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12話
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二人と別れて屋敷に帰ったわたしは気が重かった。
わたしのことを殿下に好きになってもらって思いっきり捨ててやると意気込んだけど、殿下に会って恐怖と拒絶しかないので無理だと悟り、お父様に会って心が拒絶した。
お兄様には何も思わなかった。
無でしかない。
このままこの屋敷で暮らすのは今のわたしには無理だ。
いや、とても辛くて苦しい。
お父様達に裏切られたのは、わたしの中ではまだ3ヶ月前のこと。
処刑された時の事はまだ忘れられない。
そんなにわたしはお父様にとって邪魔で腹が立つ存在だったのだろうか。
屋敷に軟禁されて出してもらえない。
あの冷たい目。
わたしが何をしたと言うのだろうか?
今のわたしは6歳。
前回の16歳なら家を出て一人で暮らせる。
今のわたしに出来ること………
そうだ!孤児院で暮らそう。
わたしは自分の部屋にある宝石をかき集めた。
これを持って孤児院に行き、しばらく置いてもらう。
ただし、今通っている孤児院ではすぐに居場所が分かるので、遠くに行かないといけない。
わたしは前回の記憶で、孤児院の先生が話していた、先生の妹さんが隣町で孤児院を開いていると聞いていたのでそこに頼る事にした。
う……近い?
わたしの人生なんてほとんど狭い世界でしか生きていなかったので、頼れるところなんて知らない。
それでもこんな屋敷に居るよりマシだ。
「さようなら」
とだけ書いた手紙をテーブルに置いた。
わたしはみんなが忙しくしている隙を見て、前回もよく抜けていた通路から屋敷を脱出した。
子どもの足では時間がかかるが、とりあえず乗合馬車のところまで行き街へ向かった。
お金は以前お祖父様が好きなものを買いなさいと言って金貨をたくさん置いていってくれたのでそれを持っていた。
ただ、金貨は市井ではとても大金なのでまず小銭に交換する必要がある。
わたしは肉屋に行って、いつも通っている孤児院に1ヶ月分のお肉を発注した。
金貨を一枚出すと小銭を沢山もらった。
これで馬車にも乗れる。
そして洋服屋さんに行き、わたしのドレスを買い取ってもらった。
代わりに綿の素朴なワンピースを一枚買った。
売れたドレスは金貨二枚。
この金貨で沢山の布を買い、孤児院に送ってもらった。
これでしばらくはみんな服に不自由しないはず。
布にしたのは自分達で服を作ることで裁縫の技術が上がり就職するのに有利になれることを知っているからだった。
そしてわたしは馬車に乗り隣町へ行く事にした。
乗合馬車はお尻が痛い。
柔らかな座椅子ではないし古い材木で出来ている簡素な馬車だ。
たくさんの人が乗っていてぎゅうぎゅうで苦しい。
親切なお母様くらいの女性が、隙間を開けてくれてなんとか息が出来た。
「こっちにおいで、そんなところにいたら押しつぶされるわよ」
お金と宝石はスカートの中に隠して盗られないようにした。
市井で子どもが大金を持っていたらどんな事になるか前回の孤児院に通った時に教わっていた。
捕まってお金を盗られ売られるか、奴隷のような生活をするか、とても怖いらしい。
なんとか隣町へ行き、そこから人に尋ねながら孤児院にたどり着いた。
「すみません、あの……」
孤児院に着くと大人の人に声をかけた。
「貴女は……」
まずい!
いつもの孤児院で働いていた職員の人が何故か隣町の孤児院にいた。
わたしは思わず逃げ出そうとしたが
「待って!事情があってここに来たのでしょう?」
と優しい声で話しかけられた。
逃げるのをやめて彼女に振り向いて
「わたしの話を聞いてくれますか?」
と言うと、わたしの目を見て頷いた。
「わたしはお父様から逃げて来ました。でもまだ一人で暮らすことはできません。
だから孤児院に置いて欲しくてきました。いつも行く孤児院ではすぐに居場所がわかってしまうので、ここなら先生の妹さんがされていると聞いたので安心して居られるかと思ったのです」
「………わたしからこちらの院長先生に話してみるわ、少し待っていてね。みんなと一緒にお夕飯をいただいていてね、お腹が空いたでしょう?」
「ありがとうございます」
わたしはとりあえずは追い返されなかったのでホッとしたのと食事を今日は食べていなかった事を思い出してありがたく食べる事にした。
わたしのことを殿下に好きになってもらって思いっきり捨ててやると意気込んだけど、殿下に会って恐怖と拒絶しかないので無理だと悟り、お父様に会って心が拒絶した。
お兄様には何も思わなかった。
無でしかない。
このままこの屋敷で暮らすのは今のわたしには無理だ。
いや、とても辛くて苦しい。
お父様達に裏切られたのは、わたしの中ではまだ3ヶ月前のこと。
処刑された時の事はまだ忘れられない。
そんなにわたしはお父様にとって邪魔で腹が立つ存在だったのだろうか。
屋敷に軟禁されて出してもらえない。
あの冷たい目。
わたしが何をしたと言うのだろうか?
今のわたしは6歳。
前回の16歳なら家を出て一人で暮らせる。
今のわたしに出来ること………
そうだ!孤児院で暮らそう。
わたしは自分の部屋にある宝石をかき集めた。
これを持って孤児院に行き、しばらく置いてもらう。
ただし、今通っている孤児院ではすぐに居場所が分かるので、遠くに行かないといけない。
わたしは前回の記憶で、孤児院の先生が話していた、先生の妹さんが隣町で孤児院を開いていると聞いていたのでそこに頼る事にした。
う……近い?
わたしの人生なんてほとんど狭い世界でしか生きていなかったので、頼れるところなんて知らない。
それでもこんな屋敷に居るよりマシだ。
「さようなら」
とだけ書いた手紙をテーブルに置いた。
わたしはみんなが忙しくしている隙を見て、前回もよく抜けていた通路から屋敷を脱出した。
子どもの足では時間がかかるが、とりあえず乗合馬車のところまで行き街へ向かった。
お金は以前お祖父様が好きなものを買いなさいと言って金貨をたくさん置いていってくれたのでそれを持っていた。
ただ、金貨は市井ではとても大金なのでまず小銭に交換する必要がある。
わたしは肉屋に行って、いつも通っている孤児院に1ヶ月分のお肉を発注した。
金貨を一枚出すと小銭を沢山もらった。
これで馬車にも乗れる。
そして洋服屋さんに行き、わたしのドレスを買い取ってもらった。
代わりに綿の素朴なワンピースを一枚買った。
売れたドレスは金貨二枚。
この金貨で沢山の布を買い、孤児院に送ってもらった。
これでしばらくはみんな服に不自由しないはず。
布にしたのは自分達で服を作ることで裁縫の技術が上がり就職するのに有利になれることを知っているからだった。
そしてわたしは馬車に乗り隣町へ行く事にした。
乗合馬車はお尻が痛い。
柔らかな座椅子ではないし古い材木で出来ている簡素な馬車だ。
たくさんの人が乗っていてぎゅうぎゅうで苦しい。
親切なお母様くらいの女性が、隙間を開けてくれてなんとか息が出来た。
「こっちにおいで、そんなところにいたら押しつぶされるわよ」
お金と宝石はスカートの中に隠して盗られないようにした。
市井で子どもが大金を持っていたらどんな事になるか前回の孤児院に通った時に教わっていた。
捕まってお金を盗られ売られるか、奴隷のような生活をするか、とても怖いらしい。
なんとか隣町へ行き、そこから人に尋ねながら孤児院にたどり着いた。
「すみません、あの……」
孤児院に着くと大人の人に声をかけた。
「貴女は……」
まずい!
いつもの孤児院で働いていた職員の人が何故か隣町の孤児院にいた。
わたしは思わず逃げ出そうとしたが
「待って!事情があってここに来たのでしょう?」
と優しい声で話しかけられた。
逃げるのをやめて彼女に振り向いて
「わたしの話を聞いてくれますか?」
と言うと、わたしの目を見て頷いた。
「わたしはお父様から逃げて来ました。でもまだ一人で暮らすことはできません。
だから孤児院に置いて欲しくてきました。いつも行く孤児院ではすぐに居場所がわかってしまうので、ここなら先生の妹さんがされていると聞いたので安心して居られるかと思ったのです」
「………わたしからこちらの院長先生に話してみるわ、少し待っていてね。みんなと一緒にお夕飯をいただいていてね、お腹が空いたでしょう?」
「ありがとうございます」
わたしはとりあえずは追い返されなかったのでホッとしたのと食事を今日は食べていなかった事を思い出してありがたく食べる事にした。
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