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目が覚めたら…………②
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【記憶を取り戻したカトリーヌ編】16歳
「料理長!お腹空いた!」
わたしはとにかくこの訳のわからないパニックの頭を冷やすため料理長に会いに行った。
「カトリーヌ様?」
わたしの様子に驚いているみたい。
「わたし記憶が戻ったらしいの、でもね、わたしは13歳のままなのよ?」
「……記憶が?だからですね、穏やかでお淑やかになっていたはずのカトリーヌ様が昔の元気なカトリーヌ様のようになっていたから驚きました」
「え?穏やかでお淑やか?わたしが?……まっ、いいか、それよりもお腹が空いたの。いつものスープを飲みたいの」
「懐かしいですね、久しぶりに栄養たっぷりのスープを作りましょう」
ーー良かった、料理長は少しだけ老けたけどわたしの知ってる変わらない料理長だった。
あ!でも制服が変わってる、やっぱり屋敷が違うからかしら?
「久しぶりなの?わたしは一昨日も食べたわよ?」
「カトリーヌ様、3年もの月日が経っているんですよ」
料理長が苦笑していた。
ーーそっか、そうだよね。3年……わたし何して過ごしていたのかしら?思い出せない……???
「うーん、確かにみんな老けた気がする。
ねえ、マーヤとミアは?スープ作ってくれている間にわたしお手伝いでもしてくるわ」
「カトリーヌ様、ダメです!今のカトリーヌ様は奥様達に愛されて大切にしてもらっているんですから、そんなことをしたら二人はクビになります!」
「一昨日までしていたのに?」
「いや、3年前までですから」
ーーなんだか記憶と今が合わな過ぎて疲れる。
でも料理長達に会ったから少し落ち着いてきた。
お母様達とこれからどうやって暮らせばいいのか……
うーん、とりあえずあんまり会わないようにしようかしら?だって今までも会うことなんてなかったんだもの。
【記憶を失ったカトリーヌ編】13歳の時。
ーー体が痛い。誰か助けて……
「………カトリーヌ?」
遠くから声が聞こえる。
優しい声。
この手は?
とってもあったかい。
ぼんやりと見えてきたのは心配そうに見つめる優しい表情をした女性だった。
「目が覚めたのね?良かったわ」
「……………だ…れ、ですか?」
「カ、トリーヌ?」
驚いた顔をした女性。
「カトリーヌ??」
ーーカトリーヌって誰?この人は誰?
ここはどこなの?
「………わからないの?カトリーヌ?」
小刻みに震える手をわたしに近づけてくる女性。
ーーいや、やめて!怖い!貴女は誰?
わたしは怖くて思わず手を払いのけた。
「や、やめてください、触らないで!」
わたしの態度にすごくショックを受けた顔をしている女性。
「お医者様を呼んでくるわ」
そう言うと部屋から出て行ってくれた。
ーー身体中が痛い。それに熱い……
わたしはまた毛布に丸まるように抱え込んで体を丸めてだるい体をなんとか誤魔化そうとして過ごした。
ーーキツイ時はこうしていれば……我慢していればいい。いつもこうしていたから……???
何故なんだろう…………このベッドでこうしていると落ち着くのに辛くて涙が出るのは……さっきの女性はとても優しく話しかけてくれるのに、心の中で気持ち悪いと感じるのは何故?
ーーーーーー
「熱が出ていますね。まだ怪我がかなり酷い状態ですので安静が必要です」
わたしの診察をしてくれる優しいお医者様。
この人は怖くない。
「…あ…お医者…様……わた…しは…なぜ…ここ…にいる…のでしょう…わたしは……誰?」
「貴女はカトリーヌ様ですよ。まだ目覚めたばかりです、貴女は馬車の事故に遭い大怪我をしたのです。ゆっくりと体を休めてあげてください。
元気になったらわたしとゆっくり話しましょう。今は何も考えず眠ってください」
「……はい」
ーーなんだか先生の言葉に安心してわたしは眠りについた。
ーーーーー
「お嬢様は事故による一過性の記憶障害もしくは記憶喪失だと思われます」
「一過性?だったらすぐに記憶が戻るのね?」
「おそらく……しかし記憶喪失ならいつ戻るかわかりません」
「治療は?どうすればいいの?」
「治療はありません、今は熱が出ているし怪我による痛みで本人も意識が朦朧としています。出来るだけ安心させてあげてください、責めたり否定したりせず話を聞いてあげて答えられることは答えてあげることです」
「………わかりました」
ーーーーー
わたしはしばらく熱が下がらずとてもキツくて自分のことを色々考えることができなくて過ごした。
優しい女性がわたしの頭に冷たいタオルを乗せてくれたり、知らない人達が服を着替えさせてくれたりした。
みんな必ず「カトリーヌ様」とわたしを呼ぶ。
だからわたしは「カトリーヌ」と言う名前なのだと思うことにした。
「料理長!お腹空いた!」
わたしはとにかくこの訳のわからないパニックの頭を冷やすため料理長に会いに行った。
「カトリーヌ様?」
わたしの様子に驚いているみたい。
「わたし記憶が戻ったらしいの、でもね、わたしは13歳のままなのよ?」
「……記憶が?だからですね、穏やかでお淑やかになっていたはずのカトリーヌ様が昔の元気なカトリーヌ様のようになっていたから驚きました」
「え?穏やかでお淑やか?わたしが?……まっ、いいか、それよりもお腹が空いたの。いつものスープを飲みたいの」
「懐かしいですね、久しぶりに栄養たっぷりのスープを作りましょう」
ーー良かった、料理長は少しだけ老けたけどわたしの知ってる変わらない料理長だった。
あ!でも制服が変わってる、やっぱり屋敷が違うからかしら?
「久しぶりなの?わたしは一昨日も食べたわよ?」
「カトリーヌ様、3年もの月日が経っているんですよ」
料理長が苦笑していた。
ーーそっか、そうだよね。3年……わたし何して過ごしていたのかしら?思い出せない……???
「うーん、確かにみんな老けた気がする。
ねえ、マーヤとミアは?スープ作ってくれている間にわたしお手伝いでもしてくるわ」
「カトリーヌ様、ダメです!今のカトリーヌ様は奥様達に愛されて大切にしてもらっているんですから、そんなことをしたら二人はクビになります!」
「一昨日までしていたのに?」
「いや、3年前までですから」
ーーなんだか記憶と今が合わな過ぎて疲れる。
でも料理長達に会ったから少し落ち着いてきた。
お母様達とこれからどうやって暮らせばいいのか……
うーん、とりあえずあんまり会わないようにしようかしら?だって今までも会うことなんてなかったんだもの。
【記憶を失ったカトリーヌ編】13歳の時。
ーー体が痛い。誰か助けて……
「………カトリーヌ?」
遠くから声が聞こえる。
優しい声。
この手は?
とってもあったかい。
ぼんやりと見えてきたのは心配そうに見つめる優しい表情をした女性だった。
「目が覚めたのね?良かったわ」
「……………だ…れ、ですか?」
「カ、トリーヌ?」
驚いた顔をした女性。
「カトリーヌ??」
ーーカトリーヌって誰?この人は誰?
ここはどこなの?
「………わからないの?カトリーヌ?」
小刻みに震える手をわたしに近づけてくる女性。
ーーいや、やめて!怖い!貴女は誰?
わたしは怖くて思わず手を払いのけた。
「や、やめてください、触らないで!」
わたしの態度にすごくショックを受けた顔をしている女性。
「お医者様を呼んでくるわ」
そう言うと部屋から出て行ってくれた。
ーー身体中が痛い。それに熱い……
わたしはまた毛布に丸まるように抱え込んで体を丸めてだるい体をなんとか誤魔化そうとして過ごした。
ーーキツイ時はこうしていれば……我慢していればいい。いつもこうしていたから……???
何故なんだろう…………このベッドでこうしていると落ち着くのに辛くて涙が出るのは……さっきの女性はとても優しく話しかけてくれるのに、心の中で気持ち悪いと感じるのは何故?
ーーーーーー
「熱が出ていますね。まだ怪我がかなり酷い状態ですので安静が必要です」
わたしの診察をしてくれる優しいお医者様。
この人は怖くない。
「…あ…お医者…様……わた…しは…なぜ…ここ…にいる…のでしょう…わたしは……誰?」
「貴女はカトリーヌ様ですよ。まだ目覚めたばかりです、貴女は馬車の事故に遭い大怪我をしたのです。ゆっくりと体を休めてあげてください。
元気になったらわたしとゆっくり話しましょう。今は何も考えず眠ってください」
「……はい」
ーーなんだか先生の言葉に安心してわたしは眠りについた。
ーーーーー
「お嬢様は事故による一過性の記憶障害もしくは記憶喪失だと思われます」
「一過性?だったらすぐに記憶が戻るのね?」
「おそらく……しかし記憶喪失ならいつ戻るかわかりません」
「治療は?どうすればいいの?」
「治療はありません、今は熱が出ているし怪我による痛みで本人も意識が朦朧としています。出来るだけ安心させてあげてください、責めたり否定したりせず話を聞いてあげて答えられることは答えてあげることです」
「………わかりました」
ーーーーー
わたしはしばらく熱が下がらずとてもキツくて自分のことを色々考えることができなくて過ごした。
優しい女性がわたしの頭に冷たいタオルを乗せてくれたり、知らない人達が服を着替えさせてくれたりした。
みんな必ず「カトリーヌ様」とわたしを呼ぶ。
だからわたしは「カトリーヌ」と言う名前なのだと思うことにした。
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