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ハディッド家の人々
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ハノン姉様が兵士に捕らえられた。
その出来事はすぐに領地にいるわたし達に伝えられた。
そして王都へ来るようにとのお達しがあり、急ぎ三人は馬車に乗り込んだ。
「ハノンに何があったのだろう」
「あの娘が捕まるだなんて、何かの間違いだわ」
両親は落ち着かない様子で馬車に乗っていた。
わたしも姉様が犯罪を犯すなんて信じられなかった。
5日かかって王都に着いた。
伯爵邸に着くと、トム義兄様とミシェルが待っていた。
「どういうことか説明はして欲しい」
お父様がトム義兄様に聞いた。
「まだわからないのです、こちらで問い合わせているのですがまだ返答がありません。実家の侯爵家からも今問い合わせています」
「そうか……ハノンはしっかりして優しい子だ。まず捕まるようなことをする訳がない」
お父様は、疲れたのか少しぼうっとしていた。
「お父様、横になりましょう。お母様もきつそうですね、誰か部屋まで連れて行ってちょうだい」
わたしもなんだか身体がだるい。
「トム義兄様、わたしも横になるわ、話はまた明日でもしましょう」
わたしはそのまま昼まで寝てしまっていた。
起きるとみんな暗い顔でそれぞれが過ごしていた。
わたしは、姉様の部屋へ行ってみることにした。
「お義兄様、姉様の部屋へ行きたいのですが……」
「うん?何故?」
「姉様が何故捕まったのか知りたいんです。何か手掛かりが残っていないかと思いまして」
「うーん、残ってる………どうなんだろう、君が納得するならいいと思うよ」
「すみません、では入らせて頂きます」
わたしは懐かしい姉様の部屋へ入った。
結婚して部屋の雰囲気は変わっているが懐かしい机と椅子はそのままにしてある。
わたしは懐かしくて机のそばに行った。
(そういえば姉様って昔から日記をつけていたわよね、いつもここに入れていたわ)
ふと思い出し、姉様の子どもの頃置いていた場所、机の引き出しの中ではなくて、引き出しの底に小さな棚を作っていてそこに隠していたのを思い出して、机の下に潜り除いてみた。
(あったわ、そして古い日記は、確かクローゼットだったわ)
わたしは日記を持ってクローゼットへ行った。
クローゼットを開けて、のぞいて床を見るとやっぱりあった。
一枚の板を外すと底に物を入れる収納になっている。
これはわたしの部屋にもあるので一緒なの。
お互い大事な物、高価なアクセサリーや思い出の品はここに隠すのが子どもの頃からの習慣だった。
板を外すと、何冊かの日記らしきものがあった。
とりあえず出してみた。
数冊の日記帳を前に勝手に読むことには躊躇われた。
姉様がどうして捕まったのか手掛かりは欲しい。
でもプライベートを覗くのは嫌だった。
だったら戻してしまうほうが賢明かもしれない。
そう思い、数冊の日記帳を持ってソファから立とうとしたら、コンコンとノックされ、「はい」と言うとお義兄様が入ってきた。
「ルディア、何かあったかい?」
わたしは日記のことを咄嗟に隠した。
「わたしの子どもの頃に絵を描いたノートが数冊書棚の隅にありました、とても懐かしいので後で見返してもいいかしら?」
わたしが誤魔化して尋ねると
「ゆっくり見るといいよ」
「ありがとう、特に何も手掛かりはなかったから諦めて懐かしいノートをみて気分を変えてみるわ」
「うん、そうだね。ハノンも時期帰って来ると思うんだ、何かの間違いだろうから」
お義兄様は、やつれた顔をして微笑んだ。
わたしは急いで自分の部屋に戻り日記帳を持って悩んだ。
見るべきか見ないべきか……
たわいない子どもの頃の日記なら読んでも差し支えないかなと思い少しの罪悪感と興味で読み始めた。
10歳から13歳の頃の懐かしい出来事ばかり、わたしは3歳年下なので忘れていた記憶がよみがえり嬉しかった。
お父様からの誕生日プレゼント、クリスマスプレゼント、レオやレヴィンと遊んだこと、ハディッド領で過ごした日々などわたしも覚えていることばかりでただ懐かしくて胸がキュッとなった。
思わず二冊目を読んでいた。
姉様が14歳から16歳くらい。
わたしがレオと婚約する前で姉様がレオと付き合っていた頃の日記だった。
やはり読むのは途中躊躇ったがここまできたらもう読まずにいられなかった。
あの頃のレオと姉様の二人の関係を知りたい。
誘惑に負けて読み始めた。
姉様はレオと付き合う前にラウル様と付き合っていた。姉様の切ない初恋と自分だけを愛してもらえない寂しさから別れたと書いてあった。
そしてそれを忘れるようにレオと付き合った。
ラウル様のことは全く知らなかった。
学園での友人関係や出来事はわたしにはわからなかった。
姉様はレオと付き合っている時喧嘩が多かったと書いていた。
どちらも長子で後継ぎなのでどちらかの家に入ることになる。普通なら姉様がレオの家に入るのだが、姉様はそれが嫌だと書いてあった。
人に頭を下げて自由な意見が言えない、自分の能力を発揮して一番上でいるには実家を継ぐのか一番いいと書いていた。
わたしは次女で何も考えず姉様の言われた通りに生きてきた所があるので姉様の葛藤を知らなかった。
そして二人は意見が合わず別れてトム義兄様の推しのアプローチに負けて結婚したようだ。
その出来事はすぐに領地にいるわたし達に伝えられた。
そして王都へ来るようにとのお達しがあり、急ぎ三人は馬車に乗り込んだ。
「ハノンに何があったのだろう」
「あの娘が捕まるだなんて、何かの間違いだわ」
両親は落ち着かない様子で馬車に乗っていた。
わたしも姉様が犯罪を犯すなんて信じられなかった。
5日かかって王都に着いた。
伯爵邸に着くと、トム義兄様とミシェルが待っていた。
「どういうことか説明はして欲しい」
お父様がトム義兄様に聞いた。
「まだわからないのです、こちらで問い合わせているのですがまだ返答がありません。実家の侯爵家からも今問い合わせています」
「そうか……ハノンはしっかりして優しい子だ。まず捕まるようなことをする訳がない」
お父様は、疲れたのか少しぼうっとしていた。
「お父様、横になりましょう。お母様もきつそうですね、誰か部屋まで連れて行ってちょうだい」
わたしもなんだか身体がだるい。
「トム義兄様、わたしも横になるわ、話はまた明日でもしましょう」
わたしはそのまま昼まで寝てしまっていた。
起きるとみんな暗い顔でそれぞれが過ごしていた。
わたしは、姉様の部屋へ行ってみることにした。
「お義兄様、姉様の部屋へ行きたいのですが……」
「うん?何故?」
「姉様が何故捕まったのか知りたいんです。何か手掛かりが残っていないかと思いまして」
「うーん、残ってる………どうなんだろう、君が納得するならいいと思うよ」
「すみません、では入らせて頂きます」
わたしは懐かしい姉様の部屋へ入った。
結婚して部屋の雰囲気は変わっているが懐かしい机と椅子はそのままにしてある。
わたしは懐かしくて机のそばに行った。
(そういえば姉様って昔から日記をつけていたわよね、いつもここに入れていたわ)
ふと思い出し、姉様の子どもの頃置いていた場所、机の引き出しの中ではなくて、引き出しの底に小さな棚を作っていてそこに隠していたのを思い出して、机の下に潜り除いてみた。
(あったわ、そして古い日記は、確かクローゼットだったわ)
わたしは日記を持ってクローゼットへ行った。
クローゼットを開けて、のぞいて床を見るとやっぱりあった。
一枚の板を外すと底に物を入れる収納になっている。
これはわたしの部屋にもあるので一緒なの。
お互い大事な物、高価なアクセサリーや思い出の品はここに隠すのが子どもの頃からの習慣だった。
板を外すと、何冊かの日記らしきものがあった。
とりあえず出してみた。
数冊の日記帳を前に勝手に読むことには躊躇われた。
姉様がどうして捕まったのか手掛かりは欲しい。
でもプライベートを覗くのは嫌だった。
だったら戻してしまうほうが賢明かもしれない。
そう思い、数冊の日記帳を持ってソファから立とうとしたら、コンコンとノックされ、「はい」と言うとお義兄様が入ってきた。
「ルディア、何かあったかい?」
わたしは日記のことを咄嗟に隠した。
「わたしの子どもの頃に絵を描いたノートが数冊書棚の隅にありました、とても懐かしいので後で見返してもいいかしら?」
わたしが誤魔化して尋ねると
「ゆっくり見るといいよ」
「ありがとう、特に何も手掛かりはなかったから諦めて懐かしいノートをみて気分を変えてみるわ」
「うん、そうだね。ハノンも時期帰って来ると思うんだ、何かの間違いだろうから」
お義兄様は、やつれた顔をして微笑んだ。
わたしは急いで自分の部屋に戻り日記帳を持って悩んだ。
見るべきか見ないべきか……
たわいない子どもの頃の日記なら読んでも差し支えないかなと思い少しの罪悪感と興味で読み始めた。
10歳から13歳の頃の懐かしい出来事ばかり、わたしは3歳年下なので忘れていた記憶がよみがえり嬉しかった。
お父様からの誕生日プレゼント、クリスマスプレゼント、レオやレヴィンと遊んだこと、ハディッド領で過ごした日々などわたしも覚えていることばかりでただ懐かしくて胸がキュッとなった。
思わず二冊目を読んでいた。
姉様が14歳から16歳くらい。
わたしがレオと婚約する前で姉様がレオと付き合っていた頃の日記だった。
やはり読むのは途中躊躇ったがここまできたらもう読まずにいられなかった。
あの頃のレオと姉様の二人の関係を知りたい。
誘惑に負けて読み始めた。
姉様はレオと付き合う前にラウル様と付き合っていた。姉様の切ない初恋と自分だけを愛してもらえない寂しさから別れたと書いてあった。
そしてそれを忘れるようにレオと付き合った。
ラウル様のことは全く知らなかった。
学園での友人関係や出来事はわたしにはわからなかった。
姉様はレオと付き合っている時喧嘩が多かったと書いていた。
どちらも長子で後継ぎなのでどちらかの家に入ることになる。普通なら姉様がレオの家に入るのだが、姉様はそれが嫌だと書いてあった。
人に頭を下げて自由な意見が言えない、自分の能力を発揮して一番上でいるには実家を継ぐのか一番いいと書いていた。
わたしは次女で何も考えず姉様の言われた通りに生きてきた所があるので姉様の葛藤を知らなかった。
そして二人は意見が合わず別れてトム義兄様の推しのアプローチに負けて結婚したようだ。
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