38 / 76
お祖父様編②
しおりを挟む
ダイアナはエレファ以上に美しく成長していった。
だがダニエルはわたしを屋敷に近づけようとしなかった。守りは硬く常に剛腕な騎士達を何人も護衛につけていた。
ミリアに監視させていたが、ミリアや子供達にも厳しくダイアナと接しないように言い渡していてダイアナと接するのは難しかった。
仕方なく随時報告だけはさせるように言っていた。
ダイアナに手が出せないでイライラさせられるなか、王妃はさらに自分のところにダイアナを置き、わたしが手を出せないようにした。
何度となくダイアナのためと言ってわたしが気にいる婚約者を勧めた。
しかしダニエルは首を縦に振らない。
「ダニエル、ダイアナのためにいい嫁ぎ先を見つけてやろうと思わないのか?」
「ダイアナにはわたしと同じように恋愛結婚をしてもらいたいと思っているんです。無理強いはさせたくありません」
「お前が碌でもない女と結婚したから、跡取りすら産むこともできなかったんだ。顔だけの女で娘だけ産んでさっさと死んで、ろくな嫁じゃなかった。ミリアはそれに比べれば跡取りを産んだ。才女のミリアとお前の子供なら優秀な跡取りが育つだろう」
「父上、エレファはブラン王国の王女です、碌でもないなどと言わないでください」
「男を体で繋ぎ止めることもできなかった女のくせに。お前は結局ミリアと浮気してミリアに子供を産ませたんだ。何が恋愛だ!」
「ミリアとは確かに…だけど愛していたのはエレファだけです。今も彼女だけを愛しています」
「口で何を言っても無駄だ。ミリアに子供を産ませているくせに」
わたしはダニエルの物言いになぜか腹が立った。
エレファをひと目見て焦がれるほどの気持ちを持ったのはわたしも同じ。エレファの美しさは思わず目で追ってしまう。気品と美しさ、そして知性がありそれが自然に立ち振る舞いに出ている、誰もが認める王女としての魅力。
「欲しい」
わたしは息子の嫁を自分のものにしたかった。たとえ悪魔に魂を売ろうとエレファを自分だけのものにできるなら構わないと思った。
そのエレファが亡くなって喪失感で虚しい日々を送っていた時、まだ幼いがいずれは花ひらくであろうダイアナの美しさに目が止まった。
エレファは亡くなったがそれ以上の原石がここにある。
どれだけ興奮したことか。それもわたしにとっては孫。孫とならいくら接触してもまわりが変に捉えることはない。
そう思っていたのに、ダニエルは何度「ダイアナと会って話したい」と言っても聞き入れなかった。
わたしの言葉は絶対のはずなのに。
そして16歳の時、キース・ネヴァンスと婚約した。しかも陛下から声がかかっての婚約。断ることすらできない。
忌々しい気持ちでいっぱいだが、逆らうことはできないでいた。キースは侯爵家の次男で、父親があの生意気なデヴィッドだと知った時は、腹が立ちすぎて屋敷の書斎の机をひっくり返しても怒りはおさまらなかった。
あの若造は昔からダニエルの近くにいてわたしを軽蔑したかのような目で見ていた。
公爵であるわたしを馬鹿にしたかのような態度に、ダニエルには何度かデヴィッドとの付き合いはやめるように助言した。
その息子とダイアナが婚約など許せるわけがない。
だからこそわたしはダイアナにとって一番いい嫁ぎ先を見つけてやったのだ。
ただダニエルには拒絶されたので、仕方なくグランディル子爵にダイアナを連れてくるように指示した。
もう鉱山の権利書ももらい、金も受け取っている。今更ダイアナは連れてこれませんなど絶対にあってはならない。
仕方なく朝日が昇ったのを見てすぐに息子の屋敷へと向かった。
ダイアナを直接渡してもらうように言うつもりだ。
ほんと使いものにならない息子だ。一度は譲った公爵の名だが取り上げると脅せばダイアナのこともすぐに渡すだろう。
だがダニエルはわたしを屋敷に近づけようとしなかった。守りは硬く常に剛腕な騎士達を何人も護衛につけていた。
ミリアに監視させていたが、ミリアや子供達にも厳しくダイアナと接しないように言い渡していてダイアナと接するのは難しかった。
仕方なく随時報告だけはさせるように言っていた。
ダイアナに手が出せないでイライラさせられるなか、王妃はさらに自分のところにダイアナを置き、わたしが手を出せないようにした。
何度となくダイアナのためと言ってわたしが気にいる婚約者を勧めた。
しかしダニエルは首を縦に振らない。
「ダニエル、ダイアナのためにいい嫁ぎ先を見つけてやろうと思わないのか?」
「ダイアナにはわたしと同じように恋愛結婚をしてもらいたいと思っているんです。無理強いはさせたくありません」
「お前が碌でもない女と結婚したから、跡取りすら産むこともできなかったんだ。顔だけの女で娘だけ産んでさっさと死んで、ろくな嫁じゃなかった。ミリアはそれに比べれば跡取りを産んだ。才女のミリアとお前の子供なら優秀な跡取りが育つだろう」
「父上、エレファはブラン王国の王女です、碌でもないなどと言わないでください」
「男を体で繋ぎ止めることもできなかった女のくせに。お前は結局ミリアと浮気してミリアに子供を産ませたんだ。何が恋愛だ!」
「ミリアとは確かに…だけど愛していたのはエレファだけです。今も彼女だけを愛しています」
「口で何を言っても無駄だ。ミリアに子供を産ませているくせに」
わたしはダニエルの物言いになぜか腹が立った。
エレファをひと目見て焦がれるほどの気持ちを持ったのはわたしも同じ。エレファの美しさは思わず目で追ってしまう。気品と美しさ、そして知性がありそれが自然に立ち振る舞いに出ている、誰もが認める王女としての魅力。
「欲しい」
わたしは息子の嫁を自分のものにしたかった。たとえ悪魔に魂を売ろうとエレファを自分だけのものにできるなら構わないと思った。
そのエレファが亡くなって喪失感で虚しい日々を送っていた時、まだ幼いがいずれは花ひらくであろうダイアナの美しさに目が止まった。
エレファは亡くなったがそれ以上の原石がここにある。
どれだけ興奮したことか。それもわたしにとっては孫。孫とならいくら接触してもまわりが変に捉えることはない。
そう思っていたのに、ダニエルは何度「ダイアナと会って話したい」と言っても聞き入れなかった。
わたしの言葉は絶対のはずなのに。
そして16歳の時、キース・ネヴァンスと婚約した。しかも陛下から声がかかっての婚約。断ることすらできない。
忌々しい気持ちでいっぱいだが、逆らうことはできないでいた。キースは侯爵家の次男で、父親があの生意気なデヴィッドだと知った時は、腹が立ちすぎて屋敷の書斎の机をひっくり返しても怒りはおさまらなかった。
あの若造は昔からダニエルの近くにいてわたしを軽蔑したかのような目で見ていた。
公爵であるわたしを馬鹿にしたかのような態度に、ダニエルには何度かデヴィッドとの付き合いはやめるように助言した。
その息子とダイアナが婚約など許せるわけがない。
だからこそわたしはダイアナにとって一番いい嫁ぎ先を見つけてやったのだ。
ただダニエルには拒絶されたので、仕方なくグランディル子爵にダイアナを連れてくるように指示した。
もう鉱山の権利書ももらい、金も受け取っている。今更ダイアナは連れてこれませんなど絶対にあってはならない。
仕方なく朝日が昇ったのを見てすぐに息子の屋敷へと向かった。
ダイアナを直接渡してもらうように言うつもりだ。
ほんと使いものにならない息子だ。一度は譲った公爵の名だが取り上げると脅せばダイアナのこともすぐに渡すだろう。
71
お気に入りに追加
3,944
あなたにおすすめの小説
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる