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18話
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授業が終わり友人達と昼食を終えて、裏庭のベンチで話していると、一つ年上の先輩達がわたし達の前に現れた。
「ふーん、貴女がアイシャ様?」
「噂ほどではないわよね」
「あら?ご両親に似ていないどこの生まれか分からないと噂されているお方よね?」
わたしを見下ろしながら、楽しそうに微笑み、話しかけてきた。
どう答えるべきか。
無視するべきか。
この人達は王子の取り巻きだ。
まだ婚約者がいない王子の横を狙っている人達。
「アイシャ、行きましょう」
アリアがわたしの腕を掴んでさっさとその場から去ろうとした。
「う、うん」
わたしはアリアに引っ張られながらベンチから立つと囲まれた先輩達の間をすり抜けようとした。
「あら、失礼?」
先輩達の間を通ろうとしたので先輩達がニヤけながら隙間を開けてくれた。
先輩達の間を通る時の視線が怖かった。
それでもそこを通らなければ帰ることができない。
い、痛っ!!
足を引っ掛けられた。
アリアの手を慌てて払いのけて、わたしは一人で転んだ。
勢いあまり地面に両膝を叩きつけられてかなりの衝撃だった。
「あらあ、大丈夫?公爵令嬢も転ぶと惨めね」
そう言いながら誰かがわたしを助けようとして屈んできて、わたしのお腹を蹴り上げた。
ぐっ……
かなりの痛みがさらにきて声が出なかった。
アリア達は先輩の壁でわたしの姿は見えない。
さらに他の人たちも楽しそうにわたしの太ももを踏んだりお腹を蹴ってきた。
立ち上がることもできず声を出そうとしたら、髪を鷲掴みにされて、
「あんたさぁ、殿下のお気に入りだからっていい気にならないで」
「なに可愛こぶってるの、どこの子かもわからない、偽物の公爵令嬢のくせに」
そう言うとわたしの髪を離して、わたしは地面に叩きつけられて、頭を蹴られた。
あー、偽物の公爵令嬢……
以前は『金食い虫』だったかしら……
わたしはどこにいてもやはり嫌われて過ごすのね……
わたしは体の痛みと、心が壊れていく痛みでそのまま意識を手放した。
遠くからアリアとスピナがわたしを呼ぶ声が聞こえたけど、もうわたしの心には届かなかった。
何故、わたしはここに居るの?
死んで楽になったはずなのに………
何故、こんな酷い仕打ちを受けなければいけないの……
ここはどこだろう?
『貴女が食事をしたいのならわたし達と同じように働いてください。食べるために働くのは当たり前のことです』
侍女長に言われて5歳の時から床掃除を始めた。
力もないし背も足りないわたしはそれくらいしか出来なかった。
掃除をした日は食事を貰える。
いつの間にか服は使用人用のものに変わっていた。
何枚かのドレスは家族が帰ってきたりお客様が来た時だけ着せてもらえた。
そんなわたしを不憫に思ったわたし付きの使用人達は家令や侍女長達に見つからないように、こっそりと助けてくれた。
みんなの前ではわたしに辛く当たった。
たぶんわたしが他の使用人達に酷い事をされないようにわたしの味方の使用人達があえて先にわたしに意地悪な事を言ったり、態とに少ない量の食事しか与えないようにしていた。
でも彼らが先にわたしに嫌がらせをしてくれたお陰で他の使用人はそこまで酷い事をしなかった。
彼らはいつも悲しそうに済まなさそうにしていた。
そしてこっそり夜中に食事を運んでくれたり、部屋に来て勉強を教えてくれた。
使用人の中には男爵家の三男や娘たちもいて、わたしの勉強が遅れないようにと算数や歴史、ダンスにマナーなど最低限の事を少しずつ教えてくれた。
偶に帰って来るお父様になんとか話しかけようとするもマークや侍女長に邪魔をされて、挨拶程度の会話しかさせてもらえなかった。
お兄様も寮に入ってからはほとんど帰ってこなかった。
そう、わたしは忘れ去られた公爵令嬢だった。
少しでも仕事が捗らなければムチで叩かれた。
もちろん服で隠れる場所に。
『貴女に使うお金などありません。旦那様は貴女には一切予算は出してくれないのです。金食い虫なんだから慈悲で置いてあげているのだから少しでもわたし達のために働いてください』
と言われ続けた。
お父様はわたしを慈悲で置いてくれていた。わたしは邪魔で要らない存在。
わたしを助けてくれる使用人達が罰を受けないようにするためにも、他の人にバレないようにひっそりと息をして隠れるように暮らした。
歩いているだけで態とにぶつかってきてよろけて転ぶ。
それが面白いのか馬鹿にしたようにクスクス笑われた。
時には転んでいる上にバケツの水をかけられた。
『喉が渇いたでしょう?』とクスクス笑う意地悪な使用人もいた。
侍女長は食事に腐った野菜を入れて、食べれないと言うと無理やり口に流し込め食べさせられた。
熱を出して寝込んでいても、無理矢理叩き起こされて洗濯をするように命じられて一人で朝から夕方まで洗濯をさせられたこともあった。
そしてさらに熱が上がりそのまま放って置かれた。
もちろんわたしを助けてくれる使用人達がこっそりと薬を持ってきてくれて看病してくれた。
あの屋敷ではわたしは使用人以下の扱いだった。
まるで奴隷のようだった。
(もう生きるのが辛い………早く死にたい)
わたしはずっとそう思って生きてきたんだった。
これは何?
夢の中で何度もみた。
辛くて苦しくて現実ではないのに現実のようで……
あの人は誰?
お兄様って誰?
お父様って……あの人は誰?
わからない、わからない、もしかしたらわたしの本当の両親は違うの?
誰か助けて……ロウト……メリッサ……助けて!
お願い、鞭は痛いの。
お腹が空いた……
疲れた……
どうして生きていないといけないの?
もうわたしは死にたい。
なのにどうしてわたしは生きているの?
もう一人の年上のアイシャが泣いている。
でもわたしの心ももう限界になっていた。
お祖父様のそばなら穏やかに居られると思ったのに……
わたしはどうして両親に似ていないの?
誰か教えて……
◆ ◆ ◆
本日追加で投稿しました。
話がなかなか進まずすみません。
アイシャの辛い日々もう少しだけ、グッと我慢していただけると助かります。
「ふーん、貴女がアイシャ様?」
「噂ほどではないわよね」
「あら?ご両親に似ていないどこの生まれか分からないと噂されているお方よね?」
わたしを見下ろしながら、楽しそうに微笑み、話しかけてきた。
どう答えるべきか。
無視するべきか。
この人達は王子の取り巻きだ。
まだ婚約者がいない王子の横を狙っている人達。
「アイシャ、行きましょう」
アリアがわたしの腕を掴んでさっさとその場から去ろうとした。
「う、うん」
わたしはアリアに引っ張られながらベンチから立つと囲まれた先輩達の間をすり抜けようとした。
「あら、失礼?」
先輩達の間を通ろうとしたので先輩達がニヤけながら隙間を開けてくれた。
先輩達の間を通る時の視線が怖かった。
それでもそこを通らなければ帰ることができない。
い、痛っ!!
足を引っ掛けられた。
アリアの手を慌てて払いのけて、わたしは一人で転んだ。
勢いあまり地面に両膝を叩きつけられてかなりの衝撃だった。
「あらあ、大丈夫?公爵令嬢も転ぶと惨めね」
そう言いながら誰かがわたしを助けようとして屈んできて、わたしのお腹を蹴り上げた。
ぐっ……
かなりの痛みがさらにきて声が出なかった。
アリア達は先輩の壁でわたしの姿は見えない。
さらに他の人たちも楽しそうにわたしの太ももを踏んだりお腹を蹴ってきた。
立ち上がることもできず声を出そうとしたら、髪を鷲掴みにされて、
「あんたさぁ、殿下のお気に入りだからっていい気にならないで」
「なに可愛こぶってるの、どこの子かもわからない、偽物の公爵令嬢のくせに」
そう言うとわたしの髪を離して、わたしは地面に叩きつけられて、頭を蹴られた。
あー、偽物の公爵令嬢……
以前は『金食い虫』だったかしら……
わたしはどこにいてもやはり嫌われて過ごすのね……
わたしは体の痛みと、心が壊れていく痛みでそのまま意識を手放した。
遠くからアリアとスピナがわたしを呼ぶ声が聞こえたけど、もうわたしの心には届かなかった。
何故、わたしはここに居るの?
死んで楽になったはずなのに………
何故、こんな酷い仕打ちを受けなければいけないの……
ここはどこだろう?
『貴女が食事をしたいのならわたし達と同じように働いてください。食べるために働くのは当たり前のことです』
侍女長に言われて5歳の時から床掃除を始めた。
力もないし背も足りないわたしはそれくらいしか出来なかった。
掃除をした日は食事を貰える。
いつの間にか服は使用人用のものに変わっていた。
何枚かのドレスは家族が帰ってきたりお客様が来た時だけ着せてもらえた。
そんなわたしを不憫に思ったわたし付きの使用人達は家令や侍女長達に見つからないように、こっそりと助けてくれた。
みんなの前ではわたしに辛く当たった。
たぶんわたしが他の使用人達に酷い事をされないようにわたしの味方の使用人達があえて先にわたしに意地悪な事を言ったり、態とに少ない量の食事しか与えないようにしていた。
でも彼らが先にわたしに嫌がらせをしてくれたお陰で他の使用人はそこまで酷い事をしなかった。
彼らはいつも悲しそうに済まなさそうにしていた。
そしてこっそり夜中に食事を運んでくれたり、部屋に来て勉強を教えてくれた。
使用人の中には男爵家の三男や娘たちもいて、わたしの勉強が遅れないようにと算数や歴史、ダンスにマナーなど最低限の事を少しずつ教えてくれた。
偶に帰って来るお父様になんとか話しかけようとするもマークや侍女長に邪魔をされて、挨拶程度の会話しかさせてもらえなかった。
お兄様も寮に入ってからはほとんど帰ってこなかった。
そう、わたしは忘れ去られた公爵令嬢だった。
少しでも仕事が捗らなければムチで叩かれた。
もちろん服で隠れる場所に。
『貴女に使うお金などありません。旦那様は貴女には一切予算は出してくれないのです。金食い虫なんだから慈悲で置いてあげているのだから少しでもわたし達のために働いてください』
と言われ続けた。
お父様はわたしを慈悲で置いてくれていた。わたしは邪魔で要らない存在。
わたしを助けてくれる使用人達が罰を受けないようにするためにも、他の人にバレないようにひっそりと息をして隠れるように暮らした。
歩いているだけで態とにぶつかってきてよろけて転ぶ。
それが面白いのか馬鹿にしたようにクスクス笑われた。
時には転んでいる上にバケツの水をかけられた。
『喉が渇いたでしょう?』とクスクス笑う意地悪な使用人もいた。
侍女長は食事に腐った野菜を入れて、食べれないと言うと無理やり口に流し込め食べさせられた。
熱を出して寝込んでいても、無理矢理叩き起こされて洗濯をするように命じられて一人で朝から夕方まで洗濯をさせられたこともあった。
そしてさらに熱が上がりそのまま放って置かれた。
もちろんわたしを助けてくれる使用人達がこっそりと薬を持ってきてくれて看病してくれた。
あの屋敷ではわたしは使用人以下の扱いだった。
まるで奴隷のようだった。
(もう生きるのが辛い………早く死にたい)
わたしはずっとそう思って生きてきたんだった。
これは何?
夢の中で何度もみた。
辛くて苦しくて現実ではないのに現実のようで……
あの人は誰?
お兄様って誰?
お父様って……あの人は誰?
わからない、わからない、もしかしたらわたしの本当の両親は違うの?
誰か助けて……ロウト……メリッサ……助けて!
お願い、鞭は痛いの。
お腹が空いた……
疲れた……
どうして生きていないといけないの?
もうわたしは死にたい。
なのにどうしてわたしは生きているの?
もう一人の年上のアイシャが泣いている。
でもわたしの心ももう限界になっていた。
お祖父様のそばなら穏やかに居られると思ったのに……
わたしはどうして両親に似ていないの?
誰か教えて……
◆ ◆ ◆
本日追加で投稿しました。
話がなかなか進まずすみません。
アイシャの辛い日々もう少しだけ、グッと我慢していただけると助かります。
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