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エピローグ 〜それぞれのこれから〜
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4月になりわたしは司書官として働き始めた。
ただ図書館に本を読みに通っていた頃と違い仕事は多岐に渡る。
本の整理は当たり前、痛んだ本の修繕の仕方も覚えないといけない。
それに毎回出版される本をチェックして必要な本は全て仕入れる。走り回って国中をまわる人もいるらしい。
それはこの国と付き合いのある諸国の本も同じだ。
必要だと思われるものは仕入れる。
そして我が国の言葉に翻訳して図書館に置く事になる。
それも全てわたし達司書官がする事になる。だから外国語に堪能な人が多い。
わたしも司書官の試験を受けるにあたって数カ国語の言葉は簡単だけど読めるようになった。
それでもまだまだ何も出来ていない。必死でみんなについていくだけだ。
「エイミーはとりあえず本の整理をしていってね」
わたしは働き始めてから本の整理をするところから始まった。一冊一冊何処にあるのか覚えていく。
整理して無くなっているものをチェックしてそれを誰かがずっと借りているのか黙って持って行ったのか調べる。
根気のいる仕事。でもわたしにとっては大事な本。偶に傷んでいる本を見つけると先輩に伝える。
みんな本のスペシャリスト。
すぐに本を見て、糸綴じ修理や破れた本の補修など手慣れた手つきで補修していく姿は尊敬しかない。
お昼休みは先輩達と食事を摂ることが多い。
数人にずつ分かれて食事を摂る。
そこに何故か陛下が現れる。
「エイミー、一緒に食べよう」
陛下は王宮の食堂でわたし達と食べるのだが、陛下の食事は一度毒味のものが食べてからになるので、陛下の食べ物は別の場所から運ばれて来る。
わたし達は最初あまりのご馳走に驚いて見ていたが今は慣れてみんなで和気あいあいと食べている。
偶にお裾分けしてもらうお料理はもちろん格別に美味しい。
新しい諸外国からきた本の話になると先輩達も白熱して語り出す。
さすがみんな本大好き人間ばかり。
陛下はそれを楽しそうに聞いてくれる。
そしてカイル殿下とは………
うん、いつも通り、仕事が終わったらそのまま図書館で読書をして最近は一緒に帰っている。
え?一緒に住んでいるのかって?
ち・が・い・ま・す!
カイル殿下はいずれわたしのお父様の侯爵家に入ることが決まったのでグランデ侯爵家に住んでいて、侯爵家の事を勉強しながら王族として陛下の下でも仕事をしている。
わたしは今もシャーリーの家に居候中。
シャーリーの家はわたしにとって3つ目の家族。
そしてアランは近衛騎士になり今はまだ見習い騎士だけど、かなりの剣の実力で周りを圧倒していてすぐに昇進しそうな気がする。
今は平民となりアランとして過ごしているが、ラウル様はいずれ公爵家の後を継がせたいと思っているみたい。あとはアランが素直に受け入れるかは彼次第かな。
アランもわたしと同じでラウル様を「父上」と呼ぶようになった。
わたしもレオ様を「お父様」と呼べるようにやっとなった。
王宮で偶に会うアランはやはりいつも女の人に囲まれてかなりモテている。でもまだ特別な相手は出来ていないみたい。
イザベラは婚約者と数ヶ月後結婚する。
でも王都に住むのでいつでも会えるのでとても楽しみ。
そしてシャーリーは、なんとなんと!クレインと婚約した。二人がいつの間にか付き合っていた事をわたしは全く知らなかった。まあ、領地に引きこもっている間だったので仕方がないけど……
クレインは今は我が国で外交官として働き出した。
仕事が落ち着いたら結婚してこちらで屋敷を構えるらしい。
わたしは……仕事が落ち着くまでは結婚しない宣言をしているのでもう少し先の話になりそう。
そして、ハノン伯母様は……
10年間の収容所での強制労働の後、平民となることが決まった。王都からは強制的に追い出される事になった。
お祖父様はいずれ伯母様が改心していたならば、ハディッド領の何処かに仕事を紹介出来ればと話していた。
わたしも伯母様が少しでも変わっていく事を期待している。
メアリー様は、20年の収容所での強制労働の後、北にある修道院に入ることが決まっている。
収容所以上に厳しい寒さと労働のある修道院として有名な場所。メアリー様にはとても辛い生活が待っている。
そして………
シルヴィ様は、いつの間にか牢に入れられていたので驚いた。
彼女の罪は未遂で重くはないがもしかしたら殿下は王族として生きていけなくなる所だったこともあり、修道院へ入れられる事になった。
ただシルヴィ様は全く反省はなくて今も元気に文句を言い続けているらしい。
「わたしは侯爵令嬢よ、伯母様は皇后陛下なの。どうしてわたしがこんな所に入らなければいけないの?」
「いやよ、どうしてわたしが修道院で働かなければいけないの?」
「わたしを屋敷に帰して!」
とても修道院では手を焼いているらしい。
ただ、侯爵家から名前を除籍されていずれは平民として生きていく事になると聞いた。
彼女のようなお嬢様が生きていけるのだろうか。それなら一生修道院にいる方が幸せかもしれない。
それぞれの道を歩み出したわたし達。
「エイミー、今日も図書館で本を読んでから帰る?」
「もちろんよ、カイル!」
END
読んでいただきありがとうございました
エイミーとカイル?
それともエイミーとアラン?
書いていてどちらと結ばれるのか作者もわかりませんでした。
でもいつも間にか殿下とエイミーがしっくりときて、いつの間にか結ばれていました。
また落ち着いたら番外編を書きたいと思っています。
その時は読んでいただけると嬉しいです。
ただ図書館に本を読みに通っていた頃と違い仕事は多岐に渡る。
本の整理は当たり前、痛んだ本の修繕の仕方も覚えないといけない。
それに毎回出版される本をチェックして必要な本は全て仕入れる。走り回って国中をまわる人もいるらしい。
それはこの国と付き合いのある諸国の本も同じだ。
必要だと思われるものは仕入れる。
そして我が国の言葉に翻訳して図書館に置く事になる。
それも全てわたし達司書官がする事になる。だから外国語に堪能な人が多い。
わたしも司書官の試験を受けるにあたって数カ国語の言葉は簡単だけど読めるようになった。
それでもまだまだ何も出来ていない。必死でみんなについていくだけだ。
「エイミーはとりあえず本の整理をしていってね」
わたしは働き始めてから本の整理をするところから始まった。一冊一冊何処にあるのか覚えていく。
整理して無くなっているものをチェックしてそれを誰かがずっと借りているのか黙って持って行ったのか調べる。
根気のいる仕事。でもわたしにとっては大事な本。偶に傷んでいる本を見つけると先輩に伝える。
みんな本のスペシャリスト。
すぐに本を見て、糸綴じ修理や破れた本の補修など手慣れた手つきで補修していく姿は尊敬しかない。
お昼休みは先輩達と食事を摂ることが多い。
数人にずつ分かれて食事を摂る。
そこに何故か陛下が現れる。
「エイミー、一緒に食べよう」
陛下は王宮の食堂でわたし達と食べるのだが、陛下の食事は一度毒味のものが食べてからになるので、陛下の食べ物は別の場所から運ばれて来る。
わたし達は最初あまりのご馳走に驚いて見ていたが今は慣れてみんなで和気あいあいと食べている。
偶にお裾分けしてもらうお料理はもちろん格別に美味しい。
新しい諸外国からきた本の話になると先輩達も白熱して語り出す。
さすがみんな本大好き人間ばかり。
陛下はそれを楽しそうに聞いてくれる。
そしてカイル殿下とは………
うん、いつも通り、仕事が終わったらそのまま図書館で読書をして最近は一緒に帰っている。
え?一緒に住んでいるのかって?
ち・が・い・ま・す!
カイル殿下はいずれわたしのお父様の侯爵家に入ることが決まったのでグランデ侯爵家に住んでいて、侯爵家の事を勉強しながら王族として陛下の下でも仕事をしている。
わたしは今もシャーリーの家に居候中。
シャーリーの家はわたしにとって3つ目の家族。
そしてアランは近衛騎士になり今はまだ見習い騎士だけど、かなりの剣の実力で周りを圧倒していてすぐに昇進しそうな気がする。
今は平民となりアランとして過ごしているが、ラウル様はいずれ公爵家の後を継がせたいと思っているみたい。あとはアランが素直に受け入れるかは彼次第かな。
アランもわたしと同じでラウル様を「父上」と呼ぶようになった。
わたしもレオ様を「お父様」と呼べるようにやっとなった。
王宮で偶に会うアランはやはりいつも女の人に囲まれてかなりモテている。でもまだ特別な相手は出来ていないみたい。
イザベラは婚約者と数ヶ月後結婚する。
でも王都に住むのでいつでも会えるのでとても楽しみ。
そしてシャーリーは、なんとなんと!クレインと婚約した。二人がいつの間にか付き合っていた事をわたしは全く知らなかった。まあ、領地に引きこもっている間だったので仕方がないけど……
クレインは今は我が国で外交官として働き出した。
仕事が落ち着いたら結婚してこちらで屋敷を構えるらしい。
わたしは……仕事が落ち着くまでは結婚しない宣言をしているのでもう少し先の話になりそう。
そして、ハノン伯母様は……
10年間の収容所での強制労働の後、平民となることが決まった。王都からは強制的に追い出される事になった。
お祖父様はいずれ伯母様が改心していたならば、ハディッド領の何処かに仕事を紹介出来ればと話していた。
わたしも伯母様が少しでも変わっていく事を期待している。
メアリー様は、20年の収容所での強制労働の後、北にある修道院に入ることが決まっている。
収容所以上に厳しい寒さと労働のある修道院として有名な場所。メアリー様にはとても辛い生活が待っている。
そして………
シルヴィ様は、いつの間にか牢に入れられていたので驚いた。
彼女の罪は未遂で重くはないがもしかしたら殿下は王族として生きていけなくなる所だったこともあり、修道院へ入れられる事になった。
ただシルヴィ様は全く反省はなくて今も元気に文句を言い続けているらしい。
「わたしは侯爵令嬢よ、伯母様は皇后陛下なの。どうしてわたしがこんな所に入らなければいけないの?」
「いやよ、どうしてわたしが修道院で働かなければいけないの?」
「わたしを屋敷に帰して!」
とても修道院では手を焼いているらしい。
ただ、侯爵家から名前を除籍されていずれは平民として生きていく事になると聞いた。
彼女のようなお嬢様が生きていけるのだろうか。それなら一生修道院にいる方が幸せかもしれない。
それぞれの道を歩み出したわたし達。
「エイミー、今日も図書館で本を読んでから帰る?」
「もちろんよ、カイル!」
END
読んでいただきありがとうございました
エイミーとカイル?
それともエイミーとアラン?
書いていてどちらと結ばれるのか作者もわかりませんでした。
でもいつも間にか殿下とエイミーがしっくりときて、いつの間にか結ばれていました。
また落ち着いたら番外編を書きたいと思っています。
その時は読んでいただけると嬉しいです。
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