【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜  

たろ

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46話  ハイド編

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「リサ、ターナ屋敷に帰ろう」
わたしはこの二人の何を見てきたのか?

聞いていた話以上にアイシャへの態度は酷すぎた。

二人が男だったら一発殴っていたかもしれない。

「お父様、お祖父様はわたしがお姉様とお話できないようにしました、あんな酷いことをわたしにするのですよ?」

同情を買うようにわたしに目を潤ませて話しかける我が愛娘……この娘をこれからどう再教育すればいいのだろう。
このままでは碌な大人にはなれない。

傲慢で我儘な貴族令嬢になってしまうのは目に見えている。
公爵令嬢という高位貴族のターナがこのまま成長して社交界に出れば、何人もの優秀な貴族達が、ターナの我儘のせいで壊れて潰されるのは目に見えている。

わたしはターナに返事することなく、黙ったままリサとターナを馬車に乗せた。

リサはわたしに向かって

「アイシャのそばに行きたい!」
とまだ叫んでいるが、

「君がアイシャの心を殺そうとしているんだろう?いい加減にしろ!」

わたしが初めて彼女に怒鳴ると、真っ青な顔をして固まって動かなかった。

まだターナは何かとアイシャの悪口を言っている。

自分がアイシャから無視されているとかアイシャが属性もわからないので恥ずかしすぎて学園に行きづらいとか……

わたしは二人を無視してとにかくこれからのことを考えた。

どうする?

ここまでこの二人が、アイシャに対してひどい態度をとっているなんて気が付かなかった。
全て仕事に邁進していたわたしの過誤だ。

アイシャが消えてなくなるかもしれない?
まだ本人の体の中でアイシャは生きているのに?
本人が消えて前世のアイシャが生き残る?

そんな残酷なことがあるのか?
アイシャはわたし達に絶望しているんだ。

わたし達が二度と関わらなければアイシャは目覚めるのか?

いや、駄目だ。

反省も後悔もしないでこの二人をこのまま放っておけば、アイシャにまた害がある。

アイシャにこれからの人生、幸せに過ごしてもらうためには、この二人の存在を消すしかない。

ターナは可愛い娘だ。

しかしこの国の社交界に出せるような娘ではない。このままではとても無理だ。

そういえば殿下の教育係にエレン夫人がいる。
彼女の所作はとても優雅で綺麗だ。
教養も高くガイラー侯爵の親戚で身を寄せいる。

身分も信用もしっかりしていると王妃が話していた。

ターナも殿下とお茶会をした時に何度かお会いしていると聞いた。

とりあえずエレン夫人にターナの教育をお願いしてみよう。
しっかりした女性ならば、ターナも少しは考え方も変わるかもしれない。

リサは、仕事を辞めさせて、しばらく北の領地で療養をさせるつもりだ。

あの屋敷には、わたしの母上が隠居して住んでいる。
二人の性格が似ているせいでお互い激しく衝突するのだが、今回はそんなこと言っていられない。

母上に事情を全て話して、リサの再教育をしてもらおう。
夫人として母として、もう一度考えてもらう。

リサにとって母上の厳しさは苦痛かもしれない。だが母上は厳しいしキツイ性格だが、真面目に頑張る人間には心優しい。
だから、アイシャのことをとても愛していた。
そんなアイシャにした態度を伝えればリサはかなり厳しい状態になるだろう。

だが、リサが人に怒られることも大事だ。

北の領地ならわたしも顔を出せるので、リサとこれから向き合うことができる。

ターナとリサは引き離すべきだろう。

ターナの再教育はエレン夫人次第で、次を考えよう。

二人を修道院送りにする前に反省して、変わってくれればいいのだが……














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