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79話 再会編
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お母様との関係は、未だに前世のアイシャとリサとして過ごしている。
仲が悪いわけではない。
だからと言ってずっと会話をすることもない。
わたしも話さないけど、お母様からわたしに話しかけてくることもない。
それでも最近はベッドから起きて座って待っていてくれることが増えた。
学校から帰ってきてすぐにお母様の部屋へ向かう。
「リサ様、食事もずいぶん食べれるようになりましたね。体重も少し増えてきているみたいだし、良い傾向ですね。お医者様も最初よりはかなり持ち直していると聞きました」
「……アイシャがわざわざ学校を転校してまできてくれたのだから………我儘は言えないわ」
「……わたしはこちらの学校も好きです。皆優しくて楽しい方ばかりです」
「それはよかったわ……アイシャは……まだ眠り続けているのかしら?」
初めてお母様からわたしのことを聞かれた。
お祖母様から、前世のアイシャでまだ眠り続けていると聞かされているはず。お父様も何も伝えていないと言っていた。
だから聞かれることもないだろうと思っていた。
「……そうですね、彼女はそれが幸せなのかもしれませんね」
わたしは曖昧に笑うしかなかった。
「……アイシャ、貴女はせっかく生まれ変わったのに、わたしの元に生まれてしまって……ごめんなさい……貴女を大切にするつもりだった。愛していたの……でも、それは全て偽善だった……わたしは貴女の才能と美しさに嫉妬して狂ってしまった……」
「リサ様…わたしは貴女を治療するためにここにいます、でも貴女の罪悪感を解消してあげることはできません。その言葉をわたしに言っても仕方のないことです。アイシャはもういないのですから」
わたしの冷たい言葉にお母様は、真っ青な顔をして俯いた。
「では失礼します」
わたしはお母様の顔を見れなくて逃げるように部屋を出た。
自分の部屋へ戻ると、メリッサが温かいお茶を淹れてくれた。
「美味しい」
ざわざわした心の中が少し落ち着いてきた。
「……メリッサ、わたし……とっても意地悪なの」
「あら?泣きそうな顔をしていますがどうしました?」
「お母様に嘘をついているし、お母様に優しくできないの」
「それで自己嫌悪ですか?」
「うん、そうなの」
「アイシャ様、今までリサ様がしてきたことの方がよっぽど意地悪で酷いことでした。それでもアイシャ様は我慢して一度も責めていません。それなのにそれくらいで意地悪だと自分を責めないでください!」
メリッサは少し怖い顔をしていた。
「ありがとう、少しだけ……気分が軽くなったわ、でも……メリッサ少し……怖いわ」
「だって、だって悔しいではないですか。あれだけのことをされたのに、リサ様のためにここまで来て、アイシャ様が自分を責めるなんて……」
「ここにいていいのかと悩む時はあるけど……お母様に死んで欲しくないと思っているのも事実なの…」
「アイシャ様がそれでいいと思うのならわたしは何も言えません。ただもう傷つかないで欲しい……それだけです。辛いのならロウトに言ってすぐにでもカイザ様のところへ帰りましょう」
「メリッサったらそんな過保護にならなくて大丈夫だよ。ここには少し嘘ついているから居辛いけど友達もできたし毎日が楽しいのも確かなの」
ーーーーー
お母様の体調が安定してきた。
2ヶ月が経ち、お母様はベッドの上に座っている時間も増えてきた。
少しずつ歩くことも出来るようになった。
嬉しいことなのだけど……ここでわたしは頭を抱えることになった。
お母様の悪性腫瘍がなかなか完全に消えて無くならないのだ。
小さなものは殆ど消すことが出来た。
なのに、大きな腫瘍がなかなか手強い。
小さくなってもまた数日経つと大きくなる。
わたしの魔力と技術ではここまでなのか……
このままではせっかく戻った体力もまた弱ってしまうかもしれないし、病気も悪化してしまう。
お医者様も「元々治療困難な病気」なのでこれ以上手の施しようがないと言われた。
わたしはイルマナ様に手紙を書いて相談を何度もしている。
わたしがもっと癒しの魔法の技術が優れていれば……
悔やまれてしまう。
お母様も癒しの魔法を扱う人だから、わたしの限界を感じているのだろう。
何も言わないけど、わたしの顔を心配そうに
「アイシャ、あまり根を詰めないで、もういいの」
と、優しく言ってくれる。
ーーわたしは無力だ。もっと技術があれば完治できるのに……
それでもこれ以上悪化しないように朝と夕方に、癒しの魔法と腫瘍を消す消去魔法をかけている。
ーーお願い、お母様を助けて、死んで欲しくないの
でもわたしの願いは叶わない。
腫瘍の方が進行が早くてわたしの消去魔法が負けている。
ーー諦めたくない。
最近は学校を休んで、体調が良くないお母様のそばにいる。
ベッドでぐったりしているお母様に、わたしができる精一杯のことをしてなんとか凌いでいる。
イルマナ様が今こちらに向かっている。
なんとかそれまでわたしがお母様の命を守る。
そう思って頑張っている。
仲が悪いわけではない。
だからと言ってずっと会話をすることもない。
わたしも話さないけど、お母様からわたしに話しかけてくることもない。
それでも最近はベッドから起きて座って待っていてくれることが増えた。
学校から帰ってきてすぐにお母様の部屋へ向かう。
「リサ様、食事もずいぶん食べれるようになりましたね。体重も少し増えてきているみたいだし、良い傾向ですね。お医者様も最初よりはかなり持ち直していると聞きました」
「……アイシャがわざわざ学校を転校してまできてくれたのだから………我儘は言えないわ」
「……わたしはこちらの学校も好きです。皆優しくて楽しい方ばかりです」
「それはよかったわ……アイシャは……まだ眠り続けているのかしら?」
初めてお母様からわたしのことを聞かれた。
お祖母様から、前世のアイシャでまだ眠り続けていると聞かされているはず。お父様も何も伝えていないと言っていた。
だから聞かれることもないだろうと思っていた。
「……そうですね、彼女はそれが幸せなのかもしれませんね」
わたしは曖昧に笑うしかなかった。
「……アイシャ、貴女はせっかく生まれ変わったのに、わたしの元に生まれてしまって……ごめんなさい……貴女を大切にするつもりだった。愛していたの……でも、それは全て偽善だった……わたしは貴女の才能と美しさに嫉妬して狂ってしまった……」
「リサ様…わたしは貴女を治療するためにここにいます、でも貴女の罪悪感を解消してあげることはできません。その言葉をわたしに言っても仕方のないことです。アイシャはもういないのですから」
わたしの冷たい言葉にお母様は、真っ青な顔をして俯いた。
「では失礼します」
わたしはお母様の顔を見れなくて逃げるように部屋を出た。
自分の部屋へ戻ると、メリッサが温かいお茶を淹れてくれた。
「美味しい」
ざわざわした心の中が少し落ち着いてきた。
「……メリッサ、わたし……とっても意地悪なの」
「あら?泣きそうな顔をしていますがどうしました?」
「お母様に嘘をついているし、お母様に優しくできないの」
「それで自己嫌悪ですか?」
「うん、そうなの」
「アイシャ様、今までリサ様がしてきたことの方がよっぽど意地悪で酷いことでした。それでもアイシャ様は我慢して一度も責めていません。それなのにそれくらいで意地悪だと自分を責めないでください!」
メリッサは少し怖い顔をしていた。
「ありがとう、少しだけ……気分が軽くなったわ、でも……メリッサ少し……怖いわ」
「だって、だって悔しいではないですか。あれだけのことをされたのに、リサ様のためにここまで来て、アイシャ様が自分を責めるなんて……」
「ここにいていいのかと悩む時はあるけど……お母様に死んで欲しくないと思っているのも事実なの…」
「アイシャ様がそれでいいと思うのならわたしは何も言えません。ただもう傷つかないで欲しい……それだけです。辛いのならロウトに言ってすぐにでもカイザ様のところへ帰りましょう」
「メリッサったらそんな過保護にならなくて大丈夫だよ。ここには少し嘘ついているから居辛いけど友達もできたし毎日が楽しいのも確かなの」
ーーーーー
お母様の体調が安定してきた。
2ヶ月が経ち、お母様はベッドの上に座っている時間も増えてきた。
少しずつ歩くことも出来るようになった。
嬉しいことなのだけど……ここでわたしは頭を抱えることになった。
お母様の悪性腫瘍がなかなか完全に消えて無くならないのだ。
小さなものは殆ど消すことが出来た。
なのに、大きな腫瘍がなかなか手強い。
小さくなってもまた数日経つと大きくなる。
わたしの魔力と技術ではここまでなのか……
このままではせっかく戻った体力もまた弱ってしまうかもしれないし、病気も悪化してしまう。
お医者様も「元々治療困難な病気」なのでこれ以上手の施しようがないと言われた。
わたしはイルマナ様に手紙を書いて相談を何度もしている。
わたしがもっと癒しの魔法の技術が優れていれば……
悔やまれてしまう。
お母様も癒しの魔法を扱う人だから、わたしの限界を感じているのだろう。
何も言わないけど、わたしの顔を心配そうに
「アイシャ、あまり根を詰めないで、もういいの」
と、優しく言ってくれる。
ーーわたしは無力だ。もっと技術があれば完治できるのに……
それでもこれ以上悪化しないように朝と夕方に、癒しの魔法と腫瘍を消す消去魔法をかけている。
ーーお願い、お母様を助けて、死んで欲しくないの
でもわたしの願いは叶わない。
腫瘍の方が進行が早くてわたしの消去魔法が負けている。
ーー諦めたくない。
最近は学校を休んで、体調が良くないお母様のそばにいる。
ベッドでぐったりしているお母様に、わたしができる精一杯のことをしてなんとか凌いでいる。
イルマナ様が今こちらに向かっている。
なんとかそれまでわたしがお母様の命を守る。
そう思って頑張っている。
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