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第2話
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「なあ、アンディ、ヴィオラ嬢と別れたのか?」
俺は暗い顔をしながら、同じ近衛騎士のハックを見て、溜息を吐いた。
「たぶん別れてはいないと思う。だが、手紙を出しても会ってはくれない」
「だろうな、王女の男娼様、愛人、婚約者がいるのに堂々と浮気する男なんだからな」
「ふざけるな!俺は何にもしていない!陛下だってご存知だ!団長だって知ってて助けてくれない!」
「陛下はセシリア様が可愛くて仕方がないから多少の我儘は許してしまうからな、団長も可愛い姪っ子の可愛い我儘だと笑って許してしまっているしな」
「なんで無理矢理付き合わされなきゃいけないんだ!俺の大切なヴィオラを失ったらどうしてくれるんだ!」
「まあ、怒るなよ、セシリア様の婚姻ももうすぐ決まるそうだ。それまでの辛抱だ、隣の国の国王と結婚すればこの国を出て行く事になるんだ。だから、二人ともアンディとセシリア様の噂を放っているんだと思う」
「そんなのそれこそ醜聞になるだろう」
「お前が堅物で絶対に王女に手を出さないのはみんな知っているし、隣の国の影も動いている」
「影が?」
「そうだ、だからお前と王女が何もないことは証明されている。王女にお前を充がっていれば他で馬鹿なことをしないからちょうどいいんだとさ」
「俺の一生はどうでもいいのか……せめてヴィオラに本当のことを伝えたい……」
「王女はプライドが高いからな。もし本当のことをヴィオラ嬢が知ったらヴィオラ嬢の命が危ないぞ」
「わかっている」
「団長はもしもの時のためにヴィオラにも影と護衛をつけてくれてはいるんだ。セシリア様は何をしでかすかわからないからな」
セシリア様は以前お気に入りの護衛騎士が自分以外の女性と付き合っていると聞いてその女性を襲わせた。その女性は見知らぬ男の子どもを身籠もり自殺した。
なのに陛下も団長も未だにセシリア様の我儘を笑って許している。
◇ ◇ ◇
セシリア様は今庭園の四阿で友人達とお茶会をしている。
俺たち近衞騎士は、周りで護衛中だ。
「ねえ、アンディ、ドレスの裾が汚れたみたいなの、見てちょうだい」
俺はすぐにセシリア様のところへ行き、
「誰か拭くものを」と、声をかけてさっさと側から離れた、
「貴方が拭くのよ!」
「わたしは騎士です。それは侍女の仕事です」
「わたしは貴方にお願いしているのよ」
これ以上セシリア様の言葉に逆らえば周りの騎士にも迷惑をかける。
俺は跪きドレスの裾を拭いた。
ほとんど汚れなどないのを分かっていて態とにしているセシリア様は俺の姿に満足して笑っていた。
周りの令嬢はキャーキャーと煩く騒いでいた。
「セシリア様愛されていらっしゃるのね」
(何がだ。愛などどこにもない)
「アンディ様にわたしも跪かれたいわ」
(誰がこんなことするか)
「アンディ、いつもありがとう」
俺を見てにっこりと微笑みお礼を言われたが、何がだ。
(勝手に思わせぶりなことを言いやがってまた誤解されて変な噂が立つだろう)
俺はムスッとしたまま立ち、頭を下げて離れた。
「アンディったら、いつもみたいに優しい顔をしてくれないのね、夜は素敵なのに」
(セシリア様はなにを言い出すんだ!)
俺はさらにイライラして言い返そうとしたが、周りの騎士に肩を掴まれ、首を振り「辞めておけ」と言われた。
(何故なんだ、コイツの所為でおれは、ヴィオラと会うことも出来ないんだ)
俺は震える拳をギュッと握り締めて耐えた。
その後もセシリア様は何かと俺に絡んできた。
俺は暗い顔をしながら、同じ近衛騎士のハックを見て、溜息を吐いた。
「たぶん別れてはいないと思う。だが、手紙を出しても会ってはくれない」
「だろうな、王女の男娼様、愛人、婚約者がいるのに堂々と浮気する男なんだからな」
「ふざけるな!俺は何にもしていない!陛下だってご存知だ!団長だって知ってて助けてくれない!」
「陛下はセシリア様が可愛くて仕方がないから多少の我儘は許してしまうからな、団長も可愛い姪っ子の可愛い我儘だと笑って許してしまっているしな」
「なんで無理矢理付き合わされなきゃいけないんだ!俺の大切なヴィオラを失ったらどうしてくれるんだ!」
「まあ、怒るなよ、セシリア様の婚姻ももうすぐ決まるそうだ。それまでの辛抱だ、隣の国の国王と結婚すればこの国を出て行く事になるんだ。だから、二人ともアンディとセシリア様の噂を放っているんだと思う」
「そんなのそれこそ醜聞になるだろう」
「お前が堅物で絶対に王女に手を出さないのはみんな知っているし、隣の国の影も動いている」
「影が?」
「そうだ、だからお前と王女が何もないことは証明されている。王女にお前を充がっていれば他で馬鹿なことをしないからちょうどいいんだとさ」
「俺の一生はどうでもいいのか……せめてヴィオラに本当のことを伝えたい……」
「王女はプライドが高いからな。もし本当のことをヴィオラ嬢が知ったらヴィオラ嬢の命が危ないぞ」
「わかっている」
「団長はもしもの時のためにヴィオラにも影と護衛をつけてくれてはいるんだ。セシリア様は何をしでかすかわからないからな」
セシリア様は以前お気に入りの護衛騎士が自分以外の女性と付き合っていると聞いてその女性を襲わせた。その女性は見知らぬ男の子どもを身籠もり自殺した。
なのに陛下も団長も未だにセシリア様の我儘を笑って許している。
◇ ◇ ◇
セシリア様は今庭園の四阿で友人達とお茶会をしている。
俺たち近衞騎士は、周りで護衛中だ。
「ねえ、アンディ、ドレスの裾が汚れたみたいなの、見てちょうだい」
俺はすぐにセシリア様のところへ行き、
「誰か拭くものを」と、声をかけてさっさと側から離れた、
「貴方が拭くのよ!」
「わたしは騎士です。それは侍女の仕事です」
「わたしは貴方にお願いしているのよ」
これ以上セシリア様の言葉に逆らえば周りの騎士にも迷惑をかける。
俺は跪きドレスの裾を拭いた。
ほとんど汚れなどないのを分かっていて態とにしているセシリア様は俺の姿に満足して笑っていた。
周りの令嬢はキャーキャーと煩く騒いでいた。
「セシリア様愛されていらっしゃるのね」
(何がだ。愛などどこにもない)
「アンディ様にわたしも跪かれたいわ」
(誰がこんなことするか)
「アンディ、いつもありがとう」
俺を見てにっこりと微笑みお礼を言われたが、何がだ。
(勝手に思わせぶりなことを言いやがってまた誤解されて変な噂が立つだろう)
俺はムスッとしたまま立ち、頭を下げて離れた。
「アンディったら、いつもみたいに優しい顔をしてくれないのね、夜は素敵なのに」
(セシリア様はなにを言い出すんだ!)
俺はさらにイライラして言い返そうとしたが、周りの騎士に肩を掴まれ、首を振り「辞めておけ」と言われた。
(何故なんだ、コイツの所為でおれは、ヴィオラと会うことも出来ないんだ)
俺は震える拳をギュッと握り締めて耐えた。
その後もセシリア様は何かと俺に絡んできた。
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