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キース達は。

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 ジャスティア殿下のことは団長があとは上手くやってくれるだろう。
 王妃は今回ダイアナのために自分の影を使ってくれた。
 影は嘘は言わない。確実な情報収集。それはある意味こちらに少しでも隠したいことがあっても隠せない。
 全て調べたとおりが世間にまで公表されると言うこと。
 だからジャスティア殿下には使わなかった。

 ジャスティア殿下を操った者たちを捕らえたいが、殿下自体はいいように使われているだけだからだ。
 彼女はなんとか軽い罪になるように団長と王妃が国王にも交渉している。

 好きなだけ可愛がり自分の立場が悪くなりそうになれば最愛の娘も切り捨てる。
 ジャスティア殿下ももっとマシな父親に育てられれば違ったのだろうか。




 俺はダイアナはまだ大丈夫、今なら間に合う。
 そう心の中で自分に言い聞かせながら、このなんとも嫌な予感しかしない不安な気持ちを打ち消そうとした。

 ジャスティア殿下達の事件が落ち着いたら俺は婚約解消をする気はないこと、このまま結婚したいと思っていることを伝えようと思いながら馬を走らせた。

 ダイアナのいつも前をしっかりと見つめ、嫌なことからも逃げないところがすごいと思っていた。
 でもたまにはその瞳に俺を映して、たまには弱音を吐いて欲しかった。

 ずっと近くで彼女がいつでも逃げ出せるように見守って来た。つもりだったのに、肝心な時にそばにいてあげられない。


 ダイアナの屋敷に着くと出迎えられるどころか

「お前は誰だ?」

「今忙しい、帰れ!」
 と門番の騎士達から追い払われた。

「俺はキース・ネヴァンス。近衛騎士団の副団長だ。
 公爵に用事があって来た。公爵は居るか?」

 俺の名前を聞くと門番は俺の顔をまじまじとみた。

「す、すみません、中にお入りください。貴方が今必要なんです」

 ーー何か起きている。

 屋敷の中に通されるとソファで下を向き項垂れている公爵がいた。

 そのそばには、ダイアナの義弟が青い顔をして立っていた。

「公爵?どうしました?」

「遅かった。もっと早く手放してあげればよかったのに……」

「ダイアナは?」

「ミリアが連れ去った……この屋敷の隠れ通路を通って二人ともいなくなった」

「何故追わないのですか!」

「父上には逆らえない。なんとか抗おうとして来た。ダイアナはどこかへ連れて行かれた、ミリアも姿を消した。わたしにどうしろと言うんだ?」

「人を人と思っていない前公爵…ジジイなんてとっ捕まえて牢に入れればいいんですよ。悪い人は捕まえる。それだけです。貴方はいつも何を怖がっているんですか?ただの年寄りですよ?それもクソがつくだけの」

「父上、僕も義姉上を助けたいです。母上は……悪いことをしたのならきちんと罪を償って欲しいです」

「心当たりはありませんか?ダイアナを隠せそうな場所は?隣国の鉱山とダイアナを交換すると聞きました、もう契約も交わされ履行されるのは今月中です」

 自分で話しながらあと10日でダイアナは知らない男のところへ無理やり売られるのだと思うと腹が立って仕方がなかった。
 なんとか助け出さなければ。

「相手の名前は、レンバン王国のオーティス公爵。ダイアナのような少女を奴隷のように扱い興奮する性的嗜好を持っているらしい」

 俺は王妃に貰った紙を見ながら公爵に伝えた。

「婚約者のくせによくもそんな淡々と…」
 公爵は握り潰しそうな勢いで手を握りしめ真っ赤になっていた。

「平気なんかではありません。早く助け出したいからこそむやみに動き回って時間を無駄にしたくないのです」

「父上なら………船着場のある街に近い別荘に隠すかもしれない。我が家の船が明後日レンバン王国の隣の国へ出航する……こうしてはいられない。ダイアナは確実に船に乗せられる。多分まだ船には乗せられていないはずだ。俺が探すのはわかっているからな」

「ではやはりどこかに隠されているんですね!」

「あの辺には公爵家保有の倉庫や建物がたくさんある。だがどこも人の出入りが多いはず。だから普段使っていない別荘かホテル、しかしホテルだと人目がつく」

 公爵はソファを立ち、「行くぞ」
 と動き始めた。

「前公爵は今どうしているのですか?」

「父上は俺が何も動けないと思っているだろう。それに聞いても知らないと言って押し通す人だ。証拠がないからな」

「あります、影が動いてくれました。前公爵のトドメをさせます」

「……助かる」

「父上、僕も行きます。足手纏いにはなりません」

「ジェファ、いいのか?現実は辛いぞ」

「僕はずっとこの家のこと疑問に思っていました、どうして義姉様はいつも一人なんだろう?どうして母上はそれなのにあんなに笑っていられるのだろうと」








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