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救出③

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 血生臭い小屋から出るとまだ外は暗かった。

「あ、あの、キース様……わたし屋敷には帰りたくないんです」

「もう二度とあそこへは帰らなくていいよ。王妃様には連絡しておくから今からうちにおいで」

「キース様の?…ですか?」

「うん、父上達にはもう連絡してあるから準備はしてあるはずだ。とりあえずうちにおいで」

「……ご迷惑ではありませんか?」

「ダイアナ、君は婚約者だ。それにもうジャスティア殿下との演技はしなくても大丈夫だから。全て解決するから安心して」

「解決?」

「また後で詳しく話すよ。とにかくここから移動しよう。今から犯人達を捕らえ連行するために騎士団の者たちがたくさん集まる。俺たちはまた明日事情を聞かれることになるだろうから、今は帰ってゆっくりしよう」

 ダイアナは素直に頷いた。流石に疲れの色は隠せない。服もかなり汚れて髪もボサボサ、早く俺の実家に連れて帰ってゆっくりとさせてやりたい。

「あっ…お父様は……」

「多少怪我してもあれくらいなら死なないさ。ダイアナが命をかけて守ってやったんだ。あとは自分でなんとかするだろう」

 俺の言葉に驚きながらも「そうですね」と力なく頷いた。

 馬車に乗せた途端ダイアナは死んだように眠った。

 神経を張り詰めていたのが一気に緩んだのだろう。

 屋敷に着くと俺はそのまま彼女を抱えて部屋へと連れていった。
 起きて準備をしてくれていた侍女に体を拭いてもらい着替えさせてもらった。

 このまま朝までゆっくり眠らせてやろう。

 俺はダイアナの眠った顔を見て安心して自室へと戻った。

 明日は報告へ行きつつ、前公爵との対峙が待っている。
 公爵も少しはダイアナのために父親と戦う気になっただろうか。

 前公爵が素直に罪を認めることはないだろう。

 あのクソジジイをこの国からいやもう二度と太陽の下に出られないようにしなければ安心してダイアナが暮らすことができない。たとえブラン王国へ行くことが決まってもあのジジイだけはどうにかしないといけない。また何をしでかすかわかったものではない。

 王妃様と団長と共にあの男の罪を見つけ出し、証拠を集めてきた。公爵もこちらについてもらえればあのクソジジイを潰すことが出来るだろう。

色々考え込んでいたらいつの間にか朝になっていた。

ダイアナはまだ寝ていることだろう。

父上に昨日のことを全て今から話して、しばらくはダイアナの身の安全を守ってもらうように頼まなければならない。
本当なら俺がずっと一緒にいてあげたいが、ダイアナのこれからを考えると今は急いで動くしかない。

眠っているであろう父上の部屋へ今から押しかける。

今日は長い一日になりそうだ。








◆ ◆ ◆

やっとやっと体調が戻ってきました。生後ひと月のベビーは入院するし全員寝込むことになるし、いまだに咳が続いて集中して書けないでいますが、夕方もう一話更新予定です。

短編のはずがまた長編になりそうな予感。ですが頑張って書いていきますのであともう少しお付き合いください。

いつも読んでいただきありがとうございます。

        たろ







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