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第14話 〜ウィリアム編⑤〜
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屋敷の者達全てを捕らえた。
騎士達に任せるのはやめて自らも取り調べに加わった。
やはり中心でアイシャを虐げたのは家令のマークと侍女長だった。
彼らに反省の色はない。
こいつらの背後にも王妃の力が働いているのか?
まだ調べてみないとわからない。
ただ、アイシャ付きで子どもの頃から世話をしてくれていた者や料理人達はアイシャの味方だった。
表立ってアイシャを助けると首になりアイシャを助けられなくなるので、みんな表では全員がアイシャに冷たく当たっていたらしい。
アイシャを助けたいと思っている者達はアイシャに文句を言いながら、
「アイシャ様はこんなこともできないんですか!ノロマですね、貸してください!こんな風にするんです」
と言ってから、アイシャには口に人差し指を置いて「静かに」とジェスチャーをして代わりに掃除をしたりしていた者もいたらしい。
夜中にアイシャが寝ている部屋に毎回食事を運んでくれていた料理人達。
皿洗いもほとんど自分達でして、少しだけ態と残してアイシャに文句を言いながらさせていたと聞いた。
ただ、そうやって助ける者もいたがほとんどはアイシャを虐げていたので、何処で助けているのがバレて告げ口されるか分からないのでアイシャを怒りながらこっそりと隠れて助けてくれていた。
わたしになんとか連絡を取ろうとしてもマーク達に手紙などは目を通されているし、使用人が王宮へ行くことはできない。
わたしが帰ってきても使用人と話すことなどわたし自身がほとんどしなかったので伝えることすら出来なかったらしい。
妻は娘に興味がなく、使用人が話しかけることすら出来なかったそうだ。
妻は貴族的な傲慢なところがありプライドの高い人間だ。自分達より下の者を見下すところがあった。なので使用人が安易に話しかけることを許さなかった。
アイシャを助けられる者は屋敷には居なかった。陰で助けるのが精一杯だったと泣きながら言う者ばかりだった。
「アイシャ様があの屋敷から助け出されてよかった……これでわたしの罪悪感も救われます、どうぞ裁いてください、安心して罪を償えます」
と、アイシャを助けていた者達は皆ホッとした顔で捕まっていた。
使用人達のアイシャへの思いを聞いてわたしは泣きそうになった。
アイシャがどんな辛い思いで過ごしてきたか考えるだけで辛かったのだが、アイシャを助けようと動いてくれていた者もいたのだ。
わたしは何も気づかず何も見ないようにして、仕事に邁進していた。
その間アイシャは虐げられていた。
病魔は少しずつアイシャを蝕んでいたはずだ。もっと早く医者に見せていれば今のような状態にはならなかっただろう。
娘を死に追いやろうとしていたのはわたしの無関心さと勝手に娘が幸せになると思っていた無理矢理させた婚約だった。
婚約だって娘の幸せと言いながらも我が公爵家の力がさらに強固になれるという打算ももちろんあった。
わたしは娘を愛していると思っていたが、本当はただのいいように扱える人形としてしか見ていなかったようだ。
娘を助けてくれていた使用人達はもちろん牢から出して、わたしはみんなに頭を下げた。
「アイシャを陰で助けてくれていたそうだな。ありがとう」
だがみんなはわたしに対して冷たい視線を向けた。
「旦那様のためにしたわけではありません。わたし達はアイシャ様が大好きだったから守りたかっただけです。辞めさせられれば守ることができませんでした。だからわたし達もアイシャ様に冷たく当たりました。だから、牢に入れられて当然です、出してもらえても嬉しいとは思えません」
みんな娘への罪悪感で助け出された喜びなどなかった。
わたしの無関心が他の人たちまでも罪人にしてしまっていた。
そしてアイシャの婚約者である殿下は今も留学中だ。
これも王妃が無理矢理行かせている。
殿下はアイシャより2歳年上でわたしが宰相になる前は息子のルイズとアイシャを王宮へ連れて行きよく殿下に会わせて遊ばせていた。
年が近いこともあり陛下に頼まれて連れて行っていたのだ。
わたしが宰相になってからは徐々に忙しくなり会うことも無くなっていった。
アイシャは覚えていないみたいだが、殿下はアイシャが初恋だったらしく、婚約者を決めないといけないとなった時にアイシャがいいと自ら名前を出された。
わたしとしてはもちろん喜ばしいことだったのですぐ快諾した。
まさか王妃が二人の婚約が気に入らなかったとは思っていなかった。
王妃とわたしは昔………付き合っていた事があった。
ただ陛下の婚約者候補として彼女の名が挙がった時わたし達は別れる別れないで喧嘩をして結局別れた。
そして彼女は陛下の妃となりわたしは侯爵家の娘のジュリーと結婚した。
その頃はわたし自身がまさか王妃に近い場所で働くことになるとは思ってもいなかった。
当時子どもたちを会わせていたことは、王妃は知らなかった。
わたしと王妃は別れてからお互い会う事もなく、わたし自身は陛下と仕事で会う事が多かった。その時に子どもたちを会わせていたのだった。
だからまさか昔のことを今も拘っていてアイシャを嫌っていたなんて思いもよらなかった。
お互い大人になり、昔のことは忘れて公私混同はせず仕事と割り切り接してきていたつもりだったのだ。
まさか娘に対して虐待まがいのことをしていたとは思っていなかった。
元々激しい気性の性格ではあったが、わたしの娘が気に入らないからと体罰を行うなど思いもしなかった。
あの王妃だけは許さない。いずれ罰を与えてやるつもりだ。
そして娘が倒れても知らせなかった部下と騎士達にはいま謹慎をさせている。
元々王妃の意向に沿った者達なのであまり厳しく罰することは出来ない。数週間の謹慎と減俸になった。
釈放された者達には頭を下げて屋敷に戻って働いてもらうように頼んだ。
アイシャが帰ってきた時に知らない者ばかりでは寂しいだろうし自分を庇ってくれた者達が首にされたと知れば悲しむと思ったからだ。
狡いと思ったが、その事をみんなに訴えてお願いするしかなかった。
娘に無関心だった馬鹿な父親にとって娘が少しでも安心して帰れる家にするにはひたすらみんなに謝るしかなかった。
恥も外聞もなかった。
そしてわたしは娘の命を救うために宰相の力を使って動くつもりだ。
ルビラ王国に自ら行き王に会いに行く事にした。
騎士達に任せるのはやめて自らも取り調べに加わった。
やはり中心でアイシャを虐げたのは家令のマークと侍女長だった。
彼らに反省の色はない。
こいつらの背後にも王妃の力が働いているのか?
まだ調べてみないとわからない。
ただ、アイシャ付きで子どもの頃から世話をしてくれていた者や料理人達はアイシャの味方だった。
表立ってアイシャを助けると首になりアイシャを助けられなくなるので、みんな表では全員がアイシャに冷たく当たっていたらしい。
アイシャを助けたいと思っている者達はアイシャに文句を言いながら、
「アイシャ様はこんなこともできないんですか!ノロマですね、貸してください!こんな風にするんです」
と言ってから、アイシャには口に人差し指を置いて「静かに」とジェスチャーをして代わりに掃除をしたりしていた者もいたらしい。
夜中にアイシャが寝ている部屋に毎回食事を運んでくれていた料理人達。
皿洗いもほとんど自分達でして、少しだけ態と残してアイシャに文句を言いながらさせていたと聞いた。
ただ、そうやって助ける者もいたがほとんどはアイシャを虐げていたので、何処で助けているのがバレて告げ口されるか分からないのでアイシャを怒りながらこっそりと隠れて助けてくれていた。
わたしになんとか連絡を取ろうとしてもマーク達に手紙などは目を通されているし、使用人が王宮へ行くことはできない。
わたしが帰ってきても使用人と話すことなどわたし自身がほとんどしなかったので伝えることすら出来なかったらしい。
妻は娘に興味がなく、使用人が話しかけることすら出来なかったそうだ。
妻は貴族的な傲慢なところがありプライドの高い人間だ。自分達より下の者を見下すところがあった。なので使用人が安易に話しかけることを許さなかった。
アイシャを助けられる者は屋敷には居なかった。陰で助けるのが精一杯だったと泣きながら言う者ばかりだった。
「アイシャ様があの屋敷から助け出されてよかった……これでわたしの罪悪感も救われます、どうぞ裁いてください、安心して罪を償えます」
と、アイシャを助けていた者達は皆ホッとした顔で捕まっていた。
使用人達のアイシャへの思いを聞いてわたしは泣きそうになった。
アイシャがどんな辛い思いで過ごしてきたか考えるだけで辛かったのだが、アイシャを助けようと動いてくれていた者もいたのだ。
わたしは何も気づかず何も見ないようにして、仕事に邁進していた。
その間アイシャは虐げられていた。
病魔は少しずつアイシャを蝕んでいたはずだ。もっと早く医者に見せていれば今のような状態にはならなかっただろう。
娘を死に追いやろうとしていたのはわたしの無関心さと勝手に娘が幸せになると思っていた無理矢理させた婚約だった。
婚約だって娘の幸せと言いながらも我が公爵家の力がさらに強固になれるという打算ももちろんあった。
わたしは娘を愛していると思っていたが、本当はただのいいように扱える人形としてしか見ていなかったようだ。
娘を助けてくれていた使用人達はもちろん牢から出して、わたしはみんなに頭を下げた。
「アイシャを陰で助けてくれていたそうだな。ありがとう」
だがみんなはわたしに対して冷たい視線を向けた。
「旦那様のためにしたわけではありません。わたし達はアイシャ様が大好きだったから守りたかっただけです。辞めさせられれば守ることができませんでした。だからわたし達もアイシャ様に冷たく当たりました。だから、牢に入れられて当然です、出してもらえても嬉しいとは思えません」
みんな娘への罪悪感で助け出された喜びなどなかった。
わたしの無関心が他の人たちまでも罪人にしてしまっていた。
そしてアイシャの婚約者である殿下は今も留学中だ。
これも王妃が無理矢理行かせている。
殿下はアイシャより2歳年上でわたしが宰相になる前は息子のルイズとアイシャを王宮へ連れて行きよく殿下に会わせて遊ばせていた。
年が近いこともあり陛下に頼まれて連れて行っていたのだ。
わたしが宰相になってからは徐々に忙しくなり会うことも無くなっていった。
アイシャは覚えていないみたいだが、殿下はアイシャが初恋だったらしく、婚約者を決めないといけないとなった時にアイシャがいいと自ら名前を出された。
わたしとしてはもちろん喜ばしいことだったのですぐ快諾した。
まさか王妃が二人の婚約が気に入らなかったとは思っていなかった。
王妃とわたしは昔………付き合っていた事があった。
ただ陛下の婚約者候補として彼女の名が挙がった時わたし達は別れる別れないで喧嘩をして結局別れた。
そして彼女は陛下の妃となりわたしは侯爵家の娘のジュリーと結婚した。
その頃はわたし自身がまさか王妃に近い場所で働くことになるとは思ってもいなかった。
当時子どもたちを会わせていたことは、王妃は知らなかった。
わたしと王妃は別れてからお互い会う事もなく、わたし自身は陛下と仕事で会う事が多かった。その時に子どもたちを会わせていたのだった。
だからまさか昔のことを今も拘っていてアイシャを嫌っていたなんて思いもよらなかった。
お互い大人になり、昔のことは忘れて公私混同はせず仕事と割り切り接してきていたつもりだったのだ。
まさか娘に対して虐待まがいのことをしていたとは思っていなかった。
元々激しい気性の性格ではあったが、わたしの娘が気に入らないからと体罰を行うなど思いもしなかった。
あの王妃だけは許さない。いずれ罰を与えてやるつもりだ。
そして娘が倒れても知らせなかった部下と騎士達にはいま謹慎をさせている。
元々王妃の意向に沿った者達なのであまり厳しく罰することは出来ない。数週間の謹慎と減俸になった。
釈放された者達には頭を下げて屋敷に戻って働いてもらうように頼んだ。
アイシャが帰ってきた時に知らない者ばかりでは寂しいだろうし自分を庇ってくれた者達が首にされたと知れば悲しむと思ったからだ。
狡いと思ったが、その事をみんなに訴えてお願いするしかなかった。
娘に無関心だった馬鹿な父親にとって娘が少しでも安心して帰れる家にするにはひたすらみんなに謝るしかなかった。
恥も外聞もなかった。
そしてわたしは娘の命を救うために宰相の力を使って動くつもりだ。
ルビラ王国に自ら行き王に会いに行く事にした。
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