【完結】愛されない王妃

たろ

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21話  カリクシードとベルナンド編

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 地下牢にいるカリクシードのところへやって来たのは、側近達ではなくフォード王国で官僚や大臣をしていたもの達だった。

「陛下、いえ、カリカシード殿。貴方は少しは気づかれましたか?」

「は?何を気付けと言うのか?」

「王妃、いえジュリエット様のことです。あの方は聡明でとても努力家で、そして自分の父親と変わらないであろう私達を導いてくれました」

「みんな揃いも揃って腑抜けだな。何故口を揃えてジュリエットなんかを褒めるんだ?あの女は俺の愛する者達に仕事をさせて、ひとり贅を尽くした馬鹿な女だぞ」

「もう分かっていらっしゃるでしょう?」
「そうです。冷静に考えればあのお二人がいつあれだけの量の政務をこなす暇があったと言うのですか?毎日遊びまわり、買い物に茶会、そして貴方の愛するクリシアは男遊びに夢中でした」

「クリシア?などと呼び捨てをするのか!」

「アレはただの庶民です。
 それも必死で働いて税金を払ってくれた人々のことなど顧みることもなく、そのお金を好き勝手に使い、国庫は窮する状態に追い詰められました。
 我々が何度カリクシード殿に嘆願しても聞き入れてはくれませんでした。ジュリエット様はそんな状況を心配してハワー帝国にいた時も何度も手紙でどうすれば少しでも良くなるのかとアドバイスをくださっておりました」

「貴方は王として失格です」
「我々もまた貴方を諌めることができませんでした」
「この国はハワー帝国の属国となり再建をすることになるでしょう」
「茨の道が待っております。我々は逃げずに責任を取る所存です」
「貴方はどうするおつもりですか?他人のせいにしてこれからも文句を言い続けるおつもりですか?」


「は?俺に会いに来て、何人もが俺に文句を言って、お前達こそ大人げないんじゃないのか?」

「貴方は地下牢にただいるだけで何もみえていないのですね?」

「ベルナンド皇帝の命により貴方を今から散歩にお連れします」

「散歩?」

「はい、ベルナンド皇帝がそのような言葉を使われました」

 俺は牢から出され生まれて初めて着る簡素な平民が着る服を着せられた。

 牢に入っている間ですらこんな服は着ていない。

 肌にゴワゴワした感じで着心地がとても悪い。見た目も貧乏くさくて俺は眉を顰めてしまった。

 一緒に歩く大臣達もそれなりの高位貴族なのに皆俺と変わらぬ服装をしていたが、文句を言ったのは俺ひとりだった。

「さあ、行きましょう」

 俺は久しぶりに地下牢から出ることが出来た。
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