【完結】今日も女の香水の匂いをさせて朝帰りする夫が愛していると言ってくる。

たろ

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うん、わたしね。

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「ユウナ、追いかけなくていいの?」
ロリーがもう一回聞いた。

わたしは……

「うん、もう終わったの。好きだったんだと思う、でも断った時終わらせて………もう終わったんだ」

「……いいの?」

「ロリー、ありがとう。いつも辛い時そばに居てくれて」
ーーどうして終わった恋なのにこんなに涙が出るんだろう?
自分でもよく分からない。
アッシュの時より辛いな……

こうして二度目の恋も終わった。



◇ ◇ ◇

気がつけばこの侯爵家で働き出して一年が過ぎていた。

新しい恋?

そんなものはどこにもない。

騎士さん達は相変わらずみんな優しい。

デートに誘ってくれる人もいる。

でも心が動かない。

「ユウナ今日久しぶりにお買い物行かない?」

リオナさんからの誘いにのって街に買い物に行くことにした。

「何か欲しいものがあるんですか?」

「そろそろ暑くなるから服を買い足そうかと思ってるの」

「わたしも買おっかなぁ」

二人で洋服店を何軒か回った。
やっぱり友人と一緒に買い物をするのは楽しい。

「わたしね、仕事を辞めて結婚するの」

「え?リオナさん、結婚?おめでとうございます!」

ーーいきなりの告白にわたしは少し動揺しつつもなんとかお祝いの言葉を言えた。

そっかあ、結婚するのか。寂しくなるな。

以前から付き合っていた騎士さんと結婚が決まったらしい。
結婚してもこの街に住むからいつでも遊びにきてねって言ってくれた。

リオナさんと別れて、寮の部屋に帰りたくなくていつもの庭のベンチでボッーと座っていた。

ーー友達の幸せを素直に喜べないなんて最低だよね、みんな離れていくのがこんなに寂しいなんて。

団長さんが王都の本邸の騎士団の団長になって半年。

こちらに用事があってたまに来るみたいだけどわたしと会うことはない。

ロリーももうすぐ王都の本邸の騎士団に行くことが決まっている。

みんな離れていく。

なんだか虚しい。

「あーあ、みんないなくなっちゃうんだ……」

「ユウナ、またここに居るんだ」

「あ、ロリー。リオナさんが結婚するんだって……わたしの大好きな人がまたいなくなっちゃう」

綺麗な夕日を見ながらつぶやいた。

「ロリー、夕日が綺麗だね。子供の頃よく遅くまで遊んで暗くなって帰って親に怒られたよね」

「うん、ユウナが俺のこと『わたしお姉ちゃんだから庇ってあげる』って言って俺の分まで怒られてたよな」

「懐かしいね、あの頃は何にも考えないで遊んでたよね」

「夕日って子どもにとって何でかワクワクしてたよな」

「うん、何でだろう?今は少し寂しく感じるのにね」

「ユウナ、泣いてたの?」

「泣いてなんかいないよ!ただロリーももうすぐいなくなっちゃうし寂しくなっただけだよ」

「ふうん、寂しいんだ」

「何嬉しそうにしているの?」

「だってユウナが寂しいとか思ってくれて嬉しいんだ」

「変なの、寂しいに決まってるでしょう?ずっといっしょにいると思ってたんだもん」

「そっかあ、ずっと一緒か……」

「幼馴染なんだから離れてもまた会いにきてくれるよね?」

「え?ずっと一緒じゃないの?」
ロリーがキョトンとして言った。

「うん、でも、王都に行くんでしょう?」

「離れても俺たちはそのままでしょ?」

「うん、幼馴染だもんね」

ロリーのその言葉が嬉しくてわたしはロリーの前に立って彼をマジマジと見つめた。

久しぶりにしっかり幼馴染の顔を見た気がする。
可愛らしい弟、いつもわたしの後ろについて来るロリーがいつの間にか18歳になって大人の顔になっていた。
侯爵家の使用人の間で、ロリーは結構人気があった。

剣の才能があって、今の団長さんに引き抜かれてこの屋敷の騎士団に入団した。
顔もとても可愛らしく(わたしの目線では)そして綺麗だ。

背もいつの間にか伸びて細身で筋肉が付いている。
誰にでも優しいけど、アッシュ達と違って優しさを履き違えていない。

使用人の女性達が
「相談があるの」
「どこかに連れて行って欲しいの」
なんて声をかけられても優しい笑顔で

「それは俺には相談されても解決できないからこの屋敷の上の人にしてみたほうがいいよ」

「君と二人で出かけるのは無理なんだ、でもみんなで出かけるならいいよ」
と、はっきりと断っている。

わたしはあまりにも近すぎてロリーのことを見えていなかった。

「ロリーもいつの間にか大人になっていたのね、お姉ちゃんとしては離れていくみたいで寂しいわ。いつもいっしょだと思っていたのに」

「だからずっといっしょだよ」

「うん、幼馴染だもんね」

「はあー、違うよ。ずっと一緒にいようよ」

ーーだから幼馴染だもんね






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