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番外編  司書官のエイミー

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司書官になって一年が過ぎた。

そしてカイル殿下とお付き合いをして一年が過ぎた。

そしてそして、わたしとアランになんと妹ができた。

「お父様、お母様、わたしのアリシアは寝てますか?起きてますか?」

「エイミー、静かにしてちょうだい。今寝たばかりよ」

「あー、起きてたら一緒に遊べたのに……」

「エイミーは本当にアリシアが可愛いのね。早く自分の子どもを産んだらいいじゃないの?ね、カイル様」
お母様がカイルを見てにこにこしていた。

カイルは笑顔で
「僕もエイミーとの子どもが欲しいです。いつでも結婚したいです!」
と言われたけど、なんともカイルと結婚なんてしかも子どもなんて恥ずかしすぎて……無理無理。

顔が赤くなっちゃう。

カイルはグランデ侯爵にいずれなることが決まっている。もちろんわたしと結婚して!

なので王宮で陛下や王太子殿下の補佐として仕事をしながら侯爵の仕事も引き継いでいる。

レオ様、もといお父様はさっさと侯爵をカイルに引き継いで、自分はお母様とアリシアとゆっくり暮らす予定なのだ。

わたしはシャーリーの家に未だに住んでいるのだが、シャーリーもそろそろクレインと結婚するので、こちらに住む予定だ。






アランは平民になったが、騎士として今は隊長補佐になった。

頑張れば副隊長もあと少しでなれそうだ。

そして今日はアランも侯爵家に遊びにくる。

「アラン、お帰りなさい」
わたしがアランを見て声をかけるとお母様がアランを見て笑顔で

「あら、お帰り、遅かったわね」
と、言った。
アランとお母様は初めはぎこちなくて上手くいかないかもしれないと思ったけど、今では仲がよくて、お父様がたまにヤキモチを妬いてしまうくらいだ。


「アリシアはまだ寝てるの?」

「うん、わたしも楽しみにして帰ってきたのにまだお昼寝中よ」

「やあ、アラン、おかえり」
カイルもアランを見て声をかけてきた。

「殿下、お久しぶりです」
アランは騎士としての礼でお辞儀をした。

「ここでは同級生で……うーん僕がいずれ義弟?になるのかな、だから気を遣わないで」

「今はまだ第2王子ですから、騎士であるわたしとしてはそれは難しいです」

「ほんと生意気なアランがわたしの兄なんて不思議よね」

「エイミー、俺はもうここの家から籍は抜いてるから他人だ」

「アラン、僕は君の父親だよ。永遠に」
お父様はアランの他人という言葉にショックを受けていた。

「父上、大丈夫です。他人はエイミーだけですから!」

「あら?わたしは一応アランの妹として過ごしているわ。おかげでいろんな人からアランお兄様の好みの女性を聞かれるのよ」

「ヘぇ。なんて答えるんだい?」
カイルが楽しそうに聞いてきた。

「面倒だから『妹のわたしみたいな人が好みです』って答えるようにしているの」

何故かみんなシーンとなった。

「「「……………………」」」

「え?アランごめん!シスコンって思われるかしら?」

「いや、大丈夫。どうみてもシスコンではないから」
アランは苦笑いをしていた。

「よかった。だってわたしよく考えたらアランの好みなんてよく知らないもの。
アランって学園ではいつも綺麗な子や可愛い子に囲まれていたけど一定の距離を保ってるみたいで、誰か一人と付き合ってはなかったわよね?」

「君ってやっぱり失礼だよね?俺は別に誰彼構わず付き合ったりしないよ。好きな子だけだからね」

「ふうんそうなんだ。好きな子がいたのね」

「あぁ、…うん、いたかな…まぁ、振られたけどね」

「ごめんなさい、それは知らなかったわ。でもアランなら次はきっといい人が現れるわ。アランの魅力に気がつかなかったそんな子なんかさっさと忘れてしまいなさいよ!」

「うん、そうだね、さっさと忘れるよ」
アランはクスクス笑いながらわたしをみた。

お父様は、「そ、それよりみんなでゆっくり食事をしよう。全員が揃うのはひさしぶりだからね」
と言って何故か話を途中で遮った。

わたしは今もボガード家の娘として過ごしてはいるが、こちらにも来ている。
二つの家族と時には全部まとめて一緒に過ごしたりしている。

最近はラウル様も来て、ボガード家とラウル様とグランデ家とみんなで交流してお互いの強みの商品や農作物などを持ち寄りお互いの領地で商売としても交流が始まった。

アランはラウル様とも上手く行っているみたいだ。




「アリシア、起きたのね」
まだ生後8ヶ月のアリシアが遅いお昼寝から起きてきた。
カイルがわたしのそばに来て
「エイミー、僕たちもそろそろ結婚しよう」
と、さりげなくプロポーズされた。

「え?」
わたしがカイルを見ると、彼は優しく微笑んだ。

わたしはカイルとなら結婚したい。
カイルとずっと一緒にいたい。

「結婚しても働いてもいい?」

「いいよ、僕はもうすぐ王族ではなく父上の臣下になるからね。僕は子どもの面倒を見るのも得意だよ」

「ふふ。カイル、わたしも貴方のお嫁さんになりたいわ。そして貴方の子どもを育ててみたいわ」

「ありがとう。愛しているよ」

そしてわたしはカイルの花嫁になる。




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