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39話
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今回のお話はかなり残酷な場面があります。
苦手な方は途中飛ばして読んでください。
よろしくお願いします。
◆ ◆ ◆
今日はいつもより王宮内が何故か騒がしい。
「どうしたのかしら?」
先輩達が怪訝な顔をして周囲を窺っている。
わたしも気になって周りを見回した。
何故か人が足早に行き来している。
「早く逃げろ!」
わたし達を見て騎士達が門の方へと指差した。
「何があったのですか?」
「数人の貴族が反乱を起こした。俺たちが食い止めている間に女達は逃げろ!」
「わたし達は騎士です。共に戦います」
わたし達は剣を握り、反乱軍へと向かった。
「行くな!」
それを無視して先輩たちと共に向かった場所は……血の海だった。
戦いは続いていた。
反乱を起こした貴族たちは、以前の王の臣下達で、現在苦渋を味わってきた者達が、現国王を倒そうとしているのだ。
向こうは死を覚悟しているだけに、剣に迷いがない。
守り一手のわたし達は、追い込まれていた。
わたしは命をかけた戦いなどしたことがなかった。
女騎士になりたいなんて簡単に思っていたけど、こんな簡単に命が消えていく様を見てわたしは震えていた。
それでも戦わなければ殺される。
わたしは男の人達に対して必死で戦った。
女だから簡単に殺れるだろうと思っているみたいでわたし達女騎士は、集中的に狙われた。
必死で剣を受け止めていたが、剣が擦り肩を斬られ、血が流れ出した。
痛いと言う感覚はない。
体が軽い。
このまま、戦いながら死んでいくのだろう。
何故か不思議に恐怖はない。
先輩達が近くで倒れていく。
そしてその体を引きずり、男達が先輩達の体を裸にして貪り始めた。
この戦いの中で、女を犯そうとする狂気。
わたしももうすぐあんなふうにされるのだろう。
あとどれくらいもつのかしら?
不思議にそれを受け入れている。
何故かこんな時に思い出すのはイアン様と過ごした時間。
いつも彼の背中を目で追って見続けていた。
恥ずかしくて彼の顔を正面から見ることができなくて。
わたしは彼に一度でも自分からぶつかって好きだと言ったことがあっただろうか?いつも彼の横に女性がいて、それを嫌だと、わたしが婚約者なのだからと、言ったことなどなかった。
年下のわたしのことなんか本気で相手にしてもらえないといつも下を向いてばかりだった。
本音で彼と話したことなどなかった。
そんなことを考えていたら……わたしの体の異変に気がついた。
次の剣を受けるのがもう最後だろう、わたしの肩の血は思った以上に流れ続けて力が入らなくなった。
あと少し……騎士として死にたい。
出来れば犯されて死にたくはない。
わたしは剣を捨てた。
相手がわたしの目の前で大きく腕を上げ、振り下ろそうとしていた。
ーーああ、わたしは死ぬのね
そして、わたしは……斬られた。
剣を捨てなければよかった。自分でもう一突きすれば一気に死ねたのに……まだ意識がある……
悔しい……男達がわたしの体を抱えて壁に連れていく。抵抗すらできない……服を切られているのがわかる……冷たい剣の先がわたしの素肌に当たり幾つもの傷ができている。
肩と胸から血が出ているのに男達はニヤニヤと笑いわたしの体を触り始めた。
ーーあー、力が入らない、抵抗すらできない、自死すらできないなんて……
わたしは血だらけで裸にされた。
数人の男がわたしの体を触る……
「やめろ!」
遠くから声が聞こえる。
ーー誰?こんな状況の中で他人を助ける余裕なんてみんなないはず……
わたしは目を開けることもできない……男達に弄ばれて死ぬだけ……
助かるはずがないし、助けられる人なんていないはず……
そしてそのまま意識を手放した。
◇ ◇ ◇
俺は数日王宮に留まり、上司と共に文官達と話をし、この国の今の在り方など教わり過ごした。
遠くからオリエの姿を一度だけ見ることがあった。
騎士服を着るオリエはどんな豪華なドレスを着たオリエよりも美しかった。
胸が締め付けられ何度も彼女のもとへ走り出しそうになった。
でも彼女は俺が今ここにいることは知らない。カイ殿がオリエには伝えないと言っていた。
俺がもし会いたいのなら伝えてくれていたのだろう。今更会って彼女を混乱させたくない……いや、言い訳だ。
彼女からの拒絶が怖いだけだ。
明日には帰ることになって、最後に王宮で文官達と話をしている時に、騒ぎが起きた。
「アルク国の皆様、急いで逃げてください」
「何が起きているのですか?」
「反乱が起きました!」
数人の騎士が俺たちを誘導して逃がそうとしてくれた。
「騎士は皆戦っているのですか?」
「はい、今、反乱者達と戦っております」
「女騎士は?」
「逃げろと言ったのに共に戦うと言って、ただいま応戦中です」
「剣はまだあるか?俺も応援に行く!」
「文官が戦えるわけないでしょう?」
騎士は俺を見て呆れ、バカにした。
「俺はずっと幼い頃より近衛騎士団長に鍛えられてきた。その辺の騎士よりも腕は確かだ。剣をくれ、オリエを一人で戦わせるなんて出来るか!」
「オリエ嬢の知り合いですか?」
「ああ、同じ国の者だ!」
俺は上司達と別れて騎士にオリエ達が戦っている場所へと連れて行ってもらった。
嫌な予感がする。
オリエはまだ戦っているのだろうか?
死ぬな、死なないでくれ!
俺はひたすら走った。
そしてついた場所は、血の海でいくつもの死体が転がっていた。
意識のあるものもいる。
しかし、そこにオリエはいない。
俺は敵の剣を受けながら、オリエを探した。
「オリエ!」
何度も大きな声を出した。
顔に血がついた騎士と反乱者。
狂気に満ちたこの場所にオリエは耐えられるのだろうか?
俺は必死でオリエを探し続けた。
ーーオリエ、死ぬな、どこにいるんだ?
ふと壁を見ると男達が数人で女を犯しているのが見えた。
なんだ?この戦いの中でなんてことをしているんだ。
女は抵抗出来ずにされるがままだった。
オリエではないことを確認して、ホッとする。
男達を後ろから斬りつけて殺した。
オリエもまさか?
俺は戦いながら犯されている女達を見て回る。
そして、今犯されているオリエを見つけた。
「オリエ!」
俺は夢中で男たちを斬った。
オリエは裸で血だらけになっていた。
近づくとまだ下着は履いていた。
そんなオリエを見てホッとしながら、意識のないオリエに俺の上着を掛けて抱き抱えて急ぎ他の部屋へと向かう。
「退いてくれ!手当てをしたいんだ!他の女性騎士達も助けてやってくれ!頼む!」
俺は周りにいた男達に声をかけた。
「わかった」
何人かが救護に向かった。
オリエは微かに息をしているが、ぐったりとした状態だ。
ーー助かるだろうか?
ーー死なないでくれ!
簡易的な救護室に入り、俺はその辺にある医療器具を寄せ集めた。
「医者はいるか?」
「今手が足りません!」
俺は一応医療の心得はある。
王太子としての教育には、自分で自分の命を守るために医術も覚えなければいけなかったからだ。
「オリエ、すまない、俺が治療をする。傷が残るかもしれない……だが命だけは助けるからな」
俺は止血して、麻酔を打ち、傷を縫う。
出血の割に深い傷ではなかった。致命傷ではなかったが、かなりの間血が流れていてこのままだと失血死をしていただろう。
今出来ることはとりあえずやった。
少しだけ呼吸が安定してきた。
そんな時「反乱軍を抑え込んだ!」「おわった、やったあ」と、声が聞こえてきた。
なんとか反乱者達を抑え込めたようだ。安定し始めたこの国も、まだまだ闇の部分があるようだ。
「オリエ!大丈夫か?」
慌てて来たのはカイ殿だった。
カイ殿はオリエを見て「すまない、オリエ達を逃すように命令したのに巻き込んでしまったんだな」と、オリエに謝っていた。
「カイ殿、オリエは逃げろと言われたのに自ら戦いに加わったらしいです」
「バカだな、オリエ。俺は陛下を守らなければいけない、お前を守ってやれなかった……すまなかった」
意識のないオリエにカイ殿は謝っていた。
苦手な方は途中飛ばして読んでください。
よろしくお願いします。
◆ ◆ ◆
今日はいつもより王宮内が何故か騒がしい。
「どうしたのかしら?」
先輩達が怪訝な顔をして周囲を窺っている。
わたしも気になって周りを見回した。
何故か人が足早に行き来している。
「早く逃げろ!」
わたし達を見て騎士達が門の方へと指差した。
「何があったのですか?」
「数人の貴族が反乱を起こした。俺たちが食い止めている間に女達は逃げろ!」
「わたし達は騎士です。共に戦います」
わたし達は剣を握り、反乱軍へと向かった。
「行くな!」
それを無視して先輩たちと共に向かった場所は……血の海だった。
戦いは続いていた。
反乱を起こした貴族たちは、以前の王の臣下達で、現在苦渋を味わってきた者達が、現国王を倒そうとしているのだ。
向こうは死を覚悟しているだけに、剣に迷いがない。
守り一手のわたし達は、追い込まれていた。
わたしは命をかけた戦いなどしたことがなかった。
女騎士になりたいなんて簡単に思っていたけど、こんな簡単に命が消えていく様を見てわたしは震えていた。
それでも戦わなければ殺される。
わたしは男の人達に対して必死で戦った。
女だから簡単に殺れるだろうと思っているみたいでわたし達女騎士は、集中的に狙われた。
必死で剣を受け止めていたが、剣が擦り肩を斬られ、血が流れ出した。
痛いと言う感覚はない。
体が軽い。
このまま、戦いながら死んでいくのだろう。
何故か不思議に恐怖はない。
先輩達が近くで倒れていく。
そしてその体を引きずり、男達が先輩達の体を裸にして貪り始めた。
この戦いの中で、女を犯そうとする狂気。
わたしももうすぐあんなふうにされるのだろう。
あとどれくらいもつのかしら?
不思議にそれを受け入れている。
何故かこんな時に思い出すのはイアン様と過ごした時間。
いつも彼の背中を目で追って見続けていた。
恥ずかしくて彼の顔を正面から見ることができなくて。
わたしは彼に一度でも自分からぶつかって好きだと言ったことがあっただろうか?いつも彼の横に女性がいて、それを嫌だと、わたしが婚約者なのだからと、言ったことなどなかった。
年下のわたしのことなんか本気で相手にしてもらえないといつも下を向いてばかりだった。
本音で彼と話したことなどなかった。
そんなことを考えていたら……わたしの体の異変に気がついた。
次の剣を受けるのがもう最後だろう、わたしの肩の血は思った以上に流れ続けて力が入らなくなった。
あと少し……騎士として死にたい。
出来れば犯されて死にたくはない。
わたしは剣を捨てた。
相手がわたしの目の前で大きく腕を上げ、振り下ろそうとしていた。
ーーああ、わたしは死ぬのね
そして、わたしは……斬られた。
剣を捨てなければよかった。自分でもう一突きすれば一気に死ねたのに……まだ意識がある……
悔しい……男達がわたしの体を抱えて壁に連れていく。抵抗すらできない……服を切られているのがわかる……冷たい剣の先がわたしの素肌に当たり幾つもの傷ができている。
肩と胸から血が出ているのに男達はニヤニヤと笑いわたしの体を触り始めた。
ーーあー、力が入らない、抵抗すらできない、自死すらできないなんて……
わたしは血だらけで裸にされた。
数人の男がわたしの体を触る……
「やめろ!」
遠くから声が聞こえる。
ーー誰?こんな状況の中で他人を助ける余裕なんてみんなないはず……
わたしは目を開けることもできない……男達に弄ばれて死ぬだけ……
助かるはずがないし、助けられる人なんていないはず……
そしてそのまま意識を手放した。
◇ ◇ ◇
俺は数日王宮に留まり、上司と共に文官達と話をし、この国の今の在り方など教わり過ごした。
遠くからオリエの姿を一度だけ見ることがあった。
騎士服を着るオリエはどんな豪華なドレスを着たオリエよりも美しかった。
胸が締め付けられ何度も彼女のもとへ走り出しそうになった。
でも彼女は俺が今ここにいることは知らない。カイ殿がオリエには伝えないと言っていた。
俺がもし会いたいのなら伝えてくれていたのだろう。今更会って彼女を混乱させたくない……いや、言い訳だ。
彼女からの拒絶が怖いだけだ。
明日には帰ることになって、最後に王宮で文官達と話をしている時に、騒ぎが起きた。
「アルク国の皆様、急いで逃げてください」
「何が起きているのですか?」
「反乱が起きました!」
数人の騎士が俺たちを誘導して逃がそうとしてくれた。
「騎士は皆戦っているのですか?」
「はい、今、反乱者達と戦っております」
「女騎士は?」
「逃げろと言ったのに共に戦うと言って、ただいま応戦中です」
「剣はまだあるか?俺も応援に行く!」
「文官が戦えるわけないでしょう?」
騎士は俺を見て呆れ、バカにした。
「俺はずっと幼い頃より近衛騎士団長に鍛えられてきた。その辺の騎士よりも腕は確かだ。剣をくれ、オリエを一人で戦わせるなんて出来るか!」
「オリエ嬢の知り合いですか?」
「ああ、同じ国の者だ!」
俺は上司達と別れて騎士にオリエ達が戦っている場所へと連れて行ってもらった。
嫌な予感がする。
オリエはまだ戦っているのだろうか?
死ぬな、死なないでくれ!
俺はひたすら走った。
そしてついた場所は、血の海でいくつもの死体が転がっていた。
意識のあるものもいる。
しかし、そこにオリエはいない。
俺は敵の剣を受けながら、オリエを探した。
「オリエ!」
何度も大きな声を出した。
顔に血がついた騎士と反乱者。
狂気に満ちたこの場所にオリエは耐えられるのだろうか?
俺は必死でオリエを探し続けた。
ーーオリエ、死ぬな、どこにいるんだ?
ふと壁を見ると男達が数人で女を犯しているのが見えた。
なんだ?この戦いの中でなんてことをしているんだ。
女は抵抗出来ずにされるがままだった。
オリエではないことを確認して、ホッとする。
男達を後ろから斬りつけて殺した。
オリエもまさか?
俺は戦いながら犯されている女達を見て回る。
そして、今犯されているオリエを見つけた。
「オリエ!」
俺は夢中で男たちを斬った。
オリエは裸で血だらけになっていた。
近づくとまだ下着は履いていた。
そんなオリエを見てホッとしながら、意識のないオリエに俺の上着を掛けて抱き抱えて急ぎ他の部屋へと向かう。
「退いてくれ!手当てをしたいんだ!他の女性騎士達も助けてやってくれ!頼む!」
俺は周りにいた男達に声をかけた。
「わかった」
何人かが救護に向かった。
オリエは微かに息をしているが、ぐったりとした状態だ。
ーー助かるだろうか?
ーー死なないでくれ!
簡易的な救護室に入り、俺はその辺にある医療器具を寄せ集めた。
「医者はいるか?」
「今手が足りません!」
俺は一応医療の心得はある。
王太子としての教育には、自分で自分の命を守るために医術も覚えなければいけなかったからだ。
「オリエ、すまない、俺が治療をする。傷が残るかもしれない……だが命だけは助けるからな」
俺は止血して、麻酔を打ち、傷を縫う。
出血の割に深い傷ではなかった。致命傷ではなかったが、かなりの間血が流れていてこのままだと失血死をしていただろう。
今出来ることはとりあえずやった。
少しだけ呼吸が安定してきた。
そんな時「反乱軍を抑え込んだ!」「おわった、やったあ」と、声が聞こえてきた。
なんとか反乱者達を抑え込めたようだ。安定し始めたこの国も、まだまだ闇の部分があるようだ。
「オリエ!大丈夫か?」
慌てて来たのはカイ殿だった。
カイ殿はオリエを見て「すまない、オリエ達を逃すように命令したのに巻き込んでしまったんだな」と、オリエに謝っていた。
「カイ殿、オリエは逃げろと言われたのに自ら戦いに加わったらしいです」
「バカだな、オリエ。俺は陛下を守らなければいけない、お前を守ってやれなかった……すまなかった」
意識のないオリエにカイ殿は謝っていた。
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