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★高等部3年生⑦
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お母様が再婚した。
アランは元々別邸で暮らしていたのでレオ様とお母様は昔二人で住んでいた屋敷に住み始めた。
わたしは今まで通りシャーリーの家でお世話になりボガード家の娘として過ごすことになった。
週に一度はレオ様とお茶をしながらお話をしている。
そしてアランはお母様と偶にお茶をしているらしい。
お互い親子にはなれないけどお茶友達として過ごすのも悪くないなと思っている。
そしてわたしとアランは義兄妹にはならないでおこうと話し合った。
だってあれだけライバルとして過ごしてきたのに今更義兄妹として過ごすことは絶対に無理だった。
もう嫌いとか好きとかではなくて今更感が半端ない。
◇ ◇ ◇
「陛下、わたしのお母様が再婚しました」
「うん、知ってるよ」
「あ、そうですよね。貴族は婚姻の時には届けを出して許可をもらうんでしたよね」
「そうだね、下から話が上がってきていたよ。ルディアもやっと素直になったんだね」
「はい、好きなくせにずっと逃げ続けていましたから」
「君はまだお父様とは呼んであげていないのかな?」
「レオ様はレオ様ですね、でも週に一度はお茶をして話し相手として過ごしていますのでお茶友達です」
「お茶友達かあ、ではわたしと君は図書館で会うから本友達かな?」
「そうですね、陛下とこうして会えるのがわたしの今の楽しみです」
「……カイルに会えなくて寂しくはないのかな?」
「寂しくていつも教室で隣の席を見てしまいます。なのでここに来て陛下に会えると殿下の話が聞けるので少し落ち着くんです。殿下も頑張っているんだからわたしも頑張って勉強をして司書官の試験を頑張ろうと思うんです」
「試験は来月だったかな?」
「はい、11月です。殿下はたぶん1月には帰ってきますよね?早く会いたいです」
「会いたいかい?」
「会いたいです、だってこんなに寂しいって思っていなかったんです」
「カイルはその言葉を聞いたら喜ぶよ」
「でも最近噂で聞きました。殿下が従妹のシルヴィ様とご婚約されるそうですね。だからわたしは殿下とあまり話さないようにしないと失礼になりますね」
わたしは寂しくてちょっと落ち込みながら陛下に言った。
「カイルはシルヴィと婚約するのかい?初めて知ったな」
「え?でも学園ではそんな話が出ていますよ、わたしもこれからは殿下に話しかけないように注意されましたし」
「注意?誰から?」
「え?……それはまぁ、ねぇ…」わたしが口籠ると陛下がクスッと笑った。
「その注意した相手に言いなさい。婚約の話など今のところないと。わたしが言ったと伝えていいからね」
「わかりました。陛下のお墨付きですね」
わたしはにっこり笑って返事をした。
そのあとは殿下が行っているテスチュー国の話を色々教えてくれた。
文化の違いや食文化の違いなど聞いているだけで楽しかった。やっぱり陛下とお話しするのはとても楽しい。
「エイミーはまだ婚約していないが、やはり結婚はしないのかな?」
「シャノン様のお話を聞いて結婚しても子どもができても周りの協力があれば働くことが出来ると感じました。ダン様ととてもお幸せそうだったので羨ましく感じました………ただメアリー様やハノン伯母様のような人達を見てしまうとやはり考えてしまいます。
わたしは人を好きになってあんな風に醜い感情を持ちたくありません。ただ二人が愛したのはアランのお父様であるラウル様だった気がします。
そしてラウル様はシャノン様を愛していた……レオ様は二人に利用されていいように扱われてお母様と離縁してなんだが恋愛ってごちゃごちゃして鬱陶しいと言うか煩わしいものなんだと思いました」
「人の気持ちほど面倒なものはないと思うよ。でもねみんなその時は一生懸命だったんだと思うよ。間違った選択をしてしまう者もいるけどね、ハノンは色んな人の不幸を楽しみすぎたんだよ、自分が1番で人を見下して楽しんでいたんだよ、メアリーは自分さえ良ければそれでいいと言う考えだった。エイミーはそんな風にはならないだろう?」
「もちろんです。わたしは二人のことが理解できません」
「うん、理解出来なくてもいいと思うよ。………そろそろ二人には判決が出ると思う。いろんな人の人生を蔑ろにして傷つけて脅してきたんだ。それなりの厳しい罰は受けなければいけないだろう」
陛下は怖い顔をしていた。
アランは元々別邸で暮らしていたのでレオ様とお母様は昔二人で住んでいた屋敷に住み始めた。
わたしは今まで通りシャーリーの家でお世話になりボガード家の娘として過ごすことになった。
週に一度はレオ様とお茶をしながらお話をしている。
そしてアランはお母様と偶にお茶をしているらしい。
お互い親子にはなれないけどお茶友達として過ごすのも悪くないなと思っている。
そしてわたしとアランは義兄妹にはならないでおこうと話し合った。
だってあれだけライバルとして過ごしてきたのに今更義兄妹として過ごすことは絶対に無理だった。
もう嫌いとか好きとかではなくて今更感が半端ない。
◇ ◇ ◇
「陛下、わたしのお母様が再婚しました」
「うん、知ってるよ」
「あ、そうですよね。貴族は婚姻の時には届けを出して許可をもらうんでしたよね」
「そうだね、下から話が上がってきていたよ。ルディアもやっと素直になったんだね」
「はい、好きなくせにずっと逃げ続けていましたから」
「君はまだお父様とは呼んであげていないのかな?」
「レオ様はレオ様ですね、でも週に一度はお茶をして話し相手として過ごしていますのでお茶友達です」
「お茶友達かあ、ではわたしと君は図書館で会うから本友達かな?」
「そうですね、陛下とこうして会えるのがわたしの今の楽しみです」
「……カイルに会えなくて寂しくはないのかな?」
「寂しくていつも教室で隣の席を見てしまいます。なのでここに来て陛下に会えると殿下の話が聞けるので少し落ち着くんです。殿下も頑張っているんだからわたしも頑張って勉強をして司書官の試験を頑張ろうと思うんです」
「試験は来月だったかな?」
「はい、11月です。殿下はたぶん1月には帰ってきますよね?早く会いたいです」
「会いたいかい?」
「会いたいです、だってこんなに寂しいって思っていなかったんです」
「カイルはその言葉を聞いたら喜ぶよ」
「でも最近噂で聞きました。殿下が従妹のシルヴィ様とご婚約されるそうですね。だからわたしは殿下とあまり話さないようにしないと失礼になりますね」
わたしは寂しくてちょっと落ち込みながら陛下に言った。
「カイルはシルヴィと婚約するのかい?初めて知ったな」
「え?でも学園ではそんな話が出ていますよ、わたしもこれからは殿下に話しかけないように注意されましたし」
「注意?誰から?」
「え?……それはまぁ、ねぇ…」わたしが口籠ると陛下がクスッと笑った。
「その注意した相手に言いなさい。婚約の話など今のところないと。わたしが言ったと伝えていいからね」
「わかりました。陛下のお墨付きですね」
わたしはにっこり笑って返事をした。
そのあとは殿下が行っているテスチュー国の話を色々教えてくれた。
文化の違いや食文化の違いなど聞いているだけで楽しかった。やっぱり陛下とお話しするのはとても楽しい。
「エイミーはまだ婚約していないが、やはり結婚はしないのかな?」
「シャノン様のお話を聞いて結婚しても子どもができても周りの協力があれば働くことが出来ると感じました。ダン様ととてもお幸せそうだったので羨ましく感じました………ただメアリー様やハノン伯母様のような人達を見てしまうとやはり考えてしまいます。
わたしは人を好きになってあんな風に醜い感情を持ちたくありません。ただ二人が愛したのはアランのお父様であるラウル様だった気がします。
そしてラウル様はシャノン様を愛していた……レオ様は二人に利用されていいように扱われてお母様と離縁してなんだが恋愛ってごちゃごちゃして鬱陶しいと言うか煩わしいものなんだと思いました」
「人の気持ちほど面倒なものはないと思うよ。でもねみんなその時は一生懸命だったんだと思うよ。間違った選択をしてしまう者もいるけどね、ハノンは色んな人の不幸を楽しみすぎたんだよ、自分が1番で人を見下して楽しんでいたんだよ、メアリーは自分さえ良ければそれでいいと言う考えだった。エイミーはそんな風にはならないだろう?」
「もちろんです。わたしは二人のことが理解できません」
「うん、理解出来なくてもいいと思うよ。………そろそろ二人には判決が出ると思う。いろんな人の人生を蔑ろにして傷つけて脅してきたんだ。それなりの厳しい罰は受けなければいけないだろう」
陛下は怖い顔をしていた。
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