6 / 50
ろく。
しおりを挟む
「オリヴィア!」
「カレン!」
学校へ着くと馬車を降りて周りをキョロキョロと見回す。あ!やっぱりオリヴィアが待ってくれていた。
「転校生がカレンだと聞いて門で待ってたの」
「ごめんなさい、連絡しなくて」
「ううん、カレンはこの王都では自由に出来ないもの。仕方がないわ。わたしも学校へ行きだしてカレンに会いに行けなかったし、手紙のやり取りだけしか出来なくてごめんなさい」
「わたしもまさか王都の学校に転校することになるなんて思わなかったの。社交界デビューさえすれば、さっさと領地に帰れると思っていたんだけど、あの人たちからの命令で仕方なく通うことになったの」
「仕方なく?わたしがいるのよ!わたしは嬉しいわ、カレンと一緒に学校生活を送れるなんて!」
「わたしもオリヴィアがいるからなんとか頑張れそうな気がするわ」
「ねっ?ところでその三つ編みと眼鏡はどうしたの?」
「ふふっ、似合ってる?」
「もちろん似合ってるわ。だけど目が悪かったかしら?」
「ううん、偽物よ。だってこの王都でわたしの目の色が気持ち悪いと言われたのよ。言った男の子達はこの学園に通っているはずだもの、だから、もう言われないようにしてみたの」
「カレンったら。それって、可愛い女の子や気になる女の子に男の子達が意地悪を言って気を引こうとしたからだと思うわ」
「ううん、そんなんじゃないわ。会うたびに意地悪を言ってきたもの。わたしのこと嫌いなんだと思う、それか本当に気持ちが悪かったのかもしれないわ」
「カレンは人からあまりにも酷いことを言われ過ぎて素直に気持ちを受け入れられなくなったのよね?」
「違うわ、素直に受け取ったから、こうしてみんなにわからないように地味にしているんじゃない。周りに気持ち悪いと思われないように」
わたしはそう言い返して口を尖らせた。
「カレンの可愛さや美しさはわたしが知っていればいいから、まっ、いいわ。学校を案内するわね」
そう言ってわたしの手を引いて校舎を案内してくれた。
オリヴィアはプラチナブランドの長いふわふわの髪の毛で、目が大きくとても愛らしい顔をしている。
一緒にいるだけで周りからチラチラと見られてしまう。だけどなんだか嬉しい。こんな素敵なオリヴィアと友人でいられることが誇らしくて思わずニヤニヤしてしまった。
わたしがニヤニヤしているからか覗き込むオリヴィア。
「何?わたしの顔に何かついているのかしら?」
可愛く聞いてくる彼女にニコッと微笑み返した。
「えっ?ううん、オリヴィアってやっぱりわたしが思った通り、ううんそれ以上にみんなに注目されているのね。なんだか嬉しくって」
「カレン、それってわたしにではなく貴女にだと思うわ。隠してるつもりでもしっかり貴女の美しさが出ているもの」
「へっ?わたしが?」
「無自覚なところがカレンなのよね」
「ねぇ、そんなことより、ここの食堂が美味しいって噂を聞いたの。おすすめって何かしら?」
オリヴィアに聞いたつもりなのに、
「ここのおすすめは日替わりランチだよ。今日はチキンのソテーだった気がするよ」
と答えてきた男の子。
「う、ううん?」
思わず顔を見ると
「あっ!あの時の!アリシアちゃんのお兄様のルロワール様⁈」
すっごく驚いた。でもよく考えたらわたしと変わらない歳だからこの学校に通ってるのは当たり前だわ。
「この前は妹を助けてもらったのにお礼を言えず申し訳なかったし謝ることも出来なかった。それに目の前で倒れて心配していたんだ」
「あっ!ご心配おかけしました。わたし、たまに頭痛が酷くなって倒れることがあるんです」
「そんな明るく言わないで!本当に驚いたし心配したんだ。お見舞いに行こうと連絡したけど断られたしお見舞いも受け付けないと言われたんだ」
「えっ?そうだったの…ごめんなさい、好意を無下にしてしまっていたのね」
多分あの二人だろう。
なんだかもやっとする。この苛立ちを顔に出してはいけないのに……やっぱりわたしはあの人達とは相容れないのだとつくづく思った。
そんなにわたしがイヤなら王都に呼ばなければいいのに!キャサリン様と兄様だけを可愛がればいいんだわ。
ーーーこれ、ヤキモチからではないの!本当にそう思う、わたしを捨ててキャサリン様を娘に迎えればいいのに!
わたしが怒った顔をしていたのに気がついたルロワール様は気まずそうに声をかけてきた。
「えっと、友人でもないし知人でもない僕が訪ねようとしたからいけなかったんだ」
「ううん、ごめんなさい。ルロワール様、アリシアちゃんの足の怪我は治りましたか?」
「君のおかげでしっかり治療をさせてくれたから治りも早かったよ。いつもなら薬を塗るのを嫌がるのに、助けてもらったから綺麗に治したいと言って頑張ってたんだ」
「アリシアちゃん、とても可愛いですね、羨ましいわ。わたしも妹が欲しかった」
「アリシアは泣き虫ですぐ僕の後ろをついて回るんだ」
「だからあんなに必死で探し回っていたんですね?」
「いつものアリシアなら僕から離れないのに、人がたくさんいて手が離れて逸れてしまったんだ」
「アリシアちゃんにまたお時間があれば会いたいと伝えてください」
「もちろんだよ、うちに招待させて欲しい」
「ありがとうございます」
あっ、聞いてみた。
「あっ、ルロワール様には婚約者はいらっしゃいますか?」
「えっ?僕?いやまだいないよ」
「でしたら大丈夫ですね」
「何が?」
「婚約者がいらっしゃるのにわたしが貴女のお屋敷に遊びにいったら婚約者の方がイヤな気持ちになるといけないから」
何故こんな言葉が出たのか、自分でもよくわからなかった。
婚約者がいるか気にしないといけないの。
頭の中でわたしじゃない誰かがそう言っていた。
ーーーーーーーー
やっとカレン(王妃)の恋愛話へと進みます。
学校でいろんな人と出会い、そして恋を………
「カレン!」
学校へ着くと馬車を降りて周りをキョロキョロと見回す。あ!やっぱりオリヴィアが待ってくれていた。
「転校生がカレンだと聞いて門で待ってたの」
「ごめんなさい、連絡しなくて」
「ううん、カレンはこの王都では自由に出来ないもの。仕方がないわ。わたしも学校へ行きだしてカレンに会いに行けなかったし、手紙のやり取りだけしか出来なくてごめんなさい」
「わたしもまさか王都の学校に転校することになるなんて思わなかったの。社交界デビューさえすれば、さっさと領地に帰れると思っていたんだけど、あの人たちからの命令で仕方なく通うことになったの」
「仕方なく?わたしがいるのよ!わたしは嬉しいわ、カレンと一緒に学校生活を送れるなんて!」
「わたしもオリヴィアがいるからなんとか頑張れそうな気がするわ」
「ねっ?ところでその三つ編みと眼鏡はどうしたの?」
「ふふっ、似合ってる?」
「もちろん似合ってるわ。だけど目が悪かったかしら?」
「ううん、偽物よ。だってこの王都でわたしの目の色が気持ち悪いと言われたのよ。言った男の子達はこの学園に通っているはずだもの、だから、もう言われないようにしてみたの」
「カレンったら。それって、可愛い女の子や気になる女の子に男の子達が意地悪を言って気を引こうとしたからだと思うわ」
「ううん、そんなんじゃないわ。会うたびに意地悪を言ってきたもの。わたしのこと嫌いなんだと思う、それか本当に気持ちが悪かったのかもしれないわ」
「カレンは人からあまりにも酷いことを言われ過ぎて素直に気持ちを受け入れられなくなったのよね?」
「違うわ、素直に受け取ったから、こうしてみんなにわからないように地味にしているんじゃない。周りに気持ち悪いと思われないように」
わたしはそう言い返して口を尖らせた。
「カレンの可愛さや美しさはわたしが知っていればいいから、まっ、いいわ。学校を案内するわね」
そう言ってわたしの手を引いて校舎を案内してくれた。
オリヴィアはプラチナブランドの長いふわふわの髪の毛で、目が大きくとても愛らしい顔をしている。
一緒にいるだけで周りからチラチラと見られてしまう。だけどなんだか嬉しい。こんな素敵なオリヴィアと友人でいられることが誇らしくて思わずニヤニヤしてしまった。
わたしがニヤニヤしているからか覗き込むオリヴィア。
「何?わたしの顔に何かついているのかしら?」
可愛く聞いてくる彼女にニコッと微笑み返した。
「えっ?ううん、オリヴィアってやっぱりわたしが思った通り、ううんそれ以上にみんなに注目されているのね。なんだか嬉しくって」
「カレン、それってわたしにではなく貴女にだと思うわ。隠してるつもりでもしっかり貴女の美しさが出ているもの」
「へっ?わたしが?」
「無自覚なところがカレンなのよね」
「ねぇ、そんなことより、ここの食堂が美味しいって噂を聞いたの。おすすめって何かしら?」
オリヴィアに聞いたつもりなのに、
「ここのおすすめは日替わりランチだよ。今日はチキンのソテーだった気がするよ」
と答えてきた男の子。
「う、ううん?」
思わず顔を見ると
「あっ!あの時の!アリシアちゃんのお兄様のルロワール様⁈」
すっごく驚いた。でもよく考えたらわたしと変わらない歳だからこの学校に通ってるのは当たり前だわ。
「この前は妹を助けてもらったのにお礼を言えず申し訳なかったし謝ることも出来なかった。それに目の前で倒れて心配していたんだ」
「あっ!ご心配おかけしました。わたし、たまに頭痛が酷くなって倒れることがあるんです」
「そんな明るく言わないで!本当に驚いたし心配したんだ。お見舞いに行こうと連絡したけど断られたしお見舞いも受け付けないと言われたんだ」
「えっ?そうだったの…ごめんなさい、好意を無下にしてしまっていたのね」
多分あの二人だろう。
なんだかもやっとする。この苛立ちを顔に出してはいけないのに……やっぱりわたしはあの人達とは相容れないのだとつくづく思った。
そんなにわたしがイヤなら王都に呼ばなければいいのに!キャサリン様と兄様だけを可愛がればいいんだわ。
ーーーこれ、ヤキモチからではないの!本当にそう思う、わたしを捨ててキャサリン様を娘に迎えればいいのに!
わたしが怒った顔をしていたのに気がついたルロワール様は気まずそうに声をかけてきた。
「えっと、友人でもないし知人でもない僕が訪ねようとしたからいけなかったんだ」
「ううん、ごめんなさい。ルロワール様、アリシアちゃんの足の怪我は治りましたか?」
「君のおかげでしっかり治療をさせてくれたから治りも早かったよ。いつもなら薬を塗るのを嫌がるのに、助けてもらったから綺麗に治したいと言って頑張ってたんだ」
「アリシアちゃん、とても可愛いですね、羨ましいわ。わたしも妹が欲しかった」
「アリシアは泣き虫ですぐ僕の後ろをついて回るんだ」
「だからあんなに必死で探し回っていたんですね?」
「いつものアリシアなら僕から離れないのに、人がたくさんいて手が離れて逸れてしまったんだ」
「アリシアちゃんにまたお時間があれば会いたいと伝えてください」
「もちろんだよ、うちに招待させて欲しい」
「ありがとうございます」
あっ、聞いてみた。
「あっ、ルロワール様には婚約者はいらっしゃいますか?」
「えっ?僕?いやまだいないよ」
「でしたら大丈夫ですね」
「何が?」
「婚約者がいらっしゃるのにわたしが貴女のお屋敷に遊びにいったら婚約者の方がイヤな気持ちになるといけないから」
何故こんな言葉が出たのか、自分でもよくわからなかった。
婚約者がいるか気にしないといけないの。
頭の中でわたしじゃない誰かがそう言っていた。
ーーーーーーーー
やっとカレン(王妃)の恋愛話へと進みます。
学校でいろんな人と出会い、そして恋を………
98
お気に入りに追加
1,883
あなたにおすすめの小説

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる