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ダイアナ18歳 静かに。
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この2年間は穏やかに過ぎていった。
ジャスティア殿下からの嫌味や絡みは相変わらずだったけど特にひどい目に遭うことはなかった。
お父様達もわたしのことを静観していた。
話しかけられることもなくそこにわたしは存在していないかのように扱われ、食事会の時も夜会の時もわたしだけ一人取り残された。
キース様との関係も月に一回の顔合わせ以外話すこともなく寂しいと思うほど発展はしなかった。
そんな二人の関係が動いたのはジャスティア殿下の暴挙からだった。
「キース、知っているのよ?ダイアナとの婚約は仮初めだと。もうすぐ二人の婚約は解消されるのよね」
どこからその話を聞いたのか。
わたしとキース様は驚いて目を合わせた。
このことを知っているのは王妃様と三人だけのはず。
もうすぐこの婚約も解消されるはずなのにここで邪魔が入ってしまった。
「ふふ、世間を欺くなんて貴方達大それた事をして。社交界にこのことを話したらどうなるのかしら?」
楽しそうにわたしをチラッと見ると、キース様の顎に手をやって
「キース、婚約解消なんて駄目よ。二人はそのまま婚約をしていなさい」
「え?」
「二人が婚約をしているのにわたくしとキースが真実の愛が芽生えるの。それを邪魔するダイアナは悪役令嬢。ふふ、面白そうでしょう?」
ーーこの人は何を言ってるのだろう?それって最近よくある小説の世界の話でしょう?
「もう婚約は解消します。そんなことは出来ません」
わたしはジャスティア殿下に伝えると
「あら?駄目よ?そんなことしたらわたくしが全てをバラすわ。貴女もキースももう社交界に居られなくなるわよ」
「そんな…」
わたしはこの国を去ればいい。でもキース様はこの国で一生を過ごす人。
「わたしは別にバラされても大丈夫です」
キース様は平然と答えた。
「でもダイアナがそのことで辛い思いをするのは我慢できません」
「愛がないくせにダイアナを大事にするのね」
「わたくしはいいのよ?貴方達がどんな目に遭おうと関係ないもの。楽しいでしょうねある事ない事言われて。ダイアナはそれじゃなくても父親から見捨てられて社交界にもまともに出してもらえないのに、どんなこと言われるのかしら?」
楽しそうに話すジャスティア殿下にどう答えていいのかわからず黙っていた。
自分のことだけならなんと言われてもいい。でもキース様は近衛騎士の副団長に抜擢されて、まだまだ未来がある人だ。こんなことで将来を不意にしてほしくない。
「………わたしは何を言われても大丈夫です、でもキース様は将来がある人です。彼の騎士としての将来を潰したくはありません」
「だったらわたくしとキースが恋仲になることね、そうすればわたくしは誰にも話さないわ」
「わかりました」
「駄目だ、そんなこと了承するな。殿下、そんな無理強いをしても幸せになることなんてありません」
「あら?二人の苦しむ姿が見れるだけで十分幸せだわ」
殿下の笑顔はどこか寂しそうに感じた。
そんなことしても人の愛を得ることは出来ないのに…
ジャスティア殿下からの嫌味や絡みは相変わらずだったけど特にひどい目に遭うことはなかった。
お父様達もわたしのことを静観していた。
話しかけられることもなくそこにわたしは存在していないかのように扱われ、食事会の時も夜会の時もわたしだけ一人取り残された。
キース様との関係も月に一回の顔合わせ以外話すこともなく寂しいと思うほど発展はしなかった。
そんな二人の関係が動いたのはジャスティア殿下の暴挙からだった。
「キース、知っているのよ?ダイアナとの婚約は仮初めだと。もうすぐ二人の婚約は解消されるのよね」
どこからその話を聞いたのか。
わたしとキース様は驚いて目を合わせた。
このことを知っているのは王妃様と三人だけのはず。
もうすぐこの婚約も解消されるはずなのにここで邪魔が入ってしまった。
「ふふ、世間を欺くなんて貴方達大それた事をして。社交界にこのことを話したらどうなるのかしら?」
楽しそうにわたしをチラッと見ると、キース様の顎に手をやって
「キース、婚約解消なんて駄目よ。二人はそのまま婚約をしていなさい」
「え?」
「二人が婚約をしているのにわたくしとキースが真実の愛が芽生えるの。それを邪魔するダイアナは悪役令嬢。ふふ、面白そうでしょう?」
ーーこの人は何を言ってるのだろう?それって最近よくある小説の世界の話でしょう?
「もう婚約は解消します。そんなことは出来ません」
わたしはジャスティア殿下に伝えると
「あら?駄目よ?そんなことしたらわたくしが全てをバラすわ。貴女もキースももう社交界に居られなくなるわよ」
「そんな…」
わたしはこの国を去ればいい。でもキース様はこの国で一生を過ごす人。
「わたしは別にバラされても大丈夫です」
キース様は平然と答えた。
「でもダイアナがそのことで辛い思いをするのは我慢できません」
「愛がないくせにダイアナを大事にするのね」
「わたくしはいいのよ?貴方達がどんな目に遭おうと関係ないもの。楽しいでしょうねある事ない事言われて。ダイアナはそれじゃなくても父親から見捨てられて社交界にもまともに出してもらえないのに、どんなこと言われるのかしら?」
楽しそうに話すジャスティア殿下にどう答えていいのかわからず黙っていた。
自分のことだけならなんと言われてもいい。でもキース様は近衛騎士の副団長に抜擢されて、まだまだ未来がある人だ。こんなことで将来を不意にしてほしくない。
「………わたしは何を言われても大丈夫です、でもキース様は将来がある人です。彼の騎士としての将来を潰したくはありません」
「だったらわたくしとキースが恋仲になることね、そうすればわたくしは誰にも話さないわ」
「わかりました」
「駄目だ、そんなこと了承するな。殿下、そんな無理強いをしても幸せになることなんてありません」
「あら?二人の苦しむ姿が見れるだけで十分幸せだわ」
殿下の笑顔はどこか寂しそうに感じた。
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