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ベルアート公爵(本人視点)③
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夜会でのことをシャノンに見られていたと知らなかった俺はいつものように騎士団の仕事と公爵当主の仕事に忙しなく過ごしていた。
シャノンが体調が悪く、自室の寝室で寝ていることにも特に違和感も感じずにいた。
シャノンを抱けない寂しさから、アイリスと何度も会って邸に帰ることなく抱き潰していた。
◇ ◇ ◇
邸から呼び出された俺は慌てて帰ってきた。
アイリスがお茶会でシャノンにした事を聞かされたのだ。
慌ててシャノンの部屋に入ると綺麗に片付けられていて静まり返っていた。
「シャノン………」
そこには誰もいなかった。
執事のセバスからそっと紙を渡された。
一枚目は、離縁状。
二枚目は、
『残りの物は全てお捨て下さい』
と書かれた紙だった。
すると後ろから誰かに抱きしめられた。
「ラウル様ぁ、邪魔者は消えましたね。これでずっと一緒にいられますね」
振り返らなくてもわかった。
「何故君がここに居るんだ」
怒りで震えながらも抑えて聞いた。
「だってシャノンに全部バラしちゃったらわたしにラウル様をくれるって言うから!ラウル様を待ってたの」
嬉しそうに言うアイリスを切り捨てたいのを我慢してこぶしをギュッと握りしめていた。
「シャノンに昨日の夜も今朝までラウル様に愛されたって教えてあげたの。
『わたしのお古だけどどうぞあげるわ』なんて言うから、シャノンのこと引っ叩いてあげたの」
さらにニコッと笑って香水臭い体を押し付けてきた。
(引っ叩いた?シャノンを?ふざけるな!)
「セバス、こいつを叩き出せ!」
アイリスはびっくりした顔をしてさらにしがみついてきた。
「何を言ってるの?いつも何度も何度もわたしを抱いてくれたじゃない。
わたしの全てを知ってるのは貴方よ、貴方がどうしたら気持ち良くなるのか興奮するのか全て知ってるのもわたしなの!」
「はあ?
何を言ってるんだ、お前はシャノンを抱けない時の性の捌け口だ!その辺にいる女と一緒だ!
ただ穴があるから挿れているだけだ、娼館に行かない時の代わりでしかない」
「『愛してる』って言ったじゃない!」
「言ったんじゃない、お前がシャノンに全て話すと言ったから仕方なく言ったんだ!そのせいでシャノンは出て行ったんだ!」
「シャノンと別れるって言ったじゃない!」
「それもうるさいお前の口を塞ぐためについた嘘だ!」
「ひどい!ひどいわ!愛してるのよ!」
アイリスは気が狂ったように泣き叫んだ。
「セバス、邪魔だ!排除しろ!」
アイリスを部屋から追い出して、俺は急いで外へ出た。
結婚して半年も経つのに彼女の行き先なんてわからない。
とりあえず彼女の実家のロスワート侯爵家へ向かった。
ロスワート侯爵とは、共に商会を運営しているので義父とはよく会っていた。
彼はあまり娘のことを聞いてこないのでこちらからも話すことはなくいつも仕事の話ばかりだった。
ロスワート侯爵家の邸に着くとたまたまロスワート侯爵がいた。
シャノンが来ていないか訪ねたが来ていないとの事だった。
シャノンを庇って嘘をついているようには見えない。
他に行きそうなところがないか訪ねたが知らないと言われた。
「ラウル君、わたしはシャノンのことを何も知らないんだ、娘はわたしを捨てた。だから何があってもここに戻ってくることはないんだよ」
と悲しそうに言われた。
邸に戻り執事たち使用人を集め日頃のシャノンのようすを聞き出した。
彼女は、忙しい俺の代わりに執事のセバスや家令のバルトに聞きながら領地の運営の勉強をして手助けをしてくれていたそうだ。
近くの孤児院の慰問、市井にある病院の患者たちの慰問、貧しい人たちへの炊き出しなど彼女は精力的に動いてくれていた。
また、手が足りないときは邸の片付けなども一緒に行い使用人たちにとても好かれていた。
一人の食事は寂しいと言って俺がいない時は使用人たちと一緒に同じものを食べていたそうだ。
彼女は使用人とか平民とかそんな壁がなく常にみんなと共にいた。
騎士団に頼み彼女の捜索をしたがなかなか見つからなかった。
そんな時、街中で破落戸が暴れ取り押さえた騎士が傷を負うという障害事件が発生した。
あまりの傷の深さに、騎士団専属の医師団の所に連れて行くには出血が多すぎたため街中近くの診療所に運ばれた。
そして、そこにシャノンがいたのだ。
といっても、俺自身が気づいたわけではなく入院した騎士をたまたま見舞いに行ったうちの団長が見かけたのだ。
団長から教えられた俺は急いで彼女に会いに行こうとしたが団長に止められた。
「何故ですか?」
「ラウル、お前の奥さんを以前見た時はおとなしくて綺麗なお人形のような人だった。だが、病院で見かけた彼女は生き生きしていてとても素敵な笑顔で患者や周りのスタッフにも愛されていて幸せそうに見えた。お前といる時の奥さんは幸せだったのか?よく考えてみろ」
「……わかりました」
俺が知っているシャノンは、おとなしくて清らかで柔らかい笑みをたたえた綺麗な娘だった。
生き生きしている?
明るい笑顔のシャノンを見たことがない。
シャノンが体調が悪く、自室の寝室で寝ていることにも特に違和感も感じずにいた。
シャノンを抱けない寂しさから、アイリスと何度も会って邸に帰ることなく抱き潰していた。
◇ ◇ ◇
邸から呼び出された俺は慌てて帰ってきた。
アイリスがお茶会でシャノンにした事を聞かされたのだ。
慌ててシャノンの部屋に入ると綺麗に片付けられていて静まり返っていた。
「シャノン………」
そこには誰もいなかった。
執事のセバスからそっと紙を渡された。
一枚目は、離縁状。
二枚目は、
『残りの物は全てお捨て下さい』
と書かれた紙だった。
すると後ろから誰かに抱きしめられた。
「ラウル様ぁ、邪魔者は消えましたね。これでずっと一緒にいられますね」
振り返らなくてもわかった。
「何故君がここに居るんだ」
怒りで震えながらも抑えて聞いた。
「だってシャノンに全部バラしちゃったらわたしにラウル様をくれるって言うから!ラウル様を待ってたの」
嬉しそうに言うアイリスを切り捨てたいのを我慢してこぶしをギュッと握りしめていた。
「シャノンに昨日の夜も今朝までラウル様に愛されたって教えてあげたの。
『わたしのお古だけどどうぞあげるわ』なんて言うから、シャノンのこと引っ叩いてあげたの」
さらにニコッと笑って香水臭い体を押し付けてきた。
(引っ叩いた?シャノンを?ふざけるな!)
「セバス、こいつを叩き出せ!」
アイリスはびっくりした顔をしてさらにしがみついてきた。
「何を言ってるの?いつも何度も何度もわたしを抱いてくれたじゃない。
わたしの全てを知ってるのは貴方よ、貴方がどうしたら気持ち良くなるのか興奮するのか全て知ってるのもわたしなの!」
「はあ?
何を言ってるんだ、お前はシャノンを抱けない時の性の捌け口だ!その辺にいる女と一緒だ!
ただ穴があるから挿れているだけだ、娼館に行かない時の代わりでしかない」
「『愛してる』って言ったじゃない!」
「言ったんじゃない、お前がシャノンに全て話すと言ったから仕方なく言ったんだ!そのせいでシャノンは出て行ったんだ!」
「シャノンと別れるって言ったじゃない!」
「それもうるさいお前の口を塞ぐためについた嘘だ!」
「ひどい!ひどいわ!愛してるのよ!」
アイリスは気が狂ったように泣き叫んだ。
「セバス、邪魔だ!排除しろ!」
アイリスを部屋から追い出して、俺は急いで外へ出た。
結婚して半年も経つのに彼女の行き先なんてわからない。
とりあえず彼女の実家のロスワート侯爵家へ向かった。
ロスワート侯爵とは、共に商会を運営しているので義父とはよく会っていた。
彼はあまり娘のことを聞いてこないのでこちらからも話すことはなくいつも仕事の話ばかりだった。
ロスワート侯爵家の邸に着くとたまたまロスワート侯爵がいた。
シャノンが来ていないか訪ねたが来ていないとの事だった。
シャノンを庇って嘘をついているようには見えない。
他に行きそうなところがないか訪ねたが知らないと言われた。
「ラウル君、わたしはシャノンのことを何も知らないんだ、娘はわたしを捨てた。だから何があってもここに戻ってくることはないんだよ」
と悲しそうに言われた。
邸に戻り執事たち使用人を集め日頃のシャノンのようすを聞き出した。
彼女は、忙しい俺の代わりに執事のセバスや家令のバルトに聞きながら領地の運営の勉強をして手助けをしてくれていたそうだ。
近くの孤児院の慰問、市井にある病院の患者たちの慰問、貧しい人たちへの炊き出しなど彼女は精力的に動いてくれていた。
また、手が足りないときは邸の片付けなども一緒に行い使用人たちにとても好かれていた。
一人の食事は寂しいと言って俺がいない時は使用人たちと一緒に同じものを食べていたそうだ。
彼女は使用人とか平民とかそんな壁がなく常にみんなと共にいた。
騎士団に頼み彼女の捜索をしたがなかなか見つからなかった。
そんな時、街中で破落戸が暴れ取り押さえた騎士が傷を負うという障害事件が発生した。
あまりの傷の深さに、騎士団専属の医師団の所に連れて行くには出血が多すぎたため街中近くの診療所に運ばれた。
そして、そこにシャノンがいたのだ。
といっても、俺自身が気づいたわけではなく入院した騎士をたまたま見舞いに行ったうちの団長が見かけたのだ。
団長から教えられた俺は急いで彼女に会いに行こうとしたが団長に止められた。
「何故ですか?」
「ラウル、お前の奥さんを以前見た時はおとなしくて綺麗なお人形のような人だった。だが、病院で見かけた彼女は生き生きしていてとても素敵な笑顔で患者や周りのスタッフにも愛されていて幸せそうに見えた。お前といる時の奥さんは幸せだったのか?よく考えてみろ」
「……わかりました」
俺が知っているシャノンは、おとなしくて清らかで柔らかい笑みをたたえた綺麗な娘だった。
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