんだ」

「あっ!ご心配おかけしました。わたし、たまに頭痛が酷くなって倒れることがあるんです」

「そんな明るく言わないで!本当に驚いたし心配したんだ。お見舞いに行こうと連絡したけど断られたしお見舞いも受け付けないと言われたんだ」

「えっ?そうだったの…ごめんなさい、好意を無下にしてしまっていたのね」

 多分あの二人だろう。

 なんだかもやっとする。この苛立ちを顔に出してはいけないのに……やっぱりわたしはあの人達とは相容れないのだとつくづく思った。

 そんなにわたしがイヤなら王都に呼ばなければいいのに!キャサリン様と兄様だけを可愛がればいいんだわ。
 ーーーこれ、ヤキモチからではないの!本当にそう思う、わたしを捨ててキャサリン様を娘に迎えればいいのに!

 わたしが怒った顔をしていたのに気がついたルロワール様は気まずそうに声をかけてきた。

「えっと、友人でもないし知人でもない僕が訪ねようとしたからいけなかったんだ」

「ううん、ごめんなさい。ルロワール様、アリシアちゃんの足の怪我は治りましたか?」

「君のおかげでしっかり治療をさせてくれたから治りも早かったよ。いつもなら薬を塗るのを嫌がるのに、助けてもらったから綺麗に治したいと言って頑張ってたんだ」

「アリシアちゃん、とても可愛いですね、羨ましいわ。わたしも妹が欲しかった」

「アリシアは泣き虫ですぐ僕の後ろをついて回るんだ」

「だからあんなに必死で探し回っていたんですね?」

「いつものアリシアなら僕から離れないのに、人がたくさんいて手が離れて逸れてしまったんだ」

「アリシアちゃんにまたお時間があれば会いたいと伝えてください」

「もちろんだよ、うちに招待させて欲しい」

「ありがとうございます」
 あっ、聞いてみた。

「あっ、ルロワール様には婚約者はいらっしゃいますか?」

「えっ?僕?いやまだいないよ」

「でしたら大丈夫ですね」

「何が?」

「婚約者がいらっしゃるのにわたしが貴女のお屋敷に遊びにいったら婚約者の方がイヤな気持ちになるといけないから」





 何故こんな言葉が出たのか、自分でもよくわからなかった。

 婚約者がいるか気にしないといけないの。

 頭の中でわたしじゃない誰かがそう言っていた。









 ーーーーーーーー

 やっとカレン(王妃)の恋愛話へと進みます。

 学校でいろんな人と出会い、そして恋を………






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