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離縁してください
【12】
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「シルビア様、お客様です」
ビルが申し訳なさそうに部屋に顔を出した。
「………だれ?」
あの事件から人に会うのが怖くて部屋の中から出られない。自分がこんなに弱いなんて思わなかった。
どんなに貧しくてもどんなに人に馬鹿にされても堂々と生きてきたつもりなのに……
アレックと結婚してから人の悪意の中に晒されて過ごすことが増え、自信を失くしてしまった。
「メイカー公爵がお見えになっております」
「団長……」
「わかりました。ジュリに着替えを手伝ってもらいたいの。お願いできるかしら?」
「かしこまりました」
ジュリが心配そうにわたしに話しかけてきた。
「大丈夫ですか?男の人にお会いするのはまだ無理なのでは?」
「心配かけてごめんなさい。一生部屋の中だけで暮らし続けることはできないもの。それに団長なら……多分大丈夫だと思うの」
団長に職を失ったら雇ってもらおうと考えていたくらいだもの。
仕事場にも迷惑をかけているわよね……
屋敷の中ではいつもシンプルなワンピースを着て過ごすのだけど、公爵閣下にお会いするには失礼なので他所行きのワンピースに着替えた。
ドレスって苦手なのよね。わたしはこれくらいでちょうどいい。
我が家の客室で団長にお会いするのは初めてかもしれない。
「団長お待たせしました」
「突然すまない……シルビア…顔色が良くないな」
「すみませんご心配をおかけしました。部屋の中ばかりで過ごしていたから……体調はずいぶん良くなってきました」
「そうか……ならお前の淹れたお茶を飲みたい」
「はい、すぐに」
ーー久しぶりにお茶を淹れるわ。
なんだか不思議、毎日執務室でお茶を淹れてお菓子を作って、事務仕事もしていたのに……あの頃のことが嘘みたいに今のわたしには……何もない。
「どうぞ団長」
「美味いな」
団長は無骨な騎士たちとは違い紅茶の飲み方も優雅で絵になる。さすが国王陛下の従兄弟だなとぼんやり考えていた。
「シルビア?どうした?」
ぼんやりと考え込んでいたわたしに声をかけてきた団長。心配そうに顔を覗かせた。
「すみません……最近人に会ってないし話すこともなくて……」
ーーどんな話をすればいいのかわからなくて。
「まだ人が怖いか?」
「若い男性が怖い……ですがそれ以上に悪意がとても怖いです」
「守ってやれなくてすまなかった。あの事件の犯人たちは捕まえている。そしてお前に嫌がらせをした第二部隊の騎士と事務の職員も捕まえた。噂を流したのはその二人からだった」
「どうして……あっ、ううん、理由はアレックとの結婚ですか?身の程知らずに貧乏伯爵の娘が侯爵家の優秀な子息であり、王女様の大切な騎士と結婚したから……」
「シルビア、お前はうちの部隊にとって優秀で大切な同僚だ。お前がいなくてみんな困ってる、事務もうまく回っていないし、俺は毎日不味いお茶を飲まされるし、毎日の楽しみのお菓子もないんだ」
「お茶は誰が淹れてるんですか?」
「手が空いた奴らだ。あれは酷い、シルビアにも飲ませてやりたいよ」
「なんだか想像できそうな味ですね?」
「そうだな、渋いだけで深みもないし甘味なんて全く感じない。同じ茶葉なのに何が違うんだろうな」
「我が家はお客様にお茶を淹れる使用人すらいなかったからわたしの役目だったんです。だから必死で美味しいお茶の淹れ方を研究しました」
「シルビアはなんでも真面目に取り組むからな、貴重な存在だ」
団長にお代わりのお茶を淹れてゆっくりとした時間が過ぎていった。
「主犯はまだ捕まっていない……」
「えっ?主犯?」
「お前に嫌がらせをしたり悪意を持って行動した奴らに命令した人がいる。主犯はわかっている、ただ簡単には捕まえられない。アレックはその人を見張っている、もう二度とお前に手を出さないように」
「アレックはもうここ最近この屋敷に帰ってきておりません……あんな事件があって醜聞が広がりわたしのせいで恥ずかしい思いをしているのではと思っていたのですが」
「噂は広がっていない。あの時助けた俺とミゼル、ライナとリゼしか第二部隊では知らないはずだ。アレックにはもちろん伝えた。ただ……ソニア殿下はご存知であの人が悪意を持って噂を広めようとするかもしれないからバライズ殿下に脅してもらった」
「……脅す?」
なんだか物騒な言葉が出た。
「まぁ簡単に言えばシルビアの事件は誰も知らない身内だけで解決させた。そのことを知っている奴がいればそれはその事件に絡んでいる奴だろうと俺はみている、と殿下がソニア殿下に話したんだ。ソニア殿下は今のところアレックにしかあの事件のことは言っていない」
「……ソニア殿下がご存知…」
「ああ、アレックに知らせる前にソニア殿下が楽しそうにお前の事件を耳に入れたらしい」
「楽しそうにですか?」
ーー嫌な気分……あの事件が楽しい?どれだけ怖かったか…気持ち悪かったか……思い出したくないのに、忘れられなくて……苦しいのに。
「アレックに伝えていなかった?……のですか?」
「お前を助け出した4人だけで動いた。出来るだけ知る人は増やしたくなかった。
だからアレックにすぐ知らせることはできなかった。ソニア殿下が近くにいるからな。なのにソニア殿下は襲われたことも失敗だったことも全て知っていたんだ、そして俺たちが知らせる前にアレックに話したんだ」
「主犯は……」
名前は口に出さなかった。団長も敢えて名前は言わない。だけど、二人の愛にわたしはじやまなそんざいだから?
「アレックは……お前が襲われたことを知ってかなり憤慨している。だが、だからこそ屋敷に帰ってはきていない。
次に何をされるかわからない。
あいつはシルビアのそばに自分がいるのが一番危険だと思っているし、俺もそう思う。アレックはソニア殿下のそばを離れず、何もできないように数人の近衛騎士と護衛をしながら監視をしているところだ。
ソニア殿下はアレックたちの行動が監視とは思わずにアレックが屋敷に帰らずシルビアを放置しているので今はご機嫌だ。だから今は何もしてこないはずだ」
「アレックが帰ってこないのはわたしを守るため……?そんな……わたしが嫌いなのでは?」
頭の中が混乱していた。
だって、アレックとソニア殿下は愛し合っているはずだもの。わたしは邪魔者で……離縁して……
それにもうわたしの醜聞が広まっていて、歩き回ることすらできないと思っていたのに、団長たちは噂が広がらないように抑え込んでくれていたの?
「わたし………外に出ることが出来るのですか?男の人は怖い……でも……一生外に出られないと思っていました……わたしのせいでアレックが恥ずかしい思いをしている、わたしのせいでアレックは屋敷に帰ってこないと……わたしは世間から後ろ指をさされるんだと思っていました」
男の人に襲われた。もう貴族の世界では醜聞でしかない。アレックにはもちろん侯爵家にも迷惑をかける。
実家のお父様たちにも辛い思いをさせてしまうと思っていた。
「お前は何もされていない。忘れろとは言えない。だが、俺もアレックもバライズ殿下もシルビアを守る。だからゆっくりと時間をかけていいから元気になれ。俺はお前の美味しい紅茶を飲みたいんだ」
「………はい」
少しだけ……心が軽くなった。
わたしはまだ必要とされていて、わたしのことを想ってくれる人がいた。
恥ずかしくて顔を上げられない………涙が溢れて止まらなかった。
ビルが申し訳なさそうに部屋に顔を出した。
「………だれ?」
あの事件から人に会うのが怖くて部屋の中から出られない。自分がこんなに弱いなんて思わなかった。
どんなに貧しくてもどんなに人に馬鹿にされても堂々と生きてきたつもりなのに……
アレックと結婚してから人の悪意の中に晒されて過ごすことが増え、自信を失くしてしまった。
「メイカー公爵がお見えになっております」
「団長……」
「わかりました。ジュリに着替えを手伝ってもらいたいの。お願いできるかしら?」
「かしこまりました」
ジュリが心配そうにわたしに話しかけてきた。
「大丈夫ですか?男の人にお会いするのはまだ無理なのでは?」
「心配かけてごめんなさい。一生部屋の中だけで暮らし続けることはできないもの。それに団長なら……多分大丈夫だと思うの」
団長に職を失ったら雇ってもらおうと考えていたくらいだもの。
仕事場にも迷惑をかけているわよね……
屋敷の中ではいつもシンプルなワンピースを着て過ごすのだけど、公爵閣下にお会いするには失礼なので他所行きのワンピースに着替えた。
ドレスって苦手なのよね。わたしはこれくらいでちょうどいい。
我が家の客室で団長にお会いするのは初めてかもしれない。
「団長お待たせしました」
「突然すまない……シルビア…顔色が良くないな」
「すみませんご心配をおかけしました。部屋の中ばかりで過ごしていたから……体調はずいぶん良くなってきました」
「そうか……ならお前の淹れたお茶を飲みたい」
「はい、すぐに」
ーー久しぶりにお茶を淹れるわ。
なんだか不思議、毎日執務室でお茶を淹れてお菓子を作って、事務仕事もしていたのに……あの頃のことが嘘みたいに今のわたしには……何もない。
「どうぞ団長」
「美味いな」
団長は無骨な騎士たちとは違い紅茶の飲み方も優雅で絵になる。さすが国王陛下の従兄弟だなとぼんやり考えていた。
「シルビア?どうした?」
ぼんやりと考え込んでいたわたしに声をかけてきた団長。心配そうに顔を覗かせた。
「すみません……最近人に会ってないし話すこともなくて……」
ーーどんな話をすればいいのかわからなくて。
「まだ人が怖いか?」
「若い男性が怖い……ですがそれ以上に悪意がとても怖いです」
「守ってやれなくてすまなかった。あの事件の犯人たちは捕まえている。そしてお前に嫌がらせをした第二部隊の騎士と事務の職員も捕まえた。噂を流したのはその二人からだった」
「どうして……あっ、ううん、理由はアレックとの結婚ですか?身の程知らずに貧乏伯爵の娘が侯爵家の優秀な子息であり、王女様の大切な騎士と結婚したから……」
「シルビア、お前はうちの部隊にとって優秀で大切な同僚だ。お前がいなくてみんな困ってる、事務もうまく回っていないし、俺は毎日不味いお茶を飲まされるし、毎日の楽しみのお菓子もないんだ」
「お茶は誰が淹れてるんですか?」
「手が空いた奴らだ。あれは酷い、シルビアにも飲ませてやりたいよ」
「なんだか想像できそうな味ですね?」
「そうだな、渋いだけで深みもないし甘味なんて全く感じない。同じ茶葉なのに何が違うんだろうな」
「我が家はお客様にお茶を淹れる使用人すらいなかったからわたしの役目だったんです。だから必死で美味しいお茶の淹れ方を研究しました」
「シルビアはなんでも真面目に取り組むからな、貴重な存在だ」
団長にお代わりのお茶を淹れてゆっくりとした時間が過ぎていった。
「主犯はまだ捕まっていない……」
「えっ?主犯?」
「お前に嫌がらせをしたり悪意を持って行動した奴らに命令した人がいる。主犯はわかっている、ただ簡単には捕まえられない。アレックはその人を見張っている、もう二度とお前に手を出さないように」
「アレックはもうここ最近この屋敷に帰ってきておりません……あんな事件があって醜聞が広がりわたしのせいで恥ずかしい思いをしているのではと思っていたのですが」
「噂は広がっていない。あの時助けた俺とミゼル、ライナとリゼしか第二部隊では知らないはずだ。アレックにはもちろん伝えた。ただ……ソニア殿下はご存知であの人が悪意を持って噂を広めようとするかもしれないからバライズ殿下に脅してもらった」
「……脅す?」
なんだか物騒な言葉が出た。
「まぁ簡単に言えばシルビアの事件は誰も知らない身内だけで解決させた。そのことを知っている奴がいればそれはその事件に絡んでいる奴だろうと俺はみている、と殿下がソニア殿下に話したんだ。ソニア殿下は今のところアレックにしかあの事件のことは言っていない」
「……ソニア殿下がご存知…」
「ああ、アレックに知らせる前にソニア殿下が楽しそうにお前の事件を耳に入れたらしい」
「楽しそうにですか?」
ーー嫌な気分……あの事件が楽しい?どれだけ怖かったか…気持ち悪かったか……思い出したくないのに、忘れられなくて……苦しいのに。
「アレックに伝えていなかった?……のですか?」
「お前を助け出した4人だけで動いた。出来るだけ知る人は増やしたくなかった。
だからアレックにすぐ知らせることはできなかった。ソニア殿下が近くにいるからな。なのにソニア殿下は襲われたことも失敗だったことも全て知っていたんだ、そして俺たちが知らせる前にアレックに話したんだ」
「主犯は……」
名前は口に出さなかった。団長も敢えて名前は言わない。だけど、二人の愛にわたしはじやまなそんざいだから?
「アレックは……お前が襲われたことを知ってかなり憤慨している。だが、だからこそ屋敷に帰ってはきていない。
次に何をされるかわからない。
あいつはシルビアのそばに自分がいるのが一番危険だと思っているし、俺もそう思う。アレックはソニア殿下のそばを離れず、何もできないように数人の近衛騎士と護衛をしながら監視をしているところだ。
ソニア殿下はアレックたちの行動が監視とは思わずにアレックが屋敷に帰らずシルビアを放置しているので今はご機嫌だ。だから今は何もしてこないはずだ」
「アレックが帰ってこないのはわたしを守るため……?そんな……わたしが嫌いなのでは?」
頭の中が混乱していた。
だって、アレックとソニア殿下は愛し合っているはずだもの。わたしは邪魔者で……離縁して……
それにもうわたしの醜聞が広まっていて、歩き回ることすらできないと思っていたのに、団長たちは噂が広がらないように抑え込んでくれていたの?
「わたし………外に出ることが出来るのですか?男の人は怖い……でも……一生外に出られないと思っていました……わたしのせいでアレックが恥ずかしい思いをしている、わたしのせいでアレックは屋敷に帰ってこないと……わたしは世間から後ろ指をさされるんだと思っていました」
男の人に襲われた。もう貴族の世界では醜聞でしかない。アレックにはもちろん侯爵家にも迷惑をかける。
実家のお父様たちにも辛い思いをさせてしまうと思っていた。
「お前は何もされていない。忘れろとは言えない。だが、俺もアレックもバライズ殿下もシルビアを守る。だからゆっくりと時間をかけていいから元気になれ。俺はお前の美味しい紅茶を飲みたいんだ」
「………はい」
少しだけ……心が軽くなった。
わたしはまだ必要とされていて、わたしのことを想ってくれる人がいた。
恥ずかしくて顔を上げられない………涙が溢れて止まらなかった。
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