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37話
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俺は少し時間が経ってから休憩をもらい診療所へ行った。
メイはベッドに横になっていた。
「メイ、大丈夫か?」
メイは、ベッドの毛布を顔が隠れるくらいに被っていたが、俺の声を聞いて、チラッとこちらを見た。
「…………アラン様?」
「メイ、階段から落ちたと聞いたんだけど、怪我は?」
メイの顔を見るとアザとかはないみたいだ。
「……足を骨折してしまいました……」
「骨折?」
「はい、マークが再婚約をしつこく迫ってきたので、はっきりと断ったら腕を掴まれて振り払おうとしたらバランスを崩しました……」
「故意なのか?それとも偶々?」
「………彼はわたしが落ちる時に、ニヤッと笑ったんです。階段から落ちそうになった時、わざとに手を離しました、もし掴んでくれていたら落ちることはなかったと思います」
「誰か見ていた人は?」
「沢山いました、揉めていたので立ち止まって見ていた人もいました」
「では証人はいるんだな」
「さっきも衛兵の方が話を聞きに来ました」
俺が話している時に扉を開けて
「失礼する」
と、近衛騎士団長と騎士団長が入って来た。
俺は二人を見てすぐに敬礼をしてから頭を下げた。
「アラン、何故ここに居るんだ?」
近衛騎士団長が訝しげに俺を見た。
「あ、こちらの患者であるメイ・ボガード嬢は友人であります、ただ今休憩中なので怪我の様子を見に来ております」
「友人?アランに女性の友人がいるとは知らなかった」
騎士団長がニヤッと笑ったが俺は無視した。
「女嫌いのアランが心配して会いにくるくらいの仲なのか?」
騎士団長は俺が答える気がないのを分かってさらに話しかけてくる。
仕方ないので、返事をする事にした。
「学生の時の友人です。わたし達仲の良いグループの一人であります」
「へえ~」
「騎士団長、そんなことよりボガード嬢が先だろう」
近衛騎士団長が、話を変えてくれたので俺はホッとした。
「ではわたしは失礼します」
俺が帰ろうとすると、
「アラン、待て。お前もマークとの揉め事に少し関わっているんだろう?」
近衛騎士団長が俺を止めた。
二人とも知っているなら態とに、話振ってこなくていいのに、ほんと、上の大人達はウザい。
「少し前に彼女に絡んでいるところに出会したことがあります」
「そうみたいだな、ならば一緒に話を聞こう」
そして二人はメイを見て
「騎士団のマークが迷惑をかけてすまなかった」
騎士団長が頭を下げた。
「こちらで今取り調べを行っている。マークが態とに手を離した所為で大怪我をさせてしまったことが分かった。これは一つ間違えば貴女が死んでいたかもしれない。大変な事件だと認識しています、申し訳なかった」
近衛騎士団長も頭を下げた。
「マークには何度か注意はしていたのだが、聞かなかった……すまなかった」
騎士団長も謝っていた。
「………団長さん達が悪いわけではありませんので謝罪の必要はありませんが、彼をしっかり裁いて欲しいです」
「それは責任を持ってきちんと裁きます」
「足の骨折でしばらくは不自由をさせる事になり申し訳ない……その間の生活の手助けとして何人か付き添いを頼む予定です」
近衛騎士団長が言った。
「あの……わたし、足のこともあるのでしばらく実家に帰ろうと思っていますので、別に付き添いは要りません」
「しかし……ご不便でしょう?」
「明日、グランデ侯爵家の馬車が迎えに来てくれます。送ってくれるそうなので心配は無用です」
「グランデ侯爵?カイル殿下の?アランの?」
「はい、カイル様からのお気遣いです」
「………君たちは皆、親戚でもあり友人でもあるんだな」
騎士団長は俺たちの関係が分かったみたいだ。
「明日はエイミーが迎えに来るのか?」
俺が聞くと
「はい、お義姉様が来てくれます…なので大丈夫です。わたしに話があるのならすみませんがボガード侯爵家に来てください」
メイは少しイライラしていたのが、話し方で分かった。
被害者なのに、騎士団長の高圧的な話し方がメイには少し頭に来ていたようだ。
「分かった、ではまた何か聞きたいことがあったら伺うとしよう」
「ではわたし達はこれで失礼する、しばらく足が痛むと思いますが、お大事にされてください」
俺は二人を扉の外まで見送った。
「ねえ、アラン様!あの騎士団長さんの話し方、なんだかムカつくんだけど!わたしが悪いことでもしたのかしら?」
「メイ、あの人はあんな話し方をするんだけど悪気はないんだ、イライラすると傷に触るぞ、我慢しろ!」
「マークにも勿論腹が立つけど、全く心のこもらない謝罪も腹が立つわ」
「まぁ、トップが謝罪をするのも珍しいんだ仕方がないさ」
「だったら来なければいいのに!」
メイは、さっきまでの暗い顔が、怒ったおかげで元気になったので、ある意味団長に感謝しなければなと思った。
メイはベッドに横になっていた。
「メイ、大丈夫か?」
メイは、ベッドの毛布を顔が隠れるくらいに被っていたが、俺の声を聞いて、チラッとこちらを見た。
「…………アラン様?」
「メイ、階段から落ちたと聞いたんだけど、怪我は?」
メイの顔を見るとアザとかはないみたいだ。
「……足を骨折してしまいました……」
「骨折?」
「はい、マークが再婚約をしつこく迫ってきたので、はっきりと断ったら腕を掴まれて振り払おうとしたらバランスを崩しました……」
「故意なのか?それとも偶々?」
「………彼はわたしが落ちる時に、ニヤッと笑ったんです。階段から落ちそうになった時、わざとに手を離しました、もし掴んでくれていたら落ちることはなかったと思います」
「誰か見ていた人は?」
「沢山いました、揉めていたので立ち止まって見ていた人もいました」
「では証人はいるんだな」
「さっきも衛兵の方が話を聞きに来ました」
俺が話している時に扉を開けて
「失礼する」
と、近衛騎士団長と騎士団長が入って来た。
俺は二人を見てすぐに敬礼をしてから頭を下げた。
「アラン、何故ここに居るんだ?」
近衛騎士団長が訝しげに俺を見た。
「あ、こちらの患者であるメイ・ボガード嬢は友人であります、ただ今休憩中なので怪我の様子を見に来ております」
「友人?アランに女性の友人がいるとは知らなかった」
騎士団長がニヤッと笑ったが俺は無視した。
「女嫌いのアランが心配して会いにくるくらいの仲なのか?」
騎士団長は俺が答える気がないのを分かってさらに話しかけてくる。
仕方ないので、返事をする事にした。
「学生の時の友人です。わたし達仲の良いグループの一人であります」
「へえ~」
「騎士団長、そんなことよりボガード嬢が先だろう」
近衛騎士団長が、話を変えてくれたので俺はホッとした。
「ではわたしは失礼します」
俺が帰ろうとすると、
「アラン、待て。お前もマークとの揉め事に少し関わっているんだろう?」
近衛騎士団長が俺を止めた。
二人とも知っているなら態とに、話振ってこなくていいのに、ほんと、上の大人達はウザい。
「少し前に彼女に絡んでいるところに出会したことがあります」
「そうみたいだな、ならば一緒に話を聞こう」
そして二人はメイを見て
「騎士団のマークが迷惑をかけてすまなかった」
騎士団長が頭を下げた。
「こちらで今取り調べを行っている。マークが態とに手を離した所為で大怪我をさせてしまったことが分かった。これは一つ間違えば貴女が死んでいたかもしれない。大変な事件だと認識しています、申し訳なかった」
近衛騎士団長も頭を下げた。
「マークには何度か注意はしていたのだが、聞かなかった……すまなかった」
騎士団長も謝っていた。
「………団長さん達が悪いわけではありませんので謝罪の必要はありませんが、彼をしっかり裁いて欲しいです」
「それは責任を持ってきちんと裁きます」
「足の骨折でしばらくは不自由をさせる事になり申し訳ない……その間の生活の手助けとして何人か付き添いを頼む予定です」
近衛騎士団長が言った。
「あの……わたし、足のこともあるのでしばらく実家に帰ろうと思っていますので、別に付き添いは要りません」
「しかし……ご不便でしょう?」
「明日、グランデ侯爵家の馬車が迎えに来てくれます。送ってくれるそうなので心配は無用です」
「グランデ侯爵?カイル殿下の?アランの?」
「はい、カイル様からのお気遣いです」
「………君たちは皆、親戚でもあり友人でもあるんだな」
騎士団長は俺たちの関係が分かったみたいだ。
「明日はエイミーが迎えに来るのか?」
俺が聞くと
「はい、お義姉様が来てくれます…なので大丈夫です。わたしに話があるのならすみませんがボガード侯爵家に来てください」
メイは少しイライラしていたのが、話し方で分かった。
被害者なのに、騎士団長の高圧的な話し方がメイには少し頭に来ていたようだ。
「分かった、ではまた何か聞きたいことがあったら伺うとしよう」
「ではわたし達はこれで失礼する、しばらく足が痛むと思いますが、お大事にされてください」
俺は二人を扉の外まで見送った。
「ねえ、アラン様!あの騎士団長さんの話し方、なんだかムカつくんだけど!わたしが悪いことでもしたのかしら?」
「メイ、あの人はあんな話し方をするんだけど悪気はないんだ、イライラすると傷に触るぞ、我慢しろ!」
「マークにも勿論腹が立つけど、全く心のこもらない謝罪も腹が立つわ」
「まぁ、トップが謝罪をするのも珍しいんだ仕方がないさ」
「だったら来なければいいのに!」
メイは、さっきまでの暗い顔が、怒ったおかげで元気になったので、ある意味団長に感謝しなければなと思った。
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