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二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。
【29】
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「あんたはオーグを愛していたんだな?だからアイリーンを産んだ。オーグは何も知らずイリアナの母に恋に落ち、あんたは見向きもされなかった。惨めだな?」
俺の言葉にマリーンは元々吊り上がった目をさらに吊り上げて顔を真っ赤にしながら俺に攻撃を始めた。
「苦しめ!」
俺は魔法で体を絞められ始めた。
「グッ……」
絶対に苦しむ声は出さない。イリアナが心配そうに俺を見ている。
動けないでいるオーグとイリアナ。
だが俺への攻撃に夢中のマリーンは気が付いていない。
イリアナの周りがキラキラと光っていることを。俺は二人とは違う方へと視線を向けた。
「何を見てるんだい?」
怒鳴りながら俺に訊くマリーン。
「あんたの……鏡に映った姿だ」
鏡に向かってマリーンにニヤッと笑った。
「あたしの……?」
マリーンは鏡を見て「ふざけるな!」と言うと魔法で鏡に椅子を投げつけた。
ガッシャーン。
椅子は見事に鏡に当たり割れた。
「粉々になって映ったあなたの姿は今のあなたそのままだ。愛する男に相手にされず惨めに俺たちを攻撃して、さらに嫌われる」
ーーなんだか言ってて虚しい。
俺の言葉はマリーンだけじゃない。俺も同じだ。
イリアナを愛しているのに他の女に現を抜かして、今なんてイリアナの前で酷い言葉をマリーンに言っている。
「うるさい!五月蝿い!煩い!」
マリーンはさらに怒りを増長させて俺を締め上げる。
「ぐふっ」
口から鉄の味がする。
身体中が苦しい。このまま死ぬのもいいのかもしれない。
イリアナが矢で射殺される姿を思い出す。
あんな思いをするなら俺が死ぬ方がよっぽどいい。
「もうやめて!」
イリアナの叫び声と同時にマリーンの背中に光が当たり崩れるように床に跪いた。
「ギィヤァっ!!」
イリアナとオーグが動けるようになっていた。
イリアナはすぐに俺のそばに駆けつけた。
「セデン……大丈夫?すぐに治すから」
そう言うと俺の体に優しく触れた。
温かいふわっとした魔力が俺の体中を駆け巡るのがわかる。
悲鳴をあげていた体が少しずつ軽くなる。全身の痛みが治っていく。
ふとマリーンを見るとオーグが彼女のそばにいた。
マリーンは「触るな!近づくな!」とオーグを手で払いのけていた。
✴︎ ︎ ︎ ✴︎ ︎ ✴︎ ︎ ✴︎ ︎ ✴︎ ︎ ✴︎ ︎
「セデン……」
口から血が滲む……ううん、流れ出ていた。
急いでセデンに癒しの魔法をかけた。
妖精達となんとか彼女の魔法から抜け出そうともがいていた。そこにセデンが渡してくれたピアスのおかげでマリーンさんの黒魔法から解放された。
セデンがマリーンさんを煽って怒らせようとしていた。セデンは優しい人。そんな彼がマリーンさんに酷い言葉を投げかけていた。
そしてマリーンさんに魔法で体を縛り上げられ苦しんでいる。早く助けないと!
癒しの魔法は得意だけど攻撃魔法は苦手。オーグの魔法もマリーンさんを攻撃するのには向かない。
だけど妖精さん達曰く聖女の娘であるわたしならマリーンさんの黒魔法を攻撃出来ると言われた。
ーー怖い。
……人を攻撃したことなんてない。
だけどこのままではセデンが本当に死んでしまう。
「もうやめて!」
無我夢中で叫んでいた。同時に魔法でマリーンさんの背中に魔法を放つ。光が当たり崩れるように床に跪いた。
「ギィヤァっ!!」
わたしはセデンのそばへ駆けつけた。
オーグはマリーンさんのそばへ。
マリーンさんは怒鳴り散らしていた。
「触るな!近づくな!」
マリーンさんの愛情は歪んでいるけど……オーグを愛しているのね。
俺の言葉にマリーンは元々吊り上がった目をさらに吊り上げて顔を真っ赤にしながら俺に攻撃を始めた。
「苦しめ!」
俺は魔法で体を絞められ始めた。
「グッ……」
絶対に苦しむ声は出さない。イリアナが心配そうに俺を見ている。
動けないでいるオーグとイリアナ。
だが俺への攻撃に夢中のマリーンは気が付いていない。
イリアナの周りがキラキラと光っていることを。俺は二人とは違う方へと視線を向けた。
「何を見てるんだい?」
怒鳴りながら俺に訊くマリーン。
「あんたの……鏡に映った姿だ」
鏡に向かってマリーンにニヤッと笑った。
「あたしの……?」
マリーンは鏡を見て「ふざけるな!」と言うと魔法で鏡に椅子を投げつけた。
ガッシャーン。
椅子は見事に鏡に当たり割れた。
「粉々になって映ったあなたの姿は今のあなたそのままだ。愛する男に相手にされず惨めに俺たちを攻撃して、さらに嫌われる」
ーーなんだか言ってて虚しい。
俺の言葉はマリーンだけじゃない。俺も同じだ。
イリアナを愛しているのに他の女に現を抜かして、今なんてイリアナの前で酷い言葉をマリーンに言っている。
「うるさい!五月蝿い!煩い!」
マリーンはさらに怒りを増長させて俺を締め上げる。
「ぐふっ」
口から鉄の味がする。
身体中が苦しい。このまま死ぬのもいいのかもしれない。
イリアナが矢で射殺される姿を思い出す。
あんな思いをするなら俺が死ぬ方がよっぽどいい。
「もうやめて!」
イリアナの叫び声と同時にマリーンの背中に光が当たり崩れるように床に跪いた。
「ギィヤァっ!!」
イリアナとオーグが動けるようになっていた。
イリアナはすぐに俺のそばに駆けつけた。
「セデン……大丈夫?すぐに治すから」
そう言うと俺の体に優しく触れた。
温かいふわっとした魔力が俺の体中を駆け巡るのがわかる。
悲鳴をあげていた体が少しずつ軽くなる。全身の痛みが治っていく。
ふとマリーンを見るとオーグが彼女のそばにいた。
マリーンは「触るな!近づくな!」とオーグを手で払いのけていた。
✴︎ ︎ ︎ ✴︎ ︎ ✴︎ ︎ ✴︎ ︎ ✴︎ ︎ ✴︎ ︎
「セデン……」
口から血が滲む……ううん、流れ出ていた。
急いでセデンに癒しの魔法をかけた。
妖精達となんとか彼女の魔法から抜け出そうともがいていた。そこにセデンが渡してくれたピアスのおかげでマリーンさんの黒魔法から解放された。
セデンがマリーンさんを煽って怒らせようとしていた。セデンは優しい人。そんな彼がマリーンさんに酷い言葉を投げかけていた。
そしてマリーンさんに魔法で体を縛り上げられ苦しんでいる。早く助けないと!
癒しの魔法は得意だけど攻撃魔法は苦手。オーグの魔法もマリーンさんを攻撃するのには向かない。
だけど妖精さん達曰く聖女の娘であるわたしならマリーンさんの黒魔法を攻撃出来ると言われた。
ーー怖い。
……人を攻撃したことなんてない。
だけどこのままではセデンが本当に死んでしまう。
「もうやめて!」
無我夢中で叫んでいた。同時に魔法でマリーンさんの背中に魔法を放つ。光が当たり崩れるように床に跪いた。
「ギィヤァっ!!」
わたしはセデンのそばへ駆けつけた。
オーグはマリーンさんのそばへ。
マリーンさんは怒鳴り散らしていた。
「触るな!近づくな!」
マリーンさんの愛情は歪んでいるけど……オーグを愛しているのね。
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