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わたしの愛する人(アイリス視点)②
しおりを挟む夜会から二週間後、シャノンと会う約束を以前からしていたのでベルアート公爵家を訪れた。
わたしはこの二週間の間も何度かラウル様に抱かれていた。
シャノンと会う前日にわざとラウル様と会う約束を取り付けた。
ホテルで朝まで何度も何度も抱かれてわたしは身も心もラウル様に溶かされていた。
◇ ◇ ◇
約束の昼過ぎにラウル様の邸の四阿に案内された。
もうすぐこの庭園も邸も全てわたしのものになるのね。
そう思うとにやけてしまうわ。
「アイリス、ごめんなさい、最近少し体調が悪くて」
「まあ、大丈夫?知らなくて来てしまったわ。大丈夫なの?」
「・・・あ、ありがとう・・・わたし・・「そうよね、あんなところを見てしまったら落ち込んでも仕方ないと思うわ」
わたしは、シャノンの言葉を遮ってニコリと可愛く微笑んだ。
周りにいた執事や侍女長、侍女のロニーは、突然始まったわたしの話しに真っ青になって固まっていた。
「夜会の時のラウル様、とっても素敵で優しくてわたしのこと愛してるって何度も囁いて抱きしめてくれたのよ。
彼ったらいつもとっても甘くて優しいのよ。
ベッドの中の彼ったら一晩中離してくれないの。何度もわたしを抱き続けるの。シャノンってお人形さんみたいで抱いてもつまらないんだって」
わたしは、真っ青になって俯いて震えているシャノンに向かって、ニッコリ微笑みながらさらに話しを続けた。
「ラウル様ったら、アイリスだけを愛してる、シャノンとは政略結婚だからすぐには別れられないけど、子どもができない女とは、跡継ぎをもうけることができないことを理由に別れるとおっしゃっていたわ」
ふふふ
「シャノン、ラウル様に最近抱かれていないでしょ?貴方をみても全くそんな気にはならないって昨日もわたしの部屋のベッドの中で言ってたわ。お人形さんだって」
シャノンは下を向いて手をギュッと握りしめていた。
突然頭を上げたと思ったら。
「アイリス、人のお古で使い回しだけど、貴方にあげるわ」
シャノンは優しく微笑んで
「貴方っていつもわたしのものを欲しがるけど、そんなにお下がりばかり欲しがって・・・お古が好きなのね?」
(お古?お下がり?何を言ってるのよ!
ラウル様はわたしを愛してるの!選ばれたのはわたしなのよ!)
バシッ!
シャノンの頬が真っ赤になった。
「他人に取られたからって負け惜しみを言わないで!ラウル様はわたしのことを愛しているの!貴方なんかただのお飾り妻なの!」
わたしはシャノンに本当のことを突き付けた。
シャノンは、椅子から立つと慌ててそばにきた侍女と侍従を手で止めた。
「アイリス、貴方にこの家もラウルも全てあげるわ、お古でごめんあそばせ!」
と言って去っていった。
シャノンったらわたしに負けたと思って逃げたのね。
ふふ、いい気味だわ。
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