【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

たろ

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75話

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影さん……ブラッドは他の影と共に犯人であるユイナ・ミレーヌをすぐに追って捕まえた。

ユイナ・ミレーヌは、影たちを見て不敵な笑みを向けた。

「毒は何だ!早く答えろ!」

彼女は何も答えない。

「……………」
ただ不気味な笑顔を見せるだけ。

指を一本ボキッと折る。

彼女は一瞬痛みで顔を歪めたがそれでも何も言わない。

さらにもう一本、どんなに折ろうと悲鳴を上げない。

声を出そうとしない。

「いい加減に答えろ!」

左の指を全部折ると右の指に行く。流石に痛みが酷いのか声が出てきた。

「グッ……」
それでも答えようとしない。

仕方がないので、剣を持って来て腕に斬りつけた。

「グッ……うっ、うぅ……」

「次は腕を切り落とす。それでも吐かなければ足を切り落とす」

流石に痛みと恐怖でガタガタと震え出した。

動かない指を使いポケットから小瓶を出した。

それを影に渡そうとして顔を見た。

影が受け取ろうとした時、その毒の小瓶を彼女は自身にかけようとした。

それを素手で受け止めて、自分にかけてしまったのがブラッドだった。

自分にかかった毒を無視して、
「言え!次はお前の腕を切り落とすぞ」
と言いながら、首に剣の先を当てていた。

殺人のプロでもある影たちは、そさう言うと反対の腕を切りつけた。

「あっ、あぁ……い、痛い……」

「だったら毒の名前を言え!」

「あ……これは植物の ……」

「エリーゼ様のもとへ戻る」
ブラッドはふらつきながらも急ぎエリーゼの元へ向かった。

「これが毒の見本です、植物の毒でした、後よろしくおねが……」

それだけ言うとブラッド本人も倒れた。

エリーゼと同じように呼吸が荒く顔色も土色になってきた。

この毒は北部にある山に咲いている花で百合科の植物。この花は人を殺すためによく採取されるものだった。

毒入りの瓶を嗅いで、この花特有の匂いとユイナ・ミレーヌの自白により毒を断定出来た。

この花の解毒剤なら学園の医務室にも常備されていた。

エリーゼが一度毒で襲われて以来、エリーゼのために解毒剤や怪我の時の薬など公爵家からの寄付で定期的に送られて来ていた。

ジェフもスコットも、前回の処刑と今回のマリーナの誘拐と毒殺未遂の所為で常に慎重になっていたのが功を奏した。

ユイナ・ミレーヌは騎士団に引き渡されて地下牢入れられた。

エリーゼはそれから半年間目を覚ますことはなかった。

王宮内にある診療所の個室に入院してアンがお世話係として、この病室で過ごした。

ユンやミリアも学園が休みの時にアンと交代で世話をしていた。

ただ、エリーゼが目を覚ました時、エリーゼの記憶が混乱しているのとあまりの具合の悪さにしばらく面会謝絶にしたので、アンとジェフとスコット以外に病室に訪れる者はいなかった。

アンはエリーゼの前回のことも巻き戻ったことも話で聞いているので、エリーゼも安心して話す事が出来る。


ユンやミリアも細かくは知らないが多少は聞かされていた。
カイラやエレンは途中で記憶が蘇ったのだが、こちらも今はどうなったのか確認出来ていない。

この辺はまた学園に通い出してから少しずつ確認するしかないとエリーゼは思っている。


ブラッドは2ヶ月ほど生死の境を彷徨ったがなんとか意識を取り戻した。

ただ以前のように体を動かすことは出来なくなった。
そのため影として働くことは無理になり、執事見習いとして今は公爵家で再雇用された。


ユイナ・ミレーヌは、いまだに反省することなく牢に中で判決を待っているらしい。

どうしてみんな殿下を好きになり狂ってしまうのだろう。

わたしはそんな狂気の愛など要らない。

穏やかに過ごしていきたい。

クロード殿下もだから王位継承権の順位を下げて、南の領地へ行かれたのかもしれない。

静かに暮らしていかれるのだろう。

いつか体調が戻ったらユシリス様に会いに行こう。

今のわたしをまだ覚えていてくれたらいいのだけど……


















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