【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

たろ

文字の大きさ
上 下
22 / 110

20話  ジェフと殿下編

しおりを挟む

わたしは直ぐに殿下と話し合うことにした。

まだ8歳の殿下。今は第一王子だ。数年後王太子殿下になる。
そして、その頃陛下が病床についた。 

「殿下、いや、王子。王子が殿下になった時、急に陛下はご病気になられた。あの時の原因はなんだったのでしょう。病名もよく分からず陛下はだんだん体が弱ってきましたよね」

「確かに……あの時は自分も父上が体調を崩すし自分も公務に精一杯で余裕がなかった。原因は確かに不明でありとあらゆる薬を、いいと聞けば取り寄せた記憶がある」

「そして、その頃から突然シーモア・ハウエル公爵が貴族派の筆頭になり何かと殿下の公務の邪魔をしてきました。
それまで、あいつはそんなに力も財力もなかった」

「そうだ、どうしてハウエル公爵が突然力をつけたんだろう?あとで確かに不正をしていることもわかったけど、それは筆頭になってからの不正だ。その前の事は分からない」

「もしかして、陛下の体調を崩した事とハウエル公爵が筆頭になった事は何か繋がりがあるのかもしれませんね。殿下になったのが17歳の時で18歳の時にになったのでしたね、という事は今から9年後にあいつは動きだすとして、その前に工作しているはず」

わたしの話を聞いて、殿下は苦虫を噛み潰したような顔をした。

心の中でざまあみろとほくそ笑んだ。

わたしの大事なエリーゼを蔑ろにしてマリーナ様と寝た男だ。それも処刑されて死んだ娘のことを気づきもせず、朝までマリーナ様を抱いていた最低の男。

殿下は、それでもわたしを見て
「貴方にいくら嫌味を言われても言い返せない。わたしは最低の男だった。だけど今回は間違えない」

「一度味わった女性の体。忘れられますか?多少はマリーナ様を愛していたでしょう?そうでないと抱いたりは出来ませんよ」

「やめてくれ。それならマリーナを処刑など出来るわけがないだろう?」

「でも今回は彼女は何もしなければどうしますか?一族みんな処刑して頂けますか?」

わたしは前回だろうと今回だろうと一族全て処刑にするつもりだ。

「………まだそこまではわからない」

「どうせなら貴方の婚約者にして、マリーナ様に近づいてみては如何ですか?そうすれば早く動きもわかります」

「なっ……なんでそうなるんだ?嫌だ。僕はエリーゼを今も愛しているんだ」

「以前から言っていますがエリーゼは貴方を愛していないし嫌っています。さらに今は怖がっていて貴方の思いが通じる事はありません」


「………わかっている。エリーゼは婚約しても僕に笑顔を向けることはなかった。
僕は彼女に酷いことばかり言ってしまった。そして演技とはいえマリーナと仲良くした。
さらにマリーナの体に溺れた。たぶん……マリーナに惹かれていたのも事実だ。エリーゼを断罪した時、僕を見てくれないエリーゼに対して演技とはいえ少し苛ついていたから胸がスカッとした。僕は最低なのはわかっている」

「本当に最低ですね。今回はマリーナ様とどうぞ婚約してください。この事件が終われば、貴方は臣下に降りてマリーナ様と毎日愛し合って抱き合っていればいいのですよ、エリーゼにはもっといい人を選びます」

殿下は涙をためてわたしを見た。

子ども姿の殿下に言い過ぎたのは分かっていた。

でもエリーゼへの気持ちをここで完全にへし折ってしまいたかった。

それがエリーゼのこれからの幸せには必要だから。

わたしも殿下もエリーゼの

「宰相、君がいくら僕に酷いことを言っても無理だよ。振られるのはエリーゼからがいいんだ。そしたら諦められる。でもそれまではいくら事実を把握したいからと言っても、マリーナの婚約者にはならないよ」

「………すみません、大人げなかったですね」

「いいんだ。エリーゼのことを考えたら僕が彼女と接触しない方がいいのはわかっているんだ」
殿下が己れの過去を悔やんでいるのもわかっている。

それでもわたし達は、エリーゼが姿を消したことを重く受け止めるしかなかった。

わたし達は許されてはいけない人間なのだ。

「陛下がわたし達が巻き戻ったことを知っているらしいのだが、ご存知ですか?」

「………父上に、明日呼ばれている。宰相、貴方も一緒がいいと思う」

「そうですね、ただお互い前回の時の呼び方はやめましょう。わたしはバセット公爵とお呼びください。そしてわたしもクロード王子と呼ばせていただきます」

「わかったバセット公爵、明日は父上との話し合いよろしく頼む」

「かしこまりました、クロード王子」







◆ ◆ ◆

初めて名前が出ました。

王子であり殿下の名前は、クロードです。

よろしくお願いします。

短編のはずですが、中編になりそうです。

もしよろしければお付き合いくださいね。













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛されなかった公爵令嬢のやり直し

ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。 母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。 婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。 そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。 どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。 死ぬ寸前のセシリアは思う。 「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。 目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。 セシリアは決意する。 「自分の幸せは自分でつかみ取る!」 幸せになるために奔走するセシリア。 だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。 小説家になろう様にも投稿しています。 タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する

ましゅぺちーの
恋愛
大陸一の大国ライドーン帝国の皇帝が崩御した。 その皇帝の子供である第一皇女シャーロットはこの時をずっと待っていた。 シャーロットの母親は今は亡き皇后陛下で皇帝とは政略結婚だった。 皇帝は皇后を蔑ろにし身分の低い女を愛妾として囲った。 やがてその愛妾には子供が生まれた。それが第二皇女プリシラである。 愛妾は皇帝の寵愛を笠に着てやりたい放題でプリシラも両親に甘やかされて我儘に育った。 今までは皇帝の寵愛があったからこそ好きにさせていたが、これからはそうもいかない。 シャーロットは愛妾とプリシラに対する復讐を実行に移す― 一部タイトルを変更しました。

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。 私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。 処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。 魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」  色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。  ……ほんとに屑だわ。 結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。 彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。 彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】

雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。 誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。 ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。 彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。 ※読んでくださりありがとうございます。 ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。

貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。 彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。 しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。 悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。 その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・

【完結】領主の妻になりました

青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」 司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。 =============================================== オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。 挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。 クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。 新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。 マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。 ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。 捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。 長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。 新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。 フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。 フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。 ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。 ======================================== *荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください *約10万字で最終話を含めて全29話です *他のサイトでも公開します *10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします *誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです

【完結】婚約破棄されたから静かに過ごしたかったけど無理でした

かんな
恋愛
カトリーヌ・エルノーはレオナルド・オルコットと婚約者だ。 二人の間には愛などなく、婚約者なのに挨拶もなく、冷え切った生活を送る日々。そんなある日、殿下に婚約破棄を言い渡され――?

処理中です...