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第23話
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ドアが開いたと思ったらその隙間からキリアンは入って行った。
「おねぇたん、おねぇたん、だぁっこぉ」
先生とエマと殿下は、そっと部屋の中を覗き込んだ。
そこにアイシャはいた。
ベッドに静かに寝ていた。
「ア、アイシャ様」
エマが小さい声で話しかけた。
「………」
アイシャは全く反応しなかった。
エマはキリアンを抱っこして静かにアイシャの様子を伺っていた。
ゴードンとエリックは静かに部屋に入って行くとそこにはリサとカイザがいた。
「アイシャを見つけるのが遅かったな。まさかこんなチビちゃんが先に見つけるとは思っていなかったよ」
「二人が何故アイシャ嬢をここに寝かせているんだ?どう言う事なんだ?」
ゴードンは二人を睨みつけながら聞いた。
「四日前の朝、公園で倒れているのを拾ったんだ。死にかけていたからね。『癒し』の魔法で今は命を繋いでいる所だ。ハウザー様に伝えなかったのは彼女に生きる意思がないからだ」
カイザに続き、リサも話を続けた。
「この子は死を受け入れているわ。手術を受ける意思はないの。楽にさせてあげるのも優しさだと思うわ」
「死なせろと言うのか?」
ゴードンは苦しげに言った。
「わたし達の魔法は生きる事を望まない人には効かないわ。もし手術が成功してもまた病魔を呼び込んでもっと苦しい思いをして死ぬことになるの。ハウザー様もご存知でしょう?」
「アイシャはやはり死を受け入れているのか?」
「本人は生きる事より死ぬ事を望んでいたわ、もう昨日から意識はないの、今は眠り続けているだけでいつ心臓が止まってもおかしくないの。
ルビラ王国へ連れて行くのはほとんど無理よ、本人に生きる意思が有ればわたしの『癒し』も効くけど今はほとんど弾いてしまって、少しだけ何とか効いている状態なの」
エリックもエマもただ呆然と話を聞いていた。
まさかそこまで悪くなっているとは思っていなかった。
四日前までは明るい顔で一緒に過ごしていた。
そんなに悪化しているなんて気づきもしなかった。
「アイシャちゃんは貴方達に体が辛い事が分からないようにしていたんだと思うわ」
「アイシャはそんなに悪い状態だったのか……」
エリックは手紙と人からの話しか聞いていなかった。
探し出せば手術をして治るものだとばかり思っていた。いや、助かると思い込もうとしていた。
なのに現実はアイシャはほとんど死んでいる状態に近かった。
「アイシャ……」
「貴方がエリック殿下ですね?」
「そうです」
「そして貴女がエマ様、チビちゃんがキリアン君……今からドアを開けて入ってくるのが……」
と、リサが言うと
「ウィリアム様ね」
ドアを開けてウィリアムが入って来た。
「アイシャ………」
ウィリアムは宿の近くを探していて、アイシャが見つかったと言う知らせを聞いて急いでやってきた。
久しぶりに見たアイシャは思っている以上に痩せていて顔色も悪かった。
死んだように眠っているアイシャを見て、周りの人を見回した。
「アイシャはどうなっているんです?まだ今なら助ける事が出来るんですよね?叔父上!」
誰も返事をしなかった。
「ウィリアム様、貴方には心配する資格はありません」
「な、何故見ず知らずの人にそんな事を言われないといけないんだ」
ウィリアムは突然言われた言葉に憤りを感じた。
一番自分がわかっている。
しかし赤の他人には言われたくない。
「ウィリアム、この二人はルビラ王国から態々来てくれた魔術師のリサ様とカイザ様だ。
そしてカイザ様はルビラ王国の王弟でもある」
「失礼しました」
ウィリアムはルビラ王国の魔術師や医師達に会い、なんとかアイシャの手術を頼むも診断書を見ると首を横に振るものばかりだった。
そんな中、どんな難しい病気も治せる魔術師がいるらしいと教えてもらった。
ただ彼らはほとんどルビラ王国内ですら医療行為はしないらしい。
お金を積んでも動く事はない。
国に大きな災害や病気が蔓延した時しか動かないと聞いた。
それでも国王に何度も頭を下げてお願いをした。
しかし彼らは国内にはいないと言われた。
自分を追い払うための言い訳だと思っていたが、我が国に来ていたからだと知ると
「お願いです、どうか娘を助けてください」
と、何度も頭を下げた。
「おねぇたん、おねぇたん、だぁっこぉ」
先生とエマと殿下は、そっと部屋の中を覗き込んだ。
そこにアイシャはいた。
ベッドに静かに寝ていた。
「ア、アイシャ様」
エマが小さい声で話しかけた。
「………」
アイシャは全く反応しなかった。
エマはキリアンを抱っこして静かにアイシャの様子を伺っていた。
ゴードンとエリックは静かに部屋に入って行くとそこにはリサとカイザがいた。
「アイシャを見つけるのが遅かったな。まさかこんなチビちゃんが先に見つけるとは思っていなかったよ」
「二人が何故アイシャ嬢をここに寝かせているんだ?どう言う事なんだ?」
ゴードンは二人を睨みつけながら聞いた。
「四日前の朝、公園で倒れているのを拾ったんだ。死にかけていたからね。『癒し』の魔法で今は命を繋いでいる所だ。ハウザー様に伝えなかったのは彼女に生きる意思がないからだ」
カイザに続き、リサも話を続けた。
「この子は死を受け入れているわ。手術を受ける意思はないの。楽にさせてあげるのも優しさだと思うわ」
「死なせろと言うのか?」
ゴードンは苦しげに言った。
「わたし達の魔法は生きる事を望まない人には効かないわ。もし手術が成功してもまた病魔を呼び込んでもっと苦しい思いをして死ぬことになるの。ハウザー様もご存知でしょう?」
「アイシャはやはり死を受け入れているのか?」
「本人は生きる事より死ぬ事を望んでいたわ、もう昨日から意識はないの、今は眠り続けているだけでいつ心臓が止まってもおかしくないの。
ルビラ王国へ連れて行くのはほとんど無理よ、本人に生きる意思が有ればわたしの『癒し』も効くけど今はほとんど弾いてしまって、少しだけ何とか効いている状態なの」
エリックもエマもただ呆然と話を聞いていた。
まさかそこまで悪くなっているとは思っていなかった。
四日前までは明るい顔で一緒に過ごしていた。
そんなに悪化しているなんて気づきもしなかった。
「アイシャちゃんは貴方達に体が辛い事が分からないようにしていたんだと思うわ」
「アイシャはそんなに悪い状態だったのか……」
エリックは手紙と人からの話しか聞いていなかった。
探し出せば手術をして治るものだとばかり思っていた。いや、助かると思い込もうとしていた。
なのに現実はアイシャはほとんど死んでいる状態に近かった。
「アイシャ……」
「貴方がエリック殿下ですね?」
「そうです」
「そして貴女がエマ様、チビちゃんがキリアン君……今からドアを開けて入ってくるのが……」
と、リサが言うと
「ウィリアム様ね」
ドアを開けてウィリアムが入って来た。
「アイシャ………」
ウィリアムは宿の近くを探していて、アイシャが見つかったと言う知らせを聞いて急いでやってきた。
久しぶりに見たアイシャは思っている以上に痩せていて顔色も悪かった。
死んだように眠っているアイシャを見て、周りの人を見回した。
「アイシャはどうなっているんです?まだ今なら助ける事が出来るんですよね?叔父上!」
誰も返事をしなかった。
「ウィリアム様、貴方には心配する資格はありません」
「な、何故見ず知らずの人にそんな事を言われないといけないんだ」
ウィリアムは突然言われた言葉に憤りを感じた。
一番自分がわかっている。
しかし赤の他人には言われたくない。
「ウィリアム、この二人はルビラ王国から態々来てくれた魔術師のリサ様とカイザ様だ。
そしてカイザ様はルビラ王国の王弟でもある」
「失礼しました」
ウィリアムはルビラ王国の魔術師や医師達に会い、なんとかアイシャの手術を頼むも診断書を見ると首を横に振るものばかりだった。
そんな中、どんな難しい病気も治せる魔術師がいるらしいと教えてもらった。
ただ彼らはほとんどルビラ王国内ですら医療行為はしないらしい。
お金を積んでも動く事はない。
国に大きな災害や病気が蔓延した時しか動かないと聞いた。
それでも国王に何度も頭を下げてお願いをした。
しかし彼らは国内にはいないと言われた。
自分を追い払うための言い訳だと思っていたが、我が国に来ていたからだと知ると
「お願いです、どうか娘を助けてください」
と、何度も頭を下げた。
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