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シャノン、お父様と話す
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ウィリアム事件から疲れて寝てしまったわたしは目覚めると外が暗くなっていた。
「シャノン様、起きましたね」
ロニーはわたしのそばにずっといてくれたみたい。
「ロニー、今何時かしら?外が暗くなっているわ」
「もう夜の7時ですよ」
「もうそんな時間……いっぱい寝てしまったのね」
「旦那様がシャノン様を心配して起きられるのを待っております、お呼びしますか?」
「……お父様?なぜ?わたしが起きるのを待っていたのかしら?……そういえば今日何故ここにいたの?
何か話したいことでもあるのかしら?
ねえ?ロニー?」
ロニーは真面目な顔で言った。
「では、お断りしますか?」
「こういう時はどうしたらいいのかしら?」
わたしにはわからなかった。
だってわたしに会いに来たことなんてなかったんだもん。
(わたしが寝ている時は来たことあるらしいけど記憶にないし)
昼間の抱っこを思い出してしまった。
「お父様と何を話したらいいのかわからないわ」
「シャノン様………」
ロニーは、クスクス笑い出した。
「ええ?ロニー何故笑うの?」
「鏡差し上げましょうか?シャノン様顔が真っ赤ですよ!」
思わず頬を触った。
◇ ◇ ◇
「「・・・・・」」
わたしとお父様、いつまで続くの……この無言地獄……
「旦那様、シャノン様、わたし外に出て…「待って!」」
ロニーが部屋から出ようとしたので急いで止めた。
(お父様と二人っきりなんて絶対に無理、ありえないわ)
ロニーがわたしを見て深い溜息をついた。
「ハァ~……失礼ながら言わせていただきます。
お二人がお話ししないのならここにわたしがいる必要はないのでは?」
「……そ、そうよね。お父様、先程は助けていただき誠にありがとうございました。きちんとしたお礼を言わず失礼致しました」
「………シャノン様……それちが……い…ます」
ロニーがさらに溜息をついた
「ハァ~ッ………」
「旦那様、シャノン様、失礼ながら言わせていただきます」
「いい加減になさいませ。旦那様もそろそろ素直にシャノン様にお話なさってもいいと思います」
そしてわたしに振り向いた。
「シャノン様もそろそろ旦那様に向き合わなければいけないのでは?お二人共、逃げてばかりでは何も始まりませんよ?」
「ロニー、何が始まらないの?」
わたしが素直に聞いた。
「シャノン様はお勉強は出来ても人としてズレてます!」
「旦那様も侯爵様としては優秀かもしれませんが、父親としては本当に最低です!」
お父様が初めて口を開いた。
「…さ、……い、て…い」
「え?ズレてる?」
「そうです!
旦那様!
ここまで言ったからもう一緒なので言わせていただきます!
シャノン様は旦那様に愛されていないとずっと思っておりました。
喘息が出ても熱が出ても
『お父様には言わないでね』と言っていつもわたしの手を握りしめて我慢なされていました。
旦那様がこっそりと夜中にシャノン様に会いに来てもそんな訳の分からない行動はシャノン様には伝わっておりません!
一度でもシャノン様が起きている時に部屋に顔を出せばこんなに拗れなかったんですよ!
邸の者は何度もアドバイスしましたよね?
このままじゃシャノン様に捨てられると!
なのにもしシャノン様に言ったらクビだと脅して言わせない!
まあ、わたしは旦那様の良い所なんて絶対にシャノン様に言うつもりはありませんでしたけど。
わたしが来た時のシャノン様は、頑張っても認めてもらえないと思って旦那様に諦められていたから言っても信じてもらえなかったでしょうし!
それでもシャノン様は、お馬鹿だから認めて貰いたくて、必死で勉強もダンスもマナーもピアノも頑張っていました。
それなのに旦那様は口を開けば
『勉強しなさい!』
『努力が足りない』
と酷い言葉ばかりを言われましたよね!
本当はお病気ばかりするシャノン様がみんなについて行けなくなるのが心配でつい口煩くなっていただけなんてシャノン様には全く伝わりませんよ!」
「ロニー、わたしってお馬鹿なの?」
「煩いです!」
「う、うるさいって…」
「旦那様、シャノン様はずっとずっと貴方に認められたい!愛されたい!と思っておりました。
まあ、わたしは旦那様に愛される必要なんかないと思っておりましたけどね。
だから、私たち使用人は旦那様の代わりにみんなでシャノン様を守り愛してきたんです!
お一人で食べる食事なんて美味しくあるわけないじゃないですか?あんな広い部屋でポツンとお一人で毎日食べさせるなんて!
だから私たち使用人と一緒に食事をして少しでも寂しいお気持ちを和らげてあげたかったんです!
シャノン様を私たちがずっと貴方の冷たい態度からお守りしてきたんです!
シャノン様が貴方を捨てたのは
『お前が出来ることは侯爵家のためになることだ、わかっているな?』
ラウル様とのお見合いの日に言った言葉ですよ!
シャノン様は自分は駒だと思ったんですよ!愛されてなどいないと、嫌われているんだとその時自覚してしまったんです。貴方に愛されることを完全に諦めたんです!
だから今もラウル様と離縁する自分はゴミだと思っているお馬鹿さんなんです!」
ロニーは、最後の方は涙をポロポロ流していた。
「シャノン様、貴方はわたしの大事な大事な愛する主なのです。お馬鹿で抜けててとっても優しくて可愛いんです……」
「シャノン様、起きましたね」
ロニーはわたしのそばにずっといてくれたみたい。
「ロニー、今何時かしら?外が暗くなっているわ」
「もう夜の7時ですよ」
「もうそんな時間……いっぱい寝てしまったのね」
「旦那様がシャノン様を心配して起きられるのを待っております、お呼びしますか?」
「……お父様?なぜ?わたしが起きるのを待っていたのかしら?……そういえば今日何故ここにいたの?
何か話したいことでもあるのかしら?
ねえ?ロニー?」
ロニーは真面目な顔で言った。
「では、お断りしますか?」
「こういう時はどうしたらいいのかしら?」
わたしにはわからなかった。
だってわたしに会いに来たことなんてなかったんだもん。
(わたしが寝ている時は来たことあるらしいけど記憶にないし)
昼間の抱っこを思い出してしまった。
「お父様と何を話したらいいのかわからないわ」
「シャノン様………」
ロニーは、クスクス笑い出した。
「ええ?ロニー何故笑うの?」
「鏡差し上げましょうか?シャノン様顔が真っ赤ですよ!」
思わず頬を触った。
◇ ◇ ◇
「「・・・・・」」
わたしとお父様、いつまで続くの……この無言地獄……
「旦那様、シャノン様、わたし外に出て…「待って!」」
ロニーが部屋から出ようとしたので急いで止めた。
(お父様と二人っきりなんて絶対に無理、ありえないわ)
ロニーがわたしを見て深い溜息をついた。
「ハァ~……失礼ながら言わせていただきます。
お二人がお話ししないのならここにわたしがいる必要はないのでは?」
「……そ、そうよね。お父様、先程は助けていただき誠にありがとうございました。きちんとしたお礼を言わず失礼致しました」
「………シャノン様……それちが……い…ます」
ロニーがさらに溜息をついた
「ハァ~ッ………」
「旦那様、シャノン様、失礼ながら言わせていただきます」
「いい加減になさいませ。旦那様もそろそろ素直にシャノン様にお話なさってもいいと思います」
そしてわたしに振り向いた。
「シャノン様もそろそろ旦那様に向き合わなければいけないのでは?お二人共、逃げてばかりでは何も始まりませんよ?」
「ロニー、何が始まらないの?」
わたしが素直に聞いた。
「シャノン様はお勉強は出来ても人としてズレてます!」
「旦那様も侯爵様としては優秀かもしれませんが、父親としては本当に最低です!」
お父様が初めて口を開いた。
「…さ、……い、て…い」
「え?ズレてる?」
「そうです!
旦那様!
ここまで言ったからもう一緒なので言わせていただきます!
シャノン様は旦那様に愛されていないとずっと思っておりました。
喘息が出ても熱が出ても
『お父様には言わないでね』と言っていつもわたしの手を握りしめて我慢なされていました。
旦那様がこっそりと夜中にシャノン様に会いに来てもそんな訳の分からない行動はシャノン様には伝わっておりません!
一度でもシャノン様が起きている時に部屋に顔を出せばこんなに拗れなかったんですよ!
邸の者は何度もアドバイスしましたよね?
このままじゃシャノン様に捨てられると!
なのにもしシャノン様に言ったらクビだと脅して言わせない!
まあ、わたしは旦那様の良い所なんて絶対にシャノン様に言うつもりはありませんでしたけど。
わたしが来た時のシャノン様は、頑張っても認めてもらえないと思って旦那様に諦められていたから言っても信じてもらえなかったでしょうし!
それでもシャノン様は、お馬鹿だから認めて貰いたくて、必死で勉強もダンスもマナーもピアノも頑張っていました。
それなのに旦那様は口を開けば
『勉強しなさい!』
『努力が足りない』
と酷い言葉ばかりを言われましたよね!
本当はお病気ばかりするシャノン様がみんなについて行けなくなるのが心配でつい口煩くなっていただけなんてシャノン様には全く伝わりませんよ!」
「ロニー、わたしってお馬鹿なの?」
「煩いです!」
「う、うるさいって…」
「旦那様、シャノン様はずっとずっと貴方に認められたい!愛されたい!と思っておりました。
まあ、わたしは旦那様に愛される必要なんかないと思っておりましたけどね。
だから、私たち使用人は旦那様の代わりにみんなでシャノン様を守り愛してきたんです!
お一人で食べる食事なんて美味しくあるわけないじゃないですか?あんな広い部屋でポツンとお一人で毎日食べさせるなんて!
だから私たち使用人と一緒に食事をして少しでも寂しいお気持ちを和らげてあげたかったんです!
シャノン様を私たちがずっと貴方の冷たい態度からお守りしてきたんです!
シャノン様が貴方を捨てたのは
『お前が出来ることは侯爵家のためになることだ、わかっているな?』
ラウル様とのお見合いの日に言った言葉ですよ!
シャノン様は自分は駒だと思ったんですよ!愛されてなどいないと、嫌われているんだとその時自覚してしまったんです。貴方に愛されることを完全に諦めたんです!
だから今もラウル様と離縁する自分はゴミだと思っているお馬鹿さんなんです!」
ロニーは、最後の方は涙をポロポロ流していた。
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