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第15話 〜王宮編〜
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「アイシャ様、お薬はきちんと飲んでいますか?」
エマ様は仕事から帰って来るとまずわたしの顔を見て心配そうに聞いてくる。
「大丈夫です。薬は飲みました。最近は体調も良いです。何でも言いつけて下さい、頑張りますから!」
わたしは元気に答えた。
「アイシャ様、ではわたしからのお願いがあります」
「はい!何でもやります!」
「では、部屋へ行ってベッドで寝ていて下さい、わたしが「いい!」と言うまで出てこないで下さい!」
エマ様はわたしをキリアン君から借りている部屋へ押し込めて、
「そんな青白い顔をしている人が「元気です」と言っても信じられる訳がないでしょう!さっさと横になる!そして寝る!」
わたしはエマ様にベッドへ寝かされた。
今日は一日大好きなキリアン君と過ごしたから少しだけ……疲れていた。
そして……いつの間にか寝てしまっていた。
「ふう、やっと横になった……」
エマがホッとして溜息をついた。
「アイシャ様は昼間キリアンから離れなくて、休もうとしないのよ」
サラが心配そうにしていた。
「アイシャ様はキリアンといる事が今は生きる希望なんだと思うの。その時間を取り上げたら彼女は生きる事を諦めるかもしれないわ。体力的にはキツイはずだけど無理してでも明るくしていようとしてるの。生きる希望を持たせるべきか体をこれ以上酷使しないようにさせるべきなのか、とても迷ってしまうわ、早く手術をさせるしかないの」
◇ ◇ ◇
~王宮内にて~
少し時間は遡り……
アイシャが2回目に倒れてから数日経った日………
「陛下、久しぶりだな」
「叔父上、お久しぶりです」
ゴードンは怒りを露わにしていた。
「王妃を呼んでおけと言ったはずだが!」
「彼女は体調が悪く寝込んでいます」
「ほお、ならば尚更ここに連れてこい。わたしが診てやるよ」
「ご冗談を……」
陛下は笑って誤魔化した。
「アイシャ嬢のことだ。もちろんわかっているだろう」
「どうなさりたいのです?」
「お前の嫁は少々やり過ぎた。このまま放っておくわけにはいかない」
「少し王子妃教育を厳しくしただけではないですか?」
「お前はあの子の体の傷を見ていないから言えるんだ。あれはムチを使った体罰だ。子どもへの鞭打ちは法律で禁止されていたはずだ。それを王妃自らが破っていいのか?」
「そんな事した証拠はないでしょう」
「王宮での聞き取り調査で確証を取った。わたしの『影』に今回は動いてもらった」
「……『影』………」
「お前もわかっているだろう、『影』は絶対だ。嘘は吐かない。王族だからと言って贔屓もない。公正であることが絶対だ」
「……妻をどうするつもりですか?」
「幽閉しろ」
「嫌です。わたしは彼女を愛しているんです」
「ならばお前も国王の座をおりて一緒に幽閉すればいい」
「本気で言っていますか?」
「わたしは王を見張る『番人』だ。わかっているだろう?」
ゴードン・ハウザー元王弟は、現国王の悪政はないか常に見張っている『番人』で唯一国王に現役を退かせる力を持っている人だ。
そして陛下自体も『番人』は誰なのか知る事が出来るのは『番人』が国王陛下に退位を言い渡す時だけだ。
「わたしはただ妻を愛しているだけ。彼女がウィリアムの娘をまさかあそこまで毛嫌いするとは思っていなかったんだ。
ウィリアムが王宮に留まっているのをいいことにアイシャを屋敷の者達に虐待まがいのことをさせていたなんて知らなかった。
それを知っていればエリックがアイシャと婚約をしたいと言ってきた時、了解などしなかった。
妻がアイシャの教育を自らすると言ってくれてわたしは嬉しかった。もうウィリアムとのことはなんとも思っていないと感じたからだ。
わたしが無理矢理二人を引き裂いて彼女をわたしのものにした。妻はまだウィリアムを愛しているんだ………だからジュリーにそっくりなアイシャをよく思っていないんだと思う」
「アイシャを犠牲にしてまで妻を大切にする……お前の愛情は歪んでいる。
お前はアイシャを助け出せたはずだ。ウィリアムには一切情報を与えずアイシャは幸せだと信じ込ませて、王妃がしている事を裏で手助けしていただろう」
「……叔父上、貴方にはわからないと思いますよ。愛していても愛されていない虚しさ。
それでも彼女だけなんです、彼女のためなら多少の犠牲なんて大したことではなかったんですよ」
「それはアイシャを虐待させて死にたいと思わせてしまった結果になってもそう思うのか?自分の息子の愛しているアイシャを死に追いやろうとして、息子には海外留学させて何も情報を与えない。お前は妻は愛していても息子や従兄弟の娘は犠牲にしても平気なんだな」
「まさかアイシャが心臓病だとは思いませんでした。でも今さら仕方がないでしょう。……あの子はもう助からない、ルビラ王国は、難しい手術を国内だけでもたくさん抱えているんだ。
いくら我が国の王族が頼んだって簡単に受け入れて貰えるはずがないでしょう?ウィリアムがいくら動いても無駄なんですよ」
「ああ確かに何度もルビラ王国に手紙を出した。使者も出した。まだ返事は来ていない。だからアイシャをわたしの娘にしようと思う。わたしがルビラの国王に直接、娘を診てもらうように頼もうと思う」
「アイシャを叔父上の娘に?確かに叔父上の娘ならルビラの国王も断らないでしょう。国王は叔父上をとても尊敬しているし昔助けたので恩人だと思っていますからね」
ゴードンはルビラ王国に医学の勉強に行った時、まだ見ぬ伝染病に国が見舞われた。
その時にルビラの医師達と共に伝染病に挑み、薬を見つけ国を救った医師の一人だった。
「わたしは本当は王に無理強いをしたくはなかった。だが時間がない。あの子を助けるためにはルビラの医療技術と魔術が必要なんだ。あの国ならアイシャが生きたいと望めば助かる」
「……助かる………
叔父上、今からでも………遅くなければあの子を助けてあげてください。
わたしの最後の国王としての仕事です。アイシャを貴方の娘にする許可を出します。
わたしは『番人』に国王の座を退くように言われました。妻と二人塔に入ります。
だが…………エリックには何も罪はありません。彼にはどうか慈悲をお願いします」
「ああわかった。次の国王が決まるまで暫定的に『番人』であるわたしが王の座を引き継ぐ。次の王はエリックかジャンのどちらか見極めることにしよう。アイシャとエリックの婚約は解消する。わかったな?」
「はい、了解しました」
エマ様は仕事から帰って来るとまずわたしの顔を見て心配そうに聞いてくる。
「大丈夫です。薬は飲みました。最近は体調も良いです。何でも言いつけて下さい、頑張りますから!」
わたしは元気に答えた。
「アイシャ様、ではわたしからのお願いがあります」
「はい!何でもやります!」
「では、部屋へ行ってベッドで寝ていて下さい、わたしが「いい!」と言うまで出てこないで下さい!」
エマ様はわたしをキリアン君から借りている部屋へ押し込めて、
「そんな青白い顔をしている人が「元気です」と言っても信じられる訳がないでしょう!さっさと横になる!そして寝る!」
わたしはエマ様にベッドへ寝かされた。
今日は一日大好きなキリアン君と過ごしたから少しだけ……疲れていた。
そして……いつの間にか寝てしまっていた。
「ふう、やっと横になった……」
エマがホッとして溜息をついた。
「アイシャ様は昼間キリアンから離れなくて、休もうとしないのよ」
サラが心配そうにしていた。
「アイシャ様はキリアンといる事が今は生きる希望なんだと思うの。その時間を取り上げたら彼女は生きる事を諦めるかもしれないわ。体力的にはキツイはずだけど無理してでも明るくしていようとしてるの。生きる希望を持たせるべきか体をこれ以上酷使しないようにさせるべきなのか、とても迷ってしまうわ、早く手術をさせるしかないの」
◇ ◇ ◇
~王宮内にて~
少し時間は遡り……
アイシャが2回目に倒れてから数日経った日………
「陛下、久しぶりだな」
「叔父上、お久しぶりです」
ゴードンは怒りを露わにしていた。
「王妃を呼んでおけと言ったはずだが!」
「彼女は体調が悪く寝込んでいます」
「ほお、ならば尚更ここに連れてこい。わたしが診てやるよ」
「ご冗談を……」
陛下は笑って誤魔化した。
「アイシャ嬢のことだ。もちろんわかっているだろう」
「どうなさりたいのです?」
「お前の嫁は少々やり過ぎた。このまま放っておくわけにはいかない」
「少し王子妃教育を厳しくしただけではないですか?」
「お前はあの子の体の傷を見ていないから言えるんだ。あれはムチを使った体罰だ。子どもへの鞭打ちは法律で禁止されていたはずだ。それを王妃自らが破っていいのか?」
「そんな事した証拠はないでしょう」
「王宮での聞き取り調査で確証を取った。わたしの『影』に今回は動いてもらった」
「……『影』………」
「お前もわかっているだろう、『影』は絶対だ。嘘は吐かない。王族だからと言って贔屓もない。公正であることが絶対だ」
「……妻をどうするつもりですか?」
「幽閉しろ」
「嫌です。わたしは彼女を愛しているんです」
「ならばお前も国王の座をおりて一緒に幽閉すればいい」
「本気で言っていますか?」
「わたしは王を見張る『番人』だ。わかっているだろう?」
ゴードン・ハウザー元王弟は、現国王の悪政はないか常に見張っている『番人』で唯一国王に現役を退かせる力を持っている人だ。
そして陛下自体も『番人』は誰なのか知る事が出来るのは『番人』が国王陛下に退位を言い渡す時だけだ。
「わたしはただ妻を愛しているだけ。彼女がウィリアムの娘をまさかあそこまで毛嫌いするとは思っていなかったんだ。
ウィリアムが王宮に留まっているのをいいことにアイシャを屋敷の者達に虐待まがいのことをさせていたなんて知らなかった。
それを知っていればエリックがアイシャと婚約をしたいと言ってきた時、了解などしなかった。
妻がアイシャの教育を自らすると言ってくれてわたしは嬉しかった。もうウィリアムとのことはなんとも思っていないと感じたからだ。
わたしが無理矢理二人を引き裂いて彼女をわたしのものにした。妻はまだウィリアムを愛しているんだ………だからジュリーにそっくりなアイシャをよく思っていないんだと思う」
「アイシャを犠牲にしてまで妻を大切にする……お前の愛情は歪んでいる。
お前はアイシャを助け出せたはずだ。ウィリアムには一切情報を与えずアイシャは幸せだと信じ込ませて、王妃がしている事を裏で手助けしていただろう」
「……叔父上、貴方にはわからないと思いますよ。愛していても愛されていない虚しさ。
それでも彼女だけなんです、彼女のためなら多少の犠牲なんて大したことではなかったんですよ」
「それはアイシャを虐待させて死にたいと思わせてしまった結果になってもそう思うのか?自分の息子の愛しているアイシャを死に追いやろうとして、息子には海外留学させて何も情報を与えない。お前は妻は愛していても息子や従兄弟の娘は犠牲にしても平気なんだな」
「まさかアイシャが心臓病だとは思いませんでした。でも今さら仕方がないでしょう。……あの子はもう助からない、ルビラ王国は、難しい手術を国内だけでもたくさん抱えているんだ。
いくら我が国の王族が頼んだって簡単に受け入れて貰えるはずがないでしょう?ウィリアムがいくら動いても無駄なんですよ」
「ああ確かに何度もルビラ王国に手紙を出した。使者も出した。まだ返事は来ていない。だからアイシャをわたしの娘にしようと思う。わたしがルビラの国王に直接、娘を診てもらうように頼もうと思う」
「アイシャを叔父上の娘に?確かに叔父上の娘ならルビラの国王も断らないでしょう。国王は叔父上をとても尊敬しているし昔助けたので恩人だと思っていますからね」
ゴードンはルビラ王国に医学の勉強に行った時、まだ見ぬ伝染病に国が見舞われた。
その時にルビラの医師達と共に伝染病に挑み、薬を見つけ国を救った医師の一人だった。
「わたしは本当は王に無理強いをしたくはなかった。だが時間がない。あの子を助けるためにはルビラの医療技術と魔術が必要なんだ。あの国ならアイシャが生きたいと望めば助かる」
「……助かる………
叔父上、今からでも………遅くなければあの子を助けてあげてください。
わたしの最後の国王としての仕事です。アイシャを貴方の娘にする許可を出します。
わたしは『番人』に国王の座を退くように言われました。妻と二人塔に入ります。
だが…………エリックには何も罪はありません。彼にはどうか慈悲をお願いします」
「ああわかった。次の国王が決まるまで暫定的に『番人』であるわたしが王の座を引き継ぐ。次の王はエリックかジャンのどちらか見極めることにしよう。アイシャとエリックの婚約は解消する。わかったな?」
「はい、了解しました」
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