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突然の……………… 13歳
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今日もいつものように図書室で勉強をしていた。
珍しくジャン様は来なかった。
わたしが窓の外を見ると雨が降り出していた。
ーー傘がない……馬車乗り場までどうしよう。
時間になったら傘を持って来てくれるかしら?
御者の人たちはジャルマ寄りではない。
執事のブランが手配してくれるので多分大丈夫だろう。
ーーあと少しだけ時間があるからここまで進めよう。
黙々と勉強をしていると机に影ができた。
ーー誰?
頭を上げると不機嫌に立つイーサン殿下がいた。
アーシャ様のことか陛下に婚約解消をお願いしたことか……どちらにしろまた文句を言うのだろう。
わたしは顔を見るなり大きな溜息を吐いてしまった。
「はあーー」
そしていつもの無表情で挨拶。
「イーサン殿下にご挨拶申し上げます」
「その嫌味な感情の籠っていない挨拶はやめてくれないか?」
「不敬になりますので」
「俺が言ってるんだ」
「分かりました、前向きに考えておきます」
「君は俺をイライラさせる人だな、アーシャのことだが君はどうしてあんな酷いことをしたんだ」
「……………」
「何か答えろ」
「………………」
「おい!」
わたしの胸ぐらを掴んで体を揺さぶった。
ーー苦しい、でも泣かない。だって私は悪くないもの。
「やめて下さい」
周りにいた護衛の人が急いでイーサン殿下を止めに入った。
「ゲホッ」
我慢していたけど流石に息苦しくて嘔吐いてしまった。
ーー気持ちが悪い、この人はいったい何をしたいの?
わたしはもう顔も見るのも嫌だった。でも一言。
「これでやっと婚約破棄出来ますね?貴方も嬉しいでしょう?こんな嫌いな女と結婚しなくて済むのですから」
ーーあ!叩かれる!
彼はわたしを凄い顔をして睨んで手を振り上げた。
わたしは頭を守るように手で頭を覆って屈んだ。
なのに衝撃がこない?
わたしが見たイーサン殿下は何故か悲しそうな顔をしていた。
そして……
「もういい、わかった」
と言って護衛騎士に連れられてわたしのそばを離れた。
わたしは別の護衛騎士の人に連れられて図書室を出た。
ーー怖かった。
「騎士様ありがとうございました……」
雨の中傘をさして送ってくれた。
そして馬車に乗り込んだ。
しばらく走ると雨がかなり酷くなってきた。
今日に限っていつもの御者のおじさんではなかった。
「お嬢様、急いで帰りましょう」と言ってくれたけど
少し暗くなり始めた時間帯。
大雨で視界が悪くなっていく。
そう今日は何もかも悪い方へと進んで行った。
だから?
わたしの体は馬車の中で宙を舞って馬車の扉に激しく打ちつけた。すごい衝撃の中痛みも感じず……………
そして…………
珍しくジャン様は来なかった。
わたしが窓の外を見ると雨が降り出していた。
ーー傘がない……馬車乗り場までどうしよう。
時間になったら傘を持って来てくれるかしら?
御者の人たちはジャルマ寄りではない。
執事のブランが手配してくれるので多分大丈夫だろう。
ーーあと少しだけ時間があるからここまで進めよう。
黙々と勉強をしていると机に影ができた。
ーー誰?
頭を上げると不機嫌に立つイーサン殿下がいた。
アーシャ様のことか陛下に婚約解消をお願いしたことか……どちらにしろまた文句を言うのだろう。
わたしは顔を見るなり大きな溜息を吐いてしまった。
「はあーー」
そしていつもの無表情で挨拶。
「イーサン殿下にご挨拶申し上げます」
「その嫌味な感情の籠っていない挨拶はやめてくれないか?」
「不敬になりますので」
「俺が言ってるんだ」
「分かりました、前向きに考えておきます」
「君は俺をイライラさせる人だな、アーシャのことだが君はどうしてあんな酷いことをしたんだ」
「……………」
「何か答えろ」
「………………」
「おい!」
わたしの胸ぐらを掴んで体を揺さぶった。
ーー苦しい、でも泣かない。だって私は悪くないもの。
「やめて下さい」
周りにいた護衛の人が急いでイーサン殿下を止めに入った。
「ゲホッ」
我慢していたけど流石に息苦しくて嘔吐いてしまった。
ーー気持ちが悪い、この人はいったい何をしたいの?
わたしはもう顔も見るのも嫌だった。でも一言。
「これでやっと婚約破棄出来ますね?貴方も嬉しいでしょう?こんな嫌いな女と結婚しなくて済むのですから」
ーーあ!叩かれる!
彼はわたしを凄い顔をして睨んで手を振り上げた。
わたしは頭を守るように手で頭を覆って屈んだ。
なのに衝撃がこない?
わたしが見たイーサン殿下は何故か悲しそうな顔をしていた。
そして……
「もういい、わかった」
と言って護衛騎士に連れられてわたしのそばを離れた。
わたしは別の護衛騎士の人に連れられて図書室を出た。
ーー怖かった。
「騎士様ありがとうございました……」
雨の中傘をさして送ってくれた。
そして馬車に乗り込んだ。
しばらく走ると雨がかなり酷くなってきた。
今日に限っていつもの御者のおじさんではなかった。
「お嬢様、急いで帰りましょう」と言ってくれたけど
少し暗くなり始めた時間帯。
大雨で視界が悪くなっていく。
そう今日は何もかも悪い方へと進んで行った。
だから?
わたしの体は馬車の中で宙を舞って馬車の扉に激しく打ちつけた。すごい衝撃の中痛みも感じず……………
そして…………
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