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46話
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ミリアとユンと三人で穏やかに過ごしていると
「お嬢様ぁ~」
と泣きながらアンが抱きついて来た。
「アン、久しぶりね」
アンと会うのは半年ぶりになる。
偶に孤児院に顔を出してくれていたが、最近は会えていなかった。
「お嬢様、お身体はキツくないですか?こんなに痩せてしまって」
わたしの手を握りしめて、ぽろぽろ涙を流してくれた。
アンのおかげで今回のやり直しをなんとか頑張れた。
わたしの心の支えになった姉のような人だ。
「アン、泣かないで。わたしゆっくりしている訳にはいかなかったの。お父様かお兄様はいらっしゃる?」
「旦那様もスコット様も急用で王宮に呼ばれています。お昼までは居たのですが……」
わたしがまた寂しがると思って辛そうに言ってくれた。
アンに説明することは出来ない。
たぶん今回の事件のことで、陛下と殿下に呼ばれたのだろう。
「ねえ?わたしが着ていたドレスはどうしたかしら?」
「旦那様がお借りした大事なドレスだと仰って、王宮に持って行かれました」
アンは何故汚れたドレスを王宮に持っていかなければいけないのか意味が分からず怒っていた。
「そう、大事なドレスなの。王宮に持って行ってくれてよかったわ」
わたしが安心した顔をしたので、アンは納得出来そうもない、なんとも言えない顔をしていた。
6歳までのわたしへの態度を身近で見てきたアンからすると、お父様の行動は不可解で腹が立つ行為なんだろう。
(アン、ありがとう。貴女が怒ってくれるからわたしは今まで壊れないで生きてこれたの)
わたしは前回の時、アンに守られていたことを思い出した。
だから、前回アンが死んだ時わたしは悲しかったはず。なのにその悲しいという感情も上手く表現できなくて、ただぽっかり空いた胸の中、どうすればいいのかわからなかった。
今なら思い出して、泣いたり悲しんだり出来たのにあの頃は、それすらも分からなくて出来なかった。
大好きなアン、今回は死なせないわ。
貴女を死から守ってみせるわ。
わたしが13歳の時にアンは死ぬのだ。
わたしを庇って、代わりに刺された。
あの時は、アンが目の前でわたしを庇って男に刺されて死んだ。そのショックで当日のことを忘れていた。今アンがわたしを抱きしめて泣いているのを見て思い出した。
あの時もわたしを抱きしめて代わりに刺されたんだった。
わたしはその時呆然と立ち尽くし、立ったままアンに抱きしめられて泣いた。
アンはわたしに笑顔で
「お嬢様泣かないでください。貴女を守れてよかった」
と言ってそのまま亡くなったのだ。
どうして忘れていたのだろう。
わたしの大切なアンの死の真相を。
巻き戻った日、わたしは確かにアンが生きていたことに驚いた。
『だってわたしが知るアンは(わたしが死ぬ)3年前に亡くなったはず。
それにまだ15、6歳に見える。アンが若い!』
と、思ったのに、それ以外の違和感すら感じなかった。あの頃はアンが死んだことしか覚えていない。どうして死んだか思い出したのはたったの今だった。
「わたし、王宮にいるお父様に会いに行きたい」
「お嬢様、今日はもう夜です。明日の朝旦那様にお会いしたら如何ですか?」
「そうね、明日の朝、お父様にお会いしたいと伝えて貰えるかしら?」
「はい、必ずお伝えします」
ユンとミリアは、気を使ってもう部屋から出て行っていた。
わたしはスープを半分くらい食べてもうお腹いっぱいになっていた。
まだ身体がだるいのは、毒薬の所為なのか。
目を閉じるとそのまま寝てしまいそうになる。
まだ考えないといけないことがいっぱいある。
マリーナ様や皇后様のこと。
アンの死んだ時の真相、お父様は知っているはず。
殿下やお父様とこれからどう向き合うか。
孤児院での生活をどうするか。
弱った身体で考えるには難し過ぎて、わたしはすぐに意識を手放してしまった。
深夜お父様とお兄様が、屋敷に帰ってきてわたしの部屋に入り、朝方までそばに居てくれたことをわたしは知らない。
二人の不器用な愛情を知るのはまだ先の事。
「お嬢様ぁ~」
と泣きながらアンが抱きついて来た。
「アン、久しぶりね」
アンと会うのは半年ぶりになる。
偶に孤児院に顔を出してくれていたが、最近は会えていなかった。
「お嬢様、お身体はキツくないですか?こんなに痩せてしまって」
わたしの手を握りしめて、ぽろぽろ涙を流してくれた。
アンのおかげで今回のやり直しをなんとか頑張れた。
わたしの心の支えになった姉のような人だ。
「アン、泣かないで。わたしゆっくりしている訳にはいかなかったの。お父様かお兄様はいらっしゃる?」
「旦那様もスコット様も急用で王宮に呼ばれています。お昼までは居たのですが……」
わたしがまた寂しがると思って辛そうに言ってくれた。
アンに説明することは出来ない。
たぶん今回の事件のことで、陛下と殿下に呼ばれたのだろう。
「ねえ?わたしが着ていたドレスはどうしたかしら?」
「旦那様がお借りした大事なドレスだと仰って、王宮に持って行かれました」
アンは何故汚れたドレスを王宮に持っていかなければいけないのか意味が分からず怒っていた。
「そう、大事なドレスなの。王宮に持って行ってくれてよかったわ」
わたしが安心した顔をしたので、アンは納得出来そうもない、なんとも言えない顔をしていた。
6歳までのわたしへの態度を身近で見てきたアンからすると、お父様の行動は不可解で腹が立つ行為なんだろう。
(アン、ありがとう。貴女が怒ってくれるからわたしは今まで壊れないで生きてこれたの)
わたしは前回の時、アンに守られていたことを思い出した。
だから、前回アンが死んだ時わたしは悲しかったはず。なのにその悲しいという感情も上手く表現できなくて、ただぽっかり空いた胸の中、どうすればいいのかわからなかった。
今なら思い出して、泣いたり悲しんだり出来たのにあの頃は、それすらも分からなくて出来なかった。
大好きなアン、今回は死なせないわ。
貴女を死から守ってみせるわ。
わたしが13歳の時にアンは死ぬのだ。
わたしを庇って、代わりに刺された。
あの時は、アンが目の前でわたしを庇って男に刺されて死んだ。そのショックで当日のことを忘れていた。今アンがわたしを抱きしめて泣いているのを見て思い出した。
あの時もわたしを抱きしめて代わりに刺されたんだった。
わたしはその時呆然と立ち尽くし、立ったままアンに抱きしめられて泣いた。
アンはわたしに笑顔で
「お嬢様泣かないでください。貴女を守れてよかった」
と言ってそのまま亡くなったのだ。
どうして忘れていたのだろう。
わたしの大切なアンの死の真相を。
巻き戻った日、わたしは確かにアンが生きていたことに驚いた。
『だってわたしが知るアンは(わたしが死ぬ)3年前に亡くなったはず。
それにまだ15、6歳に見える。アンが若い!』
と、思ったのに、それ以外の違和感すら感じなかった。あの頃はアンが死んだことしか覚えていない。どうして死んだか思い出したのはたったの今だった。
「わたし、王宮にいるお父様に会いに行きたい」
「お嬢様、今日はもう夜です。明日の朝旦那様にお会いしたら如何ですか?」
「そうね、明日の朝、お父様にお会いしたいと伝えて貰えるかしら?」
「はい、必ずお伝えします」
ユンとミリアは、気を使ってもう部屋から出て行っていた。
わたしはスープを半分くらい食べてもうお腹いっぱいになっていた。
まだ身体がだるいのは、毒薬の所為なのか。
目を閉じるとそのまま寝てしまいそうになる。
まだ考えないといけないことがいっぱいある。
マリーナ様や皇后様のこと。
アンの死んだ時の真相、お父様は知っているはず。
殿下やお父様とこれからどう向き合うか。
孤児院での生活をどうするか。
弱った身体で考えるには難し過ぎて、わたしはすぐに意識を手放してしまった。
深夜お父様とお兄様が、屋敷に帰ってきてわたしの部屋に入り、朝方までそばに居てくれたことをわたしは知らない。
二人の不器用な愛情を知るのはまだ先の事。
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