【完結】浮気などしません、愛しているのは貴方だけです

たろ

文字の大きさ
上 下
21 / 21
2章  ある騎士の物語

第10話

しおりを挟む
あの日から数週間が過ぎた。

両陛下は皇太子殿下に王位を譲り北の塔に幽閉された。
それも側室達とその子どもも全員が塔に入れられて一生外には出して貰えないらしい。
子ども達は王位継承権は剥奪されて男女全員が子どもが出来ないように施されたらしい。

そして公爵はお家取り潰しになり死刑が言い渡された。孤児院の職員達も捕まり全員死刑になる。

子ども達は新しい孤児院を作りそこで安心して暮らせるように陛下自らが先頭に立ってくれた。

ハック達はもちろん全員今までの犯罪を調べ上げられて死刑になった。
使えなくなった子ども達の遺体を処分したりしていたのも彼らだった。

セシリア様は、死刑にはならなかった。
一応王族なので…と言うのは言い訳で死んだ方がマシだと言われる北の大地に連れて行かれた。
朝から夕方まで炭鉱で男たちに混ざり重労働をさせられる。そして夜は男たちと同じ部屋で寝るのだ。
それは自分が罪のない女性にしてきたことを今度はされるということだ。
自殺は許されない。24時間監視が付いていて死ぬことは出来ない。
寿命が尽きるまで辛い日々を送ることになった。

俺は思う。あの女はそれでも反省せずに他人のせいにして喚き散らすのではないかと……

◇ ◇ ◇


俺は今日アンナと結婚する。
お腹には俺の子がいた。
やはり前回自殺した時にいた子どもは俺の子だった。

俺はアンナと子どもと一緒に暮らせる日々に感謝しながら生きていく。
あの暗くて辛い日々を忘れることはできない、だからこそ今を大切にしたい。

アンディはヴィオラ様と婚約したと聞いた。

俺たちの前回の人生はあまりにも辛く悲しみの中で終わった。
誰が俺を過去に戻してくれたのかは分からない。

でもその誰かに感謝している。

 

◇ ◇ ◇

「どうしてわたしがこんなところで働かないといけないのよ!」

「重たいわ、貴方が代わりに持ちなさい!」

「いや、止めて!どうして、どうして?わたしは何も悪いことはしていないのに!」

「いやあー!!お願いやめて!!」

「わたしはここから逃げ出したいの。お願いもう止めて………」

「こんな地獄はいつまで続くの?お父様、お母様、助けて……」

「………死にた……い……死なせて……」



◇ ◇ ◇

「なぁ、ある騎士さんよ、お前の執念を俺はみた、今度こそ恋人を守れよ」
隣の国の王はセシリアを殺して自害するウィルを見てちょっとした悪戯心で時間を巻き戻した。

隣の国の王様には忘れ去られた魔力がまだあるらしいと言う噂は本当だったようだ。

「退屈な毎日だ、騎士よ、俺を楽しませてくれ」



END


◆ ◆ ◆

時を巻き戻しをしたのはセシリアが前回嫁いだ隣の国の王でした。

そしてセシリアは今回は隣の国へ嫁ぐことなく一生苦しみながら生きていきます。


◆ ◆ ◆

読んでいただきありがとうございました。

これにて巻き戻し編は終わりです。

色々ご意見はあると思いますがわたしなりのある騎士の救済編でした。


しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

結婚なんてしなければよかった。

haruno
恋愛
夫が選んだのは私ではない女性。 蔑ろにされたことを抗議するも、夫から返ってきたのは冷たい言葉。 結婚なんてしなければよかった。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました

紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。 ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。 ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。 貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。

緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」  そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。    私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。  ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。  その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。 「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」  お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。 「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」  

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。

当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。 しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。 最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。 それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。 婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。 だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。 これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

新しい人生を貴方と

緑谷めい
恋愛
 私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。  突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。  2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。 * 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。

処理中です...