51 / 69
国外研修①
しおりを挟む
船に乗り向かった先は……
ーーアルク国。
オリソン国とは友好的な国で行き来をしているらしい。
船が着いて降りるとオリエ様はなぜか浮かぬ顔をしていた。ピリピリしていたのでわたしは少し距離をとっているとマーラがわたしの横に来て
「元夫が今はここで文官をしているのよ」
教えてくれたのだが……あっ、確かにシャトナー国の王太子が廃嫡されたと聞いたことがある。
まさかこの国で文官をしているなんて………それもオリエ様が知っているなんて……
わたしは知らぬふりで過ごすことにした。
というよりもあまりにもハードで人に構っている余裕はなかった。
朝から晩まで研修で、夜部屋に帰ると復習と予習。
田舎の領地へ行き、役場で実務を行う。
「マーラ、こんなのいつまで続くのかしら?」
二人部屋のマーラに愚痴を言うと
「思った以上にハードよね」
「うん、わたしもそう思うわ」
「でもあと少し、最後の日はお疲れ様会。頑張ろう」
「あーー、そうだね。頑張れるかしら?」
ーーーーーーー
研修も半ばになり慣れてきた頃……
「ねえねえ、いつも指導してくれているマリウスさんのことどう思う?」
マーラが突然言い出した。
この国の文官の人達がそれぞれ数人に一人ついて指導してくれる。わたし達の財務部はマリウスさんが指導してくれている。
23歳の独身で笑顔が優しい知能派タイプ。でも見た目と違いかなり厳しい。
間違っていると何度も復習させられる、わたしからすれば鬼だ。
「………鬼」
「え?なんて言ったの?」
「お・に!!」
「え?嘘?だってあの優しそうな笑顔のどこにそんな要素があるって言うの?」
「マーラは知らないからよ。わたしが毎晩寝れずに机の前にいるのはどうしてだと思う?」
「勉強が好きだから?」
「違うわ!間違えたら何度も復習させられて休憩ももらえずずっと彼の監視の中勉強しないといけないからよ。特にわたしは目をつけられていて細かいことにも注意されるの!」
「うわっ、カトリーヌったらえらく気に入られているのね」
「ち・が・い・ま・す!!」
マーラの楽しそうな言い方にイラッとしながら
「マーラもマリウスさんに指導されたらわかるわよ。ほんと最悪なんだから、あれは鬼よ、人の顔見たら文句言うか怒るか。いくら見た目が優しくてカッコ良くても中身が最悪だから絶対あんな奴と付き合ったらダメよ!お勧めできないわ」
思い出しただけでも腹が立つ。
わたしが作成した書類を1枚目だけ見て鼻で笑って
「やり直し」と言って突き返された。
残り10枚以上の書類は全く目を通してくれずどこが悪いかも教えてくれない。
仕方ないので上司に見てもらうと、根本的な数字が全て間違えていると言われた。
だから最後の書類まで全て数字が間違っていると。
わたしは違うデーターを見て書類を作成していたらしい。それならそうと教えてくれたらいいのに全く教えてくれない。自分で考えろと言ってもせめてヒントだけでも教えてくれてもいいのに!
そんなことが最初の頃にあった。
だからなのかわたしとマリウスさんの仲はあまりよくない。いや、多分わたしが一人で敵対しているだけでマリウスさんはわたしがプリプリしていてもきれいに流してしまう。
その態度に腹を立ててついムキになる。
わたしってイーサン殿下の時と同じでまだ未だにこの子供っぽさ変わらないのよね。
でもどうしてもマリウスさんの小馬鹿にした態度についムキになってしまう。
ーーーーー
あと数日で研修も終わる頃、街に出ていろんなお店を回った。
わたしとレックス、そしてマリウスさんが三人で街を歩いて回る。
店の中に入り帳簿を見て書き方の指導をする。
これも実地研修の一つ。
お店の人から嫌な顔をされたりしても笑顔でこなしていくしかない。
そんな時はマリウスさんのあの優しい笑顔がとても役に立つ。
「カトリーヌは可愛らしい容姿なんだからそれをもっと上手に活用すれば相手もすんなり帳簿を見せてくれるんじゃないか?」
レックスの言葉にわたしは少し腹が立って
「わたしの仕事は媚を売ることではありません。もちろん笑顔は大事なのだと思いますが必要以上の無駄な笑顔は嫌です」
「レックスはカトリーヌのその可愛らしい顔を褒めているんだ。素直にありがたく思えばいいだろう?」
「すみません、素直になれないで。でも嫌なものは嫌なのです、仕事は真面目に頑張ります、でもわたしは商売人ではありません。文官です。きちんと仕事さえしていればいいのでは?」
マリウスさんは頭をポリぽと掻きながら大きな溜息をついた。
「ハァ……、別に愛想振りまけと言ってるんではない、ただカトリーヌは生真面目すぎるから少し肩の力を抜いて周りを見てみろ。お前と仲良くなりたいと思っている奴、楽しく話したいと思っている奴もいる。そしてお前が俺に色々難問を押し付けられて困っているなら『助けて』と言えるやつになって欲しい。
いくら仕事を与えても一人でなんとかこなそうとする。それば立派な心かけだ。でも出来ないこともある、もし時間通りにできなかった時カトリーヌはどうやって詫びる?」
「……謝らないでいいように時間内に必死で終わらせます」
「ハァ」またマリウスさんは溜息をついた。
「負けず嫌いも努力家なところも長所だと思う。だけど頑張りすぎるとキツイぞ」
そう言ってわたしの頭をポンと軽く叩いた。
ーーこんな言葉初めて言われた。
いつも頑張るしかなかった。だってわたしは誰にも愛されていなかったもの。
ーーアルク国。
オリソン国とは友好的な国で行き来をしているらしい。
船が着いて降りるとオリエ様はなぜか浮かぬ顔をしていた。ピリピリしていたのでわたしは少し距離をとっているとマーラがわたしの横に来て
「元夫が今はここで文官をしているのよ」
教えてくれたのだが……あっ、確かにシャトナー国の王太子が廃嫡されたと聞いたことがある。
まさかこの国で文官をしているなんて………それもオリエ様が知っているなんて……
わたしは知らぬふりで過ごすことにした。
というよりもあまりにもハードで人に構っている余裕はなかった。
朝から晩まで研修で、夜部屋に帰ると復習と予習。
田舎の領地へ行き、役場で実務を行う。
「マーラ、こんなのいつまで続くのかしら?」
二人部屋のマーラに愚痴を言うと
「思った以上にハードよね」
「うん、わたしもそう思うわ」
「でもあと少し、最後の日はお疲れ様会。頑張ろう」
「あーー、そうだね。頑張れるかしら?」
ーーーーーーー
研修も半ばになり慣れてきた頃……
「ねえねえ、いつも指導してくれているマリウスさんのことどう思う?」
マーラが突然言い出した。
この国の文官の人達がそれぞれ数人に一人ついて指導してくれる。わたし達の財務部はマリウスさんが指導してくれている。
23歳の独身で笑顔が優しい知能派タイプ。でも見た目と違いかなり厳しい。
間違っていると何度も復習させられる、わたしからすれば鬼だ。
「………鬼」
「え?なんて言ったの?」
「お・に!!」
「え?嘘?だってあの優しそうな笑顔のどこにそんな要素があるって言うの?」
「マーラは知らないからよ。わたしが毎晩寝れずに机の前にいるのはどうしてだと思う?」
「勉強が好きだから?」
「違うわ!間違えたら何度も復習させられて休憩ももらえずずっと彼の監視の中勉強しないといけないからよ。特にわたしは目をつけられていて細かいことにも注意されるの!」
「うわっ、カトリーヌったらえらく気に入られているのね」
「ち・が・い・ま・す!!」
マーラの楽しそうな言い方にイラッとしながら
「マーラもマリウスさんに指導されたらわかるわよ。ほんと最悪なんだから、あれは鬼よ、人の顔見たら文句言うか怒るか。いくら見た目が優しくてカッコ良くても中身が最悪だから絶対あんな奴と付き合ったらダメよ!お勧めできないわ」
思い出しただけでも腹が立つ。
わたしが作成した書類を1枚目だけ見て鼻で笑って
「やり直し」と言って突き返された。
残り10枚以上の書類は全く目を通してくれずどこが悪いかも教えてくれない。
仕方ないので上司に見てもらうと、根本的な数字が全て間違えていると言われた。
だから最後の書類まで全て数字が間違っていると。
わたしは違うデーターを見て書類を作成していたらしい。それならそうと教えてくれたらいいのに全く教えてくれない。自分で考えろと言ってもせめてヒントだけでも教えてくれてもいいのに!
そんなことが最初の頃にあった。
だからなのかわたしとマリウスさんの仲はあまりよくない。いや、多分わたしが一人で敵対しているだけでマリウスさんはわたしがプリプリしていてもきれいに流してしまう。
その態度に腹を立ててついムキになる。
わたしってイーサン殿下の時と同じでまだ未だにこの子供っぽさ変わらないのよね。
でもどうしてもマリウスさんの小馬鹿にした態度についムキになってしまう。
ーーーーー
あと数日で研修も終わる頃、街に出ていろんなお店を回った。
わたしとレックス、そしてマリウスさんが三人で街を歩いて回る。
店の中に入り帳簿を見て書き方の指導をする。
これも実地研修の一つ。
お店の人から嫌な顔をされたりしても笑顔でこなしていくしかない。
そんな時はマリウスさんのあの優しい笑顔がとても役に立つ。
「カトリーヌは可愛らしい容姿なんだからそれをもっと上手に活用すれば相手もすんなり帳簿を見せてくれるんじゃないか?」
レックスの言葉にわたしは少し腹が立って
「わたしの仕事は媚を売ることではありません。もちろん笑顔は大事なのだと思いますが必要以上の無駄な笑顔は嫌です」
「レックスはカトリーヌのその可愛らしい顔を褒めているんだ。素直にありがたく思えばいいだろう?」
「すみません、素直になれないで。でも嫌なものは嫌なのです、仕事は真面目に頑張ります、でもわたしは商売人ではありません。文官です。きちんと仕事さえしていればいいのでは?」
マリウスさんは頭をポリぽと掻きながら大きな溜息をついた。
「ハァ……、別に愛想振りまけと言ってるんではない、ただカトリーヌは生真面目すぎるから少し肩の力を抜いて周りを見てみろ。お前と仲良くなりたいと思っている奴、楽しく話したいと思っている奴もいる。そしてお前が俺に色々難問を押し付けられて困っているなら『助けて』と言えるやつになって欲しい。
いくら仕事を与えても一人でなんとかこなそうとする。それば立派な心かけだ。でも出来ないこともある、もし時間通りにできなかった時カトリーヌはどうやって詫びる?」
「……謝らないでいいように時間内に必死で終わらせます」
「ハァ」またマリウスさんは溜息をついた。
「負けず嫌いも努力家なところも長所だと思う。だけど頑張りすぎるとキツイぞ」
そう言ってわたしの頭をポンと軽く叩いた。
ーーこんな言葉初めて言われた。
いつも頑張るしかなかった。だってわたしは誰にも愛されていなかったもの。
37
お気に入りに追加
3,923
あなたにおすすめの小説
夫が愛人を離れに囲っているようなので、私も念願の猫様をお迎えいたします
葉柚
恋愛
ユフィリア・マーマレード伯爵令嬢は、婚約者であるルードヴィッヒ・コンフィチュール辺境伯と無事に結婚式を挙げ、コンフィチュール伯爵夫人となったはずであった。
しかし、ユフィリアの夫となったルードヴィッヒはユフィリアと結婚する前から離れの屋敷に愛人を住まわせていたことが使用人たちの口から知らされた。
ルードヴィッヒはユフィリアには目もくれず、離れの屋敷で毎日過ごすばかり。結婚したというのにユフィリアはルードヴィッヒと簡単な挨拶は交わしてもちゃんとした言葉を交わすことはなかった。
ユフィリアは決意するのであった。
ルードヴィッヒが愛人を離れに囲うなら、自分は前々からお迎えしたかった猫様を自室に迎えて愛でると。
だが、ユフィリアの決意をルードヴィッヒに伝えると思いもよらぬ事態に……。
領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
【完結】バッドエンドの落ちこぼれ令嬢、巻き戻りの人生は好きにさせて貰います!
白雨 音
恋愛
伯爵令嬢エレノアは、容姿端麗で優秀な兄姉とは違い、容姿は平凡、
ピアノや刺繍も苦手で、得意な事といえば庭仕事だけ。
家族や周囲からは「出来損ない」と言われてきた。
十九歳を迎えたエレノアは、侯爵家の跡取り子息ネイサンと婚約した。
次期侯爵夫人という事で、厳しい教育を受ける事になったが、
両親の為、ネイサンの為にと、エレノアは自分を殺し耐えてきた。
だが、結婚式の日、ネイサンの浮気を目撃してしまう。
愚行を侯爵に知られたくないネイサンにより、エレノアは階段から突き落とされた___
『死んだ』と思ったエレノアだったが、目を覚ますと、十九歳の誕生日に戻っていた。
与えられたチャンス、次こそは自分らしく生きる!と誓うエレノアに、曾祖母の遺言が届く。
遺言に従い、オースグリーン館を相続したエレノアを、隣人は神・精霊と思っているらしく…??
異世界恋愛☆ ※元さやではありません。《完結しました》
美形揃いの王族の中で珍しく不細工なわたしを、王子がその顔で本当に王族なのかと皮肉ってきたと思っていましたが、実は違ったようです。
ふまさ
恋愛
「──お前はその顔で、本当に王族なのか?」
そう問いかけてきたのは、この国の第一王子──サイラスだった。
真剣な顔で問いかけられたセシリーは、固まった。からかいや嫌味などではない、心からの疑問。いくら慣れたこととはいえ、流石のセシリーも、カチンときた。
「…………ぷっ」
姉のカミラが口元を押さえながら、吹き出す。それにつられて、広間にいる者たちは一斉に笑い出した。
当然、サイラスがセシリーを皮肉っていると思ったからだ。
だが、真実は違っていて──。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
継母や義妹に家事を押し付けられていた灰被り令嬢は、嫁ぎ先では感謝されました
今川幸乃
恋愛
貧乏貴族ローウェル男爵家の娘キャロルは父親の継母エイダと、彼女が連れてきた連れ子のジェーン、使用人のハンナに嫌がらせされ、仕事を押し付けられる日々を送っていた。
そんなある日、キャロルはローウェル家よりもさらに貧乏と噂のアーノルド家に嫁に出されてしまう。
しかし婚約相手のブラッドは家は貧しいものの、優しい性格で才気に溢れていた。
また、アーノルド家の人々は家事万能で文句ひとつ言わずに家事を手伝うキャロルに感謝するのだった。
一方、キャロルがいなくなった後のローウェル家は家事が終わらずに滅茶苦茶になっていくのであった。
※4/20 完結していたのに完結をつけ忘れてましたので完結にしました。
悪役令息、拾いました~捨てられた公爵令嬢の薬屋経営~
山夜みい
恋愛
「僕が病気で苦しんでいる時に君は呑気に魔法薬の研究か。良いご身分だな、ラピス。ここに居るシルルは僕のために毎日聖水を浴びて神に祈りを捧げてくれたというのに、君にはがっかりだ。もう別れよう」
婚約者のために薬を作っていたラピスはようやく完治した婚約者に毒を盛っていた濡れ衣を着せられ、婚約破棄を告げられる。公爵家の力でどうにか断罪を回避したラピスは男に愛想を尽かし、家を出ることにした。
「もううんざり! 私、自由にさせてもらうわ」
ラピスはかねてからの夢だった薬屋を開くが、毒を盛った噂が広まったラピスの薬など誰も買おうとしない。
そんな時、彼女は店の前で倒れていた男を拾う。
それは『毒花の君』と呼ばれる、凶暴で女好きと噂のジャック・バランだった。
バラン家はラピスの生家であるツァーリ家とは犬猿の仲。
治療だけして出て行ってもらおうと思っていたのだが、ジャックはなぜか店の前に居着いてしまって……。
「お前、私の犬になりなさいよ」
「誰がなるかボケェ……おい、風呂入ったのか。服を脱ぎ散らかすな馬鹿!」
「お腹空いた。ご飯作って」
これは、私生活ダメダメだけど気が強い公爵令嬢と、
凶暴で不良の世話焼きなヤンデレ令息が二人で幸せになる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる