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突撃……からの心は撃沈。イーサン殿下④

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「くそっ!……………………犯人は……君のすぐそばにいる…………セリーヌ嬢とロイズ殿だ」

「え?………セリーヌ様?とお義兄様………」

わたしはポカンとしたまま思考が停止していた。

たぶん多少は名前を聞いたことがあるくらいの人が出てくるだろうと思っていた。

でも…………どちらも意外な人だった。

気づけばイーサン殿下を睨み上げて

「う・そ・つ・き!!!!
イーサン殿下のバカ!!!おたんこなす!!!
あんたなんて意地悪で性格悪くて女好きで
大っ嫌いなんだから!!!!!
セリーヌ様がそんなことするわけないでしょう!!」

わたしはついでに悪口を混ぜながら叫んだ!

「はああ?お前が教えろといったんだろう?だから言わないで解決しようとしたんだ。それを聞いてきたのはお前だろう?」

「だってだって、セリーヌ様の名前が出てくるわけないじゃない!
『何があっても四人はあなたを裏切ることはありません。それは絶対なんです』
と言ってくれたの!わたしが記憶をなくして誰も信じられない時…………??………え?なんで突然思い出したのかしら?」

「少し記憶が戻ったのか?」

「…………ううん、でもその言葉だけは頭の中に残ってる」

「とりあえず俺の話を聞いてくれないか?もう全て話すから」

ーーわたしの心は撃沈中。

もう釘バットを振り回す気力すら出ない。料理長、こんな時そばにいて欲しかった………


ーーーーー


俺がおかしいと思ったのは君が8歳の時だった。

君が婚約者になったと言う話は国中に伝わった。そしてロイズ殿がいる国にも。

俺とロイズ殿は幼い頃から行き来していたし、うちの国に来た時は俺は6歳離れたロイズ殿を兄として慕っていたんだ。

そんな時ロイズ殿が言ったんだ。

『ピンクの髪色の女の子は用心した方がいい。うちの国の第三王子はピンク色の髪の男爵令嬢のせいで廃嫡されたんだ』

確かにピンク色の髪は珍しい。でもだからってそんなこと関係ないと笑ったんだ。

「君の婚約者は誰がみても可愛らしい、あの容姿はこれから先いろんな男を惹きつけて問題になるだろう。気をつけるんだ、あまり仲良くなってはダメだよ」

俺はそんな話真に受けていなかった。

だけど、君は……君が歩くたびに大人たちもそして俺たちくらいの年頃の男の子もみんな振り返るんだ。

君は自分の可愛さに気づいていないだろう?
周りの男の人たちが君に優しくすればするだけ、周りの女たちは君を毛嫌いするんだ。

その理由がわからなかった。

ロイズ殿が女性達だけにそう言った噂を流すようにしていたんだ。
君のお姉様を使ってね。

君のお姉様は美人で頭がいい。

だから自分が一番のはずなのに両親から可愛がられ周りに愛されている君に嫉妬したんだ。

さらにロイズ殿がそれを知っていてセシル様に近づいてセシル様を使い悪い噂を流させた。

侍女長のやってきたことが君の母親にバレないのはセシル様がカトリーヌの悪いところばかりをずっと伝えていたから、君の母親はきみが我儘で言うことを聞かない困った子だと思い込んでいたんだ。

ま、原因の一つはきみの父親の浮気を君が見て発覚したのもあったみたいだけどね。

俺はロイズ殿に君とどう接すればいいのか相談していた。
我儘な君を突き放すべきだと言われたし、他の子に優しくして君に冷たくすれば君の我儘な性格も少しは治るだろうと言われたんだ。

俺は君を見ていなかった。本当は我儘なんかじゃないし男達を誑かしてもいない。

負けず嫌いだけどどんなことも手を抜かない真面目ないい子だって。

父上には何度も言われたんだ。
『素直になりなさい、カトリーヌは聡明で優秀な子だ。きみの伴侶として相応しい子なんだ』と、言われ続けるたびに、
『俺は優秀じゃないのか?なんでいつもカトリーヌばかり褒めるんだ』って逆に腹が立っていた。

俺はロイズ殿の言葉を信じ、父上に反発して、周りの評判を信じて君を毛嫌いしたんだ。

そんな時きみが馬車の事故にあった。

君が死んでしまうと思った時後悔で心が壊れるかと思った。助かったのに君は記憶をなくしていたんだ。

君の両親も父上もどうするべきか悩んだ。

でも俺は婚約解消はしたくないと頼んだ。

以前の君はどんなに辛くても跳ね返す力を持っていたのに記憶をなくした君はいつも笑顔を絶やさないお淑やかな人になっていたんだ。
それも作り笑いしかしない、諦めた顔で心は空っぽのようだった。

だから、何があっても守ろうと思った。
そしてロイズ様も手紙で

『彼女は記憶をなくしたのだから何も覚えていない、優しくしてあげて欲しい』

俺はその言葉を素直に受け入れようと思った。

そして君の周りの悪意を排除して回った。
最後は俺が消えればいいと思った。だから婚約解消をするつもりだった。

でも、ロイズ殿に違和感を感じるようになったんだ。








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