【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます  時々番外編

たろ

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ハノンの日記②

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姉様の日記にはありえない事実が沢山書かれていた。

レオにわたしとの子が出来ていたことは、メアリーが子どもが生まれるまで態とに隠し、わたしに会いに行くことはやめるように助言した。
養育費はお父様に渡そうとしたが、「受け取らないのでわたしが預かる」と言って、エイミーの養育費を姉様が毎月レオに会って受け取っていた。
そのお金は貯めずに散財していたみたいだ。
『どうせルディアにはバレない。わたしの言葉をいつも信用している馬鹿なだから。分かっても何も言ってはこないはず、わたしがそう仕向けるから』と書かれていた。
わたしは確かに信用していたから何を言われても姉様の言うことだからと受け入れていた。

そして、レオにバレないようにエイミーを隠すように育てたのも姉様が「侯爵家に取られるかもしれない、レオが知ればエイミーは奪われる」と会うたびに言われ、手紙にも書かれてわたしは恐怖で震える毎日をハディッド領で過ごした。

エイミーの友達としてシャーリー達に出会ったのも姉様の差金だった。
スチュワート夫人が体調を崩して療養先を探していると聞いて自然豊かなハディッド領を薦めたのだ。

そしてエイミーとシャーリーを仲良くさせたのも姉様が「そうしてあげなさい」と言ったからだった。

スチュワート家から王都へエイミーを住まわせることになったのも姉様がそれがいいと勧められたから。
ボガード家へ養子に出したのも姉様。
エイミーにハディッド家としばらく会わないように言ったのも姉様……

わたしは、全て姉様の言いなり……になっていたんだわ。

それが当たり前だと思い込んでいたけど、それっておかしい事……

舞踏会でレオに会ったのも姉様が態とにレオにわたしが居ることをバラして、わたしに会いに行くように差し向けたと書いていた。
「ルディアはレオのことを忘れて新しい恋を探すみたいよ」

と言ったら慌てたレオが面白かったと書いていた。

エイミーとミシェルの婚約を勧めようとしたのは、伯爵家が金銭的に困り始めたからだった。
事業の失敗と金遣いの荒さから資金繰りに困っていてエイミーの頭の良さ、領地での領民との良い関係、さらに陛下や殿下との仲をみて、エイミーを飼い殺しにして伯爵家の運営をさせるつもりだと書かれていた。

わたしの人生を好きにさせられたのは悔しいがまだわたしが騙されたから仕方がない。
でもエイミーの人生は、あの子だけのもの。わたし達が振り回すものでは無い。
わたしはエイミーに何度もミシェルと婚約するのが幸せだからと言って勧めたし、強制するようなことも言った。

わたしはなんてことをしたのだろう。

日記には他にも姉様のしたことが書かれていた。
わたし達に違法薬物を侍女に言い付け食べ物に入れて飲ませていたそうだ。

その薬の作用は、常にわたしたちの精神をコントロールするためのものだった。言葉をいくつかキーワードにして手紙で送り、姉様の言うことを聞くようにしていた。

魅了に近い薬だ。姉様に操られていた。

キーワードは、「エイミーと貴方達のため」の二つ。
いつも書かれていたし言われていた言葉。

わたしは姉様の恐ろしさを初めて知った。
この日記を持って義兄様に見つかる前に邸を出た。
急いで乗合所で馬車に乗り込みボガード邸へ走ってもらった。

これはお義兄様に見せてはいけない。
何故かそんな予感がして怖かった。

早く着いてと祈りながら馬車に乗っていたが、突然馬車が止まった。
「何かあったの?」
御者に聞くと「た、助けて」と震える声が聞こえてきた。
こういう馬車には必ず破落戸用の剣が隠されている。
わたしは、ドレスを脱ぎ捨て剣を持ち外を伺った。

外には人相の悪そうな男が三人いた。
御者は捕まり地面に押し倒されていた。

もうすぐ扉が開く。

わたしは剣を握りしめて開いた瞬間飛び出し三人に斬りつけた。

力がないので腕力では勝てない。扉を開けた瞬間の隙を狙い不意打ちの勝負でなんとか三人を倒した。

御者を起こして
「早く乗って!」
と叫び、御者を横に乗せてわたしが馬車を運転して急いでボガード邸へ走らせた。

幸い追ってはなかった。
ボガード邸の敷地に入ると、邸の騎士たちが何事かとわたしに詰め寄った。

わたしは、アンダードレスというほぼ下着に髪がボサボサという格好に気づき思わずしゃがみ込んだ。

「ルディア、一体どうしたの?」

リリアンが外が騒がしいので何事かと来てくれた。

「リリアン、お願いよ服を貸して」

「分かったわ、とにかく中に入ってちょうだい」

御者を騎士たちに頼み傷の手当てをしてもらった。

わたしはとりあえずお風呂に入り泥汚れを取って、リリアンのドレスを借りて着替えた。

「リリアン、助かったわ」

「ところで何があったか説明して、クラークももうすぐ帰ってくるわ」

「わたし、ハノン姉様の日記を見つけてしまったの」

わたしは説明をせず数冊の日記を順番に読んでもらった。











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