【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます  時々番外編

たろ

文字の大きさ
上 下
62 / 94

ハノンの日記②

しおりを挟む
姉様の日記にはありえない事実が沢山書かれていた。

レオにわたしとの子が出来ていたことは、メアリーが子どもが生まれるまで態とに隠し、わたしに会いに行くことはやめるように助言した。
養育費はお父様に渡そうとしたが、「受け取らないのでわたしが預かる」と言って、エイミーの養育費を姉様が毎月レオに会って受け取っていた。
そのお金は貯めずに散財していたみたいだ。
『どうせルディアにはバレない。わたしの言葉をいつも信用している馬鹿なだから。分かっても何も言ってはこないはず、わたしがそう仕向けるから』と書かれていた。
わたしは確かに信用していたから何を言われても姉様の言うことだからと受け入れていた。

そして、レオにバレないようにエイミーを隠すように育てたのも姉様が「侯爵家に取られるかもしれない、レオが知ればエイミーは奪われる」と会うたびに言われ、手紙にも書かれてわたしは恐怖で震える毎日をハディッド領で過ごした。

エイミーの友達としてシャーリー達に出会ったのも姉様の差金だった。
スチュワート夫人が体調を崩して療養先を探していると聞いて自然豊かなハディッド領を薦めたのだ。

そしてエイミーとシャーリーを仲良くさせたのも姉様が「そうしてあげなさい」と言ったからだった。

スチュワート家から王都へエイミーを住まわせることになったのも姉様がそれがいいと勧められたから。
ボガード家へ養子に出したのも姉様。
エイミーにハディッド家としばらく会わないように言ったのも姉様……

わたしは、全て姉様の言いなり……になっていたんだわ。

それが当たり前だと思い込んでいたけど、それっておかしい事……

舞踏会でレオに会ったのも姉様が態とにレオにわたしが居ることをバラして、わたしに会いに行くように差し向けたと書いていた。
「ルディアはレオのことを忘れて新しい恋を探すみたいよ」

と言ったら慌てたレオが面白かったと書いていた。

エイミーとミシェルの婚約を勧めようとしたのは、伯爵家が金銭的に困り始めたからだった。
事業の失敗と金遣いの荒さから資金繰りに困っていてエイミーの頭の良さ、領地での領民との良い関係、さらに陛下や殿下との仲をみて、エイミーを飼い殺しにして伯爵家の運営をさせるつもりだと書かれていた。

わたしの人生を好きにさせられたのは悔しいがまだわたしが騙されたから仕方がない。
でもエイミーの人生は、あの子だけのもの。わたし達が振り回すものでは無い。
わたしはエイミーに何度もミシェルと婚約するのが幸せだからと言って勧めたし、強制するようなことも言った。

わたしはなんてことをしたのだろう。

日記には他にも姉様のしたことが書かれていた。
わたし達に違法薬物を侍女に言い付け食べ物に入れて飲ませていたそうだ。

その薬の作用は、常にわたしたちの精神をコントロールするためのものだった。言葉をいくつかキーワードにして手紙で送り、姉様の言うことを聞くようにしていた。

魅了に近い薬だ。姉様に操られていた。

キーワードは、「エイミーと貴方達のため」の二つ。
いつも書かれていたし言われていた言葉。

わたしは姉様の恐ろしさを初めて知った。
この日記を持って義兄様に見つかる前に邸を出た。
急いで乗合所で馬車に乗り込みボガード邸へ走ってもらった。

これはお義兄様に見せてはいけない。
何故かそんな予感がして怖かった。

早く着いてと祈りながら馬車に乗っていたが、突然馬車が止まった。
「何かあったの?」
御者に聞くと「た、助けて」と震える声が聞こえてきた。
こういう馬車には必ず破落戸用の剣が隠されている。
わたしは、ドレスを脱ぎ捨て剣を持ち外を伺った。

外には人相の悪そうな男が三人いた。
御者は捕まり地面に押し倒されていた。

もうすぐ扉が開く。

わたしは剣を握りしめて開いた瞬間飛び出し三人に斬りつけた。

力がないので腕力では勝てない。扉を開けた瞬間の隙を狙い不意打ちの勝負でなんとか三人を倒した。

御者を起こして
「早く乗って!」
と叫び、御者を横に乗せてわたしが馬車を運転して急いでボガード邸へ走らせた。

幸い追ってはなかった。
ボガード邸の敷地に入ると、邸の騎士たちが何事かとわたしに詰め寄った。

わたしは、アンダードレスというほぼ下着に髪がボサボサという格好に気づき思わずしゃがみ込んだ。

「ルディア、一体どうしたの?」

リリアンが外が騒がしいので何事かと来てくれた。

「リリアン、お願いよ服を貸して」

「分かったわ、とにかく中に入ってちょうだい」

御者を騎士たちに頼み傷の手当てをしてもらった。

わたしはとりあえずお風呂に入り泥汚れを取って、リリアンのドレスを借りて着替えた。

「リリアン、助かったわ」

「ところで何があったか説明して、クラークももうすぐ帰ってくるわ」

「わたし、ハノン姉様の日記を見つけてしまったの」

わたしは説明をせず数冊の日記を順番に読んでもらった。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

処理中です...