【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

たろ

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81話  五人のお茶会

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みんなと仲良く過ごしても、何か引っかかるものがあって、いつも何かわからないものを探していた。

それが多分レンス殿下。

そして今のユシリス様。

わたしはレンス殿下にお願いした。

「わたしは貴方と話したかったんです。わたしが知っているのは前回の人生の死ぬまで、そして刺される前の人生。今は変わりました。
とてもややこしい事になっています。
前回わたしやお父様、クロード殿下が死んだ後レンス殿下はどうやって生きたのですか?今回もレンス殿下はどんな思いだったのですか?」
わたしは泣きながら聞いた。

「すみません、聞いてはいけない辛い事なのはわかっているのです、でもわたしは知りたいのです。ユシリス様の貴方への仕打ちを考えると一番辛いのは貴方ですよね?」

わたしは初めて大泣きした。


レンス殿下は表情を変えず、遠くを見つめながらゆっくりと話し始めた。

「前回、お父様が病死、兄上が自殺、そして僕は国王になり宰相になったお祖父様の傀儡として……生きた。

お祖父様はこの国を好き勝手に自分の都合の良い玩具のように扱った。

そして国民は疲弊して、反乱が起きた。

お母様は、お父様が亡くなってからおかしくなった。

突然笑い出したり泣き叫んだりしたんだ。

そして気がつけば父に似た男達を愛人にして離宮で好き勝手に暮らし始めた。

国のことに興味がなく、僕やお祖父様のことなどどうでもよかったみたいだ。


僕は何も出来ずただお祖父様の言うことを聞くしかなかった。

あの時の僕は、力も能力も何もない、ただのお飾りの国王。

そして反乱の時に命を落とした。
僕はやっと解放されたんだ。

僕の前回の記憶はそこまで。

前回の記憶が蘇ったのは12歳になったばかりの頃。

そして今回はあの時のような事は起きない。

お祖父様達は処刑された。

みんなはまだ死んでいない。

お母様はおかしくなったけど、穏やかに生きている。

もう僕はそれだけで十分だった。

今回の人生は、お父様や兄上とも過ごすことができた。

お母様は、今幸せなのだと思う。

嫌な記憶を全て忘れて夢の中で僕を育てている。
多分本当は兄上のことも育てているんだと思う。
そうして僕は領地で静かに過ごしていた。

それなのに、エリーゼ様が刺されて意識を失ってから突然周りが変わり始めたんだ。

頭の中に新しいこれまでの記憶があらわれた。
なのにこの前までの記憶も残っているんだ。

マリーナ様はいつの間にか処刑されていたし、お祖父様であるニューベル公爵はずっと昔に死んでいた。今の僕のお祖父様とお祖母様は外国に住んでいて、父上とお母様は仲睦まじく暮らしているんだ。

僕はこの異常を頭の中で整理できなかった。

だから兄上に相談したんだ。

兄上が巻き戻っているのは行動でわかっていたからね。

兄上は、今生きているこの時が突然変わった事に驚いていたよ。
記憶が塗り変わるなんてあり得ないからね。

でもどうして僕だけ以前の記憶も残っているんだろう。
その答えを求めて王都に来たんだ。

エリーゼ様が巻き戻しも今回の記憶の塗り変わりも全てきっかけなんだと思ったからね。

そして今回の母上がおかしくなったのも、エリーゼ様がきっかけなんだ」

レンス殿下の言葉にわたしは何も言い返せなかった。





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