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2章 ある騎士の物語
第7話
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公爵を調べた報告書を見て俺達は怒りで震えた。
「嘘だろう?」
アンディは言葉を失った。
殿下は呆然としていた。
「あの優しい仮面の裏にこんな残虐性があったなんて」
報告書に書かれていたのは………
『屋敷に孤児院からお金を払い数ヶ月に一度数人を引き取る。その子供達はいつの間にかいなくなっている。
庭には掘りおこしたばかりの土がありそこを夜中に掘り起こしてみたら、数体の子供の遺体が埋められていた。体には無数のアザと傷があり虐待されて亡くなっていることが窺える。
使用人達の口は固かったが多額の金銭を渡し、事情を聞いたら公爵当主は家族に内緒で子供達を引き取り別邸に住まわせて女の子には性的虐待、男の子には暴力的虐待をして興奮するという性癖の持ち主であることがわかった』
俺は怒りで壁を蹴り上げた。
そしてアンディは思い出したように言った。
「公爵はもしかして自分の性癖のためにあの女の言葉を聞いて叶えているのではないですか?ただ興奮するからと……だから、自分が思ったことは叶えられると笑っていたのか……」
「叶えられるとは?」
殿下が不思議そうに聞いた。
「前回の時王女と対峙した時に自分に言ったのです。
『別に意味などないわ。わたしが気に入らない女性がどうにかなったらいいのになって心の中で願うと何故かその女性が不幸になるの、何故かしら?』と、その意味が今わかった気がします。彼女が自分の気に入らない人の名前を言うとハックが聞いてそれを公爵に伝える。そうすれば公爵がお金を出して人を雇って襲わせるんだ。それを公爵は見て興奮する。ただそれだけのためにしているんだと思う」
「セシリアはでは悪くないのか?」
団長は何とも言えない顔をしていた。
「それはないと思います。あの女はアンナが乱暴されている時見ていて笑っていたんです。あの女は知っていてやらせているんですよ。たぶん誰が指図しているのかもわかっているはずです」
「やはり証拠を押さえるのは拉致されなければ難しいな。
ウィル、アンナに似た背格好の女騎士に変装させよう。影に頼んで国中を回って探して来てもらった。
入れ!」
ぱっと見、アンナに似ている女が入ってきた。
「ウィル、きちんと顔を覚えていなければ間違うだろう?」
「はい!」
「彼女なら護身術もかなり優秀だ。もちろんスカートの中にナイフや毒薬も忍ばせておくし、影達護衛も付ける、だから明日はこのまま決行しよう」
俺は頭を下げて女騎士に「頼みます、くれぐれも気をつけてください」と言うことしか出来なかった。
「大丈夫です、一緒に犯罪者を捕まえましょう。話は全て聞いています、女、子供の敵を完全に踏み潰します」
女騎士は頼もしいことを言ってくれた。
明日は俺はいつも通り騎士団に行き鍛錬をして護衛の仕事に就く。
アンナは王宮の私室に今から匿われることになった。
俺はアンナと団長の部屋で明日まで過ごす許可を貰った。
そしてアンナがやはり今迄の俺達の動きに疑問を持っていて質問をしてきた。
「ねえ、ウィル、どうして明日事件があるとわかっているの?わたしは明日迄ここで待機していないといけないのは何故なの?」
俺は事実を伝えることは出来なかった。
だから
「秘密事項なんだがある人物から明日事件が起こる事を手紙で告知されたんだ。お前が襲われるかもしれないと、知らせがきた。まだはっきりはしていないんだ。ただ詳しく説明することは出来ない。王族が関わっていることなんだ」
苦しい説明だがぼかしていうしかなかった。
「わかったわ、聞いてもこれ以上は話せないことなのよね、わたしを守ってくれていることだけは分かっているわ、ありがとう」
彼女は納得はできなくてもこれ以上聞いてこなかった。
明日を待つだけだ。
必ずみんなまとめて捕まえて抹消してやる。
「嘘だろう?」
アンディは言葉を失った。
殿下は呆然としていた。
「あの優しい仮面の裏にこんな残虐性があったなんて」
報告書に書かれていたのは………
『屋敷に孤児院からお金を払い数ヶ月に一度数人を引き取る。その子供達はいつの間にかいなくなっている。
庭には掘りおこしたばかりの土がありそこを夜中に掘り起こしてみたら、数体の子供の遺体が埋められていた。体には無数のアザと傷があり虐待されて亡くなっていることが窺える。
使用人達の口は固かったが多額の金銭を渡し、事情を聞いたら公爵当主は家族に内緒で子供達を引き取り別邸に住まわせて女の子には性的虐待、男の子には暴力的虐待をして興奮するという性癖の持ち主であることがわかった』
俺は怒りで壁を蹴り上げた。
そしてアンディは思い出したように言った。
「公爵はもしかして自分の性癖のためにあの女の言葉を聞いて叶えているのではないですか?ただ興奮するからと……だから、自分が思ったことは叶えられると笑っていたのか……」
「叶えられるとは?」
殿下が不思議そうに聞いた。
「前回の時王女と対峙した時に自分に言ったのです。
『別に意味などないわ。わたしが気に入らない女性がどうにかなったらいいのになって心の中で願うと何故かその女性が不幸になるの、何故かしら?』と、その意味が今わかった気がします。彼女が自分の気に入らない人の名前を言うとハックが聞いてそれを公爵に伝える。そうすれば公爵がお金を出して人を雇って襲わせるんだ。それを公爵は見て興奮する。ただそれだけのためにしているんだと思う」
「セシリアはでは悪くないのか?」
団長は何とも言えない顔をしていた。
「それはないと思います。あの女はアンナが乱暴されている時見ていて笑っていたんです。あの女は知っていてやらせているんですよ。たぶん誰が指図しているのかもわかっているはずです」
「やはり証拠を押さえるのは拉致されなければ難しいな。
ウィル、アンナに似た背格好の女騎士に変装させよう。影に頼んで国中を回って探して来てもらった。
入れ!」
ぱっと見、アンナに似ている女が入ってきた。
「ウィル、きちんと顔を覚えていなければ間違うだろう?」
「はい!」
「彼女なら護身術もかなり優秀だ。もちろんスカートの中にナイフや毒薬も忍ばせておくし、影達護衛も付ける、だから明日はこのまま決行しよう」
俺は頭を下げて女騎士に「頼みます、くれぐれも気をつけてください」と言うことしか出来なかった。
「大丈夫です、一緒に犯罪者を捕まえましょう。話は全て聞いています、女、子供の敵を完全に踏み潰します」
女騎士は頼もしいことを言ってくれた。
明日は俺はいつも通り騎士団に行き鍛錬をして護衛の仕事に就く。
アンナは王宮の私室に今から匿われることになった。
俺はアンナと団長の部屋で明日まで過ごす許可を貰った。
そしてアンナがやはり今迄の俺達の動きに疑問を持っていて質問をしてきた。
「ねえ、ウィル、どうして明日事件があるとわかっているの?わたしは明日迄ここで待機していないといけないのは何故なの?」
俺は事実を伝えることは出来なかった。
だから
「秘密事項なんだがある人物から明日事件が起こる事を手紙で告知されたんだ。お前が襲われるかもしれないと、知らせがきた。まだはっきりはしていないんだ。ただ詳しく説明することは出来ない。王族が関わっていることなんだ」
苦しい説明だがぼかしていうしかなかった。
「わかったわ、聞いてもこれ以上は話せないことなのよね、わたしを守ってくれていることだけは分かっているわ、ありがとう」
彼女は納得はできなくてもこれ以上聞いてこなかった。
明日を待つだけだ。
必ずみんなまとめて捕まえて抹消してやる。
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