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32話
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殿下に部屋に連れて帰ってもらったらいつもの騎士さんが慌ててやってきた。
「どうされたのですか?」
「うん、ちょっとジュースを頭から被っちゃって、へへへ」と笑うしかなかった。
「侍女を呼んで来ます」
騎士さんが慌てて呼びに行ってくれたのでわたしは部屋に入り、お風呂を洗い始めた。
「何をしているんだ?」
「頭からジュースをかぶったのでお風呂に入りたいので掃除をしています」
「君がすることではないだろう?」
「普通の公爵令嬢はしませんがわたしは孤児院にいたのでこれが普通です」
そう言うと殿下はまたなんとも言えない困った顔になった。
わたしは殿下のこの顔がとても嫌いだ。
何故かイラッとしてしまう。
わたしは殿下を無視して掃除をした。終わるとバスタブにお湯を溜め出した。
そんなことをしていたら侍女が二人慌ててやってきて
「エリーゼ様、遅くなって申し訳ありません」
と部屋に入ってくると殿下がいるのを見て驚いていた。
「クロード王子、失礼致しました」
二人は殿下に頭を下げたまま。
殿下は「頭を上げて、今は気にしないで急いでエリーゼにしてあげて」と言った。
「かしこまりました」
侍女の二人はどうして殿下がいるのか不思議そうにしながらも慌ててお風呂場へ行った。
「あ、お風呂なら今溜めているから大丈夫よ」
と言うと、驚かれてしまった。
「エリーゼ様がされたのですか?」
「そうよ。早くお風呂に入りたかったの」
わたしは殿下に頭を下げて
「ではこれで失礼致します」
と言って殿下を部屋の外に出てもらうように促した。
「ごめん、後でまた来るよ」
殿下は真っ赤になって慌てて出て行ってくれた。
「お茶会はどうしますか?」
侍女に聞かれた。
「もう今日はこれでお終いにするわ」
わたしはドレスから普段用のワンピースに着替えた。
孤児院にいた所為か、ドレスは窮屈なので王宮内では一応ドレスに近い高級品のワンピースを着ている。
本当は令嬢なのでいつもドレスなのだろうけど、誰にも会わない時はこれで十分だと思っている。
王宮に来て早2ヶ月。
みんなはどうしているのだろう。
会いたい。
院長先生は、偶に護衛に守られながら孤児院へ行っているようだが、わたしはついて行く許可はまだおりない。
「クロード王子が来られました」
騎士さんから声が掛かった。
「どうぞお入りください」
殿下と一緒にカイラとエレンも入ってきた。
「さっきはわたしの代わりにジュースをかけられてごめんなさい」
カイラはわたしを見るなり謝ってきた。
「違うわ、わたしが勝手に前に立ったの。カイラは何もしていないわ」
カイラがシュンとしていたのでわたしは笑顔で言った。
「あの堅苦しいお茶会からさっさと帰れて、わたしはホッとしているわ。
マリーナ様は子どもの時からあんな性格なのね」
わたしが渋い顔をして二人を見ると、
「あんなに激しいところは初めて見たわ。普段の彼女は静かで大人しいのよ」
「ええ。わたしもあんなに敵意剥き出しで話すの初めて見たわ」
わたしは前回の時にマリーナ様に会ったのは殿下と仲良くなってからだったのであまりよく知らない。
今回はマリーナ様は子どものお茶会によく顔を出しているみたいだ。
彼女にはもう会いたくない。
懲り懲りだと思っていたら、院長先生が会いに来た。
「エリーゼ、お茶会はどうだったかしら?」
「散々でした。マリーナ様には席についた途端絡まれました。カイラにジュースをかけようとしたので庇ってわたしがかけられたのですが、彼女は謝ることもなく帰って行きました」
「そうなの………わたしが聞いた噂とは違うわね」
「噂?」
「マリーナさんは、とても大人しくて聡明な子だと聞いていたの。だから今貴女と出会えば、いい関係を気づいて未来で貴女を処刑するなどしないと思ったの。王子との関係はこれからだから二人がどうなるかはわからないわ。前回と同じ愛し会うかもしれないしね。そこは関与しないけど」
「僕はマリーナのことは愛しておりません。今回も彼女と結婚なんてしません、あり得ません」
殿下は先生の言葉に必死で反論していた。
わたしは別にそれに関してはどうでもいいのだけど。
「マリーナ様は普段先生のおっしゃる通り大人しくて今日みたいな態度を取る子ではありませんでした」
「わたしもそう思います。突然人が変わったように思えます」
「………もしかして記憶が戻ったのか、巻き戻った?」
わたしがボソッと言うと
「うん、どちらかかもしれないわ」
エレンも頷いた。
わたし達はとりあえず様子を見ることにした。
「どうされたのですか?」
「うん、ちょっとジュースを頭から被っちゃって、へへへ」と笑うしかなかった。
「侍女を呼んで来ます」
騎士さんが慌てて呼びに行ってくれたのでわたしは部屋に入り、お風呂を洗い始めた。
「何をしているんだ?」
「頭からジュースをかぶったのでお風呂に入りたいので掃除をしています」
「君がすることではないだろう?」
「普通の公爵令嬢はしませんがわたしは孤児院にいたのでこれが普通です」
そう言うと殿下はまたなんとも言えない困った顔になった。
わたしは殿下のこの顔がとても嫌いだ。
何故かイラッとしてしまう。
わたしは殿下を無視して掃除をした。終わるとバスタブにお湯を溜め出した。
そんなことをしていたら侍女が二人慌ててやってきて
「エリーゼ様、遅くなって申し訳ありません」
と部屋に入ってくると殿下がいるのを見て驚いていた。
「クロード王子、失礼致しました」
二人は殿下に頭を下げたまま。
殿下は「頭を上げて、今は気にしないで急いでエリーゼにしてあげて」と言った。
「かしこまりました」
侍女の二人はどうして殿下がいるのか不思議そうにしながらも慌ててお風呂場へ行った。
「あ、お風呂なら今溜めているから大丈夫よ」
と言うと、驚かれてしまった。
「エリーゼ様がされたのですか?」
「そうよ。早くお風呂に入りたかったの」
わたしは殿下に頭を下げて
「ではこれで失礼致します」
と言って殿下を部屋の外に出てもらうように促した。
「ごめん、後でまた来るよ」
殿下は真っ赤になって慌てて出て行ってくれた。
「お茶会はどうしますか?」
侍女に聞かれた。
「もう今日はこれでお終いにするわ」
わたしはドレスから普段用のワンピースに着替えた。
孤児院にいた所為か、ドレスは窮屈なので王宮内では一応ドレスに近い高級品のワンピースを着ている。
本当は令嬢なのでいつもドレスなのだろうけど、誰にも会わない時はこれで十分だと思っている。
王宮に来て早2ヶ月。
みんなはどうしているのだろう。
会いたい。
院長先生は、偶に護衛に守られながら孤児院へ行っているようだが、わたしはついて行く許可はまだおりない。
「クロード王子が来られました」
騎士さんから声が掛かった。
「どうぞお入りください」
殿下と一緒にカイラとエレンも入ってきた。
「さっきはわたしの代わりにジュースをかけられてごめんなさい」
カイラはわたしを見るなり謝ってきた。
「違うわ、わたしが勝手に前に立ったの。カイラは何もしていないわ」
カイラがシュンとしていたのでわたしは笑顔で言った。
「あの堅苦しいお茶会からさっさと帰れて、わたしはホッとしているわ。
マリーナ様は子どもの時からあんな性格なのね」
わたしが渋い顔をして二人を見ると、
「あんなに激しいところは初めて見たわ。普段の彼女は静かで大人しいのよ」
「ええ。わたしもあんなに敵意剥き出しで話すの初めて見たわ」
わたしは前回の時にマリーナ様に会ったのは殿下と仲良くなってからだったのであまりよく知らない。
今回はマリーナ様は子どものお茶会によく顔を出しているみたいだ。
彼女にはもう会いたくない。
懲り懲りだと思っていたら、院長先生が会いに来た。
「エリーゼ、お茶会はどうだったかしら?」
「散々でした。マリーナ様には席についた途端絡まれました。カイラにジュースをかけようとしたので庇ってわたしがかけられたのですが、彼女は謝ることもなく帰って行きました」
「そうなの………わたしが聞いた噂とは違うわね」
「噂?」
「マリーナさんは、とても大人しくて聡明な子だと聞いていたの。だから今貴女と出会えば、いい関係を気づいて未来で貴女を処刑するなどしないと思ったの。王子との関係はこれからだから二人がどうなるかはわからないわ。前回と同じ愛し会うかもしれないしね。そこは関与しないけど」
「僕はマリーナのことは愛しておりません。今回も彼女と結婚なんてしません、あり得ません」
殿下は先生の言葉に必死で反論していた。
わたしは別にそれに関してはどうでもいいのだけど。
「マリーナ様は普段先生のおっしゃる通り大人しくて今日みたいな態度を取る子ではありませんでした」
「わたしもそう思います。突然人が変わったように思えます」
「………もしかして記憶が戻ったのか、巻き戻った?」
わたしがボソッと言うと
「うん、どちらかかもしれないわ」
エレンも頷いた。
わたし達はとりあえず様子を見ることにした。
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