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お祖父様編④
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屋敷に連れ帰るとすぐに執事達に子供達を地下牢へ入れるように言った。
「お祖父様?」
目が覚めたばかりのエリーナは、ミリアそっくりの顔でわたしを見る。
「早く連れて行け」
「お祖父様?ここは何処?」
「エリーナは今からここで暮らすんだ。わたしの言うことは絶対だ、わかったな?」
意味がまだわからないエリーナは涙をポロポロためて泣き出した。
ーー鬱陶しい、子供の涙なんてなんの得にもならない。
「おうちに帰りたい」泣き出すエリーナを使用人が引っ張って地下牢へと連れていく。
14歳のジェファはもう体も大きく抵抗されると連れてくるのが面倒なので、馬車の中で大人しくしていろと命令したあとハンカチに染み込ませた睡眠薬を口にあてて嗅がせて、深い眠りのまま地下牢へと放り込んだ。
目が覚めれば地下牢にいるので驚くだろうが、あれは聡い子なので泣きもせず、淡々としているのだろう。
少しは感情を表に出せばいいのに何を考えているかわからない可愛げのない孫だ。
二人を地下牢に入れたと報告を受けた。
まだダニエルからはなんの問い合わせも来ない。
やれることはやった。
あとは知らぬ存ぜぬでうまく切り抜けるだけだ。わたしは地位も財産もまだまだ誰にも負けない。
まだ朝食を摂っていないことに気がつき、一人ゆっくりと食事を楽しむ。
執事から孫の二人が泣き叫んだり「ここから出せ!」と怒鳴っていたりすると聞いた。
「あんまりうるさかったらムチを使って罰を与えなさい、しっかりと恐怖を覚えさせておけばあとが楽だ」
「そ、それは、あ、いや、わ、わかりました。エリーナ様がお腹が空いたと仰っておりますが……」
「すべて無視していい。死なないように水だけは与えておいてくれ」
執事は頭を下げて出て行った。わたしの命令通り動くつもりらしい。
食事が終わり執務室で仕事を始めた。
書類を手に取り目は文字をおうのだがなんとも集中出来ない。
◇ ◇ ◇
怪我の手当てに時間をかなり取られた。麻酔をうち縫うことになった。麻酔も切れて体調が安定したのが昼頃だった。
ダイアナのことも気にはなっていた。
ミリアが捕まったと聞いたしこれからのことを考えるとかなり頭が痛い。
屋敷に帰ると、執事のトムが真っ青な顔をしていた。
「旦那様……申し訳ありません。ジェファ様とエリーナ様が今朝方大旦那様に連れて行かれてしまいました。まだお二人とも眠られていたのですが、無理やり連れて行かれて抵抗することができませんでした」
「父上が子供達を….?何が目的なのだろう」
「面倒をみてやると言っておりましたが……どうみてもそんな風にはみえませんでした」
「わかった。父上のところへ顔を出してくる」
まだ痛む体を誤魔化しながら父上のところへ向かうことにした。
今回のことは父上が元凶だ。
ミリアが捕まったのもダイアナを黙って連れ去ろうとしたからだ。父上には罪の意識などないのだろう。
自分の考えが全て正しいと思っている人だ。
「ダイアナ様を大旦那様のところへ連れてくるようにと伝言を言付かっております」
「ダイアナ?」
あの人はダイアナを諦めるなんて考えはないのだろう。子供達を盾に脅すつもりなのだろうか。
いまだに父上の言うことは絶対だと体がビクッと反応してしまう。
こんなわたしがダイアナを始め二人の子供も救えるのだろうか。
それでももう逃げて目を瞑っているだけでは、子供達を守れない。
わたしもそろそろ腹をくくって、父上からの支配を自ら断ち切らなければ。
まだ治らない傷の痛みで思考が上手く回らない中馬車に乗り込んだ。
「お祖父様?」
目が覚めたばかりのエリーナは、ミリアそっくりの顔でわたしを見る。
「早く連れて行け」
「お祖父様?ここは何処?」
「エリーナは今からここで暮らすんだ。わたしの言うことは絶対だ、わかったな?」
意味がまだわからないエリーナは涙をポロポロためて泣き出した。
ーー鬱陶しい、子供の涙なんてなんの得にもならない。
「おうちに帰りたい」泣き出すエリーナを使用人が引っ張って地下牢へと連れていく。
14歳のジェファはもう体も大きく抵抗されると連れてくるのが面倒なので、馬車の中で大人しくしていろと命令したあとハンカチに染み込ませた睡眠薬を口にあてて嗅がせて、深い眠りのまま地下牢へと放り込んだ。
目が覚めれば地下牢にいるので驚くだろうが、あれは聡い子なので泣きもせず、淡々としているのだろう。
少しは感情を表に出せばいいのに何を考えているかわからない可愛げのない孫だ。
二人を地下牢に入れたと報告を受けた。
まだダニエルからはなんの問い合わせも来ない。
やれることはやった。
あとは知らぬ存ぜぬでうまく切り抜けるだけだ。わたしは地位も財産もまだまだ誰にも負けない。
まだ朝食を摂っていないことに気がつき、一人ゆっくりと食事を楽しむ。
執事から孫の二人が泣き叫んだり「ここから出せ!」と怒鳴っていたりすると聞いた。
「あんまりうるさかったらムチを使って罰を与えなさい、しっかりと恐怖を覚えさせておけばあとが楽だ」
「そ、それは、あ、いや、わ、わかりました。エリーナ様がお腹が空いたと仰っておりますが……」
「すべて無視していい。死なないように水だけは与えておいてくれ」
執事は頭を下げて出て行った。わたしの命令通り動くつもりらしい。
食事が終わり執務室で仕事を始めた。
書類を手に取り目は文字をおうのだがなんとも集中出来ない。
◇ ◇ ◇
怪我の手当てに時間をかなり取られた。麻酔をうち縫うことになった。麻酔も切れて体調が安定したのが昼頃だった。
ダイアナのことも気にはなっていた。
ミリアが捕まったと聞いたしこれからのことを考えるとかなり頭が痛い。
屋敷に帰ると、執事のトムが真っ青な顔をしていた。
「旦那様……申し訳ありません。ジェファ様とエリーナ様が今朝方大旦那様に連れて行かれてしまいました。まだお二人とも眠られていたのですが、無理やり連れて行かれて抵抗することができませんでした」
「父上が子供達を….?何が目的なのだろう」
「面倒をみてやると言っておりましたが……どうみてもそんな風にはみえませんでした」
「わかった。父上のところへ顔を出してくる」
まだ痛む体を誤魔化しながら父上のところへ向かうことにした。
今回のことは父上が元凶だ。
ミリアが捕まったのもダイアナを黙って連れ去ろうとしたからだ。父上には罪の意識などないのだろう。
自分の考えが全て正しいと思っている人だ。
「ダイアナ様を大旦那様のところへ連れてくるようにと伝言を言付かっております」
「ダイアナ?」
あの人はダイアナを諦めるなんて考えはないのだろう。子供達を盾に脅すつもりなのだろうか。
いまだに父上の言うことは絶対だと体がビクッと反応してしまう。
こんなわたしがダイアナを始め二人の子供も救えるのだろうか。
それでももう逃げて目を瞑っているだけでは、子供達を守れない。
わたしもそろそろ腹をくくって、父上からの支配を自ら断ち切らなければ。
まだ治らない傷の痛みで思考が上手く回らない中馬車に乗り込んだ。
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