【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

たろ

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93話

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ブラッドとの話はわたしの中だけで終わらせることにした。

お父様やお兄様には伝えなかった。

もちろん約束通りレンス殿下にも伝えていない。

レンス殿下は今も理由を探している。

たぶんそれは自分が三つも記憶を持っているから……とても気になっているのだろう。

わたしは、学園で殿下にお会いすることもあるが、今は中等部と高等部に分かれているので昼食を共にすることもない。

挨拶程度でしか会話もないので、逆に黙っていることへの後ろめたさがないので助かっている。






今日、ノアが告白されているところに出会でくわした。

「ノア・バーグ様、好きです、お付き合いして頂けませんか?」
顔を真っ赤にしながら告白する女の子。
その姿が可愛らしくて微笑ましい。

わたしは偶々?ノアが呼び出された場所を、偶々その時間にカイラとエレンと通ったので、偶々遭遇した。

「ノアったら告白されて真っ赤になっているわ」

「ほんと、二人とも真っ赤だわ」

「ふふ、まだ寒いのに、春はもうすぐやってくるのかしら?」

私達は偶々見た光景に、これからの二人のことを勝手に想像しながら、上手くいくといいねと話した。

ノアは優しい。
彼の目鼻立ちはスッキリしていて格好良く、引き締まった顔は女の子にとても人気がある。

今までは女の子を拒んでいたが、最近は気兼ねなく話すようになっていた。

だから女の子も近寄りやすくなったのかもしれない。

私達の年頃になるとそろそろ婚約者や恋人を持つ人が増えてきている。

今は以前程、政略結婚は多くない。

貴族同士であれば自由恋愛も増えてきた。

もちろん平民と貴族の結婚も、今の陛下になってから法律も改正されて、出来ないことはない

だからお兄様達も結婚できたのだ。

まあ、でも、貴族としての教育を受けていないのに結婚をすると本人達がとても大変なので、まだまだ課題は多い。

お兄様達は恵まれていたのだと思う。

高等部に入りみんな少しずつ大人の仲間入りをして、恋をする者も増えてきた。

わたしは前回のクロード殿下との事があり、今のところ恋は出来ない。
と、みんなは思っているし、そう思わせている。

みんなには内緒だけど、ノアに二度告白されたのだが二度ともお断りした。

ノアのことはもちろん大好きだけど、あくまで友人として好きなだけで、恋愛ではない。

もしもクロード殿下の気持ちを受け入れる事が出来たならわたしの今はどう変わっていたのだろう。

ユシリス様とも今も仲良く過ごせたかもしれない。

今の殿下となら良い関係を築けたかもしれない。

わたしが素直に受け入れていれば……

でもそんな今はどこにもない。

わたしは彼を受け入れることは出来なかった。

そしてノアのことも友人以上に思えなかった。

だって、わたしにはどうしても探してしまう人がいる。

その気配を。

どこからか感じる視線を。

優しい声を。

わたしにだけ見せる彼の顔を見たくてわたしは少し我儘を言って彼を困らせる。

その時の彼の顔が大好きで、でも嫌われたくなくて、体調を崩しても我慢をして無理をする。

すると彼は

「エリーゼ様、我慢はしないでください」
と言って優しくわたしの額に手を置いて、熱を測ってくれる。
彼の手が触れられると、ドキッとして熱のせいなのか恥ずかしさからなのか、顔が熱ってしまうのを感じる。

こうしてわたしはいつの間にか新しい恋をしていた。

彼は男爵家の三男。

一応貴族だ。

でも彼はわたしなんかより優秀でかっこよくて年上で、わたしなんか相手にもしていない。

彼がたまに朝帰りするのも知っている。

(使用人達の噂だけど)

彼に何度か恋人がいた事があるのも聞いている。

(もちろん噂だけど)

26歳にして何もないなんてあるわけがない。

(本当は嫌だけど)

まだわたしの気持ちを彼は知らない。

(相手にしてもらえないから言えないだけ)

それでもわたしは彼が好きで、好きで、失恋するまでは好きでいたい。

子どもの頃は「影さん」と呼び、今はブラッドと呼んでいる、わたしの好きな人。




◆ ◆ ◆

いつも読んでいただきありがとうございます。
次回最終回になります。

その後、数話、番外編も書く予定です。

さあ、ラストスパート……この話は恋愛の話です。

恋愛はどこに?

なので最後は恋愛のお話っぽく終わらせるつもりです。

出来ているかな?わたし恋愛のお話書くのかなり下手みたいなので……


そして……

[わたしはお飾りの妻らしい。  
     ~16歳で継母になりました~]

新しい話しを書き始めました。

もしよければ読んでみてくださいね。






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