【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

たろ

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68話

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(く、苦しい………)

ユシリス様のそばに居る時はあんなに体が軽くて元気だったのに……


でもわたしはまだ生きているみたい。


そっと目を開けてみる……

瞼が重い……

目の前には真っ白な天井が見える。

(ここは何処?)

体を動かすのがキツイ……わたしはどれくらいの時間を向こうの世界で過ごしたのだろう。

今はどんな状態になっているの?

ユシリス様は今どうなったのだろう?

そういえばアンはどうなったの?

わたしはアンが死なないようにとしていたはず……

わたしを刺した人は?

全てがわからない。

全てが変わってしまったのだろうか?

声が出ない、部屋は静かで誰もいないようだ。

見覚えのない部屋だが、ここはどこかの病室のようだ。

わたしは病衣を着ている。

部屋は消毒の匂いがする。
何もないベッドと丸椅子とテーブルだけしかない。

「…………あ……だ……か……」
わたしは声を必死で出した。

誰かいませんか?

その一言が話せない。

喉が渇いた。

(お願いだから誰か水を………)



ガチャッ。

ドアを開けて誰かが入ってきた。

(アン!)

「…………ア………っ…」
アンが入ってきた。

わたしは必死で声を出した。
でもわたしの小さな声に気づいてもらえなかった。

アンはわたしに気づかずに部屋に入るとすぐに窓を開けて空気の入れ替えをしていた。

デーブルの上に置いてあるボールに水を入れて濡らしたタオルを絞っていた。

「エリーゼ様、体を拭きましょうね」
わたしを見たアンは

「エ、エリーゼ様?え?わたしがわかりますか?」

わたしはやっと気づいてもらえて

「……ア、アン……」
と言って頭をコクンと頷いた。

「エリーゼ様がお目覚めになった!誰か呼んでまいります、少しだけお待ちくださいね」

アンはわたしを見つめて涙をポロポロ流しながら、わたしの手をぎゅうっと握りしめた。

そして手を離すと走り去っていった。


しばらく待っていると、慌ててアンはお医者様らしき人を連れてきた。

「お目覚めになりましたか?」
と言ってわたしを診察してくれた。


「容態は今の所安定しております。ただ半年間眠り続けていましたから体を動かすのは難しいと思います。
ゆっくりならしていきましょう」
お医者様の言葉にわたしは驚いた。

ひと月ユシリス様と過ごしたはず。

なのに半年間?

「……アン…今は…い…つなの…?」

「今、12月です」

「そ…うな…の」

わたしは半年も意識を無くしていたらしい。



声も出にくく、体が重たいわたしは、誰かと話すことなく寝たり起きたりが3日ほど続いた。

その間、わたしに会いにきたのは、アンだけだった。

やっと話せるようになって、

「アン、聞きたいことが沢山あるの」

アンは、わたしが起きられるようになって

「はい、いくらでもお答えいたします」
と言ってくれた。

「ここは何処?」

「ここは王立病院です、エリーゼ様は毒のついたナイフで刺されてずっと意識を取り戻すことがありませんでした」

「……そうなの……アンがわたしのお世話をしてくれていたの?」

「病院なので看護師がいますのでわたしは偶に顔を出しに来ておりました」

「………どうしてお父様もお兄様もわたしに会いにきてくれないのかしら?」

「お二人は今領地の方へ行かれています。連絡はしておりますのであと数日でこちらに戻っておいでです」

「そうなの……」
わたしはまた以前のように捨て置かれた日々に戻るのかと思った。

意識を取り戻して会ったのが医者と看護師とアンだけ。

意識を取り戻す前と今、何処が変わってしまったのかまだ把握はできていない。

「領地で何かあったの?」

「はい、エリーゼ様が倒れている間に、領地の方で流行病が出て、その対応に追われてお二人はなかなかこちらに会いに来ることが出来ませんでした」

「………あ、そういえば……うん、そうね」
わたしは前回の時も、ちょうど13歳の冬の時期に流行病で高熱がでる病気が流行ったことを思い出した。

感染病で人によっては肺炎を起こして亡くなる人もいた。

今それが流行り出しているのだ。
前回の時も数ヶ月お父様とお兄様は屋敷に帰らずにいた。


「わかったわ、ところでわたしはどうして刺されたのかしら?犯人もよくわからないの……突然背中に痛みを感じて……教えて欲しいの」

わたしは、過去に戻ってユシリス様と会ったことで何かが変わったか知りたかった。












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