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51話
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わたしは魔石の映像を見終わって、何故か涙が出た。
昨日捕まった時点で、ユシリス様は陛下から離縁されている。
もちろん王家にとって醜聞でしかない、今回の事件。
今から貴族派の人達は、何かしら関わった人達は炙り出されて、なんらかの刑罰を受けることになるだろう。
わたしは疲れたので、一人にさせてもらった。
吐き気がするような話を聞いて、また寝込むことになった。
だったら聞くなよと自分でも思ったが、知らないで過ごすよりも知って、これからのことも考えて行きたいと思った。
院長先生はどうするのだろう。
わたしは、体調が戻るまではとりあえずここに居させて貰って、そのあと孤児院に戻りたいが、わたしが戻れば、貴族令嬢がいることが噂で流れてしまっているので、迷惑をかけてしまう可能性がある。
ぼんやりした頭で、
「もう一度新しいエリーゼとして生きて行きたい」
と、呟いた。
それから数日は、ベッドから出られなかった。
ユンとミリアは毎日わたしの部屋に顔を出してくれた。
でももうすぐこの屋敷を出て、孤児院に戻ることになる。
「ねえ、リゼ。リゼは本当は貴族のお嬢様なんだからわたし達なんかと仲良くしないで王立学園に通って素敵な人と出会って奥様になる人なのよね。
わたし、でもね、リゼと一緒にいたいの。
リゼ、我儘なのはわかっているの。でもわたしをここでメイド見習いとして働かせてくれないかな?」
ユンの話に驚いていると、
「わたしも働きたい。ここにいる間、メイドさん達のお手伝いを少しだけどさせて貰っていたの。みんな優しくて親切だったの。
わたし働くならここがいい。リゼのことちゃんとお嬢様と呼ぶから!」
ミリアも言い出した。
わたしは二人の顔を思わず見つめていた。
「ねえ?やっぱりわたし達孤児がこんな素敵なお屋敷で働きたいなんて厚かまし過ぎた?」
「ち、違うの!もうすぐみんなとお別れしないといけないと思っていて寂しくて悲しかったの!なのに二人がそばに居てくれるって言ってくれたから、驚いてしまったの」
「ほんと?」
「うん、だってみんなはわたしの家族だから。でもわたしが孤児院に戻るとまた何かの犯罪に巻き込まれてしまうかもしれない。だからわたしはもう戻れない。それが辛くて寂しくて、ずっと落ち込んでいたの」
わたしは涙がポロポロ溢れた。
そう、わたしの大事な家族。
泣くことも怒ることも、大声で笑うこともここで教えて貰ったの。
わたしは、お父様に初めてのお強請りをすることにした。
そして、二年半後の13歳。
わたしは王立学園の中等部に入学する。
寮に入ることも考えたが、ユンやミリア、アンと離れるのが嫌だったので、屋敷から通うことにした。
ユンとミリアはわたしのメイド見習いとして公爵家で働き始めた。
お父様に初めてのお強請りをしたら、すぐに許可がおりた。
ついでに侍従見習いに何人かも雇ってもらった。
ついでに公爵家の騎士見習いとしても何人か雇ってもらった。
二人は3時まではメイドとして働き、そのあとはわたしと一緒に勉強をした。
二人は元々頭が良くて、孤児院では率先して勉強をしていた。そしてみんなに教えていたのだ。
二人をわたしと同じ王立学園に入れるためだ。
王立学園は貴族の子が多いが、成績さえ良ければ平民も特別枠で入学することが出来る。
もちろん、学費は特別枠なので国からの補助があり無料で通える。
そして二人は、特別枠を勝ち取った。
もちろんわたしも入学試験1位を取って、入学を決めた。
巻き戻しているので、知識はみんなよりかなり高め!当たり前だけど。
そして明日は入学式!
◇ ◇ ◇
2年半前の誘拐、殺人未遂事件のこと……
やっと今頃だが、判決が出た。
あまりの罪の多さと関わった人達が多数だったので、調べるのに1年と8ヶ月もの時間がかかった。
ニューベル公爵とハウエル公爵は、全ての罪を暴かれて即刻、処刑された。
マリーナ様は、捕まってからすぐに北にある厳しいと有名な修道院に入れられている。
そして判決は、未成年と言うこともあり、16歳の成人(あと半年後)になると、36歳の辺境伯の後妻になる事が決まった。
辺境伯夫人、聞こえはいいが、そこの領地からは一生出ることは出来ず社交界に顔を出すこともない。
子どもを産むことが彼女の仕事となる。
辺境地なので人が少ない場所のため、沢山の子どもを求められている。
前妻に、5人の子どもがいるが、更にあと5人は必要だと言われている。
大人しく妻をすれば幸せになれるかもしれない。でも欲望の強い彼女には、辺境地は何もなく辛い日々になりそうだ。しかも自分の父親と変わらない年の旦那様。
マリーナ様のヒステリックな姿が今から浮かんでくる。
そして、ユシリス様は、離縁され父親は処刑され、愛するレンス王子と離れ離れになった。
今は、ある精神病院の個室に入って死ぬまで余生を過ごすことになった。
レンス王子と離れた頃は泣き叫び、突然笑い出したりと、精神的におかしくなっていたが、今は人形を抱えて、お世話をして過ごしているらしい。
「レンス」と言いながら、人形を毎日お世話している姿は、とても幸せそうで、もう辛いことがなくなったユシリス様は、穏やかな顔で過ごしているとお父様が教えてくれた。
もし、ニューベル公爵が父親でなければ、普通の令嬢として、生きていけたのに……わたしは処刑で済んだニューベル公爵にとても腹が立った。
あの処刑された二人は、
「自分達は無罪だ」
「何故わたし達が捕まらないといけないのか」
「わたしは公爵なんだ。どんなことをしても罪にはならない」
「覚えておけ!わたしが無罪になったらお前たち、みんな痛い目に遭わせるからな!」
など、暴言を吐きまくって、最後まで一切反省しなかった。
両公爵家はお家取り潰しになった。
調べてみると、息子や親戚たちも一緒になって、詐欺や娼館経営、大人を騙し子どもたちを娼館に入れたりと、かなり悪どいことをしていたらしい。
そしてみんな纏めて、マリーナ様の嫁ぐ辺境地で、鉱山の採掘の仕事に就くことになった。
寒さと重労働で、多分辛いキツい毎日を送ることになると思う。
監視の人がいるので逃げる事は出来ない。
というか、山奥の鉱山なので、逃げれば迷い、死ぬしかない場所。
そして…….
◆ ◆ ◆
すみません、まだ長くなりそうなので次に続きます。
昨日捕まった時点で、ユシリス様は陛下から離縁されている。
もちろん王家にとって醜聞でしかない、今回の事件。
今から貴族派の人達は、何かしら関わった人達は炙り出されて、なんらかの刑罰を受けることになるだろう。
わたしは疲れたので、一人にさせてもらった。
吐き気がするような話を聞いて、また寝込むことになった。
だったら聞くなよと自分でも思ったが、知らないで過ごすよりも知って、これからのことも考えて行きたいと思った。
院長先生はどうするのだろう。
わたしは、体調が戻るまではとりあえずここに居させて貰って、そのあと孤児院に戻りたいが、わたしが戻れば、貴族令嬢がいることが噂で流れてしまっているので、迷惑をかけてしまう可能性がある。
ぼんやりした頭で、
「もう一度新しいエリーゼとして生きて行きたい」
と、呟いた。
それから数日は、ベッドから出られなかった。
ユンとミリアは毎日わたしの部屋に顔を出してくれた。
でももうすぐこの屋敷を出て、孤児院に戻ることになる。
「ねえ、リゼ。リゼは本当は貴族のお嬢様なんだからわたし達なんかと仲良くしないで王立学園に通って素敵な人と出会って奥様になる人なのよね。
わたし、でもね、リゼと一緒にいたいの。
リゼ、我儘なのはわかっているの。でもわたしをここでメイド見習いとして働かせてくれないかな?」
ユンの話に驚いていると、
「わたしも働きたい。ここにいる間、メイドさん達のお手伝いを少しだけどさせて貰っていたの。みんな優しくて親切だったの。
わたし働くならここがいい。リゼのことちゃんとお嬢様と呼ぶから!」
ミリアも言い出した。
わたしは二人の顔を思わず見つめていた。
「ねえ?やっぱりわたし達孤児がこんな素敵なお屋敷で働きたいなんて厚かまし過ぎた?」
「ち、違うの!もうすぐみんなとお別れしないといけないと思っていて寂しくて悲しかったの!なのに二人がそばに居てくれるって言ってくれたから、驚いてしまったの」
「ほんと?」
「うん、だってみんなはわたしの家族だから。でもわたしが孤児院に戻るとまた何かの犯罪に巻き込まれてしまうかもしれない。だからわたしはもう戻れない。それが辛くて寂しくて、ずっと落ち込んでいたの」
わたしは涙がポロポロ溢れた。
そう、わたしの大事な家族。
泣くことも怒ることも、大声で笑うこともここで教えて貰ったの。
わたしは、お父様に初めてのお強請りをすることにした。
そして、二年半後の13歳。
わたしは王立学園の中等部に入学する。
寮に入ることも考えたが、ユンやミリア、アンと離れるのが嫌だったので、屋敷から通うことにした。
ユンとミリアはわたしのメイド見習いとして公爵家で働き始めた。
お父様に初めてのお強請りをしたら、すぐに許可がおりた。
ついでに侍従見習いに何人かも雇ってもらった。
ついでに公爵家の騎士見習いとしても何人か雇ってもらった。
二人は3時まではメイドとして働き、そのあとはわたしと一緒に勉強をした。
二人は元々頭が良くて、孤児院では率先して勉強をしていた。そしてみんなに教えていたのだ。
二人をわたしと同じ王立学園に入れるためだ。
王立学園は貴族の子が多いが、成績さえ良ければ平民も特別枠で入学することが出来る。
もちろん、学費は特別枠なので国からの補助があり無料で通える。
そして二人は、特別枠を勝ち取った。
もちろんわたしも入学試験1位を取って、入学を決めた。
巻き戻しているので、知識はみんなよりかなり高め!当たり前だけど。
そして明日は入学式!
◇ ◇ ◇
2年半前の誘拐、殺人未遂事件のこと……
やっと今頃だが、判決が出た。
あまりの罪の多さと関わった人達が多数だったので、調べるのに1年と8ヶ月もの時間がかかった。
ニューベル公爵とハウエル公爵は、全ての罪を暴かれて即刻、処刑された。
マリーナ様は、捕まってからすぐに北にある厳しいと有名な修道院に入れられている。
そして判決は、未成年と言うこともあり、16歳の成人(あと半年後)になると、36歳の辺境伯の後妻になる事が決まった。
辺境伯夫人、聞こえはいいが、そこの領地からは一生出ることは出来ず社交界に顔を出すこともない。
子どもを産むことが彼女の仕事となる。
辺境地なので人が少ない場所のため、沢山の子どもを求められている。
前妻に、5人の子どもがいるが、更にあと5人は必要だと言われている。
大人しく妻をすれば幸せになれるかもしれない。でも欲望の強い彼女には、辺境地は何もなく辛い日々になりそうだ。しかも自分の父親と変わらない年の旦那様。
マリーナ様のヒステリックな姿が今から浮かんでくる。
そして、ユシリス様は、離縁され父親は処刑され、愛するレンス王子と離れ離れになった。
今は、ある精神病院の個室に入って死ぬまで余生を過ごすことになった。
レンス王子と離れた頃は泣き叫び、突然笑い出したりと、精神的におかしくなっていたが、今は人形を抱えて、お世話をして過ごしているらしい。
「レンス」と言いながら、人形を毎日お世話している姿は、とても幸せそうで、もう辛いことがなくなったユシリス様は、穏やかな顔で過ごしているとお父様が教えてくれた。
もし、ニューベル公爵が父親でなければ、普通の令嬢として、生きていけたのに……わたしは処刑で済んだニューベル公爵にとても腹が立った。
あの処刑された二人は、
「自分達は無罪だ」
「何故わたし達が捕まらないといけないのか」
「わたしは公爵なんだ。どんなことをしても罪にはならない」
「覚えておけ!わたしが無罪になったらお前たち、みんな痛い目に遭わせるからな!」
など、暴言を吐きまくって、最後まで一切反省しなかった。
両公爵家はお家取り潰しになった。
調べてみると、息子や親戚たちも一緒になって、詐欺や娼館経営、大人を騙し子どもたちを娼館に入れたりと、かなり悪どいことをしていたらしい。
そしてみんな纏めて、マリーナ様の嫁ぐ辺境地で、鉱山の採掘の仕事に就くことになった。
寒さと重労働で、多分辛いキツい毎日を送ることになると思う。
監視の人がいるので逃げる事は出来ない。
というか、山奥の鉱山なので、逃げれば迷い、死ぬしかない場所。
そして…….
◆ ◆ ◆
すみません、まだ長くなりそうなので次に続きます。
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