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ラウルの謹慎処分
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騎士団から謹慎処分を受けた。
騎士団の執務室でのアイリスとの情事が発覚したのだ。
「仕事中に情事など何を考えているんだ!お前は!」
団長も第2部隊隊長もかなり御冠だった。
二人とも愛妻家で有名な人達だ。
それも団長はシャノンを子どもの頃から可愛がっていたので、さらに怒りは上昇。
アイリスが何度も騎士団に突撃して迷惑をかけたうえに、仕事中の情事。
さらにアイリスの知人が国外から違法麻薬を不法に国内で売り捌いているという情報まで出た。
アイリスも関わっているらしい。
アイリスを気軽に騎士団に入れていた俺は騎士団を除隊になった。
なにが間違っていたかなんて、わかっている。
俺の甘さが招いた結果だ。
シャノンを愛していた。
それは今もずっと変わらない。
アイリスに誘われて抱いた。
彼女はただ、性欲を満たすだけの女だった。
俺たち騎士達は、いつも女が寄ってくる。
もちろん誰でも相手をしていたら身がもたないが、適当に性欲を満たすために相手にするものも多い。
俺もシャノンに無理強い出来ないところを他で発散させていた。
しかしアイリスは、他の女と違った。
何故か彼女に誘われると、彼女のことだけが欲しくていくら欲を吐き出しても足りない。
毎回のように何度も何度も抱いていた。
だが愛情は全く湧かず自分でもおかしいと思った。
さすがに妻の友人を抱きたいとは思ってもいなかった。
シャノンの情報を教えてくれるし話しやすい女性だと思っていた。
何故かあの夜、自分を抑えられなかった。
朝、起きた時は蒼白になった。
「ラウル様、これからも会ってくださいますよね?会ってくれたらシャノンには言わないから、ね?」
「………すまなかった……、君は俺とこんなことになって嫌ではないのか?」
「どうして?ラウル様?嫌なわけないわ。ずっと抱いて欲しかったの嬉しかったわ」
その時の、不気味なアイリスの笑顔に、背筋が凍った。
本能で「コイツは何かおかしい、悪い奴に捕まった」と感じた。
俺は急いで誓約書を用意した。
『誓約書
わたくしアイリス・ベンジャミンは何があってもラウル・ベルアートに迷惑をかけないことを誓う』
これを書かなければ会わないと言ったら素直に書いた。
これは俺の命綱だと思った。
これでもう抱くことはない。
いつもの一晩の情事だと思っていた。
しかし彼女はまた会いにきたのだ。
「誓約書を書いたのだからいつでも会ってくれるのよね?」
(普通もう会いに来ないだろう。あんなの書かされたら)
アイリスは会いにくる。
何故が押さえられない性欲にあがらう事が出来なかった。
それからはアイリスに誘われて、自宅に帰らずホテルに泊まることも度々あった。
一晩だけの付き合いやお互い束縛しない付き合いの女性はいたが、何度もあったのはアイリスだけだった。
でも彼女への愛はやはりなかった。
ただ彼女への性欲だけが続くのだ。
この正体がわからなかった。
それは、アイリスが騎士団にもたらした媚薬のせいだと気づいたのは俺が謹慎処分を受けた時に団長に説明された時だった。
謹慎中もアイリスの我が邸への突撃は続いている。
あの妄想女にこれ以上関わりたくはない。
それに顔さえ見なければ彼女への性欲など湧きもしない。
優秀な私兵が門番をしているのでアイリスを今のところ公爵家から排除できている。
しかし、アイリスは国外から違法麻薬を不法に国内で売り捌いている男と関わり、この騎士団の男達にも、好きな女を落とせる魔法の薬だと言って売り捌いていたらしい。
俺は差し入れを持ってきてみんなと仲良くなっていただけだと思っていたが、実情は違った。
アイリスと男の名前はウィリアム、男爵の次男坊で21歳、隣国を行き来して、新しい物を売り捌く業者をしているらしい。
そこから、媚薬を手に入れてアイリスに売らせているらしい。
もちろん他にも売り子はいるみたいだが、中々尻尾を出さない。そこで売り子としては一番目立つ(何も考えず堂々と売り捌く)アイリスを泳がせているところだ。
どうしてこの事がわかったかと言うと、アイリスが売ったのがたまたま団長の息子で、同じ騎士団の第二部隊の俺と同じ副隊長のダンだったのだ。
ダンは、アイリスが魔法の薬を売っている
という噂を聞いて、情報を集めるためにアイリスに近付いた。
媚薬を医療研究室に持込み調べた結果、違法麻薬、それも国内にはない外国のものを売っていると分かった。
アイリス本人は特に悪気もなくいいことをしているつもりらしい。
こんな馬鹿な女に、俺は一体何をしていたんだ。
ウィリアムは、一つのところにいるわけではなくなかなか捕まらない。
狡賢いので簡単には尻尾を出さない。
そのためアイリスを自由にさせて囮にして捕まえる予定らしい。
俺は、アイリスを騎士団に引き入れた張本人だということで、責任を取る形で退団することになったのだ。
この事件が解決するまでは、謹慎処分を受けている。
◇ ◇ ◇
ある私兵のつぶやき
俺たちは領地から呼ばれて主であるラウル様の邸の門番をしている。
金髪にグリーンの瞳。誰が見ても可愛いと思ってしまう顔に初めは会うのが楽しみだった。
追い出すのも内心かわいそうだった。
だがこれが3ヶ月も過ぎればいい加減、あの可愛らしい顔が悪魔のようで怖い。
いや、怖すぎる。
明日の当番、熱出ないかな……
騎士団の執務室でのアイリスとの情事が発覚したのだ。
「仕事中に情事など何を考えているんだ!お前は!」
団長も第2部隊隊長もかなり御冠だった。
二人とも愛妻家で有名な人達だ。
それも団長はシャノンを子どもの頃から可愛がっていたので、さらに怒りは上昇。
アイリスが何度も騎士団に突撃して迷惑をかけたうえに、仕事中の情事。
さらにアイリスの知人が国外から違法麻薬を不法に国内で売り捌いているという情報まで出た。
アイリスも関わっているらしい。
アイリスを気軽に騎士団に入れていた俺は騎士団を除隊になった。
なにが間違っていたかなんて、わかっている。
俺の甘さが招いた結果だ。
シャノンを愛していた。
それは今もずっと変わらない。
アイリスに誘われて抱いた。
彼女はただ、性欲を満たすだけの女だった。
俺たち騎士達は、いつも女が寄ってくる。
もちろん誰でも相手をしていたら身がもたないが、適当に性欲を満たすために相手にするものも多い。
俺もシャノンに無理強い出来ないところを他で発散させていた。
しかしアイリスは、他の女と違った。
何故か彼女に誘われると、彼女のことだけが欲しくていくら欲を吐き出しても足りない。
毎回のように何度も何度も抱いていた。
だが愛情は全く湧かず自分でもおかしいと思った。
さすがに妻の友人を抱きたいとは思ってもいなかった。
シャノンの情報を教えてくれるし話しやすい女性だと思っていた。
何故かあの夜、自分を抑えられなかった。
朝、起きた時は蒼白になった。
「ラウル様、これからも会ってくださいますよね?会ってくれたらシャノンには言わないから、ね?」
「………すまなかった……、君は俺とこんなことになって嫌ではないのか?」
「どうして?ラウル様?嫌なわけないわ。ずっと抱いて欲しかったの嬉しかったわ」
その時の、不気味なアイリスの笑顔に、背筋が凍った。
本能で「コイツは何かおかしい、悪い奴に捕まった」と感じた。
俺は急いで誓約書を用意した。
『誓約書
わたくしアイリス・ベンジャミンは何があってもラウル・ベルアートに迷惑をかけないことを誓う』
これを書かなければ会わないと言ったら素直に書いた。
これは俺の命綱だと思った。
これでもう抱くことはない。
いつもの一晩の情事だと思っていた。
しかし彼女はまた会いにきたのだ。
「誓約書を書いたのだからいつでも会ってくれるのよね?」
(普通もう会いに来ないだろう。あんなの書かされたら)
アイリスは会いにくる。
何故が押さえられない性欲にあがらう事が出来なかった。
それからはアイリスに誘われて、自宅に帰らずホテルに泊まることも度々あった。
一晩だけの付き合いやお互い束縛しない付き合いの女性はいたが、何度もあったのはアイリスだけだった。
でも彼女への愛はやはりなかった。
ただ彼女への性欲だけが続くのだ。
この正体がわからなかった。
それは、アイリスが騎士団にもたらした媚薬のせいだと気づいたのは俺が謹慎処分を受けた時に団長に説明された時だった。
謹慎中もアイリスの我が邸への突撃は続いている。
あの妄想女にこれ以上関わりたくはない。
それに顔さえ見なければ彼女への性欲など湧きもしない。
優秀な私兵が門番をしているのでアイリスを今のところ公爵家から排除できている。
しかし、アイリスは国外から違法麻薬を不法に国内で売り捌いている男と関わり、この騎士団の男達にも、好きな女を落とせる魔法の薬だと言って売り捌いていたらしい。
俺は差し入れを持ってきてみんなと仲良くなっていただけだと思っていたが、実情は違った。
アイリスと男の名前はウィリアム、男爵の次男坊で21歳、隣国を行き来して、新しい物を売り捌く業者をしているらしい。
そこから、媚薬を手に入れてアイリスに売らせているらしい。
もちろん他にも売り子はいるみたいだが、中々尻尾を出さない。そこで売り子としては一番目立つ(何も考えず堂々と売り捌く)アイリスを泳がせているところだ。
どうしてこの事がわかったかと言うと、アイリスが売ったのがたまたま団長の息子で、同じ騎士団の第二部隊の俺と同じ副隊長のダンだったのだ。
ダンは、アイリスが魔法の薬を売っている
という噂を聞いて、情報を集めるためにアイリスに近付いた。
媚薬を医療研究室に持込み調べた結果、違法麻薬、それも国内にはない外国のものを売っていると分かった。
アイリス本人は特に悪気もなくいいことをしているつもりらしい。
こんな馬鹿な女に、俺は一体何をしていたんだ。
ウィリアムは、一つのところにいるわけではなくなかなか捕まらない。
狡賢いので簡単には尻尾を出さない。
そのためアイリスを自由にさせて囮にして捕まえる予定らしい。
俺は、アイリスを騎士団に引き入れた張本人だということで、責任を取る形で退団することになったのだ。
この事件が解決するまでは、謹慎処分を受けている。
◇ ◇ ◇
ある私兵のつぶやき
俺たちは領地から呼ばれて主であるラウル様の邸の門番をしている。
金髪にグリーンの瞳。誰が見ても可愛いと思ってしまう顔に初めは会うのが楽しみだった。
追い出すのも内心かわいそうだった。
だがこれが3ヶ月も過ぎればいい加減、あの可愛らしい顔が悪魔のようで怖い。
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