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31話
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「お祖父様、わたしを助けてくれた人にお礼を言いたいのです」
夕食を摂りながらお祖父様にお願いをしてみた。
「相手の方とお会いして、お礼を言って………出来れば……癒しの魔法も…少しでいいから、教わるなんて、、、ダメかしら?」
最後の方は呟くように小さな声になってしまった。
「お礼か……わたしからはきちんとお礼を言ったがお前からは言えていないな………そうだな……」
お祖父様はしばらく考え込んでいた。
どうして黙ったままなのだろう?
わたしより年上だけど、かなり高度な魔法を使える人だから忙しいのかしら?
やはり教えて欲しいなんて浅ましい事を考えてはいけなかった?
「アイシャ、相手に一度お会いできるか伺うとしよう」
「ありがとうございます」
「ところでアイシャの魔法の特訓は順調か?」
「う、う、ううん⁉︎」
わたしはお祖父様から目を逸らして、目の前にあるデザートのチョコレートケーキの横にある苺をフォークで刺して口に入れた。
「アイシャ……急ぐな、癒しの魔法はかなり高度な魔法だ。今のお前にはまだ扱うのは難しい。それよりもロウトから基礎をしっかり学べ、それが一番の近道だ」
「………はい」
ケーキの途中で食べた苺はとても酸っぱく感じた。
魔力の制御もまだできないのに、癒しの魔法の勉強がしたいなんて、やっぱりまだ早かったか……
お祖父様は、わたしが苺を食べている様子を見て、クックっと笑いながら
「アイシャ、お前が食べている幸せそうな姿を見るだけでわたしも幸せだよ」
と言ってくれた。
こんな酸っぱくて変な顔をしたわたしの姿が幸せなんて……
お祖父様と目が合ってお互いクスッと笑い合った。
「お祖父様、ありがとう。わたしね、ずっと怖い夢を見ていたの、なのにここに住むようになってからはあまり見なくなったの」
「ほお、怖い夢?」
「うん、…わたしが大きくなっていて知らない屋敷で知らない人達から怒られたり鞭で叩かれるの。知らない人の中には何故か知らないお父様で、お兄様なんていないのにお兄様がいるの……みんな怖くてわたしを嫌っているの……」
お祖父様は黙って聞いてくれた。
そして、ボソッと呟くように聞いた。
「………最近は見ないのか?」
「う、うん、ここにきてからだんだん見なくなったの……そしたら今度はやっぱりわたしが大きくなった姿で小さな男の子と過ごす夢を見たの……やっぱり同じ所だと思うの、お家は違うんだけど……」
「小さな男の子?」
「うん、とってもわたしと仲良しでその子といると怖かったあの夢の恐怖がなくなって幸せになるの、すっごくあったかくなるの……なのに……目が覚めたら涙がたくさん出たの……」
「………そうか……うん……」
お祖父様はそのまま黙ってしまった。
言ってはいけなかったのかしら?
お祖父様なら聞いてもらえると思ったのは間違いだった?
わたしは不安になりながらお祖父様の様子を伺った。
「アイシャ……少しだけ考えを整理させてくれ……その夢のことをお祖父様なりに考えてみたい」
「……えっ?お祖父様、わたしの夢の話を聞いて気分を悪くされたのではないのですか?」
「違う……少しその夢のことを考えてみたいんだ、他にも見た夢の話を嫌でなければ教えてくれないか?」
わたしは思い出したくない夢でうろ覚えのところも多かったけど、思い出しながら少しずつ話した。
ときに涙が出て、話せなくなる時もあったけど、お祖父様が聞いてくれるから頑張って話した。
話していくと不思議に心が少しずつ軽くなっていった。
一人で怖い夢のことをずっと我慢していたから?
お祖父様の優しい顔が、わたしの心を軽くしてくれる。
夕食を摂りながらお祖父様にお願いをしてみた。
「相手の方とお会いして、お礼を言って………出来れば……癒しの魔法も…少しでいいから、教わるなんて、、、ダメかしら?」
最後の方は呟くように小さな声になってしまった。
「お礼か……わたしからはきちんとお礼を言ったがお前からは言えていないな………そうだな……」
お祖父様はしばらく考え込んでいた。
どうして黙ったままなのだろう?
わたしより年上だけど、かなり高度な魔法を使える人だから忙しいのかしら?
やはり教えて欲しいなんて浅ましい事を考えてはいけなかった?
「アイシャ、相手に一度お会いできるか伺うとしよう」
「ありがとうございます」
「ところでアイシャの魔法の特訓は順調か?」
「う、う、ううん⁉︎」
わたしはお祖父様から目を逸らして、目の前にあるデザートのチョコレートケーキの横にある苺をフォークで刺して口に入れた。
「アイシャ……急ぐな、癒しの魔法はかなり高度な魔法だ。今のお前にはまだ扱うのは難しい。それよりもロウトから基礎をしっかり学べ、それが一番の近道だ」
「………はい」
ケーキの途中で食べた苺はとても酸っぱく感じた。
魔力の制御もまだできないのに、癒しの魔法の勉強がしたいなんて、やっぱりまだ早かったか……
お祖父様は、わたしが苺を食べている様子を見て、クックっと笑いながら
「アイシャ、お前が食べている幸せそうな姿を見るだけでわたしも幸せだよ」
と言ってくれた。
こんな酸っぱくて変な顔をしたわたしの姿が幸せなんて……
お祖父様と目が合ってお互いクスッと笑い合った。
「お祖父様、ありがとう。わたしね、ずっと怖い夢を見ていたの、なのにここに住むようになってからはあまり見なくなったの」
「ほお、怖い夢?」
「うん、…わたしが大きくなっていて知らない屋敷で知らない人達から怒られたり鞭で叩かれるの。知らない人の中には何故か知らないお父様で、お兄様なんていないのにお兄様がいるの……みんな怖くてわたしを嫌っているの……」
お祖父様は黙って聞いてくれた。
そして、ボソッと呟くように聞いた。
「………最近は見ないのか?」
「う、うん、ここにきてからだんだん見なくなったの……そしたら今度はやっぱりわたしが大きくなった姿で小さな男の子と過ごす夢を見たの……やっぱり同じ所だと思うの、お家は違うんだけど……」
「小さな男の子?」
「うん、とってもわたしと仲良しでその子といると怖かったあの夢の恐怖がなくなって幸せになるの、すっごくあったかくなるの……なのに……目が覚めたら涙がたくさん出たの……」
「………そうか……うん……」
お祖父様はそのまま黙ってしまった。
言ってはいけなかったのかしら?
お祖父様なら聞いてもらえると思ったのは間違いだった?
わたしは不安になりながらお祖父様の様子を伺った。
「アイシャ……少しだけ考えを整理させてくれ……その夢のことをお祖父様なりに考えてみたい」
「……えっ?お祖父様、わたしの夢の話を聞いて気分を悪くされたのではないのですか?」
「違う……少しその夢のことを考えてみたいんだ、他にも見た夢の話を嫌でなければ教えてくれないか?」
わたしは思い出したくない夢でうろ覚えのところも多かったけど、思い出しながら少しずつ話した。
ときに涙が出て、話せなくなる時もあったけど、お祖父様が聞いてくれるから頑張って話した。
話していくと不思議に心が少しずつ軽くなっていった。
一人で怖い夢のことをずっと我慢していたから?
お祖父様の優しい顔が、わたしの心を軽くしてくれる。
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