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77話 再会編
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次の日の朝、お母様が眠っている間にこっそりと様子を見に行くと、まだ顔色は悪いけどなんとかゆっくりと眠れてはいるようだった。
お医者様に話を聞くと、薬を拒絶しているのでかなり痛みがあり体力も奪われていて衰弱しており、痛みと気怠さの中でしっかりと眠ることは出来ていないと聞いた。
まだ根本的な治療は出来ていないけど、お医者様と話し合いながらお母様の体を治療していくつもりだ。
わたしは癒しの魔法を使って体力を戻して、お医者様は薬で悪性腫瘍の進行を抑えて働きを弱らせる。
あとはその腫瘍をわたしが少しずつ小さくしていかなければいけない。
こんな難しい治療は、わたしには経験がない。
キリアン様がずっと教えを乞うていたイルマナ様にわたしもここに来る前に短時間ではあったが教わった。
衰弱した人への魔力の流し方、お母様にとって一番良い治療法、そして重要なのがわたしが出来そうなこと。これはわたしが一番苦手な繊細な魔力の制御が必要になる。
ただ強い癒しの魔法をかけると一時的には良くなるけど反動で逆に体が重くなり動くのが困難になったり眠り続けたりボッーとして意識混濁になったりと後遺症も出てきやすい。
だから負担や後遺症のことも考えてお医者様と一緒に数ヶ月掛けて治療していくつもりだ。
お祖父様も時間を作りこちらにきてくれると言っていた。
お祖父様ならお母様を救うのにアドバイスをもらえる。
なんとか前へ進めそうな気がする。
「アイシャ無理しないでね」
この屋敷に来て数日、慣れない治療と新しい学校での生活。
思った以上にきつい。
前世のアイシャの性格を出さなければいけない。それは自分が決めたことなんだけど、思ったよりも気が張ってしまい疲労が蓄積されている。
「カレン夫人、ご心配かけてすみません。大丈夫ですので」
わたしに対して主従関係をしっかりさせてくれている。
部屋に入ると、ベッドにダイブしてダラダラとしてしまう。
「メリッサ!疲れた!」
「アイシャ様、お疲れ様です!」
いつもならこんな格好をすると注意するメリッサもここでは何も言わない。
わたしが神経をすり減らしていることも、お母様に会って治療するたびに、かなり精神的にも肉体的にも負担がきていることを知っているので、この部屋だけはいつものアイシャに戻り気を緩めている。
「ねぇ、メリッサ、お夕飯はまだかしら?」
「大丈夫です、そろそろ来ますから」
食事は部屋でメリッサと二人で食べるようにしている。
お祖母様とご一緒に食べたいけど他の使用人の前で食べると、ずっと気が張っていないといけないので食べた気がしない。
今夜のメニューはわたしの大好きなものばかりだ。
たくさんの豪華な食事のメニューは断っている。
前菜、サラダとスープ、パン、あとはメインが一品。
ただし、デザートだけは二品。
これ、大事。
甘い物だけはしっかり食べないと魔力回復した気がしない。
「アイシャ様、今日もミケランは奥様のそばから離れませんでした」
こちらに来てからミケランは何故かお母様のそばから離れない。
レオンバルド家に住んでいる頃はミケランはわたしのそばにいつもいた。
お母様に懐いている姿など見たことがなかった。
ミケランは気まぐれとはいえ、本人にも理由?があってお母様のそばを離れないのかもしれない。
ーーーーー
お母様は少しだけ起きている時間が増えた。
わたしが治療をしている時には、少し体が震えていて何かを言いたそうにしているのはわかる。
でもわたしは「アイシャ」として過ごしているので、「娘のアイシャ」ではないことをお母様は体調が少し落ち着いてから理解している。
「アイシャ、……いつもありがとう、少し体が楽になってきたわ」
「リサ様、わたしを助けて死んでいくまで見守って下さいました、おかげでわたしの心は救われて死ぬことができました。だから次はわたしが貴女にお返しする番です。
………どうか諦めないでください、貴女の病気は治すことが出来ます」
「………アイシャに言われてしまえば抵抗は出来ないわ……貴女がそう言うならわたしは……生きることを選ぶしかないわ」
お母様はわたしを寂しそうに見つめると「ごめんなさい」と小さな声でいつも呟いている。
ほんとうに聞こえるか聞こえないくらいの呟き。
わたしはもちろん聞こえないふりをする。
そしてアイシャとしてお母様に接することにわたし自身も慣れてきた。
お母様は体力が出てきて自分で食事もできる。
薬の効果も出始めたようだ。
顔色が徐々に良くなってきた。
治療を始めて一月余り。
これからはわたしの苦手な繊細な魔力のコントロール。
このために毎日、使用人達の体調を診させてもらってきた。
いろんな病気や怪我の治療をすることでわたしの魔力は安定して細かい魔力もかなり上手に操れるようになった……気がする。
明日からはお母様と今までよりも長い時間を一緒に過ごさなければいけない。
気を引き締めて頑張ろう。
お医者様に話を聞くと、薬を拒絶しているのでかなり痛みがあり体力も奪われていて衰弱しており、痛みと気怠さの中でしっかりと眠ることは出来ていないと聞いた。
まだ根本的な治療は出来ていないけど、お医者様と話し合いながらお母様の体を治療していくつもりだ。
わたしは癒しの魔法を使って体力を戻して、お医者様は薬で悪性腫瘍の進行を抑えて働きを弱らせる。
あとはその腫瘍をわたしが少しずつ小さくしていかなければいけない。
こんな難しい治療は、わたしには経験がない。
キリアン様がずっと教えを乞うていたイルマナ様にわたしもここに来る前に短時間ではあったが教わった。
衰弱した人への魔力の流し方、お母様にとって一番良い治療法、そして重要なのがわたしが出来そうなこと。これはわたしが一番苦手な繊細な魔力の制御が必要になる。
ただ強い癒しの魔法をかけると一時的には良くなるけど反動で逆に体が重くなり動くのが困難になったり眠り続けたりボッーとして意識混濁になったりと後遺症も出てきやすい。
だから負担や後遺症のことも考えてお医者様と一緒に数ヶ月掛けて治療していくつもりだ。
お祖父様も時間を作りこちらにきてくれると言っていた。
お祖父様ならお母様を救うのにアドバイスをもらえる。
なんとか前へ進めそうな気がする。
「アイシャ無理しないでね」
この屋敷に来て数日、慣れない治療と新しい学校での生活。
思った以上にきつい。
前世のアイシャの性格を出さなければいけない。それは自分が決めたことなんだけど、思ったよりも気が張ってしまい疲労が蓄積されている。
「カレン夫人、ご心配かけてすみません。大丈夫ですので」
わたしに対して主従関係をしっかりさせてくれている。
部屋に入ると、ベッドにダイブしてダラダラとしてしまう。
「メリッサ!疲れた!」
「アイシャ様、お疲れ様です!」
いつもならこんな格好をすると注意するメリッサもここでは何も言わない。
わたしが神経をすり減らしていることも、お母様に会って治療するたびに、かなり精神的にも肉体的にも負担がきていることを知っているので、この部屋だけはいつものアイシャに戻り気を緩めている。
「ねぇ、メリッサ、お夕飯はまだかしら?」
「大丈夫です、そろそろ来ますから」
食事は部屋でメリッサと二人で食べるようにしている。
お祖母様とご一緒に食べたいけど他の使用人の前で食べると、ずっと気が張っていないといけないので食べた気がしない。
今夜のメニューはわたしの大好きなものばかりだ。
たくさんの豪華な食事のメニューは断っている。
前菜、サラダとスープ、パン、あとはメインが一品。
ただし、デザートだけは二品。
これ、大事。
甘い物だけはしっかり食べないと魔力回復した気がしない。
「アイシャ様、今日もミケランは奥様のそばから離れませんでした」
こちらに来てからミケランは何故かお母様のそばから離れない。
レオンバルド家に住んでいる頃はミケランはわたしのそばにいつもいた。
お母様に懐いている姿など見たことがなかった。
ミケランは気まぐれとはいえ、本人にも理由?があってお母様のそばを離れないのかもしれない。
ーーーーー
お母様は少しだけ起きている時間が増えた。
わたしが治療をしている時には、少し体が震えていて何かを言いたそうにしているのはわかる。
でもわたしは「アイシャ」として過ごしているので、「娘のアイシャ」ではないことをお母様は体調が少し落ち着いてから理解している。
「アイシャ、……いつもありがとう、少し体が楽になってきたわ」
「リサ様、わたしを助けて死んでいくまで見守って下さいました、おかげでわたしの心は救われて死ぬことができました。だから次はわたしが貴女にお返しする番です。
………どうか諦めないでください、貴女の病気は治すことが出来ます」
「………アイシャに言われてしまえば抵抗は出来ないわ……貴女がそう言うならわたしは……生きることを選ぶしかないわ」
お母様はわたしを寂しそうに見つめると「ごめんなさい」と小さな声でいつも呟いている。
ほんとうに聞こえるか聞こえないくらいの呟き。
わたしはもちろん聞こえないふりをする。
そしてアイシャとしてお母様に接することにわたし自身も慣れてきた。
お母様は体力が出てきて自分で食事もできる。
薬の効果も出始めたようだ。
顔色が徐々に良くなってきた。
治療を始めて一月余り。
これからはわたしの苦手な繊細な魔力のコントロール。
このために毎日、使用人達の体調を診させてもらってきた。
いろんな病気や怪我の治療をすることでわたしの魔力は安定して細かい魔力もかなり上手に操れるようになった……気がする。
明日からはお母様と今までよりも長い時間を一緒に過ごさなければいけない。
気を引き締めて頑張ろう。
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