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殿下、エイミーに告る
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僕は学園の卒業式の次の日にシャーリーの屋敷へ突然顔を出した。
「すまない、エイミーに会いたいのだが呼んでくれないか」
屋敷の者が慌ててシャーリーを呼び出してくれた。
「殿下先触れもなく突然来るなんてどうしたのですか?」
シャーリーは咎めるように言ってはいるが少し笑っていた。
僕がきた理由に検討がついているのだろう。
「すまない、どうしても今日中にエイミーに会いたいんだ。エイミーは僕に会いたくないから出て来ないの?」
エイミーではなくてシャーリーが出てきたことに不安を感じていた。やはり僕にはもう会いたくないのかもしれない。
僕が暗い顔をしていたのをシャーリーが笑いながら
「エイミーはレオ様の屋敷に泊まられているのでこちらには居ませんよ、たぶん2、3日は帰ってこないと思いますわ」
「レオナルド殿の屋敷?……それは流石に突然は無理だな……」
「あら?此処ならいいと思われたのですか?」
「すまない、同級生のよしみでいいかなと思ってしまったんだ」
「ふふ。でしたら同級生のよしみで今から連れて行ってあげますわ、エイミーの所に遊びに行くことになっていたので」
「本当に?是非僕も連れて行ってくれると嬉しいよ」
そして僕たちは馬車に乗り込んでレオナルド殿の屋敷へ向かった。
「殿下はやっとエイミーに告白する気になったのですか?」
「僕が馬鹿だったんだ。エイミーと距離を置けば少しは僕を気にしてくれるかもなんて考えてしまった。留学する前にきちんと告白すればよかったんだ」
「あら、留学する前に告白していたら振られていましたよ」
僕はシャーリーの言葉にがっくりしながらもなんとなくわかっていた。
「エイミーは全く僕に…いや、恋愛に対して興味がなかったからね……」
「でもシャノン様ご夫婦にお会いして少し気持ちが動きました、そしてお母様のルディア様の再婚が良いきっかけにはなって少しは恋愛も良いなと思ったようです。でもシルヴィ様の爆弾発言とエイミーに対しての嫌がらせですね、あれでエイミーは少し恋愛も良いなと思っていたのが頑なに結婚はしないと考えるようになりました」
「そんなに酷かったのかい?」
僕は噂は聞いていだが嫌がらせがあっていたことまでは気づかなかった。
「殿下は留学されていたからご存知ないかと思いますが、エイミーの伯母様の話とかレオナルド様の浮気の話、そんな人達から受け継いだ穢れた血だと言って回っていましたわ。わたくしたち3年生はエイミーを知っているので誰も信用しませんでしたが他の学年は結構信じてしまった方もいらっしゃったと思うわ、エイミーはずっと我慢して過ごしたんです。なのに殿下はあのシルヴィに注意する事もなくエイミーの噂を放置しましたね」
「すまない、放置してはいない、諭してはいたんだがあの子は中々言う事を聞かないんだ」
「殿下、わたしが今日エイミーに会わせるのは協力するつもりだからではありません。きっぱりと振られてしまえば良いと思っているからです」
「………そうか……」
「だって殿下はシルヴィ様と婚約されるんでしょう?もうそう言う噂が出ていてエイミーもそう思っていますよ、シルヴィ様にも直接言われていましたからね。気持ちの整理のためにエイミーに会ってケジメをつけるんでしょう?」
シャーリーは意地悪そうに僕を見ていた。
「シルヴィとは婚約はしない……いや、エイミーに振られたら強制的に彼女と婚約させられる。確かに最後のチャンスだ」
僕はなんでもっとエイミーに好きだとわかってもらえるようにしなかったんだろう。
彼女に対しての自分の不甲斐なさが悔やまれて仕方がない。
でも僕は今度こそ間違えない。
振られても一度では諦めない。
レオナルド殿の屋敷に着いた。
シャーリーと一緒に屋敷に入るとエイミーが驚いた顔をしたが笑って出迎えてくれた。
「殿下?」
僕はエイミーだけを見て
「エイミー、僕は君を愛しているんだ。結婚して欲しい」
と、大きな声で言った。
「すまない、エイミーに会いたいのだが呼んでくれないか」
屋敷の者が慌ててシャーリーを呼び出してくれた。
「殿下先触れもなく突然来るなんてどうしたのですか?」
シャーリーは咎めるように言ってはいるが少し笑っていた。
僕がきた理由に検討がついているのだろう。
「すまない、どうしても今日中にエイミーに会いたいんだ。エイミーは僕に会いたくないから出て来ないの?」
エイミーではなくてシャーリーが出てきたことに不安を感じていた。やはり僕にはもう会いたくないのかもしれない。
僕が暗い顔をしていたのをシャーリーが笑いながら
「エイミーはレオ様の屋敷に泊まられているのでこちらには居ませんよ、たぶん2、3日は帰ってこないと思いますわ」
「レオナルド殿の屋敷?……それは流石に突然は無理だな……」
「あら?此処ならいいと思われたのですか?」
「すまない、同級生のよしみでいいかなと思ってしまったんだ」
「ふふ。でしたら同級生のよしみで今から連れて行ってあげますわ、エイミーの所に遊びに行くことになっていたので」
「本当に?是非僕も連れて行ってくれると嬉しいよ」
そして僕たちは馬車に乗り込んでレオナルド殿の屋敷へ向かった。
「殿下はやっとエイミーに告白する気になったのですか?」
「僕が馬鹿だったんだ。エイミーと距離を置けば少しは僕を気にしてくれるかもなんて考えてしまった。留学する前にきちんと告白すればよかったんだ」
「あら、留学する前に告白していたら振られていましたよ」
僕はシャーリーの言葉にがっくりしながらもなんとなくわかっていた。
「エイミーは全く僕に…いや、恋愛に対して興味がなかったからね……」
「でもシャノン様ご夫婦にお会いして少し気持ちが動きました、そしてお母様のルディア様の再婚が良いきっかけにはなって少しは恋愛も良いなと思ったようです。でもシルヴィ様の爆弾発言とエイミーに対しての嫌がらせですね、あれでエイミーは少し恋愛も良いなと思っていたのが頑なに結婚はしないと考えるようになりました」
「そんなに酷かったのかい?」
僕は噂は聞いていだが嫌がらせがあっていたことまでは気づかなかった。
「殿下は留学されていたからご存知ないかと思いますが、エイミーの伯母様の話とかレオナルド様の浮気の話、そんな人達から受け継いだ穢れた血だと言って回っていましたわ。わたくしたち3年生はエイミーを知っているので誰も信用しませんでしたが他の学年は結構信じてしまった方もいらっしゃったと思うわ、エイミーはずっと我慢して過ごしたんです。なのに殿下はあのシルヴィに注意する事もなくエイミーの噂を放置しましたね」
「すまない、放置してはいない、諭してはいたんだがあの子は中々言う事を聞かないんだ」
「殿下、わたしが今日エイミーに会わせるのは協力するつもりだからではありません。きっぱりと振られてしまえば良いと思っているからです」
「………そうか……」
「だって殿下はシルヴィ様と婚約されるんでしょう?もうそう言う噂が出ていてエイミーもそう思っていますよ、シルヴィ様にも直接言われていましたからね。気持ちの整理のためにエイミーに会ってケジメをつけるんでしょう?」
シャーリーは意地悪そうに僕を見ていた。
「シルヴィとは婚約はしない……いや、エイミーに振られたら強制的に彼女と婚約させられる。確かに最後のチャンスだ」
僕はなんでもっとエイミーに好きだとわかってもらえるようにしなかったんだろう。
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でも僕は今度こそ間違えない。
振られても一度では諦めない。
レオナルド殿の屋敷に着いた。
シャーリーと一緒に屋敷に入るとエイミーが驚いた顔をしたが笑って出迎えてくれた。
「殿下?」
僕はエイミーだけを見て
「エイミー、僕は君を愛しているんだ。結婚して欲しい」
と、大きな声で言った。
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