【完結】浮気などしません、愛しているのは貴方だけです

たろ

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2章  ある騎士の物語

第6話

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寮に戻ったハックを見送り俺は急いで団長が居る王宮内の団長の私室へ向かった。
「失礼します」
部屋へ入ると団長と殿下とアンディ、そして影が4人部屋に居た。

「ハックはどうだった?」

「あいつはクロでした」
そしてさっき聞いた会話を全て話した。

「ハックの野郎、俺たちを裏切って何してんだ!」
アンディが怒りを露わにしていた。

俺も話しながら右手を握りしめていた。

前回あいつらに俺の大事なアンナが犯されて死んだんだ。
今何もしていなくても絶対に許さない。
計画した時点で処分の対象だ。

だがまだあの女とは繋がっていない。

団長の顔を見たが首を横に振った。

「まだハックと公爵の繋がりがわからない。セシリアとの繋がりもないんだ」

俺は悔しくて仕方がなかった。やっと犯人を見つけたのに事前に防げるかもしれないのにまだ、証拠がない。

影の人達を見た。
「セシリア様は特に誰かと通じているとは思えません。ただいつも人の悪口を言ったり我儘なことばかり言っています。それに対してご機嫌伺いをする者はいます。その中に公爵がいますが特に怪しい動きはないです」

「アンナ様の方はずっと見守っていますが時に男たちが様子を伺うような場面が何度かありましたが特に危険な事は今のところありません、今も二人が彼女の近くで守っておりますので安心してください」

俺の巻き戻りの話を信じてくれて動いてくれたみんなに俺は頭を下げて感謝した。
絶対に守ってみせる。

殿下が考えながら話し出した。
「ハレルソン公爵はとても人当たりの良い人望のある公爵なんだ。そのハックとか言う騎士と何故会っていたんだろう。今、公爵のことを調べて貰っているんだが公爵には裏の顔があるのか……セシリアに取り入っても彼にとってメリットなど感じないのだが……セシリアは我儘を言って好き放題は出来ても政策に関われる力も頭もないんだ」

確かにあの女はただ我儘を言っているだけだ。学園でも女子生徒に手を出して男に襲わせていると言ったが本当なのだろうか。あの女は自分がしたなら自慢してくるはずなんだ。

まだ分からないことが多いがとにかく犯人の目星がついたので守りやすくなった。

「あと残り1週間だ。早く動くことも想定して護衛の数も増やしておく、そして早めに公爵のことも調べさせる、ウィルは今まで通りセシリアの護衛として怪しい動きがないか見ていてくれ」

「アンディはハックと態とに仲良くしていて何でもいいから情報を聞き出してくれ」

「「わかりました」」
俺とアンディは返事をした。

「影達は父上と母上にも張り付いてもしセシリアのことを庇って証拠を隠そうとしたら二人を軟禁しておいてくれ。あの二人はこの事件が解決したら塔にでも入れて幽閉してしまう。…………側妃達もまとめて一つの部屋に入れて死ぬまで暮らしてもらうのもいいかもしれない、父上もハーレムで楽しい残りの人生を送らせてあげよう」

俺は殿下の暗い底知れぬものを見てゾッとした。セシリア様とは違う怖さを持っている。

俺たちは部屋を出た。アンディとは棟は違うが同じ寮なので一緒に帰った。

「ウィルさん、なにが有っても必ず助けましょうね、アンナ様を。俺、あのあとも夢を見続けてほぼウィルさんと同じ記憶があります。どんなに酷かったかも分かっています。ウィルさんが牢に入れられて次は俺が狙われました。ヴィオラが狙われそうになったのも思い出しました、あんな悲惨なことになる前に必ずあの王女を排除しましょう」

俺は何人もの協力を得られたことに感謝しながらアンナが襲われる前日を迎えた。




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