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番外編 辺境伯は妻を愛す。①
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「やっと俺にも妻ができる」
隣国から嫁いでくることが決まった。
名はジャスティア。
王女でありながらその地位を追われ義母になんとか救われ、義母の侯爵家の手を借りて再教育をされたと言うなんとも問題だらけの妻。
「ウィリー様、大丈夫でしょうか?悪い噂しか聞かないそんな人を妻にして」
部下たちはみんな一様に心配しているが
「こんな辺鄙な所に嫁に来ようなんて女は多少問題があっても来てくれるだけで十分だ」
「………確かに…何度も見合いは断られていますもんね」
「まぁ、いくらウィリー様のお顔が良くても何もない所に嫁に来ようと思う貴族令嬢なんてまずいませんもんね」
「ま、確かにな、俺もそろそろ嫁をもらわなきゃいけないのに、み~んな断りやがる。空気は綺麗だし野生の動物の肉は食べ放題、領地だけなら国で一番広い。ま、店といったらジジイとババアが細々とやってる寂れた店ばかりだけど、みんないい奴ばかりだ。
子供達は学はないけど元気出し、女はよく働く、こんな住みやすい場所はないんだけどな」
「ま、何にもないですよね、冬になれば豪雪地帯で外にも出られない。やることは子作りくらいですもん」
「そうだな」
周りの男たちはそんな話をしながら豪快に笑った。
俺はジャスティアのことを思い出していた。
あれは……婚約の話がジャスティアの祖国から来た時、ちょうど隣国に用事があり俺は侯爵家の騎士に扮してジャスティアの行動を伺っていた。
我儘で傲慢、強気の発言ばかりしているのに、周りをいつもこそっと伺う、そして寂しそうな顔をしていた。
この娘は人の前で強気でいることでなんとか自分の存在をみんなに認めてもらおうとしているんだとすぐに分かった。
一人の時は物静かで勉強も必死でやっている。なのに誰か人の気配がすると突然元気になり我儘を言い出す。
お子ちゃまか?と言いたくなるような言動につい面白くて笑ってしまった。
そして路上での男の子が死にかけた事件をきっかけにジャスティアの考えは変わった。
俺はその事件の詳細は報告しか受けていなかったが、彼女は侯爵家での行動も発言も今までとは全く違うものになっていた。
「面白い、とにかく面白い」
目が離せない。父親に見捨てられたはずなのに突然父親のところへ怒鳴り込んでいく行動も。
彼女が屋敷で何か色々動いているのは知っていた。屋敷の者たちも何かしら協力していた。
俺はその行動がまた面白くて。
そして「よしっ!」と気合を入れて向かったのは王宮。その姿も可愛らしかった。
強い意志を持った瞳、なのにどこか不安そうにしている。それを隠すように気合を入れたのだ。
「謁見の約束もないのにお会いすることはできません」
周りがなんと言ってもジャスティアは屁でもなかった。
「うるさいわね、お退きなさい!私に命令できるのはお父様とお義母様だけよ!」
堂々と王の元へと行った。
俺は王妃からの許可を得て中を覗かせてもらった。
「孤児院にもっと予算をください」と言って、たくさんの陳情書と運営費の帳簿や現状における困ったことなどを纏めた書類を国王へと手渡した。
国王はかなり驚いていた。そして本気でジャスティアを怒って怒鳴りつけていた。
「そんなことは段取りを踏んでくるもんだ!」
ジャスティアも負けていなかった、言い返しているジャスティアを周りの騎士達は取り押さえるべきか悩んでいるようだった。
国王に喰ってかかるジャスティアは損得など考えもせずなんとか子供達を守ろうと必死なのが分かった。
だけど彼女は今はもう王女ではない。意見など聞いてもらえないだろうし不敬になり捕まるのでは?と思った。
しかし国王は黙り込んだ後「考えさせてくれ」とジャスティアに言いその日は帰らせた。
そしてジャスティアはもう一度謁見を申し込み再び話し合いをした。俺はその時もこっそりと見に行った。
最初はきちんと二人とも冷静に話していたのに最後はただの親子喧嘩になっていた。
『お前はなんでそんなに我儘ばかり言うんだ!』
『お父様がわたしを見てくれないから我儘言うしかなかったのよ!我儘言った時はわたしの顔を見てくれたじゃない!』
『それはあまりにも我儘過ぎるから呆れていたんだ!』
『わたしはお父様に見て欲しかったの!』
『だったら素直に言えばいいだろう?』
『言えたらこんなことになっていないわ!』
王妃は隣にいて呆れて何にも言えなかったようだ。
周りの者たちも生温かい目で見守っていた。
俺はジャスティアの変わる姿を見て、この娘が欲しいと強く思った。
この娘なら辺境地でも逞しく生き抜くだろう、そして俺を毎日笑わせてくれそうな予感がした。
ジャスティアの凄い行動力のおかげで、全ての孤児院に調査が入ることになったらしい。そして少しずつ改善されていくことになるだろう。
彼女の突拍子もない行動はきちんと身を結び子供達の命を将来を変えていくことだろう。
そんなジャスティアを俺は欲しいと思った。
彼女が来るのがとても楽しみだ。
隣国から嫁いでくることが決まった。
名はジャスティア。
王女でありながらその地位を追われ義母になんとか救われ、義母の侯爵家の手を借りて再教育をされたと言うなんとも問題だらけの妻。
「ウィリー様、大丈夫でしょうか?悪い噂しか聞かないそんな人を妻にして」
部下たちはみんな一様に心配しているが
「こんな辺鄙な所に嫁に来ようなんて女は多少問題があっても来てくれるだけで十分だ」
「………確かに…何度も見合いは断られていますもんね」
「まぁ、いくらウィリー様のお顔が良くても何もない所に嫁に来ようと思う貴族令嬢なんてまずいませんもんね」
「ま、確かにな、俺もそろそろ嫁をもらわなきゃいけないのに、み~んな断りやがる。空気は綺麗だし野生の動物の肉は食べ放題、領地だけなら国で一番広い。ま、店といったらジジイとババアが細々とやってる寂れた店ばかりだけど、みんないい奴ばかりだ。
子供達は学はないけど元気出し、女はよく働く、こんな住みやすい場所はないんだけどな」
「ま、何にもないですよね、冬になれば豪雪地帯で外にも出られない。やることは子作りくらいですもん」
「そうだな」
周りの男たちはそんな話をしながら豪快に笑った。
俺はジャスティアのことを思い出していた。
あれは……婚約の話がジャスティアの祖国から来た時、ちょうど隣国に用事があり俺は侯爵家の騎士に扮してジャスティアの行動を伺っていた。
我儘で傲慢、強気の発言ばかりしているのに、周りをいつもこそっと伺う、そして寂しそうな顔をしていた。
この娘は人の前で強気でいることでなんとか自分の存在をみんなに認めてもらおうとしているんだとすぐに分かった。
一人の時は物静かで勉強も必死でやっている。なのに誰か人の気配がすると突然元気になり我儘を言い出す。
お子ちゃまか?と言いたくなるような言動につい面白くて笑ってしまった。
そして路上での男の子が死にかけた事件をきっかけにジャスティアの考えは変わった。
俺はその事件の詳細は報告しか受けていなかったが、彼女は侯爵家での行動も発言も今までとは全く違うものになっていた。
「面白い、とにかく面白い」
目が離せない。父親に見捨てられたはずなのに突然父親のところへ怒鳴り込んでいく行動も。
彼女が屋敷で何か色々動いているのは知っていた。屋敷の者たちも何かしら協力していた。
俺はその行動がまた面白くて。
そして「よしっ!」と気合を入れて向かったのは王宮。その姿も可愛らしかった。
強い意志を持った瞳、なのにどこか不安そうにしている。それを隠すように気合を入れたのだ。
「謁見の約束もないのにお会いすることはできません」
周りがなんと言ってもジャスティアは屁でもなかった。
「うるさいわね、お退きなさい!私に命令できるのはお父様とお義母様だけよ!」
堂々と王の元へと行った。
俺は王妃からの許可を得て中を覗かせてもらった。
「孤児院にもっと予算をください」と言って、たくさんの陳情書と運営費の帳簿や現状における困ったことなどを纏めた書類を国王へと手渡した。
国王はかなり驚いていた。そして本気でジャスティアを怒って怒鳴りつけていた。
「そんなことは段取りを踏んでくるもんだ!」
ジャスティアも負けていなかった、言い返しているジャスティアを周りの騎士達は取り押さえるべきか悩んでいるようだった。
国王に喰ってかかるジャスティアは損得など考えもせずなんとか子供達を守ろうと必死なのが分かった。
だけど彼女は今はもう王女ではない。意見など聞いてもらえないだろうし不敬になり捕まるのでは?と思った。
しかし国王は黙り込んだ後「考えさせてくれ」とジャスティアに言いその日は帰らせた。
そしてジャスティアはもう一度謁見を申し込み再び話し合いをした。俺はその時もこっそりと見に行った。
最初はきちんと二人とも冷静に話していたのに最後はただの親子喧嘩になっていた。
『お前はなんでそんなに我儘ばかり言うんだ!』
『お父様がわたしを見てくれないから我儘言うしかなかったのよ!我儘言った時はわたしの顔を見てくれたじゃない!』
『それはあまりにも我儘過ぎるから呆れていたんだ!』
『わたしはお父様に見て欲しかったの!』
『だったら素直に言えばいいだろう?』
『言えたらこんなことになっていないわ!』
王妃は隣にいて呆れて何にも言えなかったようだ。
周りの者たちも生温かい目で見守っていた。
俺はジャスティアの変わる姿を見て、この娘が欲しいと強く思った。
この娘なら辺境地でも逞しく生き抜くだろう、そして俺を毎日笑わせてくれそうな予感がした。
ジャスティアの凄い行動力のおかげで、全ての孤児院に調査が入ることになったらしい。そして少しずつ改善されていくことになるだろう。
彼女の突拍子もない行動はきちんと身を結び子供達の命を将来を変えていくことだろう。
そんなジャスティアを俺は欲しいと思った。
彼女が来るのがとても楽しみだ。
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