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決別の日、だったはずなのに
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シャノンは、結局ラウルと話し合いができなかった。
(ラウルの声を聞いたら頭が真っ白になって、まともに話せなくて逃げてきちゃった)
ハア~……
「すぐに別れられてよかったですね、わたしはお人形さんでつまらない女だそうですね、邪魔なわたしを捨てられたんだからもういいでしょう。
これ以上わたしと話すことはないと思います、謝罪は今聞きました。では失礼します」
これはダメだよね、大人として。
「ロニー、どうしよう」
わたしは頭を抱えて部屋のベッドの上で丸まって、ジタバタしていた。
「シャノン様、離縁はどうなったのですか?」
ハッ!
「そうだった、忘れてたわ。話し合ってなかったわ」
「……シャノン様……」
ロニーに呆れられてしまったわ。
「シャノン!」
ロイズも心配してわたしに会いにきてくれた。
クスクス
「シャノン!久しぶりにシャノンのパニック状態見てしまった」
アハハハ!
「ベルアート公爵の泣きそうな顔面白かった!!あれはかなり凹んでると思うよ」
ロイズはお腹を抱えて大笑い。
「いい薬になったんじゃないか」
(はい、わたし、パニックになると訳わからないこと言ったり心の中に溜まってた本音をつい言ってしまう癖があるんだよね・……ハアァァ………)
こうして話し合いは無事?に終わってしまった。
離縁は出来ているのかいないのか、まだわからない。
◇ ◇ ◇
シャノンが部屋を出て行ってすぐの事。
ロバートはシャノンが去ってしまって呆気にとられていた。
ロイズは、ニヤニヤしながら父親を見ていた。
ラウルは、真っ青になり固まったままだった。
「父上、僕はシャノンが気になるので家に行ってきますね」
ロイズの声に二人は意識を取り戻した。
「ああ、頼むシャノン嬢を見てきてくれ」
ロイズが部屋を出て二人になると
「ベルアート公爵、シャノン嬢はやはりかなり傷ついている。もう新しい生活を始めているのだからどうか彼女を解放してあげてはくれないか」
ロバートは、もうシャノンとラウルを合わせるつもりはなかった。
「彼女が傷ついているのもわたしを許せないのも分かっています。でもまだきちんと話せていないんです」
ラウルは一度だけでもシャノンの瞳に自分を写して欲しい。
もう一度あの笑顔を見たいと切望していた。
何度諦めて離縁しようと思ったかわからない。
でも、出来なかった。
会いたくて自分を見て欲しくて。
無理矢理でも家に連れて帰って、二度と部屋から出られないようにしてずっとそばに置いておきたい。
愛しているんだ。
「また来ます」
ラウルは頭を下げて帰っていった。
(ラウルの声を聞いたら頭が真っ白になって、まともに話せなくて逃げてきちゃった)
ハア~……
「すぐに別れられてよかったですね、わたしはお人形さんでつまらない女だそうですね、邪魔なわたしを捨てられたんだからもういいでしょう。
これ以上わたしと話すことはないと思います、謝罪は今聞きました。では失礼します」
これはダメだよね、大人として。
「ロニー、どうしよう」
わたしは頭を抱えて部屋のベッドの上で丸まって、ジタバタしていた。
「シャノン様、離縁はどうなったのですか?」
ハッ!
「そうだった、忘れてたわ。話し合ってなかったわ」
「……シャノン様……」
ロニーに呆れられてしまったわ。
「シャノン!」
ロイズも心配してわたしに会いにきてくれた。
クスクス
「シャノン!久しぶりにシャノンのパニック状態見てしまった」
アハハハ!
「ベルアート公爵の泣きそうな顔面白かった!!あれはかなり凹んでると思うよ」
ロイズはお腹を抱えて大笑い。
「いい薬になったんじゃないか」
(はい、わたし、パニックになると訳わからないこと言ったり心の中に溜まってた本音をつい言ってしまう癖があるんだよね・……ハアァァ………)
こうして話し合いは無事?に終わってしまった。
離縁は出来ているのかいないのか、まだわからない。
◇ ◇ ◇
シャノンが部屋を出て行ってすぐの事。
ロバートはシャノンが去ってしまって呆気にとられていた。
ロイズは、ニヤニヤしながら父親を見ていた。
ラウルは、真っ青になり固まったままだった。
「父上、僕はシャノンが気になるので家に行ってきますね」
ロイズの声に二人は意識を取り戻した。
「ああ、頼むシャノン嬢を見てきてくれ」
ロイズが部屋を出て二人になると
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ロバートは、もうシャノンとラウルを合わせるつもりはなかった。
「彼女が傷ついているのもわたしを許せないのも分かっています。でもまだきちんと話せていないんです」
ラウルは一度だけでもシャノンの瞳に自分を写して欲しい。
もう一度あの笑顔を見たいと切望していた。
何度諦めて離縁しようと思ったかわからない。
でも、出来なかった。
会いたくて自分を見て欲しくて。
無理矢理でも家に連れて帰って、二度と部屋から出られないようにしてずっとそばに置いておきたい。
愛しているんだ。
「また来ます」
ラウルは頭を下げて帰っていった。
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