34 / 97
34話 ロウト編
しおりを挟む
俺たち二人はカイザ様に呼ばれた。
「アイシャから夢の話を聞いた」
「はい、わたし達も聞きました」
「カイザ様から聞いた話によく似ています」
俺が答えると、カイザ様は顎に手を置き、何度も触りながら考え込んでいた。
「そうだな…もう隠すことは出来ない。アイシャに伝える時出来ればお前達二人にも一緒にいて欲しい」
「わたし達がそばに居てもよろしいのですか?」
メリッサの問いにカイザ様は頷いた。
「アイシャがパニックになった時に寄り添って欲しいんだ。もちろんわたしも出来るだけそばにいるつもりではいるが仕事も忙しい、すまないが頼まれてくれないか」
「カイザ様……全てを話されるのですか?」
「怖い夢といい夢が同じ場所だと言っていた。へんに隠すと嘘を吐かなければいけなくなる。嘘は吐いた者への信頼を失くすことになる。ならば包み隠さず話すことにした……夢を見ていなければ心臓病で亡くなり転生したことだけを伝えるつもりだった。
だが隠すことは出来ない」
「……アイシャ様のそばで寄り添い守ります」
「頼む」
カイザ様は使用人の俺たちに頭を下げた、
元王弟、そして公爵閣下でもあるカイザ様が頭を下げる。
それはアイシャ様への揺るぎない愛情があるからこそだ。
そして……
数日後アイシャ様とカイザ様はお茶の時間を取り、話をすることになった。
アイシャ様はカイザ様のいつもと違う様子を見て何か感じたのか……
「ロウト……お祖父様はわたしとお茶をしたいと仰っていたけど、何かあったのかしら?」
「どうしてそんなことを言うんですか?」
「だって、少しお顔が怖かったんだもの」
「カイザ様の顔はいつも強面なんでよくわからないですね」
俺がニヤッと笑うとアイシャ様はプッと笑い出した。
「ふふっ、そうかも。お祖父様が聞いたらショックを受けてしまうわ」
アイシャ様の緊張が少し取れたようだ。
これからのアイシャ様のことを考えたら気が重い。
俺たちが聞いてもかなりショックな話だった。
本人が聞いたらどうなるのだろう。
しばらくは夜も目を離さないようにしよう。
俺一人では難しいのでもちろんメリッサとも協力しあうつもりだ。
そして学園ではヴィズにも深くは伝えるつもりはないが簡単に話しておくつもりだ。
ああ、俺たちの大事な主をもうこれ以上辛い思いなんかさせたくなかった。
屋敷でのアイシャ様は家族の中で一人いつも浮いていた。
旦那様は娘二人に愛情を注ぐ優しいお方だが、父上である公爵様から当主として仕事を受け継いでいる真っ最中で忙しすぎた。
さらに領地での事故処理などに追われて家族の本当の姿を見ることができなかった。
今になってアイシャ様とターナ様のことを調べ始めているが遅い。
アイシャ様の心が壊れる前とは言え、俺からすれば遅すぎだ。
そしてリサ様。
リサ様が一番タチが悪い。
自分はアイシャ様に愛情を注いで大切にしているつもりだ。
だが俺から見たら違う。
娘を見る目ではない。
いや、幼い頃は確かに娘として可愛がっていた。でもアイシャ様の膨大な魔力、魔法の才能を知ってからは変わっていった。
娘に酷い態度をとるわけでも言葉の暴言を吐くわけでもない。
ただ、たまに目に嫉妬心が浮かんでいるのだ。
アイシャ様の容姿は誰もが振り返りたくなるほどの美しさだ。11歳とはいえ誰もが溜息をつきたくなる顔立ち。
そして魔力。
リサ様はこの国でも優秀だと持て囃される魔法使い。
そのリサ様が、娘の魔力にそして容姿に負けて嫉妬するのだ。
アイシャ様は、たぶんこの国でいちばんの魔力を持ち、稀にいると言われている無属性の持ち主だ。
火、水、地、風全てを難なくこなす。
そしてリサ様と同じ光魔法もこなす。
このまま成長すれば攻撃魔法・防御魔法・回復魔法・補助強化魔法も使えてしまうかもしれない。
俺たち魔力のある者にとって一番欲して、でも得られるものではない無属性。
リサ様の嫉妬心がアイシャ様を遠ざけていた。
アイシャ様は本能的に気が付いていて、少し遠慮がちに接していた。
屋敷の中であまり使用人達とも関わらないようにして部屋に閉じこもりがちだった。
だからと言って使用人に冷たくしたりキツイ言葉を言ったりする人ではなかった。
アイシャ様の貰い子だという噂が使用人の中で噂されてもアイシャ様は使用人を責めなかった。
ターナ様が新しい使用人達を自分のモノのように扱い、自分の思い通りに動かして、アイシャ様にもキツい態度を取らせた。
わざとに使用人に命令して手紙を渡さないようにして友達との約束を破らせたり、お風呂のお湯をぬるめにして風邪を引かせようとしたり、アイシャ様に聞こえるところで「貰い子らしい」と噂話をさせたり……
子どもとしては結構底意地の悪いことばかりだ。
本人にも意地の悪いことを言って、周りにいる使用人達と共に馬鹿にして笑う。
ターナ様の態度や使用人達の態度は、リサ様のアイシャ様への無言の無関心が招いている気がする。
リサ様がアイシャ様を妬み嫉妬しているからそれが周りにも自然と伝わっている気がする。
カイザ様の屋敷に来てからのアイシャ様は変わられた。
笑顔が自然で無理して笑わなくなった。
使用人に対してもビクビクしなくなった。
やっと笑えるようになったのに……
あの笑顔をお守りしたい。
「アイシャから夢の話を聞いた」
「はい、わたし達も聞きました」
「カイザ様から聞いた話によく似ています」
俺が答えると、カイザ様は顎に手を置き、何度も触りながら考え込んでいた。
「そうだな…もう隠すことは出来ない。アイシャに伝える時出来ればお前達二人にも一緒にいて欲しい」
「わたし達がそばに居てもよろしいのですか?」
メリッサの問いにカイザ様は頷いた。
「アイシャがパニックになった時に寄り添って欲しいんだ。もちろんわたしも出来るだけそばにいるつもりではいるが仕事も忙しい、すまないが頼まれてくれないか」
「カイザ様……全てを話されるのですか?」
「怖い夢といい夢が同じ場所だと言っていた。へんに隠すと嘘を吐かなければいけなくなる。嘘は吐いた者への信頼を失くすことになる。ならば包み隠さず話すことにした……夢を見ていなければ心臓病で亡くなり転生したことだけを伝えるつもりだった。
だが隠すことは出来ない」
「……アイシャ様のそばで寄り添い守ります」
「頼む」
カイザ様は使用人の俺たちに頭を下げた、
元王弟、そして公爵閣下でもあるカイザ様が頭を下げる。
それはアイシャ様への揺るぎない愛情があるからこそだ。
そして……
数日後アイシャ様とカイザ様はお茶の時間を取り、話をすることになった。
アイシャ様はカイザ様のいつもと違う様子を見て何か感じたのか……
「ロウト……お祖父様はわたしとお茶をしたいと仰っていたけど、何かあったのかしら?」
「どうしてそんなことを言うんですか?」
「だって、少しお顔が怖かったんだもの」
「カイザ様の顔はいつも強面なんでよくわからないですね」
俺がニヤッと笑うとアイシャ様はプッと笑い出した。
「ふふっ、そうかも。お祖父様が聞いたらショックを受けてしまうわ」
アイシャ様の緊張が少し取れたようだ。
これからのアイシャ様のことを考えたら気が重い。
俺たちが聞いてもかなりショックな話だった。
本人が聞いたらどうなるのだろう。
しばらくは夜も目を離さないようにしよう。
俺一人では難しいのでもちろんメリッサとも協力しあうつもりだ。
そして学園ではヴィズにも深くは伝えるつもりはないが簡単に話しておくつもりだ。
ああ、俺たちの大事な主をもうこれ以上辛い思いなんかさせたくなかった。
屋敷でのアイシャ様は家族の中で一人いつも浮いていた。
旦那様は娘二人に愛情を注ぐ優しいお方だが、父上である公爵様から当主として仕事を受け継いでいる真っ最中で忙しすぎた。
さらに領地での事故処理などに追われて家族の本当の姿を見ることができなかった。
今になってアイシャ様とターナ様のことを調べ始めているが遅い。
アイシャ様の心が壊れる前とは言え、俺からすれば遅すぎだ。
そしてリサ様。
リサ様が一番タチが悪い。
自分はアイシャ様に愛情を注いで大切にしているつもりだ。
だが俺から見たら違う。
娘を見る目ではない。
いや、幼い頃は確かに娘として可愛がっていた。でもアイシャ様の膨大な魔力、魔法の才能を知ってからは変わっていった。
娘に酷い態度をとるわけでも言葉の暴言を吐くわけでもない。
ただ、たまに目に嫉妬心が浮かんでいるのだ。
アイシャ様の容姿は誰もが振り返りたくなるほどの美しさだ。11歳とはいえ誰もが溜息をつきたくなる顔立ち。
そして魔力。
リサ様はこの国でも優秀だと持て囃される魔法使い。
そのリサ様が、娘の魔力にそして容姿に負けて嫉妬するのだ。
アイシャ様は、たぶんこの国でいちばんの魔力を持ち、稀にいると言われている無属性の持ち主だ。
火、水、地、風全てを難なくこなす。
そしてリサ様と同じ光魔法もこなす。
このまま成長すれば攻撃魔法・防御魔法・回復魔法・補助強化魔法も使えてしまうかもしれない。
俺たち魔力のある者にとって一番欲して、でも得られるものではない無属性。
リサ様の嫉妬心がアイシャ様を遠ざけていた。
アイシャ様は本能的に気が付いていて、少し遠慮がちに接していた。
屋敷の中であまり使用人達とも関わらないようにして部屋に閉じこもりがちだった。
だからと言って使用人に冷たくしたりキツイ言葉を言ったりする人ではなかった。
アイシャ様の貰い子だという噂が使用人の中で噂されてもアイシャ様は使用人を責めなかった。
ターナ様が新しい使用人達を自分のモノのように扱い、自分の思い通りに動かして、アイシャ様にもキツい態度を取らせた。
わざとに使用人に命令して手紙を渡さないようにして友達との約束を破らせたり、お風呂のお湯をぬるめにして風邪を引かせようとしたり、アイシャ様に聞こえるところで「貰い子らしい」と噂話をさせたり……
子どもとしては結構底意地の悪いことばかりだ。
本人にも意地の悪いことを言って、周りにいる使用人達と共に馬鹿にして笑う。
ターナ様の態度や使用人達の態度は、リサ様のアイシャ様への無言の無関心が招いている気がする。
リサ様がアイシャ様を妬み嫉妬しているからそれが周りにも自然と伝わっている気がする。
カイザ様の屋敷に来てからのアイシャ様は変わられた。
笑顔が自然で無理して笑わなくなった。
使用人に対してもビクビクしなくなった。
やっと笑えるようになったのに……
あの笑顔をお守りしたい。
158
お気に入りに追加
3,192
あなたにおすすめの小説
望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【忘れるな、憎い君と結婚するのは亡き妻の遺言だということを】
男爵家令嬢、ジェニファーは薄幸な少女だった。両親を早くに亡くし、意地悪な叔母と叔父に育てられた彼女には忘れられない初恋があった。それは少女時代、病弱な従姉妹の話し相手として滞在した避暑地で偶然出会った少年。年が近かった2人は頻繁に会っては楽しい日々を過ごしているうちに、ジェニファーは少年に好意を抱くようになっていった。
少年に恋したジェニファーは今の生活が長く続くことを祈った。
けれど従姉妹の体調が悪化し、遠くの病院に入院することになり、ジェニファーの役目は終わった。
少年に別れを告げる事もできずに、元の生活に戻ることになってしまったのだ。
それから十数年の時が流れ、音信不通になっていた従姉妹が自分の初恋の男性と結婚したことを知る。その事実にショックを受けたものの、ジェニファーは2人の結婚を心から祝うことにした。
その2年後、従姉妹は病で亡くなってしまう。それから1年の歳月が流れ、突然彼から求婚状が届けられた。ずっと彼のことが忘れられなかったジェニファーは、喜んで後妻に入ることにしたのだが……。
そこには残酷な現実が待っていた――
*他サイトでも投稿中

戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。

【完結】婚約破棄されて処刑されたら時が戻りました!?~4度目の人生を生きる悪役令嬢は今度こそ幸せになりたい~
Rohdea
恋愛
愛する婚約者の心を奪った令嬢が許せなくて、嫌がらせを行っていた侯爵令嬢のフィオーラ。
その行いがバレてしまい、婚約者の王太子、レインヴァルトに婚約を破棄されてしまう。
そして、その後フィオーラは処刑され短い生涯に幕を閉じた──
──はずだった。
目を覚ますと何故か1年前に時が戻っていた!
しかし、再びフィオーラは処刑されてしまい、さらに再び時が戻るも最期はやっぱり死を迎えてしまう。
そんな悪夢のような1年間のループを繰り返していたフィオーラの4度目の人生の始まりはそれまでと違っていた。
もしかしたら、今度こそ幸せになれる人生が送れるのでは?
その手始めとして、まず殿下に婚約解消を持ちかける事にしたのだがーー……
4度目の人生を生きるフィオーラは、今度こそ幸せを掴めるのか。
そして時戻りに隠された秘密とは……
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ
こな
恋愛
公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。
待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。
ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる